登美ヶ丘画像診断クリニック 1 周年記念講演会 宇都宮セントラルクリニック 理事・放射線専門医 佐藤俊彦 早いもので、今年も月が終わり、後半戦に突入しました。 先日は、登美ヶ丘画像診断クリニック OPEN1 周年記念講演会に、近畿大学の乳腺外科 綿 谷教授に来ていただき、 “乳がんにおける最新の診断と治療”のお話をさせていただきまし た。私からは、シーメンス社の Tomosynthesis に関する有用性の発表をさせていただき、 棉谷先生からは、レンブラントの“ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴” http://www.louvre.fr/jp/oeuvre-notices/%E3%80%8A%E3%83%80%E3%83%93%E3%83 %87%E7%8E%8B%E3%81%AE%E6%89%8B%E7%B4%99%E3%82%92%E6%89%8B% E3%81%AB%E3%81%97%E3%81%9F%E3%83%90%E3%83%86%E3%82%B7%E3%83 %90%E3%81%AE%E6%B0%B4%E6%B5%B4%E3%80%8B から始まって、最新の乳がん治療に関するお話をいただき、大いに参加者の情報リテラシ ーの向上につながったと思われ、乳がんに関する啓蒙活動を今後も実施していこうと考え ています。 ちなみに、 “ダビデ王の手紙を手にしたバテシバの水浴”ですが、レンブラントの第三婦人 がモデルとされています。彼女は、この絵のモデルをしてから 3 年半でこの世を去ってい ます。原因は、乳腺外科医からみると、左乳房 C 領域のがんが原因であるとのこと、レン ブラントの描写力と乳腺外科医の観察力には脱帽です。ぼくは、診ても、触ってもわかり ませんので、マンモグラフィの達人を目指すことにしております。どうも、生は苦手なの で・・・ということで、乳がんに関する tomosynthesis の診断および乳腺 MRI を中心にこ の 1 年ほど、登美ヶ丘では研鑽を積ませていただくことができましたので、このシステム をもって、宇都宮セントラルクリニックにブレストセンターを来春 OPEN させようと現在 準備をしております。 SIIM2012 がオーランドで先月開催されました。以前のメルマガでも、クラウドにより医 療 IT がかわり、私が 15 年育てたドクターネットは、業態を変化させざるを得ない状況に 追い込まれていることを書いてきました。SIIM2012 では、まさに、ダッシュボード表示や データマイニングによる医療安全の向上や患者サービスの向上に関するシステムが発表さ れていました。ネットワークセキュリテイに関しても、同様にクラウドであるので、トラ フィックの管理や管理すべき PC の物理的管理に関しても、容易なシステムが発表されてい ました。まさしく、このあたりを開発する医療機器メーカーが日本にないのが残念でなり ません。今回の学会で、すごく良いシステムだと思ったのが、PenRad 社の乳腺ビュアーで す。http://www.penrad.com/products_penrad-MIS.html Tomosynthesis、CAD、mr-parametricMAP、PET、ABVS-2000 への対応全てが可能で、 乳腺のすべてのモダリテイの画像を得ることができて、診断効率が高まります。本当に素 晴らしいシステムで、このシステムをお手本に j-mac 社と共同で新しい乳腺ビュアーを現 在開発しております。 登美ヶ丘画像診断クリニックですが、1 年経過して、キャパシティ-のおよそ 80%まで 稼働率が上がってきました。医療モール内の先生方との連携、外部医療機関との連携、大 学病院様との連携、乳腺診療の開始と極めて多忙な 1 年でした。私も、大阪に拠点を移し、 大阪福島でマンション住まいをしております。大阪福島には、隠れた名店も多数あり、ず い ぶ ん と 慣 れ て き ま し た 。 最 近 の お 気 に 入 り は 、“ カ モ シ ヤ クスモト” http://tabelog.com/osaka/A2701/A270108/27010572/で、バーテンダーのご主人と和食の料 理長がやっているお店です。お勧めなので、ぜひどうぞ・・・ 今後は、大阪市内に画像診断センターを開設する予定で準備を始めています。先日、教 授に就任したばかりの三重大学の佐久間先生と 20 年ぶりにお目にかかることができました。 先生の長年の成果の 3T での心臓イメージングを Philips 社の Ingenia3.0TMRI で達成され た偉業を見せていただくことが出来感激しました。心臓画像診断クリニック飯田橋 http://www.cviclinic.com/の寺島先生が 1.5TMRI でこの分野は先駆者ですが、これを 3TMRI でできるメリットは計り知れず、被曝なしの心臓検査が確立できると思います。心 臓に関しては、心臓カテーテル検査がゴールドスタンダードでしたが、それが、診断目的 では 64MDCT に置き換わり、現在は 320MDCT へと進化してきましたが、X 線被爆と造影 剤の使用を避けては通れません。これではスクリーニングには使えませんので、宇都宮セ ントラルクリニックでは、寺島先生と同じ Philips1.5T を使って診療にあたってきました。 その後 3.0TMRI が発表され、頭しか撮影できなかった GE 社製の MRI には興味がなかっ たのですが、クリーブランドで Philips の Aciva3.0T を見て衝動買いしたのが 5 年前でした。 この間の技術的進歩で、 ようやく技術的最高峰の心臓 MR イメージングが完成したことは、 佐久間先生の功績であり、教授就任とともに、世界の佐久間先生が誕生した瞬間をお祝い 申し上げたいと思っています。佐久間先生のワークショップが開催されます。 “心臓 MR ワ ークショップ 2012”http://scmr.jp 参加されるとすごく勉強になると思います。 今月の話題は、なんと言っても、 “消費税増税法案の問題と小沢新党、鳩山さんの党員資 格停止 6 カ月”でしょうか?もともと、民主党のオーナーは、鳩山さんですよね。生前贈 与で毎年 80 億円もお母さんからもらっているわけで、すごい資金力です。仙石さんや岡田 さんとは全然違いますよね。彼と旧自由党の金庫を持っている小沢さんが結党した政党で あり、このふたりが KEY MAN なのです。したがって、この二人が離党する事態は、解 党を意味します。鳩山さんは、実質のオーナーですから離党しなかったわけですが、政局 の混迷は震災復興にも影響してきますし、税と社会保障の一体改革の“社会保障改革先延 ばし”ですので、何をやっているのかなと思う次第です。 先日、メリルストリープの“マーガレットサッチャー 鉄の女の涙”を見ました。特にフ ォークランド紛争のときに、アメリカの特使が戦争を辞めるように言ってくるのですが、 彼女は英国民の誇りを貫くために、戦争に踏み切ります。そして戦費がかさみ経済が著し く苦境に陥るのですが、新自由主義で乗り切ります。“ゆりかごから墓場まで”という厚い 社会保障制度を破壊して、つまり、年金・医療制度を破壊して、 “自分自身で立てるように” 政策を変更していくわけです。そこで競争原理を尊重して、 “英国病”の治療を開始するの ですが、副作用の格差社会の到来で、英国の混迷は深まることになる。一方で、ロンドン の“シテイー”は、金融で大成功していくという映画です。当時イギリスのサッチャー首 相とアメリカのレーガン大統領は非常に良いコンビであったわけですが、両雄とも、アル ツハイマー病に侵され晩年を過ごしたことは驚きですね。最近では、ドイツのメルケル首 相とフランスのサルコジ大統領が良いコンビでしたが、フランスのサルコジさんは失脚し、 いまはロレアルの不正献金疑惑で、追われる身になっています。なんとも、感慨深いです ね。。。 。 そんなわけで、この映画で、イギリス政治にちょっと興味を持ちました。日本経済新聞 社の“イギリス 進化し続ける政治経済システム 矛盾の力”岐部秀光著は、おすすめの 1 冊です。イギリスは、2010 年の GDP は 2 兆 2470 億ドルで、米国の(14 兆 6580 億ドル) に遠く及ばず、日本(5 兆 4590 億ドル)の半分でしかない。にもかかわらず、大英帝国以 来国際政治でのプレゼンスが高く、外交の力とエネルギーをもった国で、同じ島国として 参考にすべきモデルだと思います。本で紹介されている、3 人の起業家、バージングループ のリチャードブランドン、ボデイショップのアニタ・ロデイック、カジュアルブランド“ス ーパードライ”のジュリアンダンカートン氏に関しては、これから調べてみたいと思って いる対象です。鉄の女が壊したあとを引き継いだ、ブレア首相が、“政権には、3 つの優先 課題がある。すなわち、“教育”“教育”“教育”。だ”これも強烈な言葉です。今の日本社 会では、若者への教育訓練や教育、就労支援が完全に不足しています。ここは日本も検討 しなければならない政策であると思います。つまり、老人への費用を若者への教育・就労 支援に予算配分を変えないと、日本の将来は・・・2014 年以降”ギリシャ化“していかざ るを得ないと思われます。 最後に、私は現在仙台の共生医学研究所の BAK 療法を宇都宮セントラルクリニックと登美 ヶ丘画像診断クリニックで実施しております。非常に効果のあった 2 例をご紹介します。 1cm 以下のがんに関しては、BAK 療法の効果が期待できると感じた症例です。 今後とも、最先端の技術を医療の最前線で使えるよう精進していく考えです。 B A K 療法 ~臨床例~ Case 1 BAK療法後、完全にPETでリンパ節転移の消失を確認 2012.3 胃癌術後 Aorta周囲へリンパ節転移 ステージIV 現在TS-1、CDDP療法施行 リンパ節の縮小 CA72-4軽度高値(90) BAK療法開始 2012.5 BAK療法 治療効果判定のPET/CT検査。 CR。 α1-酸性糖蛋白値 2012.3.13 78.4 2012.4.7 98.5 2012.4.24 62.7 2012.5.16 64.8 B A K 療法 ~臨床例~ Case 2 PET/CT 甲状腺がんをOPEせず、BAK療法のみで治療し、 PETでがんの消失を確認 2011.7 PET検査にて甲状腺に集 積を認める 甲状腺癌疑いにて生検 濾胞腺癌の診断 BAK療法開始 2012.6 BAK療法 治療効果判定のPET/CT検査。 集積の低下を認める Subtraction α1-酸性糖蛋白値 2011.12 80.9 2012.1 83.6 2012.2 71.9 2012.3 67.4 2012.4 83.8 2012.5 66.1
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