高齢者虐待防止マニュアル

丸
亀
市
平 成 2 8 年 4月
丸亀市地域包括支援センター
も
く
じ
1.丸亀市の高齢者の現状
・・・・・・
1
2.高齢者虐待とは
・・・・・・
2
3.高齢者虐待の発見
・・・・・・
6
・・・・・・
12
・・・・・・
19
・・・・・・
22
4.丸亀市の虐待防止・
対応へのネットワーク
5.高齢者虐待の対応
6.養介護施設における
高齢者虐待への対応
7.消費者被害防止・対応について
(フローチャート)
・・・・・・
29
1.丸亀市の高齢者の現状
丸亀市の65歳以上の高齢者人口は、平成25年度では、27,667人で、
平成37年度には、31,735人となり、4,068人の増加が見込まれま
す。また、総人口に占める高齢者数の割合でもある高齢化率も平成25年度の
24.4%から平成37年度には29.5%と、5.1ポイントの上昇が見込
まれています。
■ 推計人口
区 分
実績
推計
平成 25 年
平成 27 年
平成 28 年
平成 29 年
平成 32 年
平成 37 年
113,544
112,909
112,510
112,077
110,539
107,486
0~39 歳
48,630
46,696
45,864
45,087
42,913
40,071
40~64 歳
37,247
36,567
36,363
36,233
36,031
35,680
65 歳以上
27,667
29,646
30,283
30,757
31,595
31,735
24.4
26.3
26.9
27.4
28.6
29.5
総人口
高齢化率
■推計人口及び高齢化率の推移
抜粋:第6期丸亀市介護保険事業計画より
1
2.高齢者虐待とは
近年、高齢者虐待が社会的問題となり、平成 17 年 11 月 1 日に国会において「高
齢者に対する虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下、
「法」という。)が議員立法で可決、成立し、平成 18 年 4 月 1 日から施行されまし
た。
(1) 高齢者の定義
「高齢者」とは 65 歳以上の者とされています。(法第 2 条第 1 項)
(2) 高齢者虐待の定義
「高齢者虐待」とは、養護者又は養介護施設従事者等による、高齢者に対して
行う次の行為とされています。
(法第 2 条第 3 項、第 4 項および第 5 項)
ⅰ
ⅱ
ⅲ
ⅳ
ⅴ
身体的虐待:高齢者の身体に外傷が生じ、又は生じるおそれのある暴力を加え
ること。
介護・世話の放棄・放任:高齢者を衰弱させるような著しい減食、長時間の放
置、養護者以外の同居人による虐待行為の放置など、養護を著
しく怠ること。
心理的虐待:高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢
者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと。
性的虐待:高齢者にわいせつな行為をすること又は高齢者をしてわいせつな行
為をさせること。
経済的虐待:養護者又は高齢者の親族が当該高齢者の財産を不当に処分するこ
とその他当該高齢者から不当に財産上の利益を得ること。
(3) 養護者の定義
養護者とは、「高齢者を現に養護する者であって養介護施設従事者等以外の
もの」とされており、高齢者の世話をしている家族、親族、同居人等が該当す
ると考えられます。
(法第 2 条第 2 項)
(4) 養介護施設従事者等の定義
「養介護施設従事者等」とは、養介護施設や養介護事業に従事する者をいい、
「養介護施設」又は「養介護事業」に該当する施設・事業は次のとおりです。
(法第 2 条第 5 項)
2
高齢者虐待防止法に定める「養介護施設従事者等」の範囲
養介護施設
老 人 福 祉 法 ・ 老人福祉施設
による規定
・ 有料老人ホーム
介 護 保 険 法 ・ 介護老人福祉施設(特別
による規定
養護老人ホーム)
・ 介護老人保健施設
・ 介護療養型医療施設
・ 地域 密着型介護 老人 福
祉施設
・ 地域包括支援センター
養介護事業
・ 老人居宅生活支援事業
・
・
・
・
養介護施設従事者等
居宅サービス事業
介護予防サービス事業
地域密着型サービス事業
地域密着型介護予防サー
ビス事業
・ 居宅介護支援事業
・ 介護予防支援事業(地域包
括支援センター)
(参考)「市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について」(厚生労働省
3
「養介護施設」又は
「養介護事業」の業務
に従事する者
老健局)より
養護者による高齢者虐待類型の例
区 分
具
体 的 な 例
1.暴力的行為で、痛みを与えたり、身体にあざや外傷を与える行為。
【具体的な例】
・平手打ちをする。つねる。殴る。蹴る。やけど、打撲させる。
・刃物や器物で外傷を与える。など
2.本人に向けられた危険な行為や身体に何らかの影響を与える行為。
【具体的な例】
・本人に向けて物を壊したり、投げつけたりする。
・本人に向けて刃物を近づけたり、振り回したりする。など
ⅰ
身体的虐待
3.本人の利益にならない強制による行為によって痛みを与えたり、代替方法があるに
もかかわらず高齢者を乱暴に取り扱う行為。
【具体的な例】
・医学的判断に基づかない痛みを伴うようなリハビリを強要する。
・移動させるときに無理に引きずる。無理やり食事を口に入れる。など
4.外部との接触を意図的、継続的に遮断する行為。
・身体を拘束し、自分で動くことを制限する(ベッドに縛り付ける。ベッドに柵を
付ける。つなぎ服を着せる。意図的に薬を過剰に服用させて、動きを抑制する。な
ど)
。
・外から鍵をかけて閉じ込める。中から鍵をかけて長時間家の中に入れない。など
1.意図的であるか、結果的であるかを問わず、介護や生活の世話を行っている者が、
その提供を放棄または放任し、高齢者の生活環境や、高齢者自身の身体・精神的状
態を悪化させていること。
【具体的な例】
・入浴しておらず異臭がする、髪や爪が伸び放題だったり、皮膚や衣服、寝具が汚
れている。
・水分や食事を十分に与えられていないことで、空腹状態が長時間にわたって続い
たり、脱水症状や栄養失調の状態にある。
・室内ごみを放置する、冷暖房を使わせないなど、劣悪な住環境の中で生活させる。
など
ⅱ
介護・世話の
放棄・放任
2.専門的診断や治療、ケアが必要にもかかわらず、高齢者が必要とする医療・介護保
険サービスなどを、周囲が納得できる理由なく制限したり使わせない、放置する。
【具体的な例】
・徘徊や病気の状態を放置する。
・虐待対応従事者が、医療機関への受診や専門的ケアが必要と説明しているにもか
かわらず、無視する。
・本来は入院や治療が必要にもかかわらず、強引に病院や施設等から連れ帰る。な
ど
3.同居人等による高齢者虐待と同様の行為を放置する。
・孫や高齢者に対して行う暴力や暴言行為を放置する。など
4
ⅲ
ⅳ
ⅴ
心理的虐待
脅しや侮辱などの言語や威圧的な態度、無視、嫌がらせ等によって精神的苦痛を与
えること。
【具体的な例】
・老化現象やそれに伴う言動などを嘲笑したり、それを人前で話すなどにより、高
齢者に恥をかかせる(排泄の失敗、食べこぼしなど)。
・怒鳴る、ののしる、悪口を言う。
・侮辱を込めて、子どものように扱う。
・排泄交換や片付けをしやすいという目的で、本人の尊厳を無視してトイレに行け
るのにおむつをあてたり、食事の全介助をする。
・台所や洗濯機を使わせないなど、生活に必要な道具の使用を制限する。
・家族や親族、友人等との団らんから排除する。など
性的虐待
本人との間で合意が形成されていない、あらゆる形態の性的な行為またはその強要。
【具体的な例】
・排泄の失敗に対して懲罰的に下半身を裸にして放置する。
・排泄や着替えの介助がしやすいという目的で、下半身を裸にしたり、下着のまま
で放置する。
・人前で排泄行為をさせる、おむつ交換をする。
・性器を写真に撮る、スケッチをする。
・キス、性器への接触、性行為を強要する。
・わいせつな映像や写真を見せる。
・自慰行為を見せる。など
経済的虐待
本人の合意なしに財産や金銭を使用し、本人の希望する金銭の使用を理由なく制限
すること。
【具体的な例】
・日常生活に必要な金銭を渡さない、使わせない。
・本人の自宅等を本人に無断で売却する。
・年金や預貯金を無断で使用する。
・入院や受診、介護保険サービスなどに必要な費用を支払わない。など
(参考)
「市町村・地域包括支援センター・都道府県のための養護者による高齢者虐待対応の手引き」
(平成 23 年度)
、社団法人日本社会福祉士会編集
5
3.高齢者虐待の発見
虐待をしている養護者本人には、虐待をしているという認識がない場合が多く、
また、虐待を受けている高齢者自身も養護者をかばう、知られたくないなどの思い
があるため、虐待の事実を訴えにくく、家庭内における高齢者虐待は発見しにくい
状況です。
虐待を早期に発見し問題の深刻化を防ぐためには、近隣住民や民生委員、自治会
などの地域組織、介護保険サービス事業者など高齢者を取り巻く様々な関係者が高
齢者虐待に対する認識を深め、虐待のサインに気づくことが大切です。
高齢者虐待防止法では、虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者に対し、市
町村への通報義務や通報努力義務が規定されています。
7
第7条 養護者による高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した者は、
当該高齢者の生命又は身体に重大な危険が生じている場合は、速やか
に、これを市町村に通報しなければならない。
2 前項に定める場合のほか、養護者による高齢者虐待を受けたと思われ
る高齢者を発見した者は、速やかに、これを市町村に通報するよう努
めなければならない。
また、高齢者の福祉に業務上関係のある団体及び職務上関係のある者は、虐待の
早期発見に努めなければならないとされています。
第5条 養介護施設、病院、保健所その他の高齢者福祉に業務上関係のある団体
及び養介護施設従事者等、医師、保健師、弁護士その他高齢者の福祉に
職務上関係のある者は、高齢者虐待を発見しやすい立場にあることを自
覚し、高齢者虐待の早期発見に努めなければならない。
通報者等への報告が必要な場合には、事実確認の結果やその後の対応について、
個人情報の取扱いに十分配慮して可能な範囲で報告します。
また、通報等を行ったことにより通報者等が何らかの不利益を被っていないかも
あわせて確認します。通報者等が何らかの不利益を被っていた場合には、適切に権
限を行使し、当該養介護施設・事業所に対して指導を行います。
高齢者が不当な扱いや虐待を受けていることが疑われる場合のサインの例を次
ページに示します。虐待事例の発見には、このようなチェックシートを利用するこ
とも有効です。
6
高齢者への虐待発見チェックリスト
虐待が疑われる場合、高齢者や家族が発する「サイン」として、次のようなものがあり
ます。該当する項目にチェックを付け、複数のものにあてはまると、疑いの度合いはより
濃くなってきます。
これらは例示で、この他にも様々な「サイン」があることを認識しておきましょう。
<身体的虐待のサイン>
チェック欄
サ
イ
ン
例
身体に小さな傷が頻繁に見られる。
太腿の内側や腕の内側、背中等に傷やみみず腫れがみられる。
回復状態が様々な段階の傷、あざ等がある。
頭、顔、頭皮等に傷がある。
臀部や手のひら、背中等に火傷や火傷跡がある。
急におびえたり、恐ろしがったりする。
「怖いから家にいたくない」等の訴えがある。
傷やあざの説明のつじつまが合わない。
ちゅうちょ
主治医や保健、福祉の担当者に話すことや援助を受けることに躊躇する。
主治医や保健、福祉の担当者に話す内容が変化し、つじつまが合わない。
7
<心理的虐待のサイン>
チェック
欄
サ
イ
ン
例
かきむしり、噛み付き、ゆすり等が見られる。
不規則な睡眠(悪夢、眠ることへの恐怖、過度の睡眠等)を訴える。
身体を萎縮させる。
おびえる、わめく、泣く、叫ぶ等の症状が見られる。
食欲の変化が激しく、摂食障害(過食、拒食)が見られる。
自傷行為が見られる。
無力感、あきらめ、投げやりな様子になる。
体重が不自然に増えたり、減ったりする。
<性的虐待のサイン>
チェック
欄
サ
イ
ン
例
不自然な歩行や座位を保つことが困難になる。
肛門や性器からの出血や傷が見られる。
生殖器の痛み、かゆみを訴える。
急におびえたり、恐ろしがったりする。
人目を避けるようになり、多くの時間を一人で過ごすことが増える。
ちゅうちょ
主治医や保健、福祉の担当者に話すことや援助を受けることに躊躇する。
睡眠障害がある。
通常の生活行動に不自然な変化が見られる。
8
<経済的虐待のサイン>
チェック
欄
サ
イ
ン
例
年金や財産収入等があることは明白なのにも関わらず、お金がないと訴える。
自由に使えるお金がないと訴える。
経済的に困っていないのに、利用負担のあるサービスを利用したがらない。
お金があるのに、サービスの利用料や生活費の支払いができない。
資産の保有状況と衣食住等生活状況との落差が激しくなる。
預貯金が知らないうちに引き出された、通帳がとられたと訴える。
<介護等日常生活上の世話の放棄、拒否、怠慢による虐待(自己放任も含む)のサイン>
チェック
欄
サ
イ
ン
例
居住部屋、住居が極めて非衛生的になっている、また異臭を放っている。
部屋に衣類やオムツ等が散乱している。
寝具や衣服が汚れたままの場合が多くなる。
汚れたまま、濡れたままの下着や衣服を身につけるようになる。
かなりの床ずれができている。
身体からかなりの異臭がするようになってきている。
適度な食事を準備されていない。
不自然に空腹を訴える場面が増えてきている。
栄養失調の状態にある。
疾患の症状が明白にも関わらず、医師の診断を受けていない。
9
<自己放任のサイン>
チェック
欄
サ
イ
ン
例
昼間でも雨戸が閉まっている。
電気、ガス、水道が止められていたり、新聞、テレビの受信料、家賃等の支払いを滞
納している。
配食サービス等の食事がとられていない。
薬や届けた物が放置されている。
物事や自分の周囲に関して、極度に無関心になる。
何を聞いても「いいよ、いいよ」と言って遠慮をし、あきらめの態度が見られる。
室内や住居の外にゴミがあふれていたり、異臭がしたり、虫がわいている状態であ
る。
<家族の態度に見られるサイン>
チェック
欄
サ
イ
ン
例
高齢者に対して冷淡な態度や無関心さが見られる。
高齢者の世話や介護に対する拒否的な発言がしばしば見られる。
他人の助言を聞き入れず、不適切な介護方法へのこだわりが見られる。
高齢者の健康や疾患に関心がなく、医師への受診や入院の勧めを拒否する。
高齢者に対して乱暴な口のきき方をする。
経済的に余裕があるように見えるのに、高齢者に対してお金をかけようとしない。
保健、福祉の担当者と会うのを嫌うようになる。
10
<地域からのサイン>
チェック
欄
サ
イ
ン
例
自宅から高齢者や介護者、家族の怒鳴り声や悲鳴、うめき声、物が投げられる音が
聞こえる。
庭や家屋の手入れがされていない、または放置の様相(草が生い茂る、壁のペンキ
がはげている、ゴミが捨てられている)を示している。
郵便受けや玄関先等が、1週間前の手紙や新聞でいっぱいになっていたり、電気メ
ーターがまわっていない。
気候や天気が悪くても、高齢者が長時間外にいる姿がしばしば見られる。
家族と同居している高齢者が、コンビ二やスーパー等で、一人分のお弁当等を頻繁
に買っている。
近所づきあいがなく、訪問しても高齢者に会えない、または嫌がられる。
高齢者が道路に座り込んでいたり、徘徊している姿が見られる。
(参考)
「東京都高齢者虐待対応マニュアル」(東京都)より
11
4.丸亀市の虐待防止・対応へのネットワーク
(1) 丸亀市家庭等における暴力対策連絡会
虐待はそれぞれのケースごとに様々な要因が複雑にからみあっていることが多
く、個別の対応では限界がありその解決は容易ではありません。
そこで丸亀市では高齢者虐待、障害者虐待、児童虐待及び配偶者からの暴力(ド
メスティック・バイオレンス。以下「DV」という。)の実態把握、早期発見及び
防止を図るため、丸亀市家庭等における暴力対策連絡会を設置し、関係機関等との
連携により組織的に対応します。
組織のイメージについては図1のとおりです。
高齢者支援
(虐待防止等)
ネットワーク
障害者虐待防止
等ネットワーク
DV対策
ネットワーク
丸亀市要保護
児童対策地域
協議会
<図1
丸亀市家庭等における暴力対策連絡会>
12
(2) 丸亀市高齢者支援(虐待防止等)ネットワーク
丸亀市では高齢者虐待問題だけにとどまらず総合的に高齢者を支援できるよう
丸亀市高齢者支援(虐待防止等)ネットワークを構築することで、市と関係機関等
(以下「高齢者虐待対応協力者」という)が連携して高齢者を見守っていきます。
丸亀市高齢者支援(虐待防止等)ネットワークは次の 3 部構成になっております。
イメージは図2のとおりです。
個別ケース会議
(ケース対応)
高齢者虐待防止等実務者会議
(実務者間の情報交換及び事例検討)
高齢者支援(虐待防止等)ネットワーク会議
(各関係機関連携と基本方針)
<図2
丸亀市高齢者支援(虐待防止等)ネットワーク>
個別ケース会議
具体的相談や連絡があった場合、関係者による支援体制が必要と認められるケー
スについて関係機関を召集し、それぞれの役割を果たし対応するものです
高齢者支援(虐待防止等)ネットワーク会議及び高齢者虐待防止等実務者会議に
ついては次ページのとおりです。
13
丸亀市高齢者支援(虐待防止等)ネットワーク
名称
参加者の
構成
高齢者支援(虐待防止等)ネットワーク会議
高齢者支援課
介護給付担当
地域包括支援センター
高齢者福祉担当
人権課
税務課
税制担当
徴収担当
福祉課
子育て支援課
幼保運営課
健康課
市民課
市民担当
保険課
公共施設管理課 市営住宅担当
防災課
救急担当
学校教育課
秘書広報課
市民相談員
市民活動推進課 市民活動担当
環境安全課
交通防犯担当
丸亀市社会福祉協議会
丸亀・善通寺・多度津地区防犯協会
丸亀市医師会
綾歌地区医師会
丸亀市コミュニティ
丸亀市シルバー人材センター
丸亀市老人介護支援センター
丸亀市老人クラブ連合会
民生委員児童委員協議会連合会
人権擁護委員
人権同和教育指導員
香川県中讃保健福祉事務所
丸亀警察署
高松法務局丸亀支局
設置趣旨
高齢者が抱える権利擁護等様々な課題について関係機関の
連携を図ることにより問題の早期発見・適切な支援へつなぐ
ことができるようネットワークを作る
取り組み
内容
各機関からの情報交換と意見交換
連携協力体制の充実
14
丸亀市高齢者支援(虐待防止等)ネットワーク
名称
高齢者虐待防止等実務者会議
参加者の
構成
丸亀市福祉事務所
高齢者支援課
設置趣旨
高齢者の抱える様々な問題についての定例情報交換会及び関
わり方等の検討会を通して必要な支援につなげる
高齢者支援(虐待防止等)ネットワークの検討
目的
高齢者虐待防止と早期発見
総合相談(認知症等)の適切な支援
活動の頻度
定例会
取り組み
内容
各機関からの情報交換
高齢者虐待・認知症等に関する研修
事例に対する検討会議
早期発見、通報体制の確立
見守り活動等の協力体制充実
所長
課長
地域包括支援センター所長
南部センター所長
包括支援担当
介護給付担当
高齢者福祉担当
福祉課
渉外対策専門員
子育て支援課
女性相談員
健康課
担当
秘書広報課
市民相談員
社会福祉協議会
担当
丸亀警察署生活安全課
香川県中讃保健福祉事務所
高松法務局丸亀支局
老人介護支援センター
高齢者虐待防止等実務者会議のメンバーは上記構成者に加え
随時丸亀市高齢者支援(虐待防止等)ネットワーク会議から
必要に応じて召集
介護保険利用者の問題については担当ケアマネ、介護サービ
ス事業所等関係者召集
年3回程度開催
15
(3) 高齢者虐待の関係機関及び関係職員の役割
①
関係機関の役割
関係機関
役 割
備
考
・虐待の通報、届出に対する
相談、指導及び助言
・通報等による事実の確認
・居室の確保
・立入調査
・警察署長に対する援助要請
・面会の制限
・養護者の支援
・専門的に従事する職員の確保
丸亀市
・連携協力体制の整備及び活用
・窓口部局及び対応協力者の周知
・老人福祉法に基づく措置
居宅サービス(訪問介護・通所
介護・短期入所生活介護・認知
症高齢者共同生活介護)の提供
養護老人ホーム、特別養護老人
ホームへの入所
・やむを得ない事由が
ある場合は、家族が
反対でも「措置」が
可能
・措置により当該施設
が定員超過になって
も緩和措置あり
・総合相談、支援
丸亀市地域包括支援
・権利擁護、高齢者虐待防止
センター
・
「成年後見制度」の利用に係る
審判の請求
老人介護支援センター
・総合相談
・権利擁護、高齢者虐待防止
・日常生活自立支援事業の活用
・日常的な金銭管理、
香川県社会福祉協議会 ・権利擁護、高齢者虐待防止
介護サービスの紹介
丸亀市社会福祉協議会
など日常生活を支援
・行政への相談、連絡
コミュニティ、自治会、 ・地域の見守り、ケア等
民生委員、老人クラブ、 ・行政への相談、連絡
人権擁護委員等
16
・見守り、声かけ訪問
を実施
関係機関
役 割
・行政への連絡
警察署、消防署、医療
・行政等からの相談
備
考
・通報、搬送、診察時
等に虐待と疑われる
ものがあれば行政等
機関
関係機関に連絡
・民事上、刑事上の訴訟時相談
及び行政への連絡
・法律の専門家として
の助言や、警察・裁
判所など諸手続きの
弁護士会
ノウハウについて協
力支援
・相談、支援
・裁判所へ提出するた
司法書士会
めの諸手続きを作成
する
・市町からの相談
・市町や施設の職員に研修の
県(長寿社会対策課)
、
県保健福祉事務所
実施
・意識啓発の実施
・地域保健活動における市町
支援
国(厚生労働省・法務 ・虐待防止のための啓発
・成年後見制度の周知
局)
② 介護サービス事業者等職員の役割
職種・事業者
医師
役 割
・緊急性の判断
・市町への通報
・入院の必要性の判断
・体調の確認
・診断
・往診による自宅への介入
・診断書の作成
・チームケアの実施
17
職種・事業者
役 割
介護支援専門員
(ケアマネジャー)
・寄せられた情報の整理
・信頼関係の継続、強化
・訪問による面接や電話相談
・市町への通報
・介護保険サービス調整など高齢者、虐待者への対応
・介護保険サービス契約の継続
・行政への相談
・チームケアの実施
訪問介護員
・生活支援の中での状況の観察
・数多くの見守り
・サービスを提供しながらの精神的支援
・状態、状況の変化の把握と介護支援専門員への連絡
・市町への通報
・チームケアの実施
訪問入浴介護担当者
・入浴時の全身状態の観察
・状態、状況の変化の把握と介護支援専門員への連絡
・市町への通報
・チームケアの実施
訪問看護師
・高齢者の医療情報の確認
・高齢者、虐待者の健康状態の観察
・サービスを提供しながらの精神的支援
・状態、状況の変化の把握と介護支援専門員への連絡
・市町への通報
・チームケアの実施
・一般状態、ADLの観察
・入浴時の全身状態の観察
通所介護・通所リハビリ ・食事の摂取状況の観察
テーション担当者
・状態、状況の変化の把握と介護支援専門員への連絡
・市町への通報
・チームケアの実施
施設関係者
・ショートステイ利用時に高齢者や養護者への声かけ
・市町への通報
・施設入所に向けての相談窓口
※ 虐待についての相談は、高齢者のプライバシーを侵すおそれがあるため、可
能な限り本人の同意を得た上で行います。しかし、高齢者は、相談によって、
虐待者との関係が悪化することなどに対する不安から、相談を拒否することも
あるので、相談によっては不利益が生じないように配慮することなどを十分に
説明した上で、同意を得るように注意します。
18
5.高齢者虐待の対応
(1 )
支援の考え方
各関係機関との連携を図り、虐待を受けている高齢者(被虐待
者)への安全の確保や生活の質を高めるための方策を共に考えて
いきます。
また、高齢者虐待は虐待されているほうはもちろんのこと、虐
待するほうもつらい思いをしています。
虐待者のみを責めるのではなく、つらい思いやその家庭に起こ
っている問題を共に理解することにより問題の解決につなげてい
きます。
(2 )
対応のポイント
①正確な情報収集
うわさに惑わされず、第三者の目で客観的に、いつ、誰が、誰
に 対 し て 、ど の よ う に し た の か 、そ の 頻 度 等 の 虐 待 の 具 体 的 状 況 、
心身の状況、生活状況、家族状況、介護状況、関係者の 氏名、連
絡先、通報者の氏名、連絡先等を文書で記録しておく。
必要なら写真・診断書・録音等の記録を残しておく。
関係機関に連絡する場合は上記の事を正確に連絡する。
②一人で抱え込まない
一人で対応せず複数で関わり、組織的に対応する。
③「虐待」という言葉を安易に使わない。
「虐待」という言葉には相手を一方的に責める響きがあるので
養護者を否定せず介護の大変さをねぎらうなど、養護者の立場か
らも考えて共感的に接する。
養護者の負担を軽減するようサービスを利用する。
④主たる支援者を見極める
主たる支援者との関係が良くない場合は他の関係者からアプロ
ーチしていく。医師からのアプローチが有効な場合がある。
⑤高齢者の安全確保を優先する。
生命や身体に関わる危険が大きい緊急の場合は、まず警察に連
絡し、医療機関、その他関係機関と連携し、対応する。
⑥個人情報の保護
相談や通報、届出によって知りえた情報や通報者に関する情報
は、個人のプライバシーに関わる問題であるので守秘義務に配慮
する。
19
丸亀市高齢者支援(虐待防止等)ネットワーク対応フロー図
友人・近隣・地域住民
ボランティア
家族
各コミュニティ
高齢者本人
民生委員
福祉ママ
福祉保健推進員
相談
連携
医療機関
サービス提供事業所
居宅介護支援事業所
通報・届出
相談
相談
相談
行政機関
・福祉課、高齢者支援課、子育て支援課、
健康課、市民課、秘書広報課 他
県、中讃保健福祉事務所
・社会福祉協議会
・シルバー人材センター
・老人介護支援センター
通報・届出
・ 丸亀警察署
・ 医師会
・ 高松法務局
丸亀支局
連携
通報・連携
通報・連携
丸亀市地域包括支援センター
情報共有
情報収集・事実確認
センター内会議
通報・連携
(各関係機関との連絡・調整)
安全確認(緊急性の判断)
必要時相談・支援
香川県高齢者虐待対応
専門職チーム
連携
個別ケース会議
(チームカンファレンス)
支援
※必要時開催
在宅生活可能
連携
在宅生活不可能
<緊急時>
生命や身体に関わる危険が大
きいときは、虐待を受けてい
る高齢者の保護を優先する。
警察、医療機関、その他関係
機関への連携・調整
施設入所
入 院
・ 介護保険事業者(介護保険サービス)
・ コミュニティ、自治会、民生委員、
地域住民等(見守り)
・ 老人介護支援センター
・ 行政機関
など地域での見守り
医療機関
※養介護施設従事者による高齢者虐待防止については
高齢者支援課が県と連携しながら主となり対応し、
地域包括支援センターも協力していく。
20
・ 介護保険施設
・ 養護老人ホーム
など
※緊急時、老人福祉法に基づき措置を
行なう場合がある。
(特別養護老人ホーム、養護老人ホー
ムへの入所など)
高齢者(65歳以上の者)虐待や養護者の支援に関する相談窓口
● 平日(午前8時30分~午後5時15分まで)
相
談
窓
口
電
話
番
号
丸亀市地域包括支援センター
0877-24-8933
南部センター
0877-85-3350
丸亀市健康福祉部高齢者支援課
0877-24-8807
丸亀市社会福祉協議会
0877-22-5700
〃
綾歌分室
0877-86-2881
〃
飯山分室
0877-98-4141
● 365日(24時間対応)
相
談
窓
口
電
話
番
号
珠光園老人介護支援センター
0877-23-2000
青の山荘老人介護支援センター
0877-25-3030
たるみ荘老人介護支援センター
0877-28-1505
老人介護支援センター今津荘
0877-58-2611
紅山老人介護支援センター
0877-98-3939
シャローム老人介護支援センター
0877-28-1303
華老人介護支援センター
0877-57-1510
● 協力機関
相
談
窓
口
電
話
番
号
香川県長寿社会対策課
087-832-3270
香川県中讃保健福祉事務所保健対策第二課
0877-24-9963
丸亀警察署
0877-22-0110
高松法務局丸亀支局
0877-23-0228
21
6.養介護施設における高齢者虐待への対応
1
養介護施設における高齢者虐待の種類
養介護施設という閉鎖的空間では、
「 介 護 す る 」、
「 介 護 さ れ る 」と
いう関係の中で、不適切な関わりが日常化する土壌があるといわれ
ています。
施設での虐待には、
(1 )
職員(スタッフ)による虐待
(2 )
利用者間での虐待
(3 )
面会者(家族)による虐待
(4 )
実習生、ボランティアなどによる虐待
があると考えられています。施設内であるか、家庭内であるかを問
わず、高齢者の人権を擁護していく観点から、早急に解決を図らな
ければなりません。
2
養介護施設で高齢者虐待を発見した場合の対応
養介護施設従事者等は、養介護施設又は養介護事業において従事
する職員より高齢者虐待を受けたと思われる高齢者を発見した場合
は、速やかに市町に通報しなければなりません。また、養介護施設
従事者に限らず、虐待を受けたと思われる高齢者を発見し、高齢者
の生命または重大な危険が生じている場合は、速やかに市町に通報
しなければなりません。虐待を受けた高齢者は、市町に届け出るこ
とができます。なお、養介護施設管理者は、従事者等が通報をした
こと(虚偽及び過失を除く)を理由として、解雇その他不利益な取
扱 い を 行 っ て は な り ま せ ん 。( 法 第 21 条 )
市町は、虐待の発見者からの通報、被虐待者本人からの届け出が
あった場合は、事業所の所在地の県に報告します。そのうえで、県
は 、老 人 福 祉 法 、介 護 保 険 法 で 与 え ら れ て い る 権 限 を 行 使 し ま す 。
(法
第 22 条 、 第 24 条 )
なお、介護サービス事業者の責務については、要介護者の人権を
尊重して対応すべき「忠実義務」の規定が創設され、虐待等これに
違反したケースについては、指定の取り消しが行われることもあり
ま す 。( 改 正 介 護 保 険 法 平 成 18 年 4 月 施 行 )
22
(虐待の類型別対応方法)
虐待の類型
専門職
対応への心構え
職員、あるいは専門
(ス タ ッ フ )
職による虐待は、その
による虐待
職業倫理に照らしてみ
対応方法
①
事実確認
報 告 さ れ た よ う な 事 実が 存 在 し た の か ど う
かについて調査します。
ても許されるものでは
調 査 方 法 は 、 虐 待 を 受け て い る 者 へ の 聞 き
なく、まして、施設内
取り(たとえ認知症が重度の人であっても、
のような専門職集団の
誰かにたたかれた、つねられた、落とされた
多数がチームでケアに
等の断片的な事実でよいので必ず記録する)、
当たっているような、
関係者への聞き取り(当該職員、および主任
複数の監視が可能な場
者、その他)。その場合にあっては、日時の記
所において、職員が虐
録は必須であり、たとえあいまいであっても、
待を行うことはあって
何日、何時頃、どのようなことがあったか、
はならないことです。
関係する出来事なども明記します。
しかし、家族の希望、
利用者の安全の確保、
②
事情聴取
業務上の都合などと安
虐 待 を 受 け て い る 者 の訴 え 、 身 体 状 況 ( 状
易に行っている虐待の
況写真、カルテ等)、関係者の聞き取り内容等
身体拘束(抑制)に始
を総合的に勘案して、虐待の事実が存在した
まり、明らかに言葉に
かどうかについての当該職員の事情聴取を、
よる暴力や態度による
複数の管理者が同席の上実施します。また、
無視などが行われてい
テープでの録音等詳細に記録します。
ます。人権侵害に当た
ると思われる、明らか
③
職員の通知・改善計画の提出
な故意による傷害や不
事 実 確 認 ・ 事 情 聴 取 を経 て 、 実 際 に 虐 待 が
注意による外傷など、
あったと見込まれる場合は、虐待のレベルに
非意図的であっても不
応じて、その旨当該職員に通知し、それ相当
適切な介護のなかのあ
の処分があり得ることを当該職員に通告しま
る部分は虐待と受け取
す。
られるようなケースが
存在します。
そ の う え で 、 改 善 勧 告を 出 し 、 改 善 の た め
の取り組みについて計画書を提出させます。
23
虐待の類型
対応への心構え
対応方法
④
改善計画のチェック
提 出 さ れ た 改 善 計 画 に基 づ き 、 具 体 的 に 実
行 さ れ て い る か ど うかを 、 1 ヶ 月 程 度 の期 間
をおいてチェックし、改善されていない場合
には最終的な処分を行います。処分の内容は、
訓告、懲戒、解雇もあり得ます。
(これらの処
分は、労働権の侵害とも関係するので、法令
に沿って慎重に扱います。)
利用者間で
の虐待
不適切な関わり、い
①
事実確認
じめ、暴力、暴言、金
単独の情報のみで即断せず、複数の情報
銭の授受など、利用者
を集めることにより事実の確認をします。明
間での虐待が疑われ
らかな内部告発がなければ、そのことの事実
る場合があります。利
も潜在化している可能性が高いため、できる
用者間の虐待は、その
だけ複数の証言や目撃情報を集めます。ま
後の施設内における
た、その情報を記録・集約したうえで、事実
人間関係にも大きく
関係について、整理・確認します。
影響することから、慎
重に対処する必要が
②
あります。
事情聴取
利用者間の虐待については、虐待を受け
ていると思われる人からの聞き取りを重視
します。虐待を受けている者にどの程度の
ダメージがあって、虐待者はどの程度の重
さで感じ取っているのかのギャップを重視
します。
③
事実の特定
事実確認、聴取を経て、実際に虐待があ
ったと見込まれる場合は、その旨を虐待者
とその家族に通知し、話し合いの場を設け
たい旨連絡します。このことは虐待を受け
た者側からの申し出の有無に関わらず、事
実に基づき虐待者側の行動や態度の改善を
求めるものです。また、犯罪性が明確であ
24
虐待の類型
対応への心構え
対応方法
ればそれなりの対応と、最終的には退所を
求める場合もあり得ることを伝えます。
④
話し合い
虐待者と家族を交えて話し合いを行った
うえで、虐待者から、虐待を受けた者への
謝罪と改善のための態度、行動の変更の計
画を改善計画として作成、提出してもらい、
今後の経過を観察します。
改 善 計 画 提 出 後 も 行動・ 態 度 の 改 善 が 進
まない場合には、再度話し合いの場を設け、
そ れ で も なお 、 行 動の改 善 が 難 しい 場 合 に
は 、 最 終 的に 利 用 者に対 し て 退 所し て も ら
うことを施設側から通知します。
虐 待 者 ま た は 家 族 の側が 納 得 い か な い 場
合 に は 、 国保 連 ま たは運 営 適 正 委員 会 に 対
し て 苦 情 処理 の 相 談を行 え る こ とや 市 町 等
に相談等ができることを知らせます。
家族、面会
者、見学者、
実習生によ
る虐待
施設内虐待が、家
①
事実確認
族、面会者、見学者、
家族や面会者は、必ず面会簿に記入するこ
実習生などにより、通
ととし、面会簿において誰が来ていたのかを
常の生活場面で行わ
確認します。見学、実習は施設での滞在日時、
れたと思われる場合、 入 所 者 と の 対 応 日 時 等 を 名 簿 に よ り 確 認 し
速やかに事実確認の
うえ、改善あるいは厳
ます。
虐待を受けた者は、名前も顔もおそらく不
正な対処を行います。 確かで、虐待が行われたと推測される時間帯
家族あるいは面会、 に、そのフロアにいたと思われる人物を確認
することが必要になります。そのためにさま
見学、実習など期間や
ざまな情報を把握し、状況を総合的に検討し
日時が限定され、その
たうえで、虐待者と推測される者を特定する
日だけしか来ないよ
ことが必要になります。
うな場合には、虐待を
受けた者側が泣き寝
②
事情聴取
入り、あるいは後日発
確認情報により、虐待を行っていると考え
覚したが虐待者が不
られる者を確認したうえで、虐待を受けたと
詳、もしくは特定、確
思われる人物に事情聴取を行います。微妙な
問題が多数あると思われる場合は、虐待の事
25
虐待の類型
対応への心構え
対応方法
認が難しいという状
実を伝えず、その時間帯、どこで、どのよう
況が考えられるため、
速やかに事実確認、特
定を行う必要があり
ます。
にしていたのかを確認する、といった程度の
事情聴取をします。
そのうえで、どのように他者に関わってい
たかを確認し、行動内容、時間、場所を事情
聴取により明らかにします。複数の虐待者の
場合もあります。
③
事実の特定
事実確認、事情聴取により整理された総合
的・客観的状況から事実の特定を行います。
実際、具体的にどのような虐待が、誰によっ
て、誰に対し、どの程度行なわれたのかを特
定します。それにより、虐待を行った者の謝
罪や場合によっては告発等も必要になりま
す。話し合いをもち、事実に基づいた確認と
責任の所在を明らかにします。
刑事告発等を行う場合には、慎重に証拠を
集めます。虐待を受けた者の話、時間経過、
事実関係などを十分整理し、写真、物品など
証拠となると思われるものをできるだけ収
集・保存して正確を期します。
④
対応の決定
虐待者の犯罪行為の程度、被虐待者の意思
等により、謝罪、賠償、告訴、その他の対応
を決定します。
※ 「高齢者虐待に挑むー発見・介入・予防の視点」中央法規 2004.7.1 を参照
26
3
抑制・身体拘束について
施設職員による虐待については、平成 12 年度の介護保険制度の施行
に伴い、介護保険施設などにおいて、利用者をベッドや車いすに縛り付
けるなどして身体の自由を奪う「身体拘束」を原則として禁止する「身
体拘束ゼロ作戦」を展開しています。介護保険法で原則禁止されている
身体拘束の具体例は次のとおりです。
具体的禁止行為
No
1
徘徊しないように、体幹や四肢を紐等で車いす、いす、ベッド等に縛る。
2
転落しないように、体幹や四肢を紐等でベッドや車いすに縛る。
3
自分で降りられないように、ベッドを柵(サイドレール)で囲む。
4
点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、四肢を紐等で縛る。
5
6
点滴・経管栄養等のチューブを抜かないように、または皮膚をかきむし
らないように、手指の機能を制限するミトン型の手袋などをつける。
車椅子やいすからずり落ちたり、立ち上がったりしないように、Y字型
抑制帯や腰ベルト、車いすテーブルをつける。
7
立ち上がる能力のある人の立ち上がりを妨げるようないすを使用する。
8
脱衣やおむつ外しを制限するために、介護衣(つなぎ)を着せる。
9
他人への迷惑行為を防ぐために、体幹や四肢を紐等でベッドなどに縛
る。
10
行動を落ち着かせるために、向精神薬を過剰に服用させる。
11
自分の意思で開けることができない居室等に隔離する。
(緊急やむ得ない場合の対応)
介護保険法では、例外的に身体拘束が容認される「緊急やむを得ない
場合」の規定が あり、具体的な要件、その場合の手続き及び具体的な
拘束に関する記録の義務が定められています。その内容は次のとおり
です。
(1)
例外的に「身体拘束」を行うことができる場合の3つの要件
次の3つの要件をすべて満たすときだけ身体拘束は例外的に認められる。
要件
切迫性
非代替性
一時性
内
容
利用者本人または他の利用者の生命または身体が危険にさら
される可能性が著しく高いこと
身体拘束その他の行動制限を行う以外に代替する介護方法が
ないこと
身体拘束その他の行動制限が一時的なものであること
27
(2)
手続き
「緊急やむを得ない場合」の判断は、担当スタッフ個人(またはチーム)で行う
のではなく、施設全体で判断することが必要です。また、身体拘束の内容、目的、
時間、期間などを利用者本人や家族に対して十分に説明し、理解を求めることが必
要です。
(3)
記録の義務
介護保険サービス提供者には、身体拘束に関する記録の作成が義務付
けられています。
4
処遇向上会議の開催
施設内虐待を防止していくためには、虐待の事例集め、要因分析や対処方法の検
討を行う処遇向上会議を開催し、そのなかから予防に有効と思われる方法を施設 内
で取り入れ、再発を防止していく必要があります。そのためには、施設内で業務に
従事している職員は、苦情、虐待(身体拘束を含む)に関する自主点検を行い、年
間研修、研究計画をたてて、入所者に対する処遇の向上に努めるとともに、管理者
は、処遇向上に向けた積極的な体制作りをしていく必要があります。
28
7.消費者被害防止・対応について(フローチャート)
本人
家族
民生委員
近隣・知人
サービス
事業所
通報・連絡
丸亀市地域包括支援センター
消費者被害連絡シート作成
市民活動推進課 市民活動担当へ連絡・調整
連携
市民活動推進課
市民活動担当
各関係機関へ連絡・調整
中讃県民センター
状況を調査し、クーリ
ングオフなどの助言
や業者との交渉を行
ったり、弁護士や司法
書士など適切な機関
を紹介する
防犯協会
Fネットを配信
し、身近な地域へ
防犯情報の提供注
意喚起を行なって
いく
29
今後、各関係機関で見守
り体制をとる。
・家族
・民生委員・地域
・介護支援専門員
・サービス事業所
・老人介護支援センター
・地域包括支援センター
など