6.地区別人口 ▶吉田、高出、広丘で継続的に人口が増加 ▶楢川、北小野の人口は大きく減少。高齢化も進む 平成17年と平成22年の、国勢調査の地区別人口を比較すると、広丘地区で297人、高出地区が 245人、吉田地区は225人と人口が増加しています。 その他の地区は減少しており、特に楢川地区は10.6%、北小野地区も7.6%と減少しています。 地区別の人口密度 0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500 4,000 大門 233 塩尻東 1,566 広丘・高出 2,657 吉田 片丘 173 宗賀 166 北小野 123 洗馬 楢川 4,500(人/㎢) 3,970 117 24 資料:国勢調査(H22.10.1) 地区別人口の推移 12 70,000 (人) 60,000 4,369 4,706 50,000 2,505 2,395 2,854 1,988 楢 川 北小野 5,427 5,142 洗 馬 6,152 5,889 宗 賀 5,490 5,570 6,423 8,489 9,076 9,301 吉 田 40,000 6,201 12,809 13,100 13,397 広 丘 4,322 4,176 4,118 片 丘 7,068 7,307 7,552 高 出 3,755 2,321 4,089 2,369 5,513 2,410 5,337 6,272 5,371 3,192 2,152 3,619 6,150 6,307 7,920 7,094 6,228 5,187 11,456 30,000 9,187 4,222 4,403 4,494 5,009 6,213 8,063 7,562 7,473 7,406 7,923 7,781 塩尻東 7,872 7,807 8,222 8,864 9,341 9,928 9,841 9,648 大 門 S55 S60 H2 H7 H12 H17 H22 20,000 3,982 0 10,311 4,505 4,400 10,000 10,140 ※吉田地区、高出地区は、発足以前についても広丘地区から分けて掲載しています。また、平成12年以前の楢川地区の人口は、旧楢川村の数 値を掲載していますので、各地区合計と塩尻市の総人口は一致しません。 資料:国勢調査 人口増加率と高齢化率のマトリックスからの仮説(地域形態の移り変わり) 本市の10地区の長期的な人口増加率と直近の高齢化率 を分布図に落とし込んでみると、興味深い結果が浮かび 上がってきました。 まず、地区の分布から四種類の地域に分類されること が分かります。 H2 − H22 地区名 S60−H17 地区名 80 A発展型新興住宅・若年者集中地域 人口増加率が著しく高く、高齢化率が低い地域 (高出・吉田) B持続型発展都市 人口増加率がプラスで、高齢化率が比較的低い地域 (広丘・大門) A発展型新興住宅・ 若年者集中地域 60 高出 50 D高齢化人口減少地域 人口減少が大きく、高齢化率が高い地域 (楢川) C安定型田園都市とD高齢化人口減少地域の中間 (北小野) 人口増加率( %) C安定型田園都市 人口増減が緩やかで、高齢化率が平均よりも高い地域 (塩尻東、片丘、洗馬、宗賀) 70 高出 H2−H22 広丘 30 20 大門 27 宗賀 北小野 北小野 楢川 楢川 大門 13 B持続発展型都市地域 塩尻東 32 片丘 吉田 広丘 10 37 吉田 40 右の近似曲線と地区の分布から分かるように、A∼D の区分には明らかに一定の関係があります。仮説として は、都市部、農村部にかかわらす、かつてはほとんどの 地域が、人口の社会増や自然増などから、AかBに該当 するものの、その後もA、Bに留まる地域とCに移行す る地域が現れ、CからDに急激に移行する地域もありま す。この移行は、地域によってスピードは相違しますが、 近似曲線に沿い左下に進むと予想できます。 C安定型田園地域 S60−H17 洗馬 洗馬 0 塩尻東 宗賀 片丘 22 17 高齢化率(%) 12 -10 -20 -30 D高齢化人口減少地域 -40 この地域には、現状の高齢 化率が低く、長期的に人口 が減少している地域が当て はまります。 大規模な再開発などの特 殊な例を除き、ここに当て はまる地域はなく、また、 いったん当てはまったとし ても人口の自然増が見込ま れるため、すぐに上の領域 に移行します。 -60 人口増加率:平成2年と平成22年の国勢調査の比較 高齢化率:平成22年国勢調査 人口増加率と高齢化率のマトリックスからみた地域形態の移り変わり 20 人口増加率(%) 各地区の平成12年から22年までの10年間における 人口増加率と高齢化率の関係をみると、どの地域にお いても、比較的似た線を描いていることがわかります。 平成12年から17年までは、人口増加率が減少し (矢印が下向きに)、17年から22年までは高齢化率 が上昇(矢印が左へ)しています。 なお、平成12年から17年の塩尻東地区は、峰原地 区の住宅団地造成のため人口増加率が上昇しています。 また、高齢化率は人口増加に関わらず、全ての地域 において高くなっています。 この先も、この矢印は、左下に向かっていくことが 予想されます。 高出 広丘 10 平成12年 平成17年 平成22年 大門 洗馬 片丘 宗賀 塩尻東 37 14 32 27 吉田 0 22 17 高齢化率(%) 12 北小野 楢川 -10 -20 Topics 田園都市 「田園都市」と称す地方都市は数多くありますが、近 代都市計画の祖、英国のハワードが提唱した「田園都市 構想」にかなう実例は、あまり多くありません。 「都市と農村の結婚」という言葉に表されるように、 ハワードの唱える田園都市とは、雇用が確保された産業 集積地帯の周辺に住宅・商業地が存在し、さらにその周 囲を農地や牧草地が取り囲み、里山を形成しながら豊か な森林へとつながる、自立した都市を指します。産業革 命により大都市に人口が流入し環境悪化や貧困を招いた 当時の英国では、この理論を夢物語と酷評する人が大勢 を占めていたようです。しかしながら、環境との共生や 循環型社会、地産地消が叫ばれる今日、ハワードの理論 は再評価されています。 本市の地区別人口動態や年齢別構成を時系列に分析す ると、ハワードの田園都市構想との共通点が数多く浮か び上がってきます。①産業集積地周辺への若年人口の集 中(高出、吉田)②それを取り巻く住宅、商業地域(大 門、広丘)③緩やかな人口動態で安定した田園地域(塩 尻東、宗賀、洗馬、片丘)-ハワードが訴えた持続可能 な田園都市構想の理念は、本市の都市像「ともに築く自立 と創造の田園都市」の中に受け継がれており、それぞれの 地区の特性を活かした都市づくりが必要と思われます。
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