十字軍の遠征「ゲルマン民族の移動から十字軍の遠征までを授業する

十字軍の遠征「ゲルマン民族の移動から十字軍の遠征までを授業する」
法則化☆風の如く
風林裕太
騎士の絵を提示する。
発問
この人の仕事は何ですか?
発問
騎士は誰と戦うのですか?
(1)王 (2)農民
(3)外国の敵
当時のヨーロッパには様々な民族が食料を求めて攻めてきていた。
発問
騎士が戦えば戦うほど、儲かる人たちがいます。どんな職業の人たちですか?
商人、鍛冶屋、鉱山で働く人などである。武器や防具、食糧などを作る、売る、運ぶ
という仕事が増えるからである。
発問
騎士自身も戦えば戦うほど、儲かります。どうしてですか?
一つは戦利品である。金品はもちろんのこと異国珍しいものは高く売れた。もう一つ
は、褒美である。封土と呼ばれる土地をもらえた。彼らは戦っていないときは貴族と
呼ばれていた。
発問
騎士たちに褒美をあげるのは誰ですか?
その国の王である。図を提示するとわかりやすい。
王
封土↓↑軍役
騎士
発問
このような関係を何関係と言いましたか?
主従関係である。鎌倉時代の御家人と将軍の関係と同じである。封建制とも言う。
発問
ヨーロッパと日本との違いは王の上に立つ権力です。日本では天皇でした。ヨ
ーロッパでは王の上に立つ権力は何でしょうか?
ここは教科書(東京書籍)で確認する。92 ページには、ローマ教皇を中心にしたカト
リック教会が勢力を伸ばしたことが書かれている。
発問
騎士が戦えば戦うほど、教会は儲かります。どうしてですか?
各国の王が権威を預かろうと土地や金品を教会に送るようになった。
教会
権威↓↑金品・土地
王
封土↓↑軍役
騎士
また、勝敗は教会への信仰の大小に結びつけることができる。
戦いが起こることで、世の中のお金の回りが良くなり、教会はさらなる権力を強める
ことができるようになっていく。世の中全体が騎士に戦ってほしいと思っていた。
ところが騎士たちが負けるという事件が起こる。ゲルマン民族の大移動である。ロー
マ帝国は滅ぼされ、新しくフランク王国という国が作られた。フランク王国が現在の
フランス・ドイツ・イタリアの元になった国であることを確認しても良い。
発問
ゲルマン民族の大移動に対して教会はどうしたでしょうか?
(1)ゲルマン民族と戦った
(2)ゲルマン民族を味方にした
教会はゲルマン民族にキリスト教を教え、教徒にしていった。ちなみにここで偶像が
用いられる。異民族に布教する際にキリストやマリアの像があると便利だったのであ
る。
教会
権威↓↑金品・土地
ゲルマンの王
封土↓↑軍役
ゲルマンの騎士
しかし、教会がゲルマン民族を従えたことで攻めてくる敵はいなくなってしまった。
戦う敵がいなくなってしまうと、主従関係は成り立たない。図の一部を消しながら提
示すると分かりやすい。
発問
教会はどうやって解決したでしょうか?
ここで当時の地図を提示する。ヨーロッパのすぐ隣にセルジューク朝トルコが勢力を
拡大していることがわかる。教会は「聖地エルサレムがイスラム教徒に奪われている、
今こそ聖地を取り戻すべきだ」と主張する。
指示
93 ページの地図でエルサレムの位置を見つけなさい。
指示
エルサレムを取り戻すために作られた組織を何と言いますか?教科書から探し
なさい。
十字軍である。十字軍の遠征によって、王や騎士は多くの戦利品や土地を手に入れる
ことになる。商人や職人もよりたくさんの武器を作り、売らなければならなくなり、
さらにお金の回りが良くなってくる。また、商人にとっては東方への商業圏の拡大に
もつながり、大きな利益をもたらした。教科書の内容を読んでも確認できる。
発問
教会の命令で十字軍は派遣されますが、実際に戦場へ行ったのは誰ですか?
王や騎士たちである。
発問
十字軍で騎士が戦えば戦うほど、権力が強くなるのは誰ですか?
実際に戦場で指揮をとっている王や上級の騎士たちである。帰ってくれば戦場の英雄
として讃えられた。
発問
十字軍で騎士が戦えば戦うほど、権力が弱くなるのは誰ですか?
教皇、教会である。しかも、7 回にわたる遠征でもエルサレム奪還はできなかった。教
会には神がついているはずなのに、遠征は失敗。実際に戦場に赴き命がけで戦ってい
るのは騎士や王である。
発問
人々はどちらに味方するようになっていきますか。
だから、この後、王の権力が強まり、絶対王政の時代がやってくるのである。十字軍
の遠征がヨーロッパの封建制を崩壊させる一因になったことを抑えたい。
※騎士のお金儲けの手段として、相手の騎士をとらえて身代金を取ること、その結果、
「なあなあ」の関係になり、国としての統一が阻害されたこと、さらには騎士自身の
戦闘能力の向上に対する研究心が薄れ、イスラム勢力やモンゴルに敗れ去ることにな
ったこと、などをエピソードとして紹介してもいい。