測定点が頻繁に移動する貯炭場の温度測定を無線通信により常時観測 貯炭場で重要なリスク管理の一つに、石炭の自然発火による火災防止があります。一般的に貯炭場は、風を遮るものがない、広大な敷 地に設置されます。そのため、空気の混入による自然発火のリスクに常にさらされています。 多くの場合、自営の消防チームによる災害対策が立てられていますが、あくまでもそれは対処療法です。対応が後手に回り、大災害を引 き起こし、企業に存続不可能なほどのダメージを与える事態も起こりかねません。 火災の予防対策として、技術者によるパトロールを定期的に実施している企業も数多くあります。しかし、貯炭場での温度の計測は危険 が伴います。また、広大な敷地をカバーするにあたって、大きな労力も必要となります。 横河電機の「プラントワイドフィールド無線」による、温度検知のソリューションを活用すれば、広大な貯炭場の任意のポイントから、安全か つタイムリーに温度情報を収集し、火災予防に役立てることができます。 「プラントワイドフィールド無線」とは? 工業用国際標準無線規格 ISA100 Wireless(IEC62734)を採用し、工業用途の無線通信で求められる信頼性と実時間性を確保 した無線システムです。2 つのアクセスポイントと同時に通信する冗長化通信「Duocast」方式を用いて、通信経路やアクセスポイントに障 害が発生しても通信が途絶えません。更に拡張性にも優れ、アクセスポイントと上位システムの接続に、イーサネットのほか、無線 LAN、光 イーサネットなどさまざまなインターフェースが使用でき、構成変更に柔軟で大規模な無線ネットワークを構築することができます。 お客さまのメリット 最長 2km 先から、最大 500 カ所をカバー 長さ約 2mのポータビリティ熱電対を測定点に設置しました。そこに無線通信する温度伝送器 YTA510 を組み合わせることで、最も発 火しやすい石炭山の表面から中 2m の部分の温度情報を無線通信で伝送できます。また、無線なので貯炭場の形状変化にも容易に対 応できます。通信距離は最長 500mで、最大 500 カ所のポイントをカバーします。中継器を設置すれば、管理室から最長 2km 離れた 貯炭場でも監視することも可能で、有線では現実的ではないスケールの定時定点観測を実現します。 安全で効率的な監視を実現。コストダウンも望める 無人による温度測定が可能となるため、危険が伴う貯炭場の温度測定業務から、技術者を解放できます。また、伝送器は電池駆動 (電池寿命 10 年/条件依存)のため、メンテナンスもほとんど必要ありません。広範な貯炭場を隈なく調査する時間と労力を削減できる ため、大幅なコストダウンも望めます。 導入も低コスト。しかも工期は最短 1 日 有線の場合、ネットワークを構築するケーブルや、それを設置する設備などが必要で、そのための経費や工期もかかります。しかし、無線通 信では、測定点や中継点などに、機器を設置するだけなので低コストが実現します。また、工事も最短 1 日で完了するので、素早くシステ ムを導入することができます。 さらなるニーズに応える YOKOGAWA のソリューション 無線フィールド機器はさまざまなラインナップをご用意しています。温度伝送器である YTA510 には、2 点入力のモデルもあるほか、8 点ま で 1 台で対応する多点温度伝送器 YTMX580 もあります。また、横河電機のソリューションによって、小規模システムから大規模システ ムまで、多様な上位システムに接続できます。
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