南相馬市内における放射能被ばく牛の解剖残渣の衛生的処理事業

東京電力福島第一原発事故による警戒区域内で、北里大学獣医学部・酪農学園大学・日本獣医師会などの研究グ
ループが、南相馬市内で飼育中の牛体内の放射能汚染分布を詳細に調べて一定期間後の減衰などを分析し、被ばく線
量の軽減化技術の研究を実施しました。それに伴い、当社は、牛の放射線量測定に用いなかった部位を、衛生的に処
理する事に対して協力をしました。
■研究題目
原発事故における中線量率区域の繁殖雌牛等を用いた体内汚染分布地図の作成
~家畜及び家畜飼養者の安全な飼養管理技術確立のための実践的研究~
■目的
北里大学獣医学部・酪農学園大学・日本獣医師会などの研究グループ
① 放射性物質による牛体内外の汚染状況の調査
② 放射性物質に汚染された牛に放射性物質に汚染されていない飼料を給餌した場合の内部被ばくの減衰の解析
③ 基礎データの収集・分析
④ 被ばく線量の軽減化技術を開発し、今後の畜産の振興に資すること
共和化工㈱
⑤ 解剖した牛の残渣を衛生的に処理すること(感染症の防御)
⑥ 解剖時残渣とふん尿の処理(放射性物質の生物学的濃縮)
⑦ 処理過程中の放射線量の減衰の解析
■期間
平成 23 年 12 月~平成 24 年 7 月
■処理工程
混合作業
解剖時残渣
積み込み
1 回目切返し
ふん尿
3 回目切返し
種菌
切返し
7 回目切返し
処理終了
■測定結果
50%
水分率の変化
45%
40%
サンプル名
35%
大腸菌群数
(CFU/g)
放射線量
セシウム 134+137
(Bq/kg)
30%
25%
種菌
20%
1
2
3
4
5
6
7
積
み
込
み
回
目
回
目
回
目
回
目
回
目
回
目
回
目
処
理
終
了
品
<3.0×102
解剖時残渣
不検出
-
屋外ふん尿
2.5×103
14,000
牛舎内ふん尿
7.3×105
6,300
<3.0×102
7,500
120
発酵温度の変化
100
3 回目切返し
80
60
5 回目切返し
40
表面下 60cm①
表面下 60cm②
表面下 100cm
20
0
1
8
15
22
29
36
43
50
57
7,800
6 回目切返し
<3.0×102
8,200
処理終了品
<3.0×102
9,300
■考察

処理が終了するまで 62 日間を要した。

発酵温度は最高で 102℃を示したが、警戒区域内での作業のため常時の観測データが取れなかった。

処理終了品の水分率は 28.1%であった。

大腸菌群数は、ふん尿には多く含まれていたが、処理を開始して 3 回目の切返しでは検出されなかった。よっ
て、解剖残渣とふん尿の処理は衛生的に行われたと確認することができた。

処理が進むにつれて、放射性物質のベクレル数が上昇した。
以上