大寒を迎え 朝、子どもたちの息が白く見えます。
新しい 1 年を皆様はいかがお過ごしでしょうか?
久良岐のお日さまいっぱいの場所では水仙の花が春を知らせています。
今回の久良岐便り 34 号では主に楽しかったクリスマスとお餅つきの様子を
お届けします。
今年も皆様、よい 1 年でありますように。
〒232-0063
横浜市南区中里3-23-1
☎
fax
045-731-5994
045-721-3166
http://www.kuraki-boshi.or.jp/
1 月 6 日、平成 25 年度外部団体による永年勤続表彰者の表彰授与式が、久良岐母子
福祉会本部にて行われ、職員 4 名が長年にわたる施設への貢献により表彰を受けました。
受賞者の皆さん、おめでとうございました。
【評者の皆さん】
全国社会福祉協議会会長表彰
全国乳児院福祉協議会永年勤続表彰
神奈川県社会福祉事業功労者表彰
横浜市社会福祉功労者市長表彰
母子生活支援施設
久良岐乳児院
久良岐乳児院
久良岐乳児院
成田施設長
白拍子職員・今増職員
白拍子職員・今増職員
山口職員
理事長・常務理事を囲んで
母子生活支援施設
成田施設長
乳児院山口職員
乳児院今増職員
乳児院白拍子職員
新年ご挨拶
社会福祉法人 久良岐母子福祉会
理事長 長井晶子
新年あけましておめでとうございます。
皆様どのような年末年始を過ごされましたでしょうか。九連休の方々も沢山おられた事と
思います。
当法人が運営します母子生活支援施設と乳児院は、三六五日、二十四時間を交替勤務で
働いております。 職員は、年末年始も、普段と変わりなく、良く働いておりました。
日常との違いは、元旦には皆揃って「新年を祝う会」を催し、子ども達はお年玉をもら
い、その後初詣に近所の寺社に行きます。昼食は、職員、面会の方々、退所したご家族の
方々と共に、お節料理やお雑煮の食卓を囲みます。施設機能の関係で、年末年始に職員も
働いておりますので、まとまって正月に休暇を取る習慣がありません。そのため新年を迎
えると言う実感が湧きづらくなります。
ところが、今年に限っては、
「一年の計」を明確に語る事が出来ます。十年もの間、母子
生活支援施設の移転地を捜しておりましたが、やっと捜す事が出来、念願の老朽施設の建
て替えが出来る事になりました。今年はいよいよ建築が開始される予定です。
入所定員も、十世帯から二十世帯に増え、緊急一時保護のお部屋や、地域交流スペース
の部屋も持つことが出来ます。今まで、施設にスペースがあれば出来るのにと思ったり、
考えたりしていた事が、実現出来る事になります。
今までの「くらき」の良い所は、小世帯での運営でしたので、入所の方々の声を良く聞
く事が出来、配慮が出来ました。
新築になり、建物は立派になり、部屋もきれいになったし、職員も増えたけれど、昔の
建物の時の方が、暮らしやすく、職員の配慮も行き届いていた。その様に言われないため
に、今何をすべきかを明確にしながら準備を勧めていきたいと考えています。新たな土地
で、一からのスタートになります。中里の地では、
「久良岐」は認知されており、何か心配
事があったり、地域の中で必要な事があれば、声を掛けて下さり利用をして下さる地域と
の関係や絆があります。建築をしながら、地域の方々に施設の事をご理解頂き、地域の中
に入れて頂き、地域の中で、存在出来たらと願っています。
久良岐に関係する皆様にとって、良い年となります様に願って、新年のご挨拶といたし
ます。
久良岐母子福祉会では、保育士、看護師、栄養士、心理士、児童指導員と様々な専門職種の職員がい
ます。働く場所や施設、資格は違いますが理念や志は同じ。施設を跨いでも研修内容が共有できるよう
に、各施設から選ばれた研修委員が研修内容から講師の選定、打ち合わせを行ない年に 4 回法人研修が
行なわれています。ここでは 25 年度の法人研修の内容を紹介します。
25年度 第1回法人研修
7月1日
『心が元気になるリハビリメイク ~メイクを通しての社会参加支援~』
講師:かづきれいこ先生
25年度最初の法人研修として選んだテーマは「まずは職員から元気に!」今までのオーソドックス
な法人の研修スタイルとはかけ離れたテーマに最初は職員からも疑問の声が・・・「本当にこのテーマ
で大丈夫かな」と企画したもののとても不安でした。しかし始まってみればさすが女性が多い職場、若
返りのメイクの話しや実践を交えた研修が楽しめない訳も無く、楽しみながらもハンディキャップを持
った方への『リハビリメイク』の苦労話や心構え、気遣いなど共感する所も多々あり本当に実り多い研
修となりました。もちろん翌日からは職員の笑顔も益々増えました!
参加職員アンケート
・保育士として毎日保護者が仕事へ安心していけるように朝から、
「先生の顔を見て元気が出る!」と感じてもらえたら良いなと思いました。
・違う職種でも対象者の社会参加を手助けしたいという気持ちが同じ
という事が分かり、とても感銘を受けました。
25年度 第 2 回法人研修
『
こどもを観る 』
10月16日
講師:飯田 美紀先生
第 2 回法人研修のテーマとして、これまでに何回か発達障害についての研修はおこなってきました
が、今回は目に見える力が備わっていない子どもにどのように対応すべきなのか学ぶ機会を設けまし
た。療育機関には繋がっていないが“気になる子ども”の事例をもとに、講義して頂きました。具体
的で、日々の保育を振り返り見直す機会となりました。
参加職員アンケート
・その子がなぜ苦手なのか、出来ないのか等、様々な視点から理由や原因を見つけてあげる事は普
段の保育の中でとても大切なことだなと感じました。
・子どもの発達基準を正しく学ぶ事、そして、目の前の子どもがどのような闊達をしているのかを
観る事、当たり前に思っている感覚がその子にとってどうであるのかを考えながら実践していき
たいと思いました。
12 月 17 日
25年度 第3回法人研修
『 睡眠の基本
~質の良い眠りとは~ 』
講師: 神山 潤先生
施設種別を超えて、受けてみたい研修のテーマの一つが『睡眠』でした。医学的な視点では
なく、現代の社会の問題として『睡眠』を語れる講師として白羽の矢を立てたのが神山先生で
した。最初に「今日は座学ではなく、参加型の研修です!」と言う一声から研修が始まりまし
た。様々なデータに対し自分達で考え気付きを大切にする研修となりました。
参加職員アンケート
・
「睡眠は快である」と「考える事」の大切さを改めて感じました。ネットですぐに答えを求
めるのでなく、考えるようにしていきたいです。
・大人の都合から寝るのが遅くなる諸問題に一早く気付き生活リズムを整えられるように
支援できたら良いと感じました。
25年度 第4回法人研修
2 月 21 日(予定)
『セルフマネジメント(仮)
』
講師:木村たき子先生
25 年度最後の研修のテーマは「自己覚知」。保育や保護者支援の場面では、自分の価値基準や
感情に影響され、そのことに気づきにくいものです。専門職として他者を理解するためには、ま
ず自分自身を知ることが前提になります。そこで、今回の研修では、専門知識や技術の講義でな
く、自分自身について考える研修を企画しています。講師は、母子生活支援施設くらきで所内研
修をしていただいている心理士の木村たき子先生に依頼しています。講義だけでなく、心理テス
ト等も交えた内容を検討中です。乞うご期待!
以上が平成 25 年度の法人研修の内容です。
施設が違えば対象者も違い、同じ研修を受けていても受け取り方は個職員それぞれ。法人研修はそんな
個々の意見を交換する貴重な場所でもあります。これからも職員のニーズに合わせて、楽しく・実践的
な研修を紹介していきます!
そのために今日も法人研修委員は頭を悩ませています・・・
平成25年度研修委員
研修企画委員長: 鈴木八朗
久良岐保育園 : 片岡柳子 中村則子
母子生活支援施設
: 水上仁司
久良岐乳児院 : 白拍子安子 平湯真子
くらき永田保育園
: 福田忠士
平成 16 年 第 1 回
はじめての くらき祭は、いったいどんなプログラ
ムにすればいいのかずいぶん悩んだものでした。子
どもたちが作ったお神輿で園庭を練り歩いた
懐かしい思い出です。会場もフリーな設定です。
ほのぼのとしますね。
平成 17 年 第2回
平成17年 第2回
シャボン玉兄弟をお呼びした 2 回目の
くらき祭。園庭がたくさんのシャボン
玉に包まれ夢の世界になりました。
食べ物は何を用意すれば いいの?
子どもにもおとなにも喜ばれるものは…
と考えました。フランクフルトや豚汁は
平成 16 年 第 1 回
10 回目の今年も好評でした。
お揃いのはっぴに豆しぼり。
これから演奏です。
平成25年 第10回
職員の和太鼓演奏。
平成 17 年 第2回
土曜日に練習をしています。左の写真は卒園児さん。
小学生になっても練習を続けおとなと一緒に立派な
平成 17 年 園児による和太鼓演奏。和太
演奏ができるまでになりました。くらき祭では和太
鼓を保育に取り入れて間もない頃です。や
鼓を通して子どももおとなもつながっていることを
がて太鼓の音は久良岐にしっかり定着し
実感します。
て園児や職員のはっぴ姿もおなじみにな
りました。和太鼓の音を響かせて練習でき
る環境にあるのは地域の皆様のご理解の
おかげです。ありがとうございます。
平成25年 第 10 回
平成25年 第 10 回
看護師や保育士による救急蘇生法の実技指導。
法人職員の専門性をいかした取組みもありました。
平成 25 年 11 月 2 日、毎年恒例の
くらき祭が行われました。
母子生活支援施設くらきでは、中里第3
自治会の皆さん、ボランティアの方々の協
力を得て、餅つきをしました。
中庭で40㌔の餅米を次々と蒸かし、男性
陣の力強い掛け声のもと、つきました。
つきたての餅を女性陣が手際よく千切っ
て、丸めて、あんこ・きな粉・のりたまに
分けていき、美味しい3種類のお餅ができ
ました。くらき祭に来て頂いた方々に大変
好評でした。
もっと腰を入れて!!
熱いうちにこねないと
餅ができない!!
夫婦じゃな
いよなぁ…
息はぴった
りなんだな
お忙しい中、1 日手伝って下さった中里第三自治会
の皆さん、ボランティアの皆さん本当にありがとう
ございました。久良岐が地域の方々にどれだけ支えら
れているか感じた 1 日でした。
11 月 24 日(日) 久良岐保育園 園庭にて
中里第三自治会防災訓練が行われました。
起震車による地震の揺れの体験や、水消火器での
消火訓練を実施。炊き出しも皆さんの協力体制で
おむすびや芋煮汁ができあがり、今回は秋刀魚も
焼いて少しの季節感も味わいました。
久良岐では、これからも施設を開放し利用しても
らうことで公共施設としての役割を果たせるよ
うお手伝いをしたいと考えています。
(緑の井戸端で収穫した赤芽芋を芋煮汁に使っ
ています)
晩秋の緑の井戸端で、さつまいもや赤芽芋の収穫
を子どもたちとしました。軍手などはしないで
土の感触 土の温度 土の匂いを感じながらの芋
ほりです。ただしサトイモなど収穫したての芋を
素手で触るとかぶれることがあるので洗う時に
はビニール手袋がおすすめです。
さて、せっかくのでっかい芋は「絵」で表現して
みよう!ということになり、ゆっくり時間をかけ
て観察 絵に描いていきました。
大晦日の夜、子どもたちがお散歩にお邪魔をして
いる(高野山真言宗 中里大師)西光寺の除夜式
にお伺いしました。ご住職からこのお寺の歴史が
500 年前にさかのぼるとお聞きして、私たちが
この中里の地で社会福祉事業を続けていること
に謙虚な気持ちで新年を迎えることができまし
た。そして頂いた順番は「八十八番」。よい年に
なりそうな予感がいたします。
久良岐の防災備品のひとつ『まかない君』。
少しの燃料で効率的に煮炊きができるカマドで
す。こうした機会に多くの人に使い方を覚えてほ
しい… これも施設開放の目的のひとつです。
幼児 小学生 中学生… そして おとな。
世代の違う人が集まって餅をつく。子どもはおと
なの姿を見て育ち、日本の文化が次へと受け継が
れる日本のお正月。大切にしたいですね。
もちつきの会場では こんな遊
びのコーナーも。 小学生が小
さい子どものお世話をしてい
ます。地域の方々が同じように
新年を迎え暖かい日差しの中
でひと時を過ごしている姿は
穏やかな年明けにふさわしい
ものでした。
くらき永田保育園
久良岐保育園
11 月に行われた「造形祭」
。子どもの作品の展
示だけでなく、作品を通して子どもたちの心が
どのように動いたかを感じてもらえる機会に
なりました。
収穫の秋にちなんで畑の野菜を絵に描いたり
パンを焼きました。年末には広いお部屋を自分
たちで大掃除。自然いっぱい!おひさまいっぱ
い!新しい年はもちつきから始まりました。
久良岐乳児院
母子生活支援施設
七五三にお正月。時代は変わっても日本の伝統
の行事を大切に守っています。行事のたびに子
どもたちの成長を感じ、お正月は乳児院ご自慢
のお節で祝いました。
11 月に行われたソフトティーボール大会で見
事 優勝!!元旦の新年会は多数の参加があり
大勢で所長お手製のお雑煮で 1 年の始まりを
祝いました。
くらき
手作りキャンドルワークショップ
子ども達の作品
箱の中からお兄さんが・・・!!
職員によるギター
演奏・手話の披露も
ありました!
12月24日、クリスマス会を行いました。
クリスマス会が始まると、何やら怪しげなダンボールが届いているのを保育士が発見。皆の前で開けて
みると・・・中からロボットになってしまったお兄さんが登場し、動かなくなってしまっているではありま
せんか。お兄さんは少しずつ動き出し、その後は手遊び、体操、パネルシアターをして皆で楽しみまし
た。今年お越しいただいたのは来年4月にデビューを予定している福田翔さんです。あっという間に会
場は福田翔さんの世界に引き込まれ、子ども達も大いに盛り上がって過ごしました。最後はサンタクロ
ースからのプレゼントを貰い、さらに満足そうな笑顔の子ども達。楽しい一日が過ごせました。
12月7日、子ども達の4月からの生活の様子や表現活動を紹介した造形祭が行われました。
子ども達の作品の展示の他に、キャンドル KUNI さんによる「手作りキャンドルワークショップ」石
井造園さんによる「丸太切り体験」職員によるわらべうた紹介などが行われ、ご家族揃ってさまざま
な体験をして頂きました。
子ども達の保育園での生活の様子や取り組んでいる事を少しでもお伝えし、
作品を通して子ども達の
心がどのように動いたかを感じてもらえたら嬉しく思います。
今後も子ども達の心を動かす、本物の体験が出来る機会を作っていきたいと思います。
1月には、お正月遊びとしてコマ回しをし
ています。一月の最終週に行なわれるコマ回
し大会のトロフィーを目指して友達同士どっ
ちが長く回せるか競争しながら、季節の遊び
を楽しんでいます。
寒い冬にほっこり…
年越し前…子ども達みんなで大掃除!!
1 年の感謝の気持ちをこめて
お部屋のおもちゃ、ロッカーを掃除します!
温かいお部屋で…
手作りパンを作りました。
自分の座っていた
椅子も
雑巾でしっかり拭きます。
ピカピカになると
気持ちいいですよね!
2013年
ほかほか
赤芽芋を収穫し手触りや匂いを感
から
心まであったか
くなりました。
じながらじっくり観察。絵を描きま
した。
2014年
クリスマス会では、ばら組の子ども
こんなにいっぱいおもちが出来ました!
達が自分で作ったキャンドルツリ
ーを持って入場しました。
サンタさんが来てくれた時に
は思わずビックリ!!
子ども達も突然のことで
ドキドキ……
家族そろっていただきます。
↑寒さに負けず!
おもちをついて下さったおかげで
みんなでおいしいおもちが食べられ
ました
食べるとみんな自然と笑顔に…
平
成
二
十
六
年
乳
児
院
新
本 年
年 明
お
も け
め
よでま
ろとし
しうて
くご
おざ
願い
いま
致す
し
ま
す
毎年、ジョンソン株式会社様からの寄付があ
り、東京ディズニーランドに行ってきました。
母も子も童心に返り、1 日夢の国で大はしゃぎ。
初めて会うミッキー、ミニーに小さな子ども達は
戸惑うやら、泣くやら…大騒ぎ!!何はともあれ
親子共々ステキな 1 日を過ごせました。(*^_^*)
くらきにサンタクロースが来て
くれました(^o^)
子ども達にそれぞれステキな
プレゼントをもらいました。みん
な「キャー!」「やったぁ~!!」
と、歓喜の声。子どもの喜ぶ姿を
見て、お母さん達も嬉しそうにほ
ほえんでいました。
来年も来てくれるといいな…
サンタさんありがとう…
11/30 第 9 回ソフト T ボール大会が
西本郷小学校で行われました。
1 回戦から闘争心むき出しで、応援して
いる方も熱が入り、18 対 10 で勝利!
そして…優勝決定戦は、昨年サヨナラ負け
したチームとの対戦。クラキッズ全員
『倍返しだ!!』と気合い十分。
連続ホームランは飛び出し、高学年は低学
年のフォロー、ファインプレーと、観戦し
ていながら目頭が熱くなりました。結果
は、20 対 17 でクラキッズ優勝!!頑張
った子ども達は互いに健闘を讃え合いま
した。
2014 年、皆さんどのような気持ち
で新年を迎えましたか。今年も笑顔で健
康に 1 年を過ごせるよう祈っています。
1 月 1 日、退所者も含め新年顔合わ
せ会を行いました。寒い中風邪等引かず
に、元日から元気な姿で正月を迎えるこ
とができました。
所長お手製の煮物、雑煮を食べなが
ら、今年の始まりを祝いました。
12/25 にクリスマス会をしました!
久良岐保育園のばら組さんを招待しての
ビンゴ大会、チームサンタの一発芸大会と
職員まで声を嗄らすほど大爆笑の楽しい時
間を過ごしました。ばら組さん…くらき学童
のクリスマス会、楽しかったかな…(^^♪
『くらき』のタイトルは、小1のYくんが、一生懸命
書いてくれました!
久良岐に咲く四季の花。
前回久良岐花便り「夏の花」に続いて
久良岐乳児院副院長 長谷川正弘が花便りをお届けします。
梅
の
花
梅の花は、春の兆し。寒々とした空気の中、
凛と咲き誇る姿は、緊張感もあるが、温かさ
も感じる。それは、そろそろ東風(こち)も
吹きだす頃の花で、しかも花も丸みを帯びて
いて、何となく温かそうだからであろうか。
観梅に行ったことがある。東京は井の頭公
園の梅林(家から徒歩15分)・深大寺植物園
の梅林(家から徒歩1時間)や吉野の梅郷(家
から車で1時間)・静岡は熱海の梅園・修善寺
梅林・茨城は水戸の偕楽園・神奈川は曽我の
梅林・鎌倉各寺社(鶴岡八幡宮・青梅聖天社・
荏柄天神・瑞泉寺・宝戒寺・浄妙寺・光触寺・
報国寺・円覚寺・東慶寺・光則寺・明月院・
英勝寺・長谷寺等)の梅等々。思い返せば、梅
の咲く、まだ寒い頃にも随分歩いたものだ。
しかし、どちらかと言うと、梅林(梅園・梅
郷)と呼ばれる所の梅より、寺社の庭に何株
か点在して植えられていた梅の方が印象に残
っているのは不思議だ。
釈迦様を背景にアーチ状に左右に咲く紅
梅と白梅の混在である。尼寺らしく何となく
可愛らしく感じたのは梅の花だったのか、お
釈迦様だったのか…。また瑞泉寺の黄梅は、
市の天然記念物だそうだが、一見の価値があ
った。
鎌倉の荏柄天神にも紅梅も白梅もあったが、
特にこの時期、よく鎌倉に行った。暑さに弱
い私は、夏の鎌倉は大汗をかきながら、1-
2度だが、秋から冬・冬から春の鎌倉には何
十回と行っている。梅で特に印象にあるのは、
東慶寺の梅。此処では、梅は其処此処に自然
学問の神様と云われる天神天満宮には、白梅
がつきもの。所謂、
『湯島(天神)の白梅』である
(ここでは、之については言及しないが)。菅
原道真公の怨霊を鎮める為、公を祭った神社
であり、公が学者であり、漢詩人であって当
時の識者であったことが、後の世の人々に学
問の神様として崇められるようになったので
あろう。しかし、今や受験祈願の神さまにな
って居り、まさに神頼みである。その道真・
な風情で植えられているが、特に、入ってす
ぐ目につくのは、庭にある小ぶりで露座のお
天満宮の象徴は梅鉢紋であり天神様と梅は深
い関係にあるわけだが如何してか?それもや
はり道真伝説に由来しているようである。
『東
風(こち)吹かば、匂いをこせよ 梅の花 主
対し祟りをなしたとし、公を崇め奉ることで、
怒りを鎮めようと願って天満宮を建立した…。
なしとて 春な忘れそ』と云う有名な公の歌
があり、この歌が伝説の元であり、梅の花と
の関連の元でもある。
菅原道真公は、上記のごとく『火雷天神』つ
まり雷の神として祭られたのがそもそも始ま
りであったと云う事である。
菅原道真公は野心家でもあり、従って政治
家でもあった。宇多天皇に重用され、醍醐朝
では右大臣にまで昇ったが、政敵藤原時平に
謀策で讒訴(ざんそ)され、大宰府に左遷さ
れてしまう。その大宰府へ出府し、自宅の庭
さて、話変わって、久良岐の梅は…と云うと、
大中小の三株が場所を変えて、植えられてい
る。一つ目の一番大きいのは、西側の山の中
腹保育園乳児棟中庭に面してある白梅。冬場
は日当たりの少ない場所なので、開花もゆっ
にあった好みの梅の花を想って歌ったのが、
前述の歌である(但し、解釈に因っては、出府
前の歌とする者もある)。公がこの歌を読むと、
忽ちその梅の木が主の居る大宰府へ飛んで行
ったと云う飛梅伝説が生まれたらしい。さて、
公は悲憤の内に大宰府の地で憤死してしまっ
たが、話は其れで終わらない。公の怨念が怨
霊を産み、多くの天変地異を起こし、挙句の
果てに清涼殿に落雷して藤原清貫が死亡する
くり目である。もう一つは中くらいので、以
前掲載した柳の木の下に植えられている。正
門付近の日当たりの良い位置であるからか、
枝振りも良い紅梅である。最後の一つは、そ
の並びの塀沿い通路脇の花壇に植えられてい
て、やや小振りで可愛いい。三兄弟夫々個性
があって見ていて楽しく、気分が明るくなる
春を呼ぶ花である。
に至るや、神頼みの公家たちは、公が朝廷に
水
仙
梅の花も水仙の花も、時期的にはどちらも冬
から春先に咲く、春の兆しの花。東風の吹き
そうなその頃、まだまだ寒さの残る春先、庭
の温かい陽だまりに小さく群生して咲く印象
がある。
可憐で清楚な花のイメージとは裏腹に、実
は比較的強い毒性があるらしい。問題の1つ
は葉がニラに、鱗茎は浅葱に似ている点らし
く、似ているだけでしっかりとした違いもあ
り、注意深く見れば間違いは起こらないはず
だが、特に鱗茎は死に至ったケースもあった
ようだ。葉の方は死にはしないものの、死ぬ
思いはする。嘔吐に因り毒がすべて吐き出さ
れる事で、逆に事なきを得る様な感じらしい。
いきなり毒性の話では身もふたもない感じ
さて、水仙の別称は凌波仙子と云う。その
葉を波に例え、その波を静かに歩んで日本に
だが、『きれいな花には…』棘だけでなく毒も
ある事は知っておいた方が良い。
水仙と云うと、ラッパ咲きを即連想される
方が多いと思うし、ラッパ=水仙をイメージ
としてお持ちの方が多いのではなかろうか。
しかし、花の形も実は、ラッパ咲きの他、カ
ップ咲き・小カップ咲き・八重咲き・トリア
ンドロス咲き・シクラメネウス咲き・スプリ
ットコロナ咲き等に分類される咲き方があり、
渡って来た女神(仙子)である。日本に渡っ
てきたのは平安末期と云われるが、 和歌に
登場するのは何故か近世から近代にかけてが
多い。その、水仙を歌った近代和歌の有名な
一首に、横浜と云うか神奈川の歌がある。前
田夕暮(1883~1951)の
「わがふるさと相模にきみとかへる日の春
近うして水仙の咲く」がある。
また、水仙の和歌と云うと、千草有効(ちぐ
違う種類の花と思っているものも、水仙であ
ったりするのかも知れない。あえてラッパ水
仙と云う通称があるのも、他の形があるから
なのか。
久良岐にも水仙の花が咲く。正門付近の花
壇の中、洋花の後ろにスッっと控えている一
群がそれである。春先には香り豊かに揃い咲
きする。前述の中位の梅と同様、冬の久良岐
では最も日当たりの良い場所で、来る春の陽
さありこと)の
「ふりかくす雪うちはらひ仙人(やまび
と)の名もかぐわしき花を見るかな」がある。
千草有効とは、皇女和宮の降嫁に供奉し、維
新後は宮内大丞に任ぜられたほどの人物であ
ると同時に、当然公家風の和歌を学んだが、
地下の歌人らとも親交があり、保守的歌風を
脱した人物とも言われ、まさに近代の歌人の
草分けの一人と言えよう。
を背伸びしていっぱいに受けるかのようにし
ている姿が、前述の通り、可憐で清楚な感じ
がして素敵である。
一方、歌の世界では、雪中花とも呼ぶよう
だ。かと言って、温かい所を好む花でもあり、
温かい陽だまりの雪はやはり春先を想わせる。
編集後記
写真は緑の井戸端の主「カエル様」です。畑仕事の最中、積んである落葉
を崩すとオヤスミ中のカエル様に睨まれたりするのです。カエルに向かって
人間が「ごめん ごめん」などと謝る様は、他の人の目にどのように映ってい
るのでしょうね。梅のつぼみに色を感じ、やがて桃の節句。
みなさんのお近くの季節と重ねてご覧いただければ幸いです。
平成 26 年 1 月 17 日発行
発行責任者
長井晶子
編集
久良岐母子福祉会 広報委員会
内田 河﨑
佐々木
久野 屋冨祖
長島 豊田