- 13 - (6) は種後の落水から入水までの管理 (写真1∼6) ア 落水期間の

(6) は種後の落水から入水までの管理
写真1
ア 落水期間の管理 (写真1∼6)
(ア) 落水処理期間
①「は種後から出芽始め」まで
②落水期間 14日間を基本とします。
代かき後のほ場状態
③落水期間を延ばすと、鳥害、雑草害を助長します。
(イ) 落水処理期間の管理
①ほ場全体を均一に落水できない場
写真3
合 → 溝切りの実施
②落水期間中、田面にひび割れが入
りだしたら → 走り水の実施
写真2
は種作業
③乾かし過ぎは、根の枯死等により
落水処理時の様子
出芽不良の原因
→ 土壌水分の維持
④ひび割れを大きく(1∼2cm 以上)
入れすぎると
写真4
写真5
落水時の田面の割れ
→ 出芽後に漏水田となり除草剤
の効果が不十分
⑤走り水を実施する場合
→ 田面全体が水没しないように注意
イ
入水時期の目安
(ア) 入水時期の目安 (写真7∼9)
①落水期間は概ね 14日間を限度とします。
(生育の状況、土壌水分、気
写真7
温の経過によって若干前後
します。)
②入水の目安は、不完全葉(初
生葉)の抽出を確認してから
が一般的です。
写真6
走り水の状態
芽長4mm
根の状態
根長13mm
走水後の発芽状態
(イ) 入水時の出芽状態
①低温時の入水は、出芽が遅延しますので避けます。
地上部が 0.5mm程度、根が約 2.0cm程度伸長
②1m当たり30∼40本位出芽した状態で入水します。
上記事項が確認できたら一度、ひたひた水程度に入水し止め水とします。
(水が引けてくるがそのまま)。
本葉 1葉が出る頃に、本格的に入水しましょう。
発根が不十分な状態で入水すると、浮き苗の原因となります。
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写真8
(ウ) 出芽後の管理
掛け流し等は水温を低下させます → 苗立ち不良
透排水性が不良なほ場の停滞水は種子にカビが発生
→ 苗立ちが不良
(エ) 入水時期の管理(苗立ち初期の水管理)
①苗立ちが安定するまで
→ 田面が露出しない程度の水深を保つ
②低温、強風時 → 深水管理の実施
③過度の亀裂は入れない
ウ 入水後の管理
(ア) 水管理(茎数確保する上で重要な時期)
①入水時期 → 出芽してから入水する。
②初期の入水深 → 1葉が隠れる程度(2∼3cm)の水
深で管理し、生育を促進させる。
水深を深めに管理すると・・・
分げつが遅れ、軟弱徒長となり収穫期
の倒伏を助長します。 (写真10)
③根の定着の悪いほ場 → 中干しにより根を土中に
(写真11,12)
進入させる(芽干し)
。
④ワキ(土壌還元)の程度の強いほ場
→ 根傷み・根腐れにより根の活性が低下します。
→ 水の交換や中干しで対応します。
⑤入水は暖かい日に実施 → 冷水を入れると生育が
遅延します。
写真9
写真10
入水後のほ場
徒長によるなびき
写真11
入水後の浮き苗
(イ) 土壌の還元防止対策の徹底
①グライ土等で還元がしやすいほ場
短期間の落水や水の入れ換えにより土壌還元を
防止します。
②グライ田や排水不良田
→ 気温の上昇により土壌の還元が進むと根の伸長
が抑制 → 葉色の低下や分げつの抑制等の症
状が見えた場合
一時落水(状況により2∼3日程度)や用水の
入れ替えにより酸素を供給し、根の健全化に努
めます。
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写真12
浅播き株の根
【は種深度の違いから見た発芽の状態・落水期間・入水時期の管理のまとめ】
出芽後の入水タイミング
A
落水が不十分の時には種した場合(表層は種)
①出芽は早く、早く入水時期を迎
えますが、浮き苗、除草剤による
薬害の発生、倒伏が懸念されます。
②入水時期が遅れると鳥害(特に、
スズメ)の被害が大きくなります。
【対応】出芽が見え始めたら土壌の乾燥状態によって、早期に走水対応し根の活着をはかりま
す。
B
は種深が0.5∼1.0cmには種された場合(適正は種)
①出芽揃いは良好。入水時期は、
は種後10日前後が目安となりま
す。
②以降の管理作業(除草剤処理、
水管理、鳥害対策)がしやすい。
C
落水・ほ場均平が不十分の時には種した場合(は種深度ムラ)
①出芽は、表層は早く、深層は遅く
なり、出芽期間が長くなります。
②入水時期を早くすると深層部の籾
は出芽遅延、腐敗が発生します。
③入水時期が遅れると早く出芽した
ものは活着不良、鳥害被害が発生し苗立ちが不良となります。
【対応】出芽状態によって早期からの走り水対応と鳥害対策を実施します。
D
は種深度が2cm前後又は以上になった場合(深植)
①出芽は遅く、低
温時には更に出
芽が遅延する。
②一部腐敗し出芽
率が低下する。
③また、落水期間が長くなると田面の割れ、雑草の発生が多くなります。
写真13
【対応】落水期間を長くしますが、期間は 14日間を目処します。
入水は走り水・浅水管理から始め、出芽状況により本格的な入水管理を実施します。
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