22消予第44-4号 平成22年9月3日 社団法人 愛知県建築士事務所協会 名古屋支部 支部長 斉藤 隆 様 名古屋市消防長 岩 崎 寅 人 可燃性合成樹脂発泡体を断熱材等に用いた防火対象物に係る防火 安全対策の推進について(要望) 平素は、消防行政にご理解、ご協力をいただき、厚くお礼申し上げます。 さて、平成20年8月に発生した青森市りんごセンターの冷蔵倉庫火災等、各 地で倉庫火災による大きな被害が発生しています。平成21年5月に発生した愛 知県稲沢市の低温倉庫火災においては作業員1名が、また、平成21年6月に神 戸市で発生した工場倉庫火災においては、消防隊員1名が殉職しました。いず れの火災においても天井、内壁、間仕切り壁等として使用されていた断熱材等 の速燃的燃焼が被害の拡大に大きく関与したと推測されています。 ウレタン樹脂等の可燃性合成樹脂発泡体を用いた断熱材等は、経済性や施工 方法の容易性等の理由から広く普及していますが、火災が発生した場合、燃焼 拡大までの時間が非常に短時間であるなどその危険性は甚大です。 つきましては、別記のとおり可燃性合成樹脂発泡体を用いた断熱材等を使用 した防火対象物に係る防火安全対策の実施について要望しますので、名古屋市 内の貴会会員の皆様に、この内容を周知していただきますようお願いいたしま す。 予防部予防課予防係 担当:高柳、安藤 電話: 052-972-3542 FAX : 052-972-4196 別 記 可燃性合成樹脂発泡体を断熱材等に用いた防火対象物に係る防火 安全対策の推進に関する要望 1 趣旨 ウレタン樹脂、スチロール樹脂等の可燃性合成樹脂発泡体を使用した断熱 材等又は当該断熱材等を金属製薄板等で挟んだサンドイッチパネル(以下「可 燃性合成樹脂発泡体断熱材等」という。)は、冷凍倉庫等の内装材として広く 普及していますが、当該対象物内で火災が発生した場合、燃焼拡大までの時 間が非常に短時間であるとともに、金属製薄板等が脱落するなど、建物利用 者の初期消火活動や避難行動、さらには消防隊員の消火活動等に大きな危険 を伴っています。 そのため、内装に可燃性合成樹脂発泡体断熱材等を使用していることを示 す内装表示マーク(以下「内装表示マーク」という。)を防火対象物の出入口 に掲出することにより、防火対象物の関係者及び活動消防隊員等に対して火 災時における危険性を予め知らしめるとともに、自主防火管理を推進して被 害発生の予防を図り、消火活動時の危険性を軽減することを目的として、こ の防火安全対策を要望するものです。 2 防火安全対策が必要となる防火対象物 可燃性合成樹脂発泡体断熱材等を壁、天井等に使用している定温倉庫、冷 凍冷蔵倉庫等を有する防火対象物のうち、その使用されている-の部分の床 面積が500平方メートル以上となるもの(なお、これ以外のものや部分改修 中のものであっても、本防火安全対策がなされることが望ましいものである こと。) 3 要望する各種防火安全対策 (1)内装表示マークの掲出 防火対象物に対し内装表示マークを掲出すること。その掲出位置は、防 火対象物の主たる出入口とし、進入時に屋外から視認し易い位置に掲出す るとともに、扉等の開放時に内装表示マークが見えなくなるおそれのある 場所-の掲出は避けること。 なお、掲出方法は、ビス又は接着剤などにより容易に脱落しないように 堅固に固定すること。 また、内装表示マークの詳細については次のとおりであること。 慕 ア 文字は、朱色(原則、反射性けい光塗料)とし、一文字を縦35ミリメ ートル、横30ミリメートルとする。 イ 地色は、白色とする。 ウ 形は、一辺が300ミリメートルの正方形の中心に、一辺が120ミリメ ートルの正六角形を描き、正三角形2個を交互に内接させたものとし、 朱色(原則、反射性けい光塗料)とする。 エ 材質は経年劣化の少ないものとする。 (2)不燃断熱材等の使用 断熱材等として使用する可燃性合成樹脂発泡体は、不燃材料(建築基準 法第2条第9号) -と-して国土交通大臣の認定を受けたもの又は不燃性能を 有するよう後処理したものを使用すること。 (3)継ぎ目処理等の徹底 断熱材等を被覆する仕上げ材(金属製薄板等)は、継ぎ目が防火上の弱 点とならないように適正に処理して施工すること。 (4)仕上げ材(金属製薄板等)が脱落しない施工 断熱材等を被覆する仕上げ材(金属製薄板等)は、火災が発生した際に も脱落しない施工とすること。 (5)危険性の周知 貴会関係者に対して、火災時における可燃性合成樹脂発泡体断熱材等の 危険性について、次のアからりまでの事項を周知すること。 ア 可燃性合成樹脂発泡体は、比較的低温で分解してガス化し、着火又は 発火の危険性があり、火災時に分解したガスによる中毒等の危険性があ ること。 イ 可燃性合成樹脂発泡体は、着火後、短時間で燃焼拡大し、爆燃を起こ す危険性があるものであること。特に、可燃性合成樹脂発泡体の表面を 金属製薄板等で仕上げた防火対象物及びサンドイッチパネル工法を用い た防火対象物の火災時においては、可燃性合成樹脂発泡体の燃焼状況が 外部か ら税藷セきない主音二奏哀れ 爆廓を起さす危険性があID二建物灯 用者の人命に危険が及ぶおそれがあること。 ウ サンドイッチパネルを用いた防火対象物の火災時には、芯材の可燃性 合成樹脂発泡体が燃焼することにより、金属製薄板等が脱落するおそれ があり、建物利用者の避難及び消防活動に危険があることo (6)自主防火管理の推進 関係者は、次のアからエまでの事項に留意して「消防用設備等の設置・ 維持管理」 、 「自衛消防訓練の実施」 、 「出火防止のための火気管理・喫 煙管理・放火対策」等、自主防火管理の推進を図ること。 ア 防火対象物の改装、増改築等の工事中、溶接・溶断等の火気使用時に 火災が多く発生していることから、出火防止のための必要な措置を講じ ること。 --イ一一一防火対象物に出入サする従業員等に対する喫煙管理の徹底を行いて-喫一 煙場所の指定、喫煙場所での灰皿・吸殻の後始末、始業終業時の点検等 に留意すること。 り 防火対象物に対する放火火災を防止するため、死角となりやすい場所 の整理・整頓、普段人のいない場所の施錠管理、入出者の監視、監視カ メラの設置、巡回監視等の対策を行うこと。 エ 就業時間外においても、敷地等-の侵入防止、火気の後始末、施錠確 認、夜間・休日の巡回等に留意すること。
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