筑波大学公開講座「菌類と昆虫の共生関係」を開催 9 月 24 日(土) 、生命環境系の教員による公開講座「菌類と昆虫の共生関係」が総合研究 棟A棟にて開催されました。この公開講座は平成 28 年度筑波大学公開講座として興味のあ る方を対象に筑波大学の社会貢献活動の一環として実施しているものです。この日の講座 には、生命環境系の山岡裕一教授、出川洋介助教、平尾章助教とともに森林総合研究所の佐 藤大樹氏や理化学研究所バイオリソースセンターの遠藤力也氏らこの分野の専門家をお招 きして開催され、幅広い年代の方々に受講いただきました。 森林総合研究所の佐藤大樹氏は、漢方薬「冬虫夏草」を人工的に作る実験からマツ材線虫 病(マツ喰い虫によるマツ枯れ症状)の防除剤の開発に至る研究成果について述べられる一 方でキノコを背負ったポケモンキャラクター「パラス(注1)」を取り上げるなど、環境問 題から時節の話題まで豊富な内容でお話いただきました。理化学研究所の遠藤力也氏は、 「森林に住む甲虫は酵母資源の宝庫である」と国産資源の可能性について語られました。 また、菅平高原実験センターの出川洋介助教は昆虫の腸内菌の研究者ですが「私の一番大 好きな菌の画像」と廃屋の畳に生えたカビの画像が紹介され、会場が瞬時に凍りついた雰囲 気になったものの、山岡裕一教授のお話する体長 5mmに満たない虫と共生する菌のミクロ の世界には人工林の更新がされないなど、人間の生活環境のバランスが大きく係っている のではないかとお話され、平尾章助教は菅平高原実験センターでの花蜜の酵母と訪花昆虫 であるマルハナバチの共生関係の研究を通して研究活動が紹介されました。 本学では公開講座等を通して、筑波大学ではどのような研究をしているのか、私たちの身 近にある科学に多くの方が関心を持っていただけるような貢献活動に今後も取り組んでい きたいと思っております。 (注1) パラス: 「虫ポケモン」と呼ばれる蝉の幼虫のような虫がキノコを背負っているもので、虫から栄養をと っているキノコが本体。このキノコが成長(ゲーム上では“進化”という)すると、虫の目が黒目から白 目になり「パラセクト」というキャラクターに変わる。 山岡裕一教授による「キクイムシと菌類の様々な共生」 下は講座会場にて標本閲覧 出川洋介助教による「昆虫と腸内菌の世界」 平尾章助教による「花の蜜を利用する酵母と昆虫の関係」
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