教育講演 I 排卵障害の診断、治療におけるホルモン値の読み方、ホルモン剤の使い方 0水沼英樹 弘前大学医学部産科婦人科 規則正しい排卵周期は視床下部 下垂体 卵巣聞の精妙なノイランスの上に成り立つ。視床 下部からは Gn R Hが ノ f ルス状に分泌され、これに呼応して下垂体からは卵胞刺激ホルモン ( F SH) および黄体化ホルモン ( LH) が、さらに卵巣からは卵胞の発育に伴いエス卜ロゲン、イ ンヒビンが、そして排卵後にはプロゲスト ーゲ ン分泌される O エス トロゲン、プロゲ ス卜 ー ゲンは子宮の内膜を増殖期分泌期に誘導し受精卵の着床に備えると同時に視床下部 一下垂体 に対して F S H、 L H分泌をコントロールし( フィードパック機構) 、単一の卵胞発育を誘導し ている。 一方、排卵障害は視床下部、下垂体、卵巣のいずれの部位の障害でも引き起こる 。 ホルモ ン測定は排卵障害の程度や障害部位の診断は正しい治療法の選択を行う上で必要不可欠の要 件であり、その評価は各ホルモンの意義とフィードパ y ク機構の意義さえ理解しておればそ れほど困難ではない。 排卵誘発剤は視床下部に作用するもの( クロミフェン) 、下垂体に作用するもの ( GnRH) 、 卵巣に作用するもの ( h MG ( F S H作用を期待) , h C G ( L H作用を期待) ) に分類される 。 な お 、 h MG製剤は閉経後女性の尿から生成されたホルモンであり、パッチ間で力価が異なる、 F S Hばかりでなく L Hをも含んでいるなどの課題があ ったが、最近では遺伝子工学的に製造さ れこれらの課題は解決された製剤が市販されてきた。 排卵誘発は単一排卵を目的とするのか、あるいは A R T における排卵誘発の場合のように多 数の卵胞発育を目的にするのかにより薬剤の投与法が異なる 。 h MG製剤を用いた排卵誘発で は多胎妊娠や卵巣過剰刺激症候群の発症が問題となり、これらの副作用をできるだけ少なく することを目的として様々な工夫が行われている 。 本講演では単一卵胞発育のメカニズム、無排卵の病態、排卵誘発剤の種類と特徴およびそ の問題点、について解説を行うこととする 。 t n o ム
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