アルミ電線接続技術 アルミ電線接続ビジネス 1.各メーカとも銅線からアルミ線採用への動き加速 *なぜアルミ電線なのか 2. アルミ電線の課題 3.アルミ電線の課題対応 4.アプリケーション 1.なぜアルミ電線なのか アルミ電線のメリット ☆材料コストダウン効果“大”。 ・銅材料の1/2 ・資源の安定供給(埋蔵量:銅の10倍) ☆アルミ電線による軽量化。 ・銅電線の1/3 ・出力効率の向上(モーター回転部の軽量化) ・筐体(ケース)の軽量化。 ・海外生産輸送コスト低減 ☆巻線機は従来の銅線巻線機の調整で可能。 ・新たな設備投資なし。 付1.アルミ素材の特徴 比重 導電率 0.2%耐力 硬度 アルミ 2.7 62 37.7 2.5 銅 8.9 97 46 3 Al/Cu率 30.3% 63.9% 82% 83.3% アルミ線を銅線と同じ電流容量で使うと・・・ 0.75mm2の銅線を等価アルミ電線 1.17mm2のアルミ電線になります。 重さは・・・銅線の47.5% 価格は・・・銅線の28%(平成22年5月31日現在相場) *巻線コイル・コストが1/3、大型モータ、大量生産品に優位 2.アルミ電線接続の課題 アルミ材料の課題 1.異種金属材料による電位差による電解腐食発生。 2.表面の酸化速度が速く半田付け加工困難。 3.圧着接続後の強度の低下。 4.常温で応力緩和(冷間流れ)が発生。 最大の課題:応力緩和防止メカニズムが得られず実用域に達していない。 (1,2,3項は従来技術で対応可能。) 3.課題対応 アルミ材料の課題対策 1.異種金属材料による電位差。 ・端子/アルミ接触間に合金層生成により等電位化を実現する。 *従来圧着技術で可能。 2.表面酸化皮膜の生成速度が速い。 ・端子凸部で酸化皮膜の破壊を実現する。 *酸化皮膜破壊伸び以上の凸部高さが要件となる。 3.圧着接続後の強度の低下。 ・端子隔壁部を多数化し、ここの変形量を必要且つ最小変形とする。 3.課題対応 4.常温で応力緩和(冷間流れ)が発生。 ・アルミ高応力部を端子凸部構造で囲み応力転位防止を実現する。 *新技術により可能。 4項の最大の課題をクリアする。⇒パテント申請済み 特殊(凸部構造)端子によりアルミ電線接続が可能となった。 4.アプリケーション 白物家電 :冷蔵庫 (コンプレッサー、ダンパー) エアコン(コンプレッサー) 洗濯機 (ダイレクトモータ、モータ) 電子レンジ(エレクトロン) IHクッキングヒータ 車 両 :自動車(オルタネータ) パワステアシストモータ 電 車(車軸モータ) 産業モータ:かご型モータ ブラシレスモータ 4.アプリケーション 例:冷蔵庫圧縮機&モータ 冷媒圧縮機 アルミ接続端子 アルミ電線 コンプレッサー本体 ハーメチック・モータ 付.モータ・サイズ毎製品群 ① 中型出力、かご型モータ向け端子 電線径φ0.4~φ0.9用圧接端子 ② 車両、車軸モータ向け端子 電線径φ0.9~φ3用 クローズドバレル圧着端子 ③ 産業機器、ブラシレスモータ向け端子 電線径φ0.6~φ1.8用 圧接端子 付.銅・アルミ材料費比較 アルミ線を銅線と同じ電流容量で使うと・・・ 比重 導電率 0.2%耐力 硬度 0.75mm2の銅線を等価アルミ電線 アルミ 2.7 62 37.7 2.5 1.17mm2のアルミ電線になります。 銅 8.9 97 46 3 Al/Cu率 30.3% 重さは・・・銅線の30% 価格は・・・銅線の50%(平成22年5月31日現在相場) *巻線コイル・コストが1/3となり、大型モータ、大量生産品に優位 63.9% 82% 83.3% 付.アルミ結線課題と技術 その1 ① 酸化が早い。 → はんだ付けが困難 → 圧着率を下げ、変形量を増やす必要がある。 ② 引張耐力が銅の80% → 極端な断面積の減少、変形伸びは許容できない。 → 圧着率を極端に下げることはできない。 ③ 常温で応力緩和が進行する。(冷間流れ現象) → 圧着バレル接触界面維持の為の内部応力が得られない。 → 容易に圧着部抵抗が増加する。 付.アルミ結線課題と技術 その2 ④ 異種金属接合では電解腐食を発生する。 → 亜鉛以外の銅、錫、銀、金は電解腐食を発生する。 → 圧着による界面の合金層が冷間流れにより維持されず電解腐食を発生させる。 ⑤ アルミ材端子は上記①~③のすべての現象が発生する。 → 電解腐食の発生はないが機械強度、冷間流れによる接触界面の破壊され酸化する。 → アルミ端子+銅(錫メッキ)端子嵌合では①~④現象が発生する。 → アルミ端子、アルミ電線とした場合、リセ・コネクターのばね性(接圧)が維持されない。 上記課題の中でもっとも克服しなくてはならないのは・・・ 酸化皮膜の除去 冷間流れの防止 電解腐食の防止 付.アルミ結線課題と技術 その3 アルミ材の応力は加工外力によって圧縮され、内部組織は転移します。 (部分的に材料の密度が高くなった部位です。) この組織転移によって加工硬化や内部応力(反発力)を発生します。 外力 鉄や銅では焼きなましなどにより組織転移した密度差を平衡化 し意図的に応力緩和をさせますが、アルミは「焼きなまし」状態 が常温で且つ短時間に発生します。 付.アルミ結線課題と技術 その4 応力の高くなった部位を他の緩慢な部位と遮断し、閉じられた領域に応力を 集中することで他金属との接触界面への反発力(内部応力)を維持します。 C 4方向から応 力を閉じ込め ます。 A B 図に示す凸部材がアルミ材に食い込みA+BがC以上の密度の高い範囲を形成 し、応力を残します。 この応力が接触界面の反発力となり、接触部の合金層を維持します。 付.アルミ結線課題と技術 その5 電解腐食は、電位の異なる(離れている)異種金属が接触す ることで異種金属間の電位差によって、電子流が発生し、電 気分解されます。 アルミと端子(銅、錫、銀、金)の場合、接触界面を圧着、圧接 などの外力によって、冷間溶接化しアルミと端子素材を合金 層とすることで異種金属間の電位をなくすことが重要です。 安定した合金層を得るために銅母材より柔らかい錫メッキを 使用することで酸化皮膜除去に必要な伸びと合金層生成の 容易さを図ります。 付.アルミ結線課題と技術 その6 アルミ材の冷間流れ現象を特定範囲に閉じ込める為に・・・ 4項に示す4方向からなる凸部にはさまれた範囲において 冷間流れを閉じ込めますが、量産として安定化する為に以下の配慮が不 可欠となります。 ① アルミ電線径に適合した凸部高さとピッチを実現します。 ② 安定した圧縮(伸び)率を与えます。 ③ 接続後の代替検査を可能とする下死点管理を容易にします。 ④ アルミ材の機械強度を著しく低下させる鋭利な凸部を生成しません。 付.量産安定の接触構造 電線径φ0.9~φ3用 クローズドバレル圧着端子 2アイテム
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