実験研究! RCサーボモータの応答特性

ちょいとメカ制御に便利なお手軽モジュールをマジで使うために
実験研究!
RCサーボモータの応答特性
高速化時代!
滝田 好宏
出力軸
RCサーボモータ
ギヤ部
4段
2段
軸受
+V
ポテンショ
メータ
+V
マイコン,
ラジコン
受信器
など
制御基板
目標角
PWM
3段
1段
DC
モータ
角度フィード
バック
マイコン
変換
制御
演算
モータ
駆動回路
図 1 RC サーボモータの基本構造
マイコンにつなぐだけのお手軽モータ入りモジュールが進化している
RC サーボモータはラジコンなどの模型用に開発さ
れたモータ・モジュールです.模型以外にも角度など
をちょこっと制御したいときに簡単に使えます.図 1
に示すように,DC(ブラシ付き)モータ,演算制御用
マイコン,モータ・ドライバ(モータ駆動回路),減
速器(ギア部)などで構成されています.電流制御デ
バイスの処理速度が高速化したことで,小型で長寿命
なブラシレス・モータも使われるようになってきました.
2 足歩行ロボットやホバリング・ヘリなどに使う場
合は,特に高速応答が求められ,そのためには,構造
や性能を理解していないといけません.ここでは,市
販 RC サーボモータの構造や特性について実験を交え
て紹介します.
使える範囲が広がっている
● 進化 1:制御用マイコンの高速化
マイコンは,高性能化が進んでいます.筆者が RC
サーボモータの制御に採用した例を以下に示します.
1994 年に H8/3048(16MHz)
注 1:rotation per minute.1 分間の回転数.r/min とも表記す
るが,日本国内のみで通用.
108
2005 年に SH7125(50MHz)
2011年にRX62N(FPU付き,100MHz)
RC サーボモータ自体に使うマイコンは,例えば,
モータの回転数を 6000rpm 注 1 で制御するとすれば,
サンプリング周波数が 100Hz では 1 回転(360°
)間隔,
1kHz では 36°間隔,10kHz サンプリングでは 3.6°間隔
で制御量が更新されることになります.マイコンが高
速化すれば高精度の制御が可能になっていきます.な
お,時定数が小さい,いわゆる立ち上がりが速いコア
レス・モータやブラシレス・モータを使うと,性能の
向上に効果的です.
高速なマイコンを用いることで制御演算に余裕がで
き,ホスト側と通信を行って制御パラメータの変更や
RC サーボモータ自身の情報の送信を行い,きめ細か
な制御をすることが可能になりました.ただし,この
ような恩恵を受けるには専用の装置が必要になるの
で,システム単価は上がります.
● 進化 2:モータの高性能化
RC サーボモータには,従来はコア付き DC ブラシ
付きモータが採用されていましたが,コアレス DC ブ
ラシ付きモータになり,近年はブラシレス・モータへ
と高性能化が進んでいます.各社が動作スピードと出
力トルクの大きさを競っています.
主なメーカとしては JR(日本遠隔制御)
,Futaba(双
葉電子工業)
,KO PROPO・KONDO( 近 藤 科 学 )
,
SANWA(三和電子機器)が挙げられます.
ブラシレス・モータの制御回路は複雑ですが,RC
サーボモータ筐体内に組み込めるほど集積技術が向上
し,小型のモータでも回転子の検出が行えるようにな
りました.
● 進化 3:減速器の軽量化
一方,減速器は基本的に歯車でできているので,代
わり映えはしません.材質は全て樹脂(ポリアセター
ルなど)のもの,一部に金属を使ったもの,すべて金
属のものなどがあります.出力軸にはボール・ベアリ
ングが用いられ,それ以外の歯車はすべり軸受けで支
2014 年 7 月号