特集 鉄道経営の再構築(その2)

Japan Railway & Transport Review
第八号(1996年9月)
論説
鉄道経営の諸類型
特集 鉄道経営の再構築(その2)
日本における国鉄改革の背景と民営化政策の特色を説明し、その効果を
民営化とその後
検証する。労働生産性は増大したが、大手私鉄に比べると依然として
中村 清 早稲田大学教授
約30%も低い。長期債務返済の遅れなど、未解決の問題も残されている
が、鉄道の特性を発揮させるためには民営化は必要不可欠であった。
生まれ変わったポーランドの交通および鉄道の現状を概説し,将来を
ポーランドにおける鉄道再建
展望する。ポーランド国鉄が当面する課題として,欧州連合の政策に
K. チェリンスキー ポーランド交通省鉄道局長
そったインフラストラクチュアと運輸部門の分離、新規参入事業への
インフラ開放,余剰資産および余剰従業員の解消などの問題がある.
1997年に完了が予定される英国国鉄(BR)民営化の背景と,その複雑
英国における鉄道の民営化
W. P. ブラッドショー
オックスフォード大学教授
(ウルフソン・カレッジ上席客員研究員)
な仕組みについて紹介する。民営化の長期的な財政効果を特定するの
は困難であるにしても,鉄道の市場占有率、輸送サービスの品質、お
よび貨物の道路から鉄道への転移について明確な基準をつくり,達成
目標とする必要がある,と指摘する。
スウェーデン国有鉄道(SJ)の経営改革
スウェーデン国鉄改革の成功の背景と特色について説明する。成功の
A. ルンドバーグ SJ副総裁・経営計画部長
鍵となったのは“国鉄経営陣が自ら推進する事業の合理化・最適化を
ドイツにおける鉄道改革の効果
ドイツにおける鉄道改革の期待される効果について検討する。改革後
国が容認し、干渉しなかったこと”だと結論する。
初めての事業報告では,ドイツ鉄道は二年目にして2億8000万マルクの
P. ヘフナー 前・ドイツ鉄道国際局長
利益に転じ、連邦予算を大幅に節約できたことが明らかになった。
フランス国有鉄道(SNCF)は,TGV高速列車V網など技術面では世界
「救助作戦」
:フランスの鉄道改革
をリードしているものの、増大する欠損と巨額の累積債務を抱え,
F. バティス 鉄道ジャーナリスト
1 9 8 7 年の日本国有と同様に苦しんでいる。その解決には抜本的な改革
と分権化の道が必要で、国民の議論を呼んでいる。
もう一つの視角から 「東京・鉄道・たこ焼」
:ある鉄道研修生が見た日本
JR東日本フェローシップ研修生として来日したマレーシア鉄道の保線技
師が見た日本の鉄道と生活と文化の印象。
イシャク・ビン・ハッシン
ピープル
かつて鉄道の大拠点であった新津は,長年にわたって凋落の道を辿っ
生まれ変わる新津
てきたが、1 9 9 4 年のJ R 東日本による新鉄車両製造工場設立によって再
生し,未来への道を歩み始めた.
シリーズ日本鉄道史 大都市の発展と鉄道輸送の発達
加藤 新一 帝京大学教授
トピックス
1996 年 2 月から 4 月まで
写真特集
在来線の最新型特急列車
1920 および1930 年代の日本の大都市における都市鉄道網の発達を紹介
する。
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