校長室から〈20〉 2009(平成21)年1月20日 可能性は無限大 校長 白岩 博明 「人を見た目で判断してはいけないよ。 」 〈元気な一年にと願い・・・〉 新年明けましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。 昨年は、 「百年に一度の津波」が押し寄せた世界経済動向を受け、暗いニュースが目立つばかりでした。が、年始早々、 広島皆実高校がやってくれました。全国高校サッカー選手権大会で広島県勢として41年ぶりの全国制覇を遂げたので す。優勝決定の瞬間、思わずガッツポーズ。テレビに向かって「やったー!」と叫んでいました。今年は幸先の良いス タートを切れたような予感がします。世の中も、もちろん本校も元気のある、活力がみなぎるような一年になって欲し いと願っています ◇「人を見た目で判断してはいけないよ。 」(中学2年生の学年集会で話したこと) 1月19日(月)の中学2年生の学年集会で、昨年末の12月30日付の朝日新聞・ 「天声人語」に 紹介された、全国中学生作文コンテストで賞を受けた宮崎市の中学1年生、中本奈那さんの「博子ち ゃん」という作文を生徒に読んでもらった後、次のような話をしました。 「人を見た目で判断してはいけないよ。」という博子ちゃん(小児麻痺の後遺症のため車いすで暮ら す母親のこと)の言葉を最高の贈り物だと思っています、という言葉はものすごく伝わるものがあり ますね。障がい者だからといって甘えるのではなく、一人前の大人として見てもらうために普通の人 の何倍もの努力をした。その努力を重ねた人の言葉だからこそ中本奈那さんは受け止めることができ たのでしょう。さて、自分たちに置き換えてみてください。人を見た目で判断したことが日常生活の 中でなかったかどうか、胸に手を当てて、ちょっと振り返ってみてください。 みんなと少し違ったことをやる人を見たとき、一人では言わないのに、複数の人とだったらその人 に対して「何それ(おかしい)?」なんていう言い方をしなかったかどうか。その人の持つ事情や理 由などはまったくお構いなしに、 「それって笑えるよ」なんて一方的に決め付けた言い方をしたり、そ れ以上の侮蔑的な言葉を発したりしなかったかどうか、どうでしょうか。 視点をやや換えて考えてみると、人はそれぞれ違っていいということを認め合うことが、いかに大 切なことであるのかも知ってもらいたいのです。同じであるからこそ安心感を得られるということも 理解できます。しかし、人として幅を広げるためには同質であることよりも、むしろ異なる考えや立 場の人から得難いものを得ることの方が幅を広げられると感じるのです。異質であることの価値観に 気づくこと、その気づきを育めること、それは自分にとって大変重要なことではないかと思います。 さらに言い換えると、異質の価値に気づけるということは、 “包容力”を身に付けていくことにもつな がるのではないでしょうか。まさしく人として、よりよい人間関係の構築が必要とされるこの世の中 だからこそ、この力は求められるべき力であるはずです。 「博子ちゃん」という作文を私なりに読み解くと、こんなふうに想いを巡らしました。感じること はさまざまで構いません。みなさんはどのようにこの作文を読みましたか? もうすぐ中学3年生に なりますね。来年の今頃、15歳のみなさんがどんな成長をしているか、楽しみです。
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