紀要第16 号の発刊にあたり - 岩手県立産業技術短期大学校

紀要第 16 号の発刊にあたり
平成 28 年 3 月
日頃から岩手県産業技術短期大学校の運営ならびに人材教育活動にご理解とご支援を頂き感謝申し上
げます。この度、本校における教育研究活動の最近の成果を盛り込んだ紀要第 16 号を発刊することにな
りました。
当校には矢巾校と水沢校の2つのキャンパスがあり、8 技術科(定員 160 名)で産業の各分野の技
術者の育成に当たっています。専門課程の教育訓練においては、最近の科学技術の進展や産業技術の動
向に的確に対応できるように、常にカリキュラムの見直しや新しい教材の開発などに努めています。さ
らに、学生に対しては、専門の知識や技術・技能の習得に加えて、それぞれの専門分野についての強い
興味と意欲をもたせるような指導を心掛けています。卒業研究における学生の創意工夫を生かしたもの
づくりの取り組み、海外研修(ドイツ)による海外産業技術動向の把握や国際的視野の獲得など、本校
独自の教育訓練や、若年者ものづくり競技大会や技能五輪全国大会への選手派遣、全国総合技能展への
出品など、外部行事への積極的な参加を奨励し、学生の勉学・訓練意欲の向上に努めています。今般、
第 53 回技能五輪全国大会において、配管職種に出場した当短大水沢校の学生が銅賞を獲得しました。ま
た昨夏の8月にブラジルで開催された第43回国際技能五輪大会ではエレクトロニクス職種に出場した矢
巾校卒業の若手技術者が出場し敢闘賞を獲得しました。このような取り組みは、学生の訓練技術レベル
の客観的な評価を得ることができ、同時に当校の PR 活動にも貢献しています。
専門課程の人材教育に加えて、短期応用課程の「産業技術専攻科」
(就業年限 1 年、定員 10 名)では、
オーダーメイドカリキュラムなどの特色ある産学連携カリキュラムを通して、
「一歩先のものづくりをリ
ードするエンジニア」の育成を行っており、県内外の産業界及び教育訓練機関から強い関心と高い評価
を頂いています。
能力開発研修科(短期専門課程)では今年度、岩手県内の在職者を対象にした能力開発セミナーを矢
巾・水沢の両キャンパスで開設し、1,333 名の受講者の研修に当たりました。また求職者を対象にした委
託訓練の研修では、800 名の受講者の研修に当たりました。
現在、ものづくり産業の分野で 3D-CAD や 3D-プリンターに代表されるデジタル設計・製造機器が続々
と登場し、誰もがものを作り売ることができる、
“メーカームーブメント”と称される新しいものづくり
産業の潮流が成長しつつあります。またドイツでは、Industry 4.0 と称して官民挙げ、第4の産業革命
と位置付けて取り組んでいます。このようなものづくりの新しい潮流を担うデジタル世代の産業技術人
材の育成が求められています。
少子化が進む中で 18 歳世代の若者をいかに確保し、どのような技術力を身に着け、そしていかに産業
界の要請に応える人材として送り出せるかが重要な課題です。この紀要を通して、学生の伸びしろが期
待できるカリキュラムの検討や教員のファカルティ・ディベロプメント(授業方法の改善や教員の研究
会・研修への参加、論文投稿)向上に努めているところです。本校の教育研究活動の最近の状況につい
てご理解を頂き、また本校における人材教育のあり方について、忌憚のないご意見を賜りますようお願
い申し上げます。
岩手県立産業技術短期大学校校長
馬 場
守