2.各部署の活動マニュアル (1) 受入要請の連絡 医療活動の流れ 診療現場での対応 ①-1 電話で確認する情報 ① 緊急被ばく患者受入要請の連絡 ・患者の数(氏名、年齢) (連絡は、先進急性期医療センター ・病状(外傷の程度やバイタルサイン) に連絡が入る。) ・事故の概要 直通電話 011-716-2348 ・放射性物質汚染の状況 ・被ばく、汚染の有無、部位、程度 ・核種 ・おおよその患者の被ばく量 ・病院到着時間 ② 連絡網にて関係部署へ連絡 ②-1 連絡はマニュアルの連絡網を利用 (平日昼間用連絡網、夜間祝祭日用連絡網) ②-2 緊急被ばく医療チームの召集 ③ 緊急被ばく医療活動対策本部の 立ち上げ ③-1 情報の収集及び 関係部署への連絡・調整 マスコミ対策を行う、対策本部は病院長室 に設置する。 ④ 緊急被ばく医療チームの立ち上げ (メンバーは集合場所に集合し 連絡調整を行いながら準備等を 進める。) ④-1 医療チーム対策室(集合場所)を、先進急性期医療 センター救急室内に設置する。 (事務職員は、除染テントの使用 養生の範囲等により応援の人数 を確保する必要がある。対応は 対策本部の指示にる。) (初期立ち上げ時、北電職員は 居ない場合がある。対応は対策 本部の指示による。) ④-2 緊急被ばく医療チーム構成 ・先進急性期医療センター医師2名(リーダを含 む) ・先進急性期医療センター看護師 3名(2名招集) ・放射線科医師 2名(放射線科、核医学診療科の両病 棟医長で構成) ・放射線部技師 3名(3名招集) ・手術部看護師 2名(1名招集) ・中央診療検査ナースセンター看護師 2名(1名招集) ・5-2 看護師 1名(1名招集) ・防災センター職員 2名 ・事務職員 10名(10名招集) ・北電職員 5名以上(汚染防護員5名以上) ・他必要に応じて各部署に協力を依頼する ④-3 集合後情報を確認しメンバーに状況を説明する。 (2) 到着前の準備 医療活動の流れ ① 到着時間の確認 診療現場での対応 ①-1 対策本部で情報収集、連絡は、管轄消防本部等 からはいる。 ①-2 対策本部から関係部署に連絡する。 - 242 - ② 搬送経路の確認 ②-1 除染の必要が無い場合は、救急玄関からセンタ ー救急室内初療室まで搬送する。 ②-2 除染の必要がある場合、除染テントで除染後、セ ンター救急室内初療室ぶ搬送する。 ②-3 手術を行う場合は、センター救急室内初療室から 3F の廊下を搬送して、手術部入口へ搬送する。 ②-4 放射線検査を行う場合は、センター救急室内初 療室から3F の搬送エレベータ(手術患者専用) を使用して1F へ搬送する。 ③ 管理区域の設定 ③-1 搬送経路は全て一時的な管理区域として設定す る ③-2 患者の汚染部位は密閉して搬送する。汚染の状 況によって救急玄関からエレベータまでの間は、 ビニールシートを張り一時的管理区域とする。 (一般人及び患者はアメニティホールの方に誘 導して、外来玄関を通路とする。夜間なども同様 にして、外来玄関を開けて、患者等を誘導す る。) ③-3 管理区域内には一般人が立ち入らないように、柵 や看板等を設置し人を配置する。 ③-4 搬送後は汚染検査を行った後、汚染が無い場合 は管理区域を開放する。 ④ 通路の養生 ④-1 患者の汚染部分を密閉して搬送することとし、通 路は養生をしない。 ④-2 しかし、汚染の状況によって、搬送通路の床、エ レベータの壁等が汚染の恐れがある場合は、防 水シートをはりテープで固定する。 ⑤ センター救急室内初療室の養生 ⑤-1 初療室内の床にビニールシート、又は吸水シート を敷く。 ⑤-2 使用しない器材などは運び出す。 ⑤-3 器材などにビニール等で覆う、目張りをする。 ⑤-4 詳細は先進急性期医療センターマニュアルを参 照。 ⑥ 使用物品の確認 ⑥-1 緊急被ばく医療に使用する器材は先進急性期医 療センターで保管している。 ⑥-2 放射線測定器は放射線部の備品を使用する。 ⑥-3 その他必要な、使用機材、機器は当院のものを 使用するが、汚染する可能性があるため、ビニー ル等で覆い目張りをする。 ⑦ 除染テントの使用 (対策本部の指示により、 除染テントを設営する。) (患者が複数人数の場合、及び、 ⑦-1 除染テントの保管・管理は管理課がしている。 (災害備蓄倉庫内) ⑦-2 設営場所は外来棟病棟間の南側 - 243 - 体表面、衣類等広範囲の汚染が ある場合) ⑦-3 電気、給水、排水の配線配管を行う。 ⑦-4 設営は事務部門が主体になって行う。 (3) 患者の移送 医療活動の流れ ① 救急車の受入 診療現場での対応 ①-1 到着時間に会わせて、救急車停止場所、玄関を 一時的な管理区域とし、一般人の通行禁止措置 をする。 ①-2 放射線部担当者は、救急玄関にサーベイメータ を持参し、汚染部位等は開封しないで測定する こと。 ①-3 患者の汚染拡大防止の状態を確認する ② 患者の受け取り ②-1 玄関等での患者の載せ替えはしないで、救急車 のストレッチャーでそのまま搬送する。 ②-2 密封されている箇所は、解放しないでそのまま搬 送する。 ②-3 搬送後直ちに汚染の有無の測定を行い、無けれ ば管理区域を開放する。 ②-4 シート等は専用の袋に入れて管理する。 ③ エレベータでの搬送 ③-1 エレベータは防災センター職員がカギを使用して 1階で扉を開けて停止しておく ③-2 搬送者や管理区域に入る者は、扉、壁等に触ら ないようにすること。 ③-3 搬送後直ちに汚染の有無の測定を行い、無けれ ば管理区域を開放する。 ④ 3階先進急性期医療センター 救急室の初療室への搬送 ④-1 3階エレベータから真っ直ぐ救急室の初療室に搬 送する。 ④-2 初療室内でベットへ移動する。この時、汚染部位 は解放しない。 ④-3 救急車のストレッチャーは、初療室前廊下(養生 済み)で汚染検査し、無ければそのまま搬出す る。汚染がある場合は、ストレッチャーのその場 所を密封する。 ⑤ 管理区域の解除 ⑤-1 通路等一時的管理区域にした場所は、搬送後汚 染検査の測定を行い、無い場合は管理区域を 開放する。 ⑤-2 床等の養生に使用した物は全て廃棄物用ポリ袋 に入れて密封する。 ⑤-3 測定の記録は記録用紙に記録すること。 ⑤-4 汚染が有った場合は、その部分をマークし汚染 - 244 - が拡大しないようにシート等で覆い管理区域とし て管理する。汚染の内容は対策室に報告し徐染 方法等について検討する。 ⑥ 除染テントを使用する場合 (患者が複数人数の場合、及び、 体表面、衣類等広範囲の汚染が ある場合) ⑦ 防災ヘリ等を使用して直接 搬入する場合 ⑥-1 救急車の停止場所を除染テントの近くに設定 ⑥-2 患者を直接テントに収納し、線量測定を行う ⑥-3 除染が必要な場合は、衣類を脱いでいただき、 除染のためシャワーを浴びて後測定する。 ⑥-4 ストレッチャーにて、先進急性期医療セン ター救急室の初療室への搬送する。 ⑥-5 着替えた衣類、使用物品は汚染物としてビニー ル袋に密閉する。 ⑥-6 汚水の処理は、汚水タンクに入れて密封する。 ⑦-1 搬送は患者の汚染部位等を密閉して行う。 ⑦-2 救急車の搬送と同様に患者の載せ替えは行わ ないでそのまま搬送する。 ⑦-3 その他は、救急車の搬送とお同じ。 ⑦-4 ヘリ等の汚染検査は、事業者と協力して行う (放射線部員)。 (4) 先進急性期医療センターでの処置 医療活動の流れ 診療現場での対応 ①-1 汚染区域で処置に当たるのはセンター医師2名・ ① 初療室の準備 看護師1名(直接介助=ホット)と養生区域で介 (汚染防御、スタッフ) 助する看護師1名(セミホット)は個人被ばく線量 計を装着し、汚染防御服を着用する。 ①-2 同様に汚染箇所の測定にあたる放射線科医師も 汚染防御服を着用する。 ①-3 汚染区域内に立ち入る者は4名とする。 ①-4 外回り看護師(救急部)1名を確保する(コールド) ①-5 センター内廊下(初療室の前)を養生し着替え場 所とする ② 初療室の準備 (汚染防御、器材) ②-1 動かせる物をすべて初療室より搬出する。 (麻酔器、救急カート、記録テーブル、初療用スト レッチャー、ビニールなどをかけてある棚・ごみ箱2 つを除く全部、使用していないモニタ、12誘導心 電図、点滴棒等) ②-2 床を防水シートで養生し、室内の壁、棚等を養生 する。(薬品棚・物品棚・保温庫・水回り2ヶ所) ②-3 養生し初療室内に搬入するもの - 245 - (吸引器2台・ポータブルモニタ本体、ポータブル レントゲン、エコー、DC、無影灯、電話2、再来 用ストレッチャー、処置台2、足台1) ②-4 初療室の床は、汚染した液体が飛散する事が考 えられるため、濾紙シートで養生する。 ③ 初療室の準備 (必要物品) ③-1 汚染防止資器材の準備 ○計測物品→GMサーベイメータ(放射線部技師 が用意する) ○ストレッチャー(再来用を使用、酸素ボンベ1付 き)2重にビニールシートで養生する。養生した 上にディスポシーツを適時取り替えられるように 複数枚敷いておく。 ○ビニール袋(各種)・ビニールシート(予備・患者 搬出時)・養生用テープ・ゴム手袋(S/M/L1 箱)・ポリバケツ2・ごみ箱1・感染廃棄物用袋と 白バケツ(1) ③-2 除洗物品の準備 ○滅菌ガーゼ ○ウエットティッシュ ○洗剤(中性洗剤・シャンプー・オレンジオイル) ○ブラシ(歯ブラシ・手洗いブラシ・スポンジ各1) ○膿ボン(吐物受け用と除洗用4) ○紙オムツ2袋・ブルーシーツ小1袋 ○洗眼器1 ○尿器 ○ポータブル便器 ○裁ちばさみ2 ○滅菌セッシ(10本) ○洗浄用注射器 ○生理食塩水 ○純水(18l) ○洗髪器 ○バスタオル1・タオルケット1・患者ディスポ寝衣 ○その他不足時は調達 ③-3 医療器材の準備 (救命処置・デブリードマン・検体採取に使用) ○検体採取→採血スピッツ(通常のCBC・生化学 2・血型・凝固・FDP に加え、EDTA20ml 分3本 (HLA))鼻腔・口角・外耳スミア用綿棒・尿・便 の検体容器 ○検体採取後コールド看護師がビニール袋で受 け取り名前・日付・時刻を記入する ○患者の衣服はビニールに入れ名前・日時を記入 して保管 ○患者の貴重品はビニールに入れ名前・日時を記 入して保管 ○静脈確保物品(駆血帯1・インサイト22G・20G・ 18G各2本) - 246 - ○採血、薬剤投与に使用するシリンジと針(10cc、 20cc、50cc 各5本) ○ライン固定用テープ ○ペンライト(養生する) ○体温計(養生する) ○デブリードマン時に使用する歯ブラシ1 ○テタノブリン・トキソイド ○創処置時に使用するイソジンスワブ、ガーゼ・イ ソジン綿球 ○ドレープ(大) ○滅菌ハサミ3本 ○縫合セット1 ○滅菌パック(中に糸、滅菌オイフ、メスあり)1 ○除洗部位を覆うテガダーム(大1箱) ○リザーバーマスク大1・カヌラ1 ○挿管セット大1 ○挿管チューブ7.5、8,0各1 ○ジャクソンリース1 ○サクションチューブ12Fr(数本) ○キシロカインゼリー1 ○アルコール綿 ○点滴セット3 ○輸液(ヴィーンF2) ○動脈ライン ○薬剤(局麻キシロカイン1、鎮痛剤、鎮静剤、蘇 生薬品) ○酸素(養生) ○聴診器1(養生) ○モニタ(血圧・心電図・SPO2全て使用後破棄で よい) ○尿カテーテル14Fr2本、尿バック、ワッサー5cc ○処置台2(養生) ○記録(通常の救急部用はセミホット看護師・汚染 部位などの記録は放射線医師記載) ○以上で不足な分はコールドが補充 ④ 汚染防御装備 ④-1 マスク・帽子・ガウン・ゴーグル・シールドマスク・足 袋・長靴 ④-2 手袋は2枚履き、処置毎に2枚目を履き替える。1 枚目の手袋はテープで密着させる。 ④-3 足袋の上部、ガウンの背中つなぎ目は、すべてテ ープで補充する。 ④-4 ガウンに名前を記入する。 ⑤ 患者搬入 ⑤-1 搬入後のサーベイ→救急隊ストレッチャーから処 置室ストレッチャーに移送後 ⑤-2 全身状態を観察しつつ(ABC)脱衣しサンプル (口、鼻、創、皮膚)採取 ⑤-3 バイタルサイン(クイックサーベイ、除染後) - 247 - ⑤-4 輸液確保(同上) ⑤-5 汚染部位の除染 ⑤-6 創傷部の除染 ⑥ 除染について(外部汚染の除染) ⑥-1 皮膚表面(汚染された創傷部→眼→鼻→口→健 常皮膚の順) 健常皮膚では汚染の高いところから低いところ へ行う (1)皮膚除洗:ぬるい水(温生食)でスポンジを用 いて静かに洗浄。洗浄液はオムツで受け取る (2 除染できない場合は中性洗剤で3〜4分ブラ ッシングして、2〜3分すすぐ。(オムツで受け 取る) ガーゼで拭き取り乾燥させ、測定を行い繰り 返す ⑥-2 頭部・頭髪の除染 (1)濡らしたオムツで拭いた後シャンプーを繰り 返し除染(洗浄液はオムツで受け取る) (2)洗浄液が眼や口、耳に入らないように注意す る (3)剃毛は禁 ⑥-3 全身が広範囲に汚染されている場合(1次除染さ れてくるため可能性は少ない)は、ストレッチャー にオムツを敷き、シャワーを使用して除染 ⑦ 除染について(創傷汚染) ⑦-1 汚染が広がらないように創以外の部分をドレープ で覆う ⑦-2 生理食塩水で3分間洗浄する(オムツで受け取 る) ⑦-3 サーベイを行う ⑦-4 除染処置が不十分な場合、圧迫帯を用いて出血 させ、放射線物質の排除を促進させる ⑦-5 放射性物質が付着した物質等により創傷が汚染 されていれば、セッシで取り除く ⑦-6 汚染が残る場合はデブリードマンを行う(必要物 品不足時はコールド看護師が調達)。 ⑧ 除染について (口・鼻・眼・耳の汚染) ⑧-1 口の汚染は、歯磨き後、3%クエン酸で濯ぐ。 ⑧-2 咽頭部まで汚染している場合は、3%過酸化水素 水で含嗽。 ⑧-3 鼻の汚染は、医師が生理食塩水で洗浄する。 ⑧-4 眼の汚染は、内側から目尻にかけて生理食塩水 で洗浄する。 ⑧-5 耳の汚染は、鼓膜に損傷がなければ、医師により 外耳道を生理食塩水で洗浄する。 ⑨ 除染後の退室 ⑨-1 ストレッチャーの1枚目に敷いてあるビニールシー トを外し、センター内廊下で移送用ストレッチャ ーに移動する。(ストレッチャー同士がくっつきす - 248 - ぎないように注意する) ⑨-2 手術、放射線検査などが必要となった場合は、関 係部署と協議して準備を進める。 ⑨-3 退室後初療室、廊下、エレベータのサーベイ ⑨-4 医療従事者は、汚染防御服を脱いでサーベイを 受ける ⑨-5 脱衣場所は救急部内廊下(養生した位置) ⑨-6 脱衣方法は、処置室でゴム手袋2枚目→マスク→ 帽子→ガウンの順で外す 足袋と長靴は管理区域を出るときの境界で脱ぐ ⑨-7 処置等で発生した放射性廃棄物(汚染物)は、事 業者側に引き取ってもらう。もし病院内で一時保 管する場合は放射線部内の保管廃棄室を一時 保管場所とする ⑨-8 使用器材の片づけ ⑩ 汚染物の処理 手術部で手術をおこなう場合 医療活動の流れ ① 手術が必要かどうかの判断 ⑩-1 除染に使用した材料等一式は、汚染物となる。 (医療材料等、生理食塩水などは一般ゴミ、医療廃 棄物、病院の排水設備に廃棄することはできな い。) ⑩-2 患者の生体試料、洗浄液なども汚染物となる ⑩-3 汚染物は全て放射性廃棄物となる。廃棄物は密 閉して、事業者側に引き渡す。もし病院内で一 時的に保管する場合は、放射線部内保管廃棄 室に保管する。 ⑩-4 処置等で発生した廃棄物は放射性廃棄物も含め ては事業者側に引き取ってもらう。 (5) ② 使用する手術室の養生、準備 診療現場での対応 ①-1 手術が必要な場合は先進急性期医療センター又 は対策本部から手術部に連絡する。 ①-2 スタッフの招集 (1) 日中 → 師長が対応、直接関わる看護師を決 める 部長・副部長へ連絡 (2) 夜間/祝祭日 → 16 勤者対応 1 名は救急部 へ集合し情報収集 1 名は師長・副師長・副部長へ連絡 (3) 手術申し込み→臨時手術と同様に申し込む (4) 手術室 → №6室を使用する ②-1 手術部までの患者搬入通路は、養生しない。(汚 染除去をおこない、汚染部位は密閉して搬送す る。) - 249 - ②-2 手術室内に一時的管理区域を設定し手術室の 養生をおこなう。手術室6を使用 ②-3 汚染防御(スタッフ) №6 室に入る人を最小限とする 医師、麻酔科医師、看護師(ホット)1 名、 個人被ばく線量計を全員装着し必要時は防御 服を着用 汚染状況測定にあたる放射線科医師も防御服着 用 外回り看護師 1 名(コールド) ②-4 汚染防御(器材) 必要器材以外全て室外へ搬出 ②-5 使用器材などの養生をおこなう。 (患者の汚染の状態、汚染部位、おこなう手術の内 容等により準備が異なるので前もって協議が必 要。) ②-6 手術室内(№6 室)準備 (1) 感染症手術時と同じ考え方で準備をする体液 は全て放射能汚染物と考えて取り扱う。 (2) 動かせないものすべて養生 → 手術台周囲 に置くもの、吸引機(フィットフィックスを使用し 血液は凝固させる)電メス・点滴棒・手術台を 養生する。 (3) 室内の床にシートを張り養生する (麻酔カート、麻酔器、手術台、メーヨ台、処置カ ート)、バケツ、足台はビニール袋をかける (室内壁、棚等は養生しないが、汚染の状況によ っては必要となる。対策本部の指示により行 う。) ②-7 手術器械器具は最小限のものとする 通常の手 術準備、ディスポ使用 ③ 患者の移動 ③-1 患者は先進急性期医療センターで除染されシー トに覆われてストレッチャーで入室する ③-2 手術台への移動は全員手袋・マスク・ガウンを着 用し移動させる ③-3 搬入後ストレッチャー等を含めてサーベイを受け る その後ストレッチャーは先進急性期医療セン ターへ戻す ④ 手術中の汚染拡大防止 ④-1 手術室のホットな管理区域に入るスタッフを特定 する。 ④-2 汚染防御の準備 (1) マスク、帽子、ガウン、ゴーグル、シールドマス ク、足袋、長靴 (2) 手袋は 2 枚がさねにしずれないように注意を払 う 瀕回の交換(他は処置毎) (3) 足袋の上部、ガウンの背部はすべてテープで 止める - 250 - (4) ガウン等には名前を記入する(着用時) ④-3 手術中の汚染防御 (1) 全員汚染防御にそった防備を整える (2) 体液は全て床に落とさずごみ箱に入れ感染性 廃棄物として扱う (3) 血液はフィットフィックスを使用し血液を凝固さ せる (4) 手袋の破損に注意をする (5) 手術終了時は、患者の清拭を行い浸出液がも れないように創部を保護をする (6) 先進急性期医療センター集中治療室に送る ⑤ 手術後の処置 ⑤-1 手術中に出た廃棄物は全て放射性廃棄物として 取り扱う。 (1) 全ての体液(唾液、痰、血液、尿、便、吐瀉物) はビニールの入ったバケツに入れて処理を し、感染性廃棄物と同様に処理。 (2) ゴミは分別し氏名・時間を記入した上でビニ ール袋・容器(白ボックス)に密閉する。 (3) 手術室内の養生したシート等を全て外しビニ ール袋に入れ密閉する。(ガウン、靴袋などを して、養生を外した場所に行くと汚染を拡大 する恐れがあるので注意すること。) ⑤-2 患者に使用した器材器具はすべてサーベイを受 ける(放射線科医師・放射線部技師) ⑤-3 手術器械が汚染されていれば全て廃棄。汚染が なければ通常の処理をする。 ⑤-4 すべての人はディスポガウン、マスク、ゴーグル等 を脱いでサーベイを受けて室外へ ⑤-5 室内をサーベイし汚染の無いことを確認し、管 理区域を開放する。 ⑤-6 使用した機材、汚染物、養生の機材などは、事業 者側に引き渡す。もし病院内で一時的に保管す る場合は、放射線部内保管廃棄室に保管する。 (6) 先進急性期医療センター集中治療室に患者を収容する場合 医療活動の流れ 診療現場での対応 ① 集中治療室(以下、ICUという)での ①-1 ICU への収容が必要な場合は先進急性期医療 センター担当者又は対策本部から連絡する。 入院・管理が必要かどうかの判断 ①-2 スタッフの招集 (1) 緊急被ばく医療を担当するスタッフを決める。 (2) 収容する部屋は、ICU の隔離室とする。 ② 使用する検査室の養生、準備 ②-1 ICU に収容する傷病者は、すでにセンター、及 び、手術部で汚染除去を終わっているものとす - 251 - ②-2 ②-3 ②-4 ②-5 ②-6 る。しかし、部位によっては汚染が残っている場 合もあるが、汚染部位は密閉して汚染が拡大し ないようにして移動する。 移動の経路は、傷病者の汚染の状態で判断する が、汚染除去が終わって、密閉した場合は、廊 下などの養生はおこなわないものとする。 収容する病室の床には吸水シート等を張り、床が 汚染されないように養生をする。 傷病者から排泄される糞尿、血液、体液等は内 部汚染が有る場合は放射性同位元素が含まれ ている汚染物として白バケツに保管して取り扱 う。 器材の汚染防御のため必要器材以外は全て室 外へ搬出する。養生し ICU 隔離室内に搬入する もの〜ベット・ワゴン・テーブル・ゴミ箱・汚物保管 バケツ(白バケツ)・回診車(創がある場合ピンク 回診車に準備) 使用する検査装置の養生をする 検体採取→採血スピッツ(通常のCBC・生化学 2・血型・凝固・FDPに加え、EDTA20ml 分3本 (HLA)) 鼻腔・口角・外耳スミア用綿棒 ペンライト(養生する) 体温計(養生する) 聴診器(養生する) ③ 収容中の汚染拡大防止 ③-1 傷病者の汚染の状況、汚染部位、内部被ばくの 有無などを把握する ③-2 汚染防御 (1) マスク、帽子、ガウン、ゴーグル、足袋、長靴 (2) 手袋は2枚履き、処置毎に2枚目を履き替え る。1枚目の手袋はテープで密着させる。 (3) 足袋の上部、ガウンの背中つなぎ目は、すべ てテープで補充する。 ④ 廃棄物の処理 ④-1 収容中に出た廃棄物は全て放射性廃棄物として 取り扱う。 (1) 全ての体液(唾液、痰、血液、尿、便、吐瀉物) はビニールの入った白バケツに入れて処理を し、感染性廃棄物と同様に処理。 (2) ゴミは分別し氏名・時間を記入した上でビニ ール袋・容器(白ボックス)に密閉する。 (3) 検査室内の養生したシート等も全てビニール 袋に入れ密閉する。 ④-2 患者に使用した器材器具はすべてサーベイす る。 ④-3 使用した機材等も汚染が無いかどうかをサーベイ する。 ④-4 廃棄物及び使用した機材、養生の機材などは、 - 252 - 事業者側に引き渡す。もし病院内で一時的に保 管する場合は、放射線部内保管廃棄室に保管 する。 (7) 放射線部で検査・治療をおこなう場合 医療活動の流れ 診療現場での対応 ① 放射線部での検査(治療)が必要か ①-1 放射線部での検査(治療)が必要な場合は先進 急性期医療センター又は対策本部から連絡す どうかの判断 る。 ①-2 スタッフの招集 (使用する検査室は、当日の状況、 (1) 日中 → 技師長が対応、直接関わる技師、ス 検査内容を確認し担当者と協議し タッフを決める。中央診療検査ナースセンター 技師長が決める。) 看護師長が対応、看護師を決める。 (2) 夜間/祝祭日 → 放射線部当直者、中央診 療検査ナースセンター16 勤看護師に連絡、ス タッフを招集する。 (3) 検査は血管造影室3を使用する。(血管造影、 CTその他の検査はこの検査室で行う。) (CT検査だけの場合は第3CT 検査室を使用す る。) ② 使用する検査室の養生、準備 ②-1 放射線部までの患者搬入通路は、養生しない。 (先進急性期医療センターで汚染除去をおこな い、汚染部位は密閉して搬送する。) ②-2 放射線部内に一時的管理区域を設定し検査室 の養生をおこなう。血管造影室3を使用 ②-3 汚染防御のため、検査室に入る人を最小限とす る。放射線技師は検査室内担当と操作室担当を 分ける。検査担当医、看護師、技師は個人被ば く線量計を装着する。 ②-4 器材の汚染防御のため必要器材以外は全て室 外へ搬出する。 ②-5 使用する検査装置の養生 (装置が汚染されると汚染除去が大変であるの で、装置のベット、装置等をきちんと養生すること が必要である。) (CT 装置など装置の操作部、レーザ投光器等は 透明のビニールシートを用いて養生すること。) ③ 検査中の汚染拡大防止 ③-1 患者は先進急性期医療センターで除洗されシー トに覆われてストレッチャーで入室する ③-2 汚染防御 (1) マスク、帽子、ガウン、ゴーグル、シールドマス ク、足袋 (2) 手袋は 2 枚がさねにしずれないように注意を払 う 瀕回の交換(他は処置毎) (3) 足袋の上部、ガウンの背部はすべてテープで - 253 - 止める (4) ガウン等には名前を記入する ④ 検査後の処置 ④-1 検査中に出た廃棄物は全て放射性廃棄物として 取り扱う。 (1) 全ての体液(唾液、痰、血液、尿、便、吐瀉物) はビニールの入ったバケツに入れて処理を し、感染性廃棄物と同様に処理。 (2) ゴミは分別し氏名・時間を記入した上でビニ ール袋・容器(白ボックス)に密閉する。 (3) 検査室内の養生したシート等を全て外しビニ ール袋に入れ密閉する。(ガウン、靴袋などを して、養生を外した場所に行くと汚染を拡大 する恐れがあるので注意すること。) ④-2 患者に使用した器材器具はすべてサーベイす る。 ④-3 検査室内のすべての人はディスポガウン、マス ク、ゴーグル等を脱いでサーベイを受けて室外 へ ④-4 室内をサーベイし汚染の無いことを確認し、管理 区域を開放する。 ④-5 廃棄物及び使用した機材、養生の機材などは、 事業者側に引き渡す。もし病院内で一時的に保 管する場合は、放射線部内保管廃棄室に保管 する。 (8) 病棟に患者を収容する場合 先進急性期医療センターでの初期治療の後、病棟への収容が必要になった場合 (5-2 病棟-放射線治療病棟、3-2 病棟-救急科、12-2 病棟-無菌病室、5-1 病棟-無菌 病室) 医療活動の流れ 診療現場での対応 先進急性期医療センターでの初期治療 後に病棟への収容が必要になった場合 ① 5-2 病棟-放射線治療病室へ傷病 ①-1 複数の傷病者が発生した場合等で、先進急性期 医療センター救急室だけでは収容できない場 者の収容 合、5-2病棟-放射線治療病室及び 3-2 病棟① 3-2 病棟-救急科へ傷病者の収容 救急科に収容する。それ以外の場合は、対策本 部で判断する。 ①-2 収容する傷病者の条件 (1) 一般病室(3-2 病棟-救急科を含む)に収納す る患者は、処置などが終了し汚染検査の結 果、安全と宣言された患者とする。 (2) (1)以外の患者は、放射線治療病室に収納す る。これらは、 - 254 - (外部被ばくを受けた患者で、血液検査等から幹 細胞移植などを必要としないもの。) (体表面の汚染がある患者で、汚染除去を行い、 汚染部位を密閉したもの。) (体内汚染の内部被ばくが考えられるが、その程 度が少ないもの。) ② 使用する放射線治療病室の養生、 ②-1 放射線治療病棟内の治療病室内床には吸水シ ートを張る。また、必要にない物は搬出する。 準備 (一般病室(3-2 病棟-救急科を含む ②-2 トイレ、洗面台は使用しなで、発生した汚水は別 に蓄えるものとする。 の場合は、養生の必要がない。) ③ 放射線治療病室収容中の汚染拡 ③-1 患者は先進急性期医療センターで除染され、汚 染検査をおこなってから収容する。 大防止 (一般病室(3-2 病棟-救急科を含 ③-2 汚染防御 (1) マスク、帽子、ガウン、ゴーグル、シールドマス む)の場合は、汚染拡大防止の対応の ク、足袋 必要がない場合とする。) (2) 手袋は 2 枚がさねにしずれないように注意を払 う 瀕回の交換(他は処置毎) (3) 足袋の上部、ガウンの背部はすべてテープで 止める (4) ガウン等には名前を記入する ④ 放射線治療病室収容患者退室後 ④-1 収容中に出た廃棄物は全て放射性廃棄物として 取り扱う。 の処置 (1) 全ての体液(唾液、痰、血液、尿、便、吐瀉物) はビニールの入ったバケツに入れて、感染性 廃棄物と同様に処理。 (2) ゴミは分別し氏名・時間を記入した上でビニ ール袋・容器(白ボックス)に密閉する。 (3) 検査室内の養生したシート等を全て外しビニ ール袋に入れ密閉する。(ガウン、靴袋などを して、養生を外した場所に行くと汚染を拡大 する恐れがあるので注意すること。) ④-2 患者に使用した器材器具はすべてサーベイす る。 ④-3 検査室内のすべての人はディスポガウン、マス ク、ゴーグル等を脱いでサーベイを受けて室外 へ ④-4 室内をサーベイし汚染の無いことを確認し、管理 区域を開放する。 ④-5 廃棄物及び使用した機材、養生の機材などは、 事業者側に引き渡す。もし病院内で一時的に保 管する場合は、放射線部内保管廃棄室に保管 する。 ⑤-1 被ばく線量が2Gy 以上が予想される場合、或い ⑤ 12-2 病棟-無菌病室、及び、 は初診時リンパ球数 600/ul 以下、血小板数 6 万 5-1 病棟-無菌病室へ傷病者の収容 - 255 - /ul 以下の場合、高度の顆粒球減少およびリン パ球減少をきたしやすいため、高度無菌治療部 での治療が必要であり入室を考慮する。 ⑤-2 患者到着時に造血幹細胞移植に備えて、一般検 血に加え HLA タイピング用(EDTA-2NA 7ml) も採取し、必要時検査部に提出する。 ⑥ 無菌病室に収容する場合の連絡体 ⑥-1 上記⑤-1 の基準を満たす場合には、緊急被ばく 医療チームから、当該病棟看護師長に連絡をも 制 らい、血液内科が主治医として診療にあたる。 (小児の場合は小児科) ⑥-2 部内での連絡体制は、連絡網に則り連絡する。 ⑦ 高度無菌治療部医療チームの結成 ⑦-1 上記の連絡を受けた血液内科、小児科は当該病 棟看護師長とともに、被ばく医療チームと合同の 高度無菌治療チームを結成する。 ⑦-2 医療チームは無菌治療に向けた、造血幹細胞移 植の適応等(HLA 適合同胞の存在、骨髄バンク ドナー検索、臍帯血バンク検索)につき検討を行 う。 ⑧ 無菌病室での対応 ⑧-1 治療・処置は通常の移植治療時と同様に行い、 汚染物の廃棄処理を徹底する。 ⑧-2 患者の排泄物、血液などは全て汚染物となるの で注意が必要。 ⑧-3 廃棄物及び使用した機材、養生の機材などは、 事業者側に引き渡す。もし病院内で一時的に保 管する場合は、放射線部内保管廃棄室に保管 する。 (9) 測定、記録、及び、廃棄物の取扱 医療活動の流れ 診療現場での対応 ①-1 使用した防水シート等は廃棄物袋(ポリ袋)に入 ① 養生の片付け れる。(袋を汚染された床等に置くと袋が汚染さ れるので注意すること。) ①-2 かたづけた後汚染がないかどうか測定を行う。 ② 先進急性期医療センター初療室、 手術室、検査室等の措置 ②-1 使用した物は全て汚染物として扱う。 ②-2 室内の養生、機器の養生、着衣等全てビニール 袋に入れて密封する。(袋を汚染された床等に 置くと袋が汚染されるので注意すること) ②-2 仕分けをして廃棄物袋(ポリ袋)に収納 ③ 汚染物の処理 ③-1 液体、使用材料の袋等管理区域に持ち込んだ物 は全て汚染物となる - 256 - ③-2 汚染物及び汚染の可能性のある物等廃棄物は、 全て事業者に引き渡す。 ③-3 もし病院内で一時的に保管する場合は、放射線 部内保管廃棄室に保管する。 ④ 測定及び記録 ④-1 放射性核種を考慮して測定器(サーベイメータ 等)を使い分けること。 1) γ線放出核種は、シンチレーションサーベイ又 は電離箱サーベイを用いて測定すること 2) β線放出核種は、GMサーベイを用いて測定 すること 3) α線放出核種は、α線用シンチレーションサー ベイを用いて測定すること、(但し、正確には測 定できないので試料を採取して液体シンチレー ションカウンター等を利用することが必要にな る。) 4) 中性子放出核種は、中性子サーベイ(レムカウ ンター)等を用いること ④-2 スミヤ、生体サンプル等は記録とともに検体を保 存すること。 ④-3 内部被ばくなどは他の専門機関(放射線医学総 合研究所等)の協力の基に行う。 ④-4 測定結果は測定場所、測定機器、測定法法等を 含み詳細に記録すること。 ⑤ 一時管理区域の解除 ⑤-1 汚染検査の測定後、汚染がない場合は一時管理 区域を解除する。 - 257 -
© Copyright 2024 Paperzz