対地、対物速度測定用 マイクロ波レーダの開発

平成19年度 JST シーズ発掘試験
対地、対物速度測定用
マイクロ波レーダの開発
十勝産業振興センター
研究員 田村 知久
2. 研究テーマの概要
目的:
農業機械に適用可能な、低コストかつ精
度の高い速度センサの開発
用途例: 作業速度の変動に応じて農薬の散布量
を自動制御するスプレーヤなど
解決すべき課題:
霧や雨、埃、汚れ等
地面の凹凸に起因する
・車両姿勢の変化
・測定点の変化
農作物等
複数の反射物体の存在
3. 十勝における研究実施の必要性
① 大規模な畑作地帯であり、安心・安全な農作物の生産
は、地域産業(農業)振興のための重要課題である
・例えば、スプレーヤへの適用で、農薬散布量の低減、
散布密度の均一化を実現する事ができる
② 地場産業である、農業機械の高度化に貢献できる
・十勝には農業機械メーカが数多く存在している
③ 新たな業種の地場産業を創出できる可能性がある
・電子部品のアッセンブリメーカという、十勝(北海道)で
は未発達の業種を十勝にも創りたい
4. 何故マイクロ波レーダなのか
① 地面に非接触で速度測定ができる
・車輪がスリップしても正しい速度が計測できる
② 耐環境性能が優れている
センサ 可視光カメラ
レーザレーダ
ミリ波レーダ
(マイクロ波レーダ)
項目
耐環境性
コスト
昼・夜
×
○
○
雨・雪
△
△
○
霧
×
×
○
○
○
△
(出典)山崎弘郎:自動車センシング技術の現状と将来, 自動車技術, Vol.61, No.2, p4-9(2007)
③ マイクロ波部品の低価格化が進んでいる
5. マイクロ波ドップラレーダの測定原理
fd × c
Vr =
2× f 0
Vr: 相対速度[m/s]
fd: ドップラ周波数[Hz]
c: 電波の伝播速度[m/s]
f0: 送信周波数[Hz]
(参考)音波のドップラシフト
6. 試作品の構成
7. 回路構成
DC8 ~ 16V
電源回路
IF 信号
アンプ
フィルタ
2ch ADC
CPU
CAN I/F
LED
駆動回路
CAN バスに接続
8. ソフトウェア処理の概要
周波数解析結果
6000
4000
2000
0
-2000
-4000
-6000
パワー[arb.]
A/D変換値[bit]
時間領域波形
0
50
100
150
時間[arb.]
200
250
600000
500000
400000
300000
200000
100000
0
0
20
40
60
80
周波数[Hz]
100
120
9. 圃場でのデータ収集
3
速度[km/h]
速度[km/h]
4
2
1
0
43
44
45
46
時間[sec.]
47
48
12
10
8
6
4
2
0
6
7
8
9
時間[sec.]
10
11
10. 試作品開発作業の概要
・基礎データの収集
・電子回路設計、評価、試作
・組込みソフト開発、テスト
・評価用治具設計、製作
11. 今後の予定
① 基礎データの収集(調査を含む)
アンテナ指向特性、地面等の反射特性、
雨霧の減衰特性等
② フィールドデータの収集
速度演算に影響を及ぼす波形の収集、対策の検討
③ 速度測定用レーダの量産化に向けた活動
センサ(アッセンブリ)メーカとの共同開発
システム(ユーザ)メーカとの共同試験研究
市場調査、評価用サンプルの提供
④ 距離測定用レーダの技術開発
2周波CWレーダ、FM-CWレーダの技術開発
12. 応用製品への展開検討
【速度測定用レーダ】
・ブームスプレーヤ(走行速度に応じて散布量を制御)
・構内作業車両の速度監視装置(安全作業の徹底)
【距離測定用レーダ】
・作業車両、生産設備による人身事故の予防装置
(除雪車、農業機械、重機、シュレッダ装置、プレス装置等)
・自動追尾機能を搭載し、無人隊列走行が可能な農業機械
(各種作業機、運搬車等)
・車載用レーダ装置
(プリクラッシュ、車両周囲の障害物、後方接近車両検出)
Special Thanks !
* 圃場データ収集の機会を与えて頂いた、東洋農機株式会社さま
* マイクロ波レーダ開発の機会を与えて頂いた、科学技術振興機構さま
-ご協力、ご支援に、深謝致します。ありがとうございました。-