天の川の秘密 - 4D2U Project

4-DIMENSIONAL DIGITAL UNIVERSE PROJECT
4 次 元 デ ジ タ ル 宇 宙 シ ア タ ー
天 の川 の秘 密
2006三鷹特別公開バージョン
NATIONAL ASTRONOMICAL OBSERVATORY OF JAPAN
天の川を見たことがありますか? よく晴れた夜に街の明かりの届かないところに行くと、淡く
光る天の川が夜空を横切って流れる様子を見ることができます。天の川は、私たちの太陽系が存
在している銀河系を内側から見た姿です。最新の天文学データによって描き出された銀河系を
旅してみましょう。
天の川
左の写真は、南半球から見た天の川です。右上から左下に向かっ
て、光の帯が夜空を横切っているのがわかります。南半球では、
天の川の幅が広くなっている部分が、北半球よりも良く見えま
す。天の川の中央に黒く見えるのは、冷たいガスのかたまり、暗
黒星雲です。天の川の正体はいったい何なのでしょうか?
銀河系
私たちの太陽は、銀河系を構成する一つの恒星にすぎませ
ん。銀河系は直径にして10万光年もある、千億もの星の
大集団です。現在私たちが星の位置を正確に知っているの
は、太陽の周囲の約3千光年程度で、銀河系のほんの一角
です。右の図は、銀河系の星々の分布を観測と理論のモデ
ルに基づいて描き出したものです。銀河系は棒渦巻き銀河
であると考えられています。中心の星の密集した部分はバ
ルジと呼ばれ、年老いた星が多いところです。その周囲に
は渦巻状に星やガスが分布し、この領域では今も活発に星
が形成されています。
真横から見た銀河系
左の図は、銀河系の星々の分布モデルを真横から見た
ものです。中央の盛り上がっている部分がバルジで、そ
の両脇に渦巻の部分が平たくレンズ状に見えていま
す。地球から見てちょうどいて座の方向が銀河系の中
心です。銀河の中心面には暗黒星雲が数多く分布して
いるため、後ろの星の光をさえぎって黒く見えていま
す。私たちは内部から見た銀河系を、天の川と呼んでい
るのです。
シミュレーションデータ協力
斉藤貴之(国立天文台理論研究部)
天の川写真画像提供
福島英雄(国立天文台天文情報センター)
4D2Uプロジェクトウェブサイト: http://4d2u.nao.ac.jp/
2006.10
4-DIMENSIONAL DIGITAL UNIVERSE PROJECT
4 次 元 デ ジ タ ル 宇 宙 シ ア タ ー
天 の川 の秘 密
2006三鷹特別公開バージョン
NATIONAL ASTRONOMICAL OBSERVATORY OF JAPAN
宇宙を理解するためには、スーパーコンピュータを用いたシミュレーション(模擬実験)もとて
も役にたちます。観測で分かった宇宙の姿がなぜそのようになったのかを、様々な条件のもとで
何度も繰り返して数値的に実験することができるためです。そのような数値実験を立体映像で
紹介します。また最近の話題として、太陽系の惑星の新しい定義についても取り上げます。
渦巻銀河の形成
宇宙が生まれたときには、ほとんど一様だった宇宙
を漂うガスの中に、重力によってやがて濃く集まっ
たところが生まれます。そうしたガスの雲のなかで
たくさんの星が生まれて、小さな銀河が数多く生ま
れます。私たちの銀河系は、こうしてできたいくつも
の小銀河が衝突合体して生まれたという説が有力で
す。最初にわずかに回転していたガスの雲の中から
生まれた小銀河が、重力で寄り集まっていくなかで、
その回転の勢いによって平たい渦巻銀河が形作られ
ます。このシミュレーションでは、このようにしてガ
スの雲から渦巻銀河が形成されていく様子を計算し
ています。
冥王星は惑星か
望遠鏡の発明される以前、太陽系の惑星は水星・金星・
地球・火星・木星・土星の6個が知られていました。その
後新たに発見された天王星・海王星・冥王星が加わり、
太陽系の惑星は9個とされてきました。
冥王星はその軌道面が大きく傾き、軌道も他の惑星の
軌道のように丸くなかったので、発見された当初から
少し変わった惑星だと考えられてきました。さらに観
測が精密になると、冥王星は当初考えられていたより
もずいぶん小さく、月の約1/6の質量しかないというこ
とが明らかになりました。
1992年に海王星の外側に小天体が発見されました。そ
の後観測が進むにつれて、海王星の外側に多くの小天
そこで2006年8月、国際天文学連合(IAU)の総会におい
て、次のような太陽系の惑星の定義が決められました。
「太陽系の惑星とは、(a) 太陽の周りを回り、(b) 十分大きな質量
を持つので、自己重力が固体に働く他の種々の力を上回って重
力平衡形状(ほとんど球状の形)を有し、(c) 自分の軌道の周囲か
ら他の天体をきれいになくしてしまった天体である。」
体が存在することが明らかになりました。これらは
TNO(トランスネプチュニアンオブジェクト)と呼ばれ
ます。さらに2000年代に入ると、冥王星に匹敵するほど
大きな天体がいくつも発見されました。これらも惑星
と呼ぶべきなのでしょうか?
この定義によれば、冥王星は近くに同じような大きさの
天体がいくつも存在するために、(c)の条件を満たさなく
なります。こうして、太陽系の惑星は冥王星を除く8個と
なり、冥王星は新たに dwarf planet (矮惑星・仮称)と呼
ばれる天体の代表格の天体ということになりました。今
回、冥王星が惑星から外れたことは決して「後向き」なこ
とではなく、太陽系の外縁部に広がるTNOの姿が明らか
になりつつあるという「前向き」なことであると言えま
す。つまり、天文学が進んでいることを象徴していると
言っていいでしょう。
4D2Uプロジェクトウェブサイト: http://4d2u.nao.ac.jp/
2006.10