2010/8/19 胸腰部の疼痛と言えば… 間欠的な胸腰部の疼痛を呈した先天性 後関節突起形成不全の犬の1例 • 椎間板ヘルニア • 外傷 などなど 脊髄周囲の知覚過敏を示す疾患 KyotoAR 中本 裕也 変性性疾患 椎間板疾患、など 奇形性疾患 脊髄空洞症、椎骨の奇形など 代謝性疾患 高カイロミクロン血症 腫瘍性疾患 原発性-硬膜外・硬膜内髄外 続発性-転移性 特発性疾患 広汎性特発性骨化過剰症 炎症性疾患 感染性:髄膜・脊髄炎、椎間板脊椎炎など 非感染性:GME、ステロイド反応性髄膜炎、 血管炎など 外傷性疾患 打撲、椎骨の骨折・脱臼など (BSAVA Manual of Canine and Feline Neurology, 3 rd ed.) 椎体奇形 • 遭遇する機会が多い – X線検査による偶発所見 • 臨床症状呈さない – 不安定症による神経症状・疼痛 症 例 • パピヨン • 11歳6ヶ月 • メス(避妊済み) 2日前からの腰部痛を 主訴に来院 レントゲン検査-1 経過 • 第1病日 • 第2病日 • 第3病日 胴輪を引っ張った際に、キャン と鳴 いた。その後、オドオドとした様子で 触らせないとのこと。 疼痛を訴える頻度が増加してきた。 受診。 R 腰椎 身体検査所見:明らかな異常なし 神経学的検査所見:胸腰移行部の脊柱沿いの疼痛(+) 1 2010/8/19 治療内容・経過 レントゲン検査-2 R • 治療 胸腰椎移行部 外固定+ケージレスト+鎮痛剤投与 • 塩酸ブプレノルフィン • メロキシカム • 第10病日 症状の改善が認められなかったため 外科的治療を考慮したMRI検査の実施 椎間板疾患?椎骨のズレ? MRI検査 CT検査 L1 R T12 L T13 T11-12 T12-13 診断 椎体の動揺 • MRI検査 – T12-13の脊髄腹側からの脊髄圧迫 • CT検査 – T12椎骨後関節突起欠損 T12椎骨後関節突起欠損による椎骨動揺 およびそれに伴った椎間板ヘルニア 2 2010/8/19 術後レントゲン検査 R 椎体奇形 変形 異常の種類 ブロック脊椎 体節性の分節化の欠如と隣接する椎 骨の融合 臨床的に重要になることは稀 臨床症状 蝶形脊椎 脊索の遺残物が存在するために、椎 体の矢状面の亀裂 偶発所見:短頭種でスクリューテ イルの品種に好発 半側脊椎 椎体の一部が骨化せず、血管分布が 欠如 脊柱側弯症 移行脊椎 脊柱に隣接する骨の特徴を伴う椎骨 通常臨床意義はない 脊椎管狭窄症 先天奇形として発生することがある 椎弓根サイズの減少、関節面サイズ の過剰による脊柱管の狭窄 圧迫性脊髄症を引き起こす事あり ⇒症状は若齢で認められることが多い 症例をまとめる • 本症例 – パピヨン – 急性発症 – 高齢での症状発現 レントゲン検査を見直す 椎間板ヘルニアを疑う 実際は、関節突起部分欠損による 椎骨動揺が原因として推察 椎体の固定が治療の重要なポイント まとめ • 椎体奇形 ⇒高齢で症状発現する可能性あり • レントゲン検査 – 詳細に診ることで、異常が推察できる可能性あり • 症状:椎間板ヘルニアと類似 – 手術で通常の椎間板ヘルニアの手術を実施する と、症状が悪化する可能性あり – 椎体の固定が必要 症状が椎間板ヘルニアと類似しているため、 椎体奇形を再認識して鑑別に入れる必要あり 3
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