Q1-6 市町村の人口規模はどのぐらいが適正かについて、 どういう議論

【1 地域主権改革】
Q1-6 市町村の人口規模はどのぐらいが適正かについて、
どういう議論があるのですか。
A1-6.
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市町村の適正な人口規模について、「大阪府自治制度研究会」においては、次のような検証・とり
まとめがされています。
【検証】
効率的な行政運営、備えるべき組織体制、望ましい行政サービス提供の3つの観点から検証。
それぞれの要素によって適正規模の評価が異なっている。
(「大阪府自治制度研究会 最終とりまとめ(平成23年1月27日)」資料(77))
(http://www.pref.osaka.jp/attach/9799/00000000/04HP_jichi_saisyu_shiryou3no1.pdf)
【とりまとめ(自治体の再編の観点から)】
検討にあたっては、基礎自治体のあり方を単純に人口規模だけで考えるのではなく、
・ 当該市の成り立ち、歴史的・文化的な一体性
・ 当該市が担っている高次都市機能の状況
・広域自治体との関係
・ 周辺市町村との関係(連携の状況等)
などを、総合的に勘案していく必要があるのではないか。
(「大阪府自治制度研究会 最終とりまとめ(平成23年1月27日)」31頁)
(http://www.pref.osaka.jp/attach/9799/00000000/02HP_jichi_saisyu.pdf)
A1-6.(前頁からの続き)
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「大阪府自治制度研究会」の検証でも用いられていますが、適正規模については、
人口一人当たりの行政経費をもとに論じられることが多いです。
しかし、政令指定都市などの大都市は、本来は都道府県が行う事務も担っているた
め、一般の市町村と比較すれば、その分の行政経費は大きくなります。
さらに大阪市のように百万人を超える昼間流入人口を抱える都市の場合、それらの
流入人口に対しても行政サービスを提供しており、そういった仕事の経費を夜間人
口一人当たりで割り戻すと、どうしても行政経費が大きくなる傾向になります。
なお、別図のとおり、政令指定都市を除いた全国の市の人口規模別一人当たり歳出
額を比較すると、人口規模が大きくなるにしたがって、一人当たり歳出額が小さくなっ
ています。
中核市や特例市など、都道府県が担っている事務を一部担っている市を含んでもな
お、全体では歳出額が小さくなっていることから考えると、一般的に都市規模が大き
くなるほど、スケールメリットによる効率化が得られると考えられます。
実際に、政令指定都市などの制度的差異を踏まえた分析を行った結果、「最適人口
規模は存在しない」趣旨の指摘もあります。
※「地方自治体の歳出構造分析」原田博夫・川崎一泰 日本経済政策学会年報48(日本経済政策学会)2000年
一人当たり歳出額 規模別比較
(千円)
都市規模が大きくなるに従い、スケールメ
リットにより効率的な財政運営が可能
450
400
350
300
250
200
150
100
50
0
市
(10万未満)
市
(10万以上30万未満)
市
(30万以上50万未満)
市
(50万以上)
※平成20年度市町村別決算状況調べ
(政令指定都市は除く)
大阪市内へは約120万人の人たちが流入
(夜間人口との比率は日本一)
大阪市への流入人口
市町村名
大阪市への
流入人口
流入人口
(%)
吹田市
353,885
62,980
17.80 %
豊中市
386,623
61,856
16.00 %
松原市
127,276
18,827
14.79 %
藤井寺市
65,780
9,080
13.80 %
柏原市
77,034
10,016
13.00 %
6,188,355
744,394
12.03 %
大阪市を
除く
府内市町村
大阪市
夜間人口
昼夜間人口比率比較
夜間人口
(常住人口)
凡例
・・・ 流入人口10%以上の市町村
・・・ 流入人口5%以上10%未満の市町村
※ 流入人口(%)は流入元の常住人口に対する、
大阪市への15歳以上就業・通学者総数の割合
(万人)
昼間流入
人口
昼間流出
人口
昼間人口
昼夜間
人口比率
大阪市
259
124
25
358
1.38
東京都区部
835
335
42
1128
1.35
名古屋市
219
52
19
252
1.15
横浜市
355
40
74
321
0.90
※常住人口:人口総数から年齢不詳を除いた人口
資料:平成17年度国勢調査
【1 地域主権改革】
Q1-7 大阪市は、市町村の適正な人口規模についてはど
のような考え方に立っていますか。
A1-7.
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自治体の規模は、経済圏、特に生活圏の一体性で決めるべきであると考えています。
例えば、現在の大阪市のかたちは、歴史的経過・社会的つながりによって形成されて
きたものであり、これまでも、商業地域や住宅地域など、市内のさまざまな地域が一体
となって発展してきた街です。
そして、その利益を市全体で分かち合い、豊かな暮らしの実現と活発な経済活動が相
互に循環して魅力と活力を創造し、関西全体の発展に貢献しています。
このように、自治体の形は、それまでの歴史的・地政学的な経過を経て形作られたも
のであり、人口だけをもって画一的に自治体の適正規模を論じることはできません。
それぞれの自治体の歴史や社会状況を踏まえた自治制度の構築こそが必要と、大阪
市では考えています。
※ 「大阪府自治制度研究会「中間とりまとめ」に対する大阪市の見解」27頁もご参照ください。
(http://www.city.osaka.lg.jp/seisakukikakushitsu/cmsfiles/contents/0000102/102568/kenkai_2.pdf)
※ 大阪市がめざす地域主権の姿については、Q1-3「大阪市がめざす地域主権の姿は何ですか。」をご参
照ください。
※ 大阪市の成り立ちなどについては、Q5-1「大阪市の面積はなぜ狭いのですか。大阪市の成り立ち、歴史
はどのようなものですか。」をご参照ください。
【2 税財政制度】
Q2-1 大阪市内では、どれだけの税金が大阪市に還元さ
れているのですか。
A2-1.
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大阪市域内における税収額の合計は、国税・府税・市税あわせて
4兆5,429億円です。 (平成20年度決算)
そのうち国や府から、大阪市が行う事業に関連する分として還元された
のは5,825億円、市税をあわせても1兆2,533億円(27.6%)に過ぎ
ません。
大阪市域内の税収の流れ
大阪市域合計:4兆5,429億円(20年度決算)
府
税
市
府民税
法人事業税
地方消費税
等
税
国
市民税
固定資産税
都市計画税
等
7,550億円
(16.6%)
所得税、法人税
消費税、酒税
等
6,708億円
(14.8%)
3兆1,171億円
(68.6%)
国
大阪府
府支出金等
1,334億円
大阪市
1兆2,533億円
国庫支出金等
4,491億円
大部分が
大阪府へ
市域内税収額の合計
4兆5,429億円
(20年度決算)
税
地方交付税原資
9,180億円
その他の地方へ
市に還元される額
市税
6,708億円
このうち
府税
1,334億円
国税
4,491億円
合計 1兆2,533億円
市域内税収の27.6%
しか還元されていない
国税還元率 14.4%
府税還元率 17.7%
【2 税財政制度】
Q2-2 「差等補助」とは何ですか。
A2-2.
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大阪府が府内市町村に対して行っている補助事業のうち、政令指定都市であ
るという理由だけで、大阪市や堺市をその対象から除いている事業があります。
これを「差等補助」と言います。
大阪市民の皆さんも府内の他の市町村住民の皆さんと同じように府民税を負
担しており、特に子どもの教育に関わる分野での「差等補助」は、不当な差別
だと大阪府に解消を申し入れ続けています。
しかし、知事は政令指定都市の税収が大きいとか、権限が大きいとかという理
由で、一向に改善を行いません。
大阪府が行う事業は、大阪市民の皆さんが負担している府税も入って行われ
ているのですから、大阪市税や大阪市の権限の大小は全く関係ありません。
また、大阪市は補助金の額の大小ではなく、大阪市民の皆さんに対しての差
別的な取り扱い、そしてそれを是とする大阪府の考え方に異を唱えています。
大阪府は、こういった「差等補助」をただちに解消し、他の市町村の住民の皆さ
んと同様の公平な取り扱いを大阪市民の皆さんに対して行うべきです。