世界的な株価下落を受けての相場展開

平成19年8月10日
三菱UFJ投信株式会社 運用戦略部
Mitsubishi UFJ Asset Management
Strategy Report
世界的な株価下落を受けての相場展開
【信用懸念を背景とした欧州発の株価急落は米国、日本へ波及】
昨日9日の海外各市場では、欧米共に乱高下する展開となりました。欧州株式市場が急落、連れ
て米国株式が世界同時株安が起きた今年2月以来の下げとなり、米国債券市場では短期債中心に利
回りが大幅に低下(価格は上昇)し、米国2年国債利回りは前日比0.2%近く低下しました。外国為
替市場では、円が主要通貨に対して急騰し、対ユーロで165円台から161円台前半へ、対ドルでも119
円台から118円台前半へ上昇しました。こうした動きを受けて本日の東京市場においても、一時日
経平均株価が500円を超える下げ幅となるなど、株価が急落し、世界同時株安の様相となりました。
今回の乱高下は、昨日、仏大手銀行BNPパリバ傘下のABS(資産担保証券)に関連するファンドが、
証券市場の流動性が低下する中、的確な資産評価が出来ないという理由からファンドの解約を凍結
したことが契機となりました。現在、各市場では、米国のサブプライムローン(信用力が低い個人
向け住宅ローン)債務不履行や格付け機関による格下げなどを背景に信用懸念が燻っており、他市
場への更なる波及の有無が最大の注目点となっています。この点、昨日のABS関連ファンドの凍結
のニュースは、米欧でサブプライムローン問題がABS市場等にも広く波及する可能性があるとの見
方を強め、円キャリー取引(低金利の円を借りて外貨建て資産に投資する取引)等を通じて潤沢に
供給されてきた資金が株式などのリスク資産から流出し、円キャリー取引が巻き戻されて円買いと
なる、質への回避的な動きに繋がったものと思われます。
なお、こうした動きに対し、ECBは2001年対米テロ時を上回る過去最大の流動性供給(948億ユー
ロ)を行い、FRB(米連邦準備制度理事会)も追随、さらに今朝、日銀も米欧に協調して1兆円の流
動性供給を実施し、市場の安定化へ配慮を示しました。
米国のサブプライムローン問題に端を発する信用懸念問題については、材料出尽くし感が未だ見
えておらず、各市場も当面神経質な値動きが続く展開が想定されます。また円キャリー取引をベー
スとした先進国、エマージング(新興)諸国への株式投資や商品などのリスク資産への投資姿勢は、
当面慎重なものとなる可能性も出てきています。
しかし、米国経済は、住宅セクターの調整が想定よりも長期化する可能性は否定できないものの、
4月以降景気先行系指標の改善が続いており、良好な雇用や所得環境を背景に個人消費も底堅く推
移していることを勘案すると、依然として基調は底堅いものと見ています。米国の企業業績が増益
基調で推移していることもその証左でしょう。また、エマージング諸国についてもファンダメンタ
ルズ(経済の基礎的条件)は好調で、世界景気はソフトランディング(軟着陸)を経て緩やかに回
復に向かうとみております。したがって、今後の各市場は、当面乱高下する値動きが予想されるも
のの、その動きが一巡した後は、ファンダメンタルズを反映し、金利は緩やかに上昇、株式は緩や
かな上昇傾向に回帰するものと見ています。外国為替市場では今後も内外金利差に着目した円売り
が継続し、円が一方的に上昇する可能性は低いとみています。
【直近の株式相場】(アジア市場は8月10日、欧米豪市場は8月9日が基準)
日経平均株価
TOPIX
NYダウ30種平均
S&P500
NASDAQ総合指数
ドイツDAX30
イギリスFT100
香港ハンセン指数
香港H株指数
東証リート指数
S&Pリート指数
S&Pリート指数・ヨーロッパ
豪ASX200REIT指数
直近値
16764.09
1633.93
13270.68
1453.09
2556.49
7453.59
6271.20
21792.71
12276.06
2115.51
178.75
634.95
2353.80
前日値
17170.60
1683.81
13657.86
1497.49
2612.98
7605.94
6393.90
22439.36
12678.75
2210.02
180.02
646.45
2270.00
前日比
騰落幅
騰落率(%)
-406.51
-2.37
-49.88
-2.96
-387.18
-2.83
-44.40
-2.96
-56.49
-2.16
-152.35
-2.00
-122.70
-1.92
-646.65
-2.88
-402.69
-3.18
-94.51
-4.28
-1.27
-0.71
-11.50
-1.78
83.80
3.69
■当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、
当資料作成日現在の見解であり、将来の市場環境・運用成果を示唆、保証するものではありません。また、事前の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますの
で、基準価額は変動します。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とはなりません。証券会社以外でご購入いただいた投資信託は、投資者
保護基金の対象ではありません。本資料は当社が信頼できると判断したデータにより作成しましたが、その正確性、完全性等について保証・約束するものではありません。
平成19年8月10日
三菱UFJ投信株式会社 運用戦略部
【直近の為替相場】(為替レートはBloombergから引用)
8月9日
118.17
161.62
239.06
100.40
111.67
88.84
10.735
0.643
42.7762
16.4367
15.103
円/ドル
円/ユーロ
円/英ポンド
円/豪ドル
円/カナダドル
円/ニュージーランドドル
円/メキシコペソ
円/ハンガリーフォリント
円/ポーランドズロチ
円/南アフリカランド
円/香港ドル
(円)
8月8日
119.72
165.20
243.90
103.23
114.17
91.94
10.959
0.663
43.8995
17.0517
15.296
前日比
騰落幅
騰落率(%)
-1.55
-1.29
-3.58
-2.17
-4.84
-1.98
-2.83
-2.74
-2.50
-2.19
-3.10
-3.37
-0.22
-2.04
-0.02
-3.02
-1.12
-2.56
-0.62
-3.61
-0.19
-1.26
ドル・円相場
125
120
115
ドル・円相場
80日移動平均
200日移動平均
110
105
2005/08/09
2006/02/06
2006/08/04
2007/02/01
2007/08/01
(出所)日本経済新聞社のデータを基に三菱UFJ投信作成 (年・月・日)
(ポイント)
TOPIX
1900
1800
1700
1600
1500
1400
TOPIX
80日移動平均
200日移動平均
1300
1200
1100
2005/08/09
2006/02/09
2006/08/08
2007/02/07
2007/08/07
(出所)東京証券取引所のデータを基に三菱UFJ投信作成 (年・月・日)
(注意)ドル・円のチャートは、2005年8月9日∼2007年8月9日、ニューヨーク市場
TOPIXのチャートは、2005年8月9日∼2007年8月10日、東京市場
以上
■当資料は投資判断の参考となる情報提供を目的としたもので、投資勧誘を目的としたものではありません。投資の最終決定はお客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。当資料に示されたコメント等は、
当資料作成日現在の見解であり、将来の市場環境・運用成果を示唆、保証するものではありません。また、事前の連絡なしに変更されることがあります。投資信託は株式、公社債等値動きのある証券に投資しますの
で、基準価額は変動します。したがって、金融機関の預金とは異なり元本が保証されているものではありません。投資信託は、預金保険の対象とはなりません。証券会社以外でご購入いただいた投資信託は、投資者
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