情勢分析 - 一般財団法人日本エネルギー経済研究所 中東研究センター

-情勢分析20010413-
(財)中東経済研究所
― 中東・エネルギー情報 ―
2001 年 4 月 13 日
Vol.3, No.1
情勢分析
目次
転 機 を 迎 え る イ ラ ン の バ イ バ ッ ク 方 式 ......................................................... 2
I はじめに .......................................................................................................................................................... 2
II バイバック方式による IOC との契約の推移 .............................................................................................. 2
III バイバック方式の見直し .............................................................................................................................. 3
IV 今後のバイバック方式の展開における注目点 .......................................................................................... 5
<トピックス>
イラン: Masjed-e Suleyman 油田開発をカナダ企業が落札、報酬 / ペナルティ制導入の見込み ............... 7
イラク: シリアへの新パイプライン建設を検討か .......................................................................................... 7
オマーン: Maersk が生産分与契約を締結 ......................................................................................................... 7
カタル: Rasgas-2 設立 .......................................................................................................................................... 8
アゼルバイジャン:Canadian Alberta がバクー・ジェイハン・プロジェクトへの参加を検討 ................. 8
<石油データ>
I 価格動向(3 月 28 日 - 4 月 10 日)....................................................................................................................... 9
II 需要、供給、在庫 ............................................................................................................................................. 12
1. 需要動向(4 月 13 日更新).............................................................................................................................. 12
2. 生産動向(4 月 13 日更新).............................................................................................................................. 13
3. 在庫動向(4 月 13 日更新).............................................................................................................................. 14
III 需給実績と短期需給見通し ............................................................................................................................ 17
1. IEA, Oil Market Report, 2001 年 3 月号(3 月 30 日更新)............................................................................. 17
2. 米エネルギー省 , Short-Term Energy Outlook, 2001 年 4 月号(4 月 13 日更新)....................................... 18
3. その他 (4 月 13 日更新)................................................................................................................................. 19
4. 原油価格見通し(4 月 13 日更新).................................................................................................................. 20
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転機を迎えるイランのバイバック方式
I はじめに
イランにおいて外国企業が油・ガス田開発を行う方式である、バイバック契約成立の
ペースがスローダウンしている。イランは憲法上の規定により地下資源を外国企業に譲
渡できないため、油・ガス田の開発は憲法上の解釈と開発推進の妥協として、バイバッ
ク方式に基づく契約で進められている。バイバック方式とは、油・ガス田の開発者が開
発コストを負担し、投資コスト及び報酬をその生産物から受け取る方式である。油・ガ
ス田契約で一般的に行われる生産分与 (PS)契約と異なり、契約期間が短いこと、油・ガ
ス田の利権が付与されないことから、外資には不利な契約形態であるとされている。そ
れにもかかわらず、イランの油・ガス田開発が進められてきた背景には、豊富な埋蔵量
や戦略的位置というイランの潜在性に多くの国際石油企業 (IOC:International Oil
Company)が注目してきたからである。イランの油・ガス田開発におけるバイバック方式
には、探鉱案件と開発 (再開発)案件の 2 種類があるが、最近では特に開発 (再開発)案件
の契約成立が遅れている。本稿では、これまでのバイバック方式を巡る動きを時系列で
俯瞰し、今後の動向について考察する。
II バイバック方式による IOC との契約の推移
バイバック契約は、1995 年 7 月に Sirri 沖合油田開発において初めて導入された。同油
田開発は米Conocoに落札されていたが、この動きが米国の行政命令発動を誘発し、最終
的には仏TotalFinaElf (後にマレーシアPetronasが加わる)とイラン国営石油会社 (NIOC)が
契約を結ぶことになった。その後、1995 年秋にイランは第 1 次バイバック・プロジェク
ト (PJ)を発表したが、翌 1996 年 8 月に米国がイラン・リビア制裁法 (ILSA)を発効したた
め、IOC によるイランの油・ガス田開発は一時停滞した。しかし 1997 年 9 月に South Pars
ガス田開発第 2 - 3 フェーズを TotalFinaElf、Petronas、露 Gazprom のコンソーシアムが契
約したことに対し、米国は 1998 年 5 月に ILSA 見送りを決定した。イランはその直後の
1998 年 7 月に第 2 次バイバック PJ を発表している。第 2 次バイバック PJ は、第 1 次には
含まれていなかった陸上油田開発を含む革命以来最大規模の開発PJであり、上述の米国
の ILSA 適用見送りの追い風も受け、その後の IOC とのバイバック契約成立が相次いだ。
1999 年 3 月には Doroud 沖合油田開発 (第 1 次バイバック PJ 案件)を TotalFinaElf、伊 ENI
が契約し、4 月には Balal 沖合油田開発 (第 1 次バイバック PJ 案件)を TotalFinaElf、加 Bow
Valley (現在、ENI も参加)が契約している。第 2 次バイバック PJ 案件では、11 月にその
契約第 1 号として R/D Shell グループが Soroush/Nowruz 沖合油田開発の契約を結んだ。
2000年は、陸上探鉱案件としては革命以来初となるAnaran鉱区探鉱開発をノルウェー
Norsk Hydro が 4 月に契約している。その後、7 月には第 1、2 次バイバック PJ 案件では
ないものの、South Pars ガス田開発第 4 - 5 フェーズを ENI とイランの PetroPars が革命以
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来最大の開発規模である 38 億ドルで契約し、続いて同ガス田開発第 6 - 8 フェーズを
PetroPars が受注している (この開発には英 Enterprise Oil が参加すると見られている)。し
かしその後、IOC と開発案件におけるバイバック契約は結ばれていない。2001 年 1 月に
伊 Edison Gas が Munir 鉱区を、中国 Sinopec が Zavareh-Kashan 鉱区を NIOC と契約したが、
いずれも探鉱案件である。Cheshmeh Khosh 陸上油田開発 (スペイン Cepsa が有力)、
Darkhovin陸上油田開発 (ENIが有力)については、2000年半ばから契約成立が間近である
と度々報道されてきたが、現在に至るまで契約は結ばれていない。この背景には、後述
するバイバック契約条項の見直し、イラン国内のバイバック方式に対する批判などが影
響を及ぼしているものと思われる。そのため、バイバック契約を基準に 2000年を評価す
れば、イランと IOC (コントラクター)との契約の進展と言うよりも、コントラクターと
サブ・コントラクター (IOC 以外含む)との進展の年であったと特徴づけることができる
(Middle East Economic Digest, 2001.01.12)。
III バイバック方式の見直し
バイバック方式に対するイラン国内の批判は2000年半ば頃より活発になり、それから
半年以上に渡って、2月に2001年の予算審議でバイバック方式の推進が承認されるまで、
国内で賛否両論が続いた。これら論争の背景には、いよいよ外資の油・ガス田開発が陸
上部分に取りかかろうとするに際して、イラン本土の地下資源に対して外国のプレゼン
スが高まることに対する潜在的な懸念もあると考えられる。これまで成立したバイバッ
ク契約は探鉱案件を除き、油田開発案件では全て沖合の油・ガス田であり、第 2 次バイ
バック PJ の「売り」の一つであった陸上の油田開発は未だに契約されていないからであ
る。
しかしより合理的かつ根本的には、バイバック方式が短期間の契約でかつオペレー
ターシップをNIOCに移管するという特徴があるため、IOC側にはNIOCに移管した後の
長期的な産油量維持のインセンティブが働かず、反対にコスト削減インセンティブは働
き、コストのかかる最先端技術の導入や技術移転などは促進されない事情がある。そこ
にイランが外資のバイバックによる開発に反対する本来の理由があると見るべきである。
2000 年 7 月にイラン議会エネルギー委員会の Najafabadi 委員長は、バイバック方式はイ
ランへの技術移転が促進されておらず、またコストがかかりすぎるとして同方式への懸
念を表明し、イラン自国による開発を緩やかなペースで進めるべきだと発言している。
そのため現在のバイバック契約成立のスローダウンの原因は、米国を中心とした対外
関係による過去の停滞とは異なり、イランがその油・ガス田開発において現実的にバイ
バック方式を取らざるを得ないにもかかわらず、その方式に不備が内在する矛盾を解消
しなければならないという質の異なる問題になってきたのである。
2000 年 9 月に、IOC とのバイバック契約の交渉役であった石油省 Hosseini 国際担当次
官が、NIOC の調達企業である Kala Naft (ロンドン)に異動することになり、IOC はバイ
バック契約の交渉を NIOC 関連企業の Pedec (Petroleum Engineering & Development
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Company)と行うことになった。Pedec の責任者は石油省の E&P 担当次官である Mirmoezi
氏で、実際のバイバック交渉役は同社のテクニカル・ディレクターであるAl-e Agha氏で
あるとされている。バイバック契約の交渉先がこのような形に移行した理由とその効果
は必ずしも明らかではないが、イランのバイバック方式の焦点が外国企業との交渉とい
う問題から、国内の開発・生産の最適化へと焦点を移していくことの現れであるかもし
れない。
前出の Hosseini 石油省次官は、10 月に石油専門誌 Weekly Petroleum Argus 誌に対して、
現行のバイバック契約の内容を見直し、契約時における生産目標の遵守と、その達成如
何による報酬あるいはペナルティの導入がその主眼となることを示唆している。このバ
イバック契約内容の変更は、11月にテヘランで行われたセミナーで石油省も認めるに至
り、そこでは上記の報酬/ペナルティ方式に加え、IOCが油田開発のオペレーターシップ
をNIOCに移管した後もテクニカル・アドバイザーとしてNIOCの最適生産に対して助言
することで、従来のバイバック契約よりも IOC が長期間に渡って油田開発に関与してい
く方針を明らかにしている。さらにその後、ザンギャネ石油相はバイバック方式の変更
内容として、報酬/ペナルティ制の導入、IOCの油田関与の長期化に加え、IOC (オペレー
ター)によるバイバック方式からコンベンショナルな EPC (Engineering, Procurement and
Construction)契約へのシフト、技術移転と最新の技術導入の推奨、設備等にイラン産品を
推奨する "purchase lever" の導入、技術移転を促進する低率のプロジェクト融資 (Middle
East Economic Survey, 2001.01.01, 2001.02.19)を挙げ、バイバック方式に内在する問題の
克服に向かおうとしている。
そこで起きている変化は、単に条項上の報酬/ペナルティ制の導入に留まらず、イラン
による自力開発の推進あるいはイランの関与度の増大によって、技術移転を促進すると
いう形態上の変化に踏み込んだものとなるはずである。このようなイランの関与度の増
大は、
既に実際の開発契約あるいはその予備交渉からも徐々に明らかになってきている。
2000 年 7 月に成立した South Pars ガス田開発第 4 - 5 フェーズでは ENI と PetroPars が共同
で開発にあたっており、その投資比率は 6:4 である。また BG は South Pars ガス田のガ
ス (第 11 - 12 フェーズ)をインドに LNG 輸出する PJ にあたって、NIOC の関連会社 OIEC
と 5:5 の JV を組んで進めるとしている。また加 Tracer Petroleum はイランの「ボンヤー
ド」と呼ばれる財団と組んで油田開発を進めることを明らかにしている (Middle East
Economic Survey, 2001.02.12)。さらに South Pars ガス田開発第 9 - 10、11 - 12 フェーズで
はイランのローカル・コンテントは 40% と規定されるとともに、通常のバイバック方式
の他にEPSCC (Engineering, Procurement, Supply, Construction and Commissioning)方式が提
案されている。この方式はイランのオペレーターシップのもとに、掘削を除く 80% のコ
ストを外資が負担する方式であり、IOC 以外の建設、エンジニアリング企業にイランの
油・ガス田開発の門戸を広げる動きでもあるが、一方でイランの主導権を明確にしてい
く方針の現れと見ることもできる。
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IV 今後のバイバック方式の展開における注目点
以上見てきたように、油・ガス田開発にあたってイランの関与度が増大していく傾向
があるが、短期的には、依然としてイランの油・ガス田開発には外資の資金・技術の導
入は不可欠であると思われる。イランには、短期間に産油量を増大させる必要性があり、
また開発を控えた油田が多数存在するからである。OPECにおける影響力の維持には、適
切な産油能力と生産余力の維持が必要であり、4 度の増産を行った 2000 年にイランはそ
のことを認識したはずである。イランは 2005 年に 500 万 b/d、2020 年に 700 万 b/d 以上の
産油量目標を掲げており、引き続き OPEC 内のシェアを維持していく方針だが、老朽化
した油田の油層圧力の低下、革命やイラクとの戦争でダメージを受けた生産設備の更新、
国内消費の増大による輸出量の低下が問題になっており、外資による速やかな開発は産
油量目標と照らし合わせれば喫緊の課題であるはずである。また、Cheshmeh Khosh 陸上
油田、Darkhovin 陸上油田、Ahwaz エリア陸上油田など開発を待つ油田を多く抱えてい
る。さらに、1999年のアザデガン油田 (原始埋蔵量260億バーレル)、2000年のターブナッ
ク・ガス田 (推定埋蔵量 4450 億 m3)、ホマー・ガス田 (同 1331 億 m3)、2001 年のダシュ
テ・アバダン油田 (アザデガン油田に匹敵する埋蔵量と発表)など、近年は新規油・ガス
田の発見が相次いでおり、イランは石油埋蔵量を世界第2位 (かつての埋蔵量930億バー
レルから1300億バーレル)と発表するとともに、外資導入の必要性を事ある毎に表明して
いる。
しかしこれまでのところ、バイバック方式の変更に対する IOC の評価は概ね否定的で
ある。特に、NIOCに油田操業を移管した後の生産量維持については責任が持てないとい
う批判が集まっている。但し、IOC各社の対応は少しづつそのトーンが異なっている。米
国制裁を懸念してこれまでイラン進出を控えていた BP は、第 2 次バイバック PJ で最も
魅力的とされるAhwazエリアの開発に参加する方針だが、その交渉の遅れに懸念を表明
している。一方、同じくスーパー・メジャーである R/D Shell は、イランに PS 契約導入
を要請する方向にある他の IOC とは異なり、産油国にはそれぞれ固有の国情があり、そ
れに沿った方針を選択すべきであるとして、イランのバイバック方式変更に対しては静
観の姿勢を取っている。産油国の IOC である Norsk Hydro は、IOC の中では珍しくイラ
ンのバイバック方式の修正に対して歓迎の意を表明しており、理解を示している。これ
ら IOCの様々な反応に対しバイバック交渉役の Pedec の Al-e Agha 氏は「バイバック方式
の変更に対する IOC の反応は様々で、それらの懸念には配慮するが、不幸なパートナー
と組むことはできない。PS契約を望む声もあるが、イラン固有の背景を理解して欲しい」
として、今後も改定後のバイバック契約でIOCとの交渉に望むことを明らかにしている。
イランにとってはバイバック方式の弱点を修正した (但し、
油価変動リスクをイラン側
が負う問題は手つかずである)新方式がIOCに批判される中で、今後のバイバック方式と
その運用を巡る動向のヒントとなるのはMasjed-e Suleyman陸上油田開発であるかもしれ
ない。2000年度 (イラン暦では2001.03.20まで)は、陸上油田開発を含むIOCとのバイバッ
ク契約は上述の通りほとんど進展しなかったが、年度末の 3 月半ばに、同油田開発を加
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Sheer Energy が開発することでイランと合意に達している。Sheer Energy は今後 90 日以
内にイラン政府が同油田開発を承認するものとしている。同油田開発は、それが本土の
陸上油田であるというだけでなく、
バイバック方式に新たに導入される報酬/ペナルティ
制を契約に取り入れると予想され、またその出資比率は Sheer Energy が 49%、イラン
Naftgaran Engineering Services が 51% というイラン企業主導の開発になるもようで、今後
のイランの油田開発のあり方を占う上で注目される。そして、B P 、R / D S h e l l 、
TotalFinaElf、ENI などスーパー・メジャー級が開発意向を示し、第 2 次バイバック PJ で
最も大規模なAhwaz エリア陸上油田開発の行方が、バイバック方式の変更と IOC の関係
の今後を決定づける動きになると思われる。
2001年のイランは、6月に大統領選挙という内政上の一大行事があり、対外的には8月
に ILSA の失効 / 更新という一大転機を迎える。これを IOC とのバイバック契約という観
点から見れば、国内的には 6 月の大統領選挙のハタミ現大統領再選 (出馬した場合)に向
けて、これを側面支援するために石油省を中心にどのような実績を作ろうとしているか
が注目される。対外的焦点である ILSA に対しては、IOC が 8 月の ILSA 失効後の米国企
業進出を警戒して「攻め」の姿勢に出るのか、または米国を刺激することを警戒して「待
ち」の姿勢を取るのか、あるいはILSA更新を見越してバイバック方式変更に絡むイラン
との利害対立の調整に長期的に取り組むなど、様々な場合が考えられる。そしてこれら
予想される IOC の動きに対して、石油省、NIOC、Pedec がどのような姿勢で臨むのかが
注目される。2001 年のイランのバイバック方式 (契約)を巡る動向は、開発対象の油田の
多さだけではなく、イランの油・ガス田開発に対する姿勢の帰趨を占うものと言えそう
である。
(徳原 透)
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<トピックス>
記事の中で、シリア向けに140万b/dの容量
を持つパイプラインを新設すると語った。
S a l e h 貿易相も、U A E の a l - B a y a n 紙
(2001.03.27)のインタビュー記事の中で、イ
ラクはシリア向けにパイプラインを新設す
るための技術的検討を開始しており、外国
企業に対してこの建設プロジェクトへの参
加を呼びかける予定であると語った。イラ
クとシリアとの間には既に 70 万 b/d の容量
を持つパイプラインが存在するが、この代
替として新設される。両大臣とも、既存の
パイプラインは老朽化しており、また20年
以上放置されていたことから使用に耐えな
いものであるとしている。
しかしその一方で、イラクは既存のパイ
プラインによりシリア向けに 10 万 b/d 程度
の石油を「密輸」していると言われており、
米国、イギリスはこの取り締まり強化を検
討している。両大臣の今回の発言は、「密
輸」の取り締まり強化に対する政治的な発
言の可能性が強い。ちなみに、ラシード石
油相は記事の中で既存のパイプラインはい
まだに「試験中である」と語っている。
(三田)
イラン: Masjed-e Suleyman油田開発をカ
ナダ企業が落札、報酬 / ペナルティ制導入
の見込み
カナダ Sheer Energy Inc. は 3 月 13 日、同
社のキプロスの子会社 Sheer Energy Ltd. が
イランのMasjed-e Suleyman油田開発を行う
ことで合意したと発表した。同社の発表に
よれば契約は 90 日以内に行われる見通し
である。Masjed-e Suleyman油田は中東で最
も古く発見された油田であり、1908年に最
初の掘削が行われている。同油田開発にお
いてSheer Energyは49%の権益比率で、4年
間に渡り 8800 万ドルの投資を行う予定で
ある。残り 51% はイランの Oil Industry
Investment Company の子会社 Naftgaran
Engineering Services Company が行う。
イランは2000年後半より油・ガス田開発
の契約方式であるバイバック契約の条項見
直しを進めており、同油田開発ではその変
更内容である、生産目標の達成如何による
報酬 / ペナルティ制が導入されるものと見
られている。また第 2 次バイバック・プロ
ジェクトで発表された陸上の油田開発 (再
開発)では、
同油田が外資参入の最初の試み
となる。Masjed-e Suleyman 油田は現在
4500b/d を生産しており、この開発により 2
万b/dの生産を目標とするものと見られる。
(徳原)
オマーン: Maersk が生産分与契約を締結
3 月 18 日、石油・ガス省と Maersk (デン
マークAP Moellerの石油・ガス部門子会社)
は、同国西部の第 45, 48 鉱区において同社
が 100% の石油・ガス開発利権を獲得する
ことで契約を締結した。契約期間は 4 年間
であるが、更新可能となっている。Maersk
は4年間で1800万ドルを投資し、地震探査、
ドリリングを行うものとみられる。Maersk
はこの他にも1997年4月に、Phillipsが利権
を保有する第 36 鉱区において 25% のシェ
イラク:シリアへの新パイプライン建設を
検討か
イラクのラシード石油相は、W e e k l y
Petroleum Argus (2001.03.26)のインタビュー
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アを獲得しているが、単独での生産分与契
約の締結は初めてとなる。
今回のMaerskの鉱区獲得は、1990年代半
ばからオマーンが推進している外資への鉱
区開放の一環である。例えばJapex Omanは
1996 年 6 月に第35 鉱区で、その後間もなく
Triton Energyは第22鉱区で、Phillipsは第36
鉱区で、Arco とポルトガルの Partex が第 32
鉱区で、それぞれ生産分与契約を締結して
いる。さらに、1997 年 1 月にはサウジアラ
ビアの Nimir が第 3 鉱区で、同 10 月には
Occidental が第 31 鉱区で生産分与契約を締
結している。
なお、石油公団から投融資を受けている
Japex Omanは、経済産業省による石油公団
の財務体質改善方針に基づき、今後清算さ
れることが決定している。(山本)
4%、日商岩井 3% である。
ところで、4 月 1 日、Rasgas 第 3 トレイン
建設を、千代田化工、三井物産、イタリア
Snamprogettiのコンソーシアムが落札した。
LNG 生産能力は 470 万 t/y で、2004 年 3 月
に操業を開始する。(高橋)
アゼルバイジャン:Canadian Alberta がバ
クー・ジェイハン・プロジェクトへの参加
を検討
Interfax 通信が伝えたところによると、
Aliyev SOCAR 副社長はカナダの Canadian
Alberta Company がバクー・ジェイハン・パ
イプライン・プロジェクトのスポンサーへ
の参加を計画していることを公表した。た
だ、同社とはまだ話し合いが始まった段階
であり、この他にも関心を示しているとさ
カタル: Rasgas-2 設立
れるTotalFinaElfと同様、交渉の第一歩を踏
み出したところだとしている。SOCAR は
3 月 26 日に、LNG 会社 Ras Laffan LNG プロジェクトのシェアを現在の 50% から
Company-2 (Rasgas-2)設立に関する首長令が 30% 程度に縮小しようとしており、同プロ
発布された。Rasgas-2 は、これまで Rasgas ジェクトへの新規参入企業を求めている。
が進めてきた第 2 フェーズ、つまり LNG プ 2 月には第一番目として Chevron の参加意
ラント第 3、4 トレインの増設を行い、2003 思表明が公になった。同社は現在もなお参
年12月に始まるインドPetronet LNGへの輸 入条件を巡って交渉を続けているものと思
出 (750 万 t/y、25 年)等を受け持つ。資本金 われるが、具体的な進展はまだである。
は 20 億カタル・リヤール (5 億 4945 万ドル) Canadian Alberta Companyは現在、アゼル
で、権益比率は Qatar Petroleum (QP) 70%、 バイジャンでは Araz-Alov-Sharg 沖合ブ
ExxonMobil 30% となるが、現在、Petronet ロックの 1 カ所で 5% のシェアを保有して
LNG にも 5% の権益がオファーされてい いる。一方 TotalFinaElf はシャー・デニズ
る。ちなみに、Rasgasの権益比率はQP 63%、 (10%)、Lenkoran/Talysh Deniz (35%)、
ExxonMobil 25%、Kogas 5%、伊藤忠商事 Absheron (20%)に参加している。(山本)
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-情勢分析20010413<石油データ>(今号担当:牛嶋)
I 価格動向(3 月 28 日 - 4 月 10 日)
(1) WTI はガソリン価格主導で上昇
ウエスト・テキサス・インターミディエイト(WTI)原油スポット価格は 3 月 28 日、米国の週
間在庫統計で原油在庫が大幅に増加したことから、前日比$1.45/b下落して$26.33/bとなった。
その後26ドル台で推移していたが、4月2日には短期的な供給過剰感と経済減速に伴う長期的
な需要減少懸念から、25 ドル台へ値を下げた。しかし 3 日以後は一転して、ガソリン価格の上
昇に伴ってじりじりと値を上げる展開となった。その他、現在の価格水準が続けば、OPEC 諸
国がプライス・バンド圏内であっても4月末に減産に踏み切るとの観測や、サウジアラビアの
ファハド国王死亡説の噂もあり、9 日には $27.28/b、10 日には 28 ドル台まで上昇した。なお、
10 日のガソリン価格は 2000 年 9 月以来およそ 7 カ月ぶりに、1 ドルを突破している。
(2) OPEC バスケット価格
3 月末から 4 月初めまでの OPEC バスケット価格は 23 ドルを挟む値動きとなっていたが、4
月 4 日以降は 23 ドル台後半まで値を戻し、10 日には約 1 カ月ぶりに 24 ドルを越えた。
(3) WTI 先物はコンタンゴ
NYMEX の WTI 先物市場は、3 月からコンタンゴ (期近物が期先物より安い状態)になっ
ているが、期近物との価格差は依然小さく、2 カ月先物で $0.24/b、3 カ月先物 $0.29/b、4 カ月
先物 $0.09/b である(4 月 10 日までの平均)。
最近の原油スポット価格の推移
($/b)
33.00
Brent
WTI
Dubai
OPEC Basket
31.00
29.00
27.00
25.00
23.00
21.00
1/4
1/10
1/16
1/22
1/26
2/1
2/7
2/13
2/19
2/23
出所:Wall Street Journal. 日本経済新聞, OPEC通信。
9
3/1
3/7
3/13
3/19
3/23
3/29
4/4
4/10
-情勢分析20010413-
原油スポット価格の推移(1年)
($/b)
37
35
33
31
29
27
25
Dubai
Brent
WTI
OPEC Basket
23
21
2001年
19
4/7
5/5
6/2
6/30
7/28
8/25
9/22
10/20
11/17
12/15
1/12
2/9
3/9
4/6
出所:Platt's Oilgram Price Report, OPEC通信。
($/b)
WTI先物価格価格差(期先物価格-期近物価格)
2.00
コンタンゴ
1.00
0.00
Jan.93
Jan.94
Jan.95
Jan.96
Jan.97
Jan.98
Jan.99
Jan.00
Jan.01
-1.00
-2.00
-3.00
2nd month
3rd month
4th month
-4.00
バックワーデーション
-5.00
出所:PMIおよびOMI, 2001年3月以降についてはWall Street Journalより算出。
NYMEX:製品先物価格の推移(期近物)
(¢/gal)
110.0
100.0
90.0
80.0
暖房油
70.0
ガソリン
2001年
60.0
4/6
5/8
出所:Wall Street Journal.
6/7
7/10
8/8
9/7
10/6
10
11/6
12/7
1/9
2/8
3/12
4/10
-情勢分析20010413-
表I - 1 原油価格動向(ロッテルダム・米国湾岸)
(単位: $/b)
2000年
4月
5月
6月
アラビアン・ライト34°
ネットバック
22.16 23.71 25.99
スポット
22.38 27.05 28.80
アラビアン・ヘビー27°
ネットバック
19.72 19.84 22.60
スポット
21.43 26.05 29.70
イラニアン・ライト34°
ネットバック
21.88 22.58 25.00
スポット
22.23 26.90 28.70
クウェート31°
ネットバック
20.67 21.06 23.63
スポット
21.73 26.40 28.15
イラク・キルクーク37°
ネットバック
22.71 23.68 26.21
スポット
n.a.
n.a.
n.a.
ドバイ・ファテ32°
ネットバック
22.06 23.60 25.90
スポット
21.50 26.75 28.35
ナイジェリア・ボニー・ライト37°
ネットバック
24.73 26.85 29.12
スポット
22.90 29.15 30.15
OPECバスケット
(7油種平均)*
22.93 26.94 29.12
イギリス・ブレント38°
ネットバック
24.46 26.42 28.96
スポット
22.65 28.80 30.00
ノルウェー・エコフスク43°
ネットバック
25.46 26.33 28.97
スポット
22.80 29.20 30.35
メキシコ・イスムス34°**
ネットバック
23.78 28.60 29.95
スポット
23.70 28.03 29.66
ウエスト・テキサス・インターミディエイト40°**
ネットバック
27.11 31.70 33.75
スポット
26.30 29.85 32.05
7月
8月
9月
10月
11月
12月
2001年
1月
2月
3月
25.01
27.38
25.79
27.33
29.42
31.93
28.51
30.13
27.46
30.73
22.52
21.45
20.70
22.45
22.79
25.68
23.73
22.51
26.18
21.26
25.73
25.20
29.33
24.70
28.03
23.22
28.98
18.74
19.60
16.99
20.95
19.70
24.18
22.53
25.77
27.28
24.41
27.23
28.84
31.83
28.15
30.03
27.04
30.63
22.27
21.35
20.54
22.35
22.52
25.58
23.63
23.84
26.53
22.70
26.28
26.95
30.28
26.24
28.88
24.95
29.78
20.26
20.40
18.48
21.65
20.95
24.78
23.03
26.24 24.94 30.44 29.35 28.22 23.17 21.02 23.28
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
n.a.
25.02
26.40
25.68
27.05
29.25
31.20
28.47
30.55
27.42
31.65
22.57
20.90
20.75
22.80
22.73
25.25
23.50
28.40
27.85
29.64
28.90
33.32
32.75
32.13
30.35
31.77
33.60
26.32
23.05
24.42
25.25
26.22
27.80
24.20
27.94
28.30
31.48
30.42
31.22
24.13
24.06
25.41
23.88
28.41
28.25
29.04
29.65
32.50
33.00
32.04
30.65
31.30
33.40
26.54
23.20
24.62
25.25
25.74
27.75
24.30
30.10
27.70
28.08
28.60
32.92
33.15
32.24
30.30
31.45
33.40
26.56
22.90
25.06
25.30
26.31
27.95
24.00
29.29
28.07
27.87
29.39
32.81
32.52
31.57
29.87
30.83
31.73
25.56
23.41
28.93
25.34
27.53
24.74
22.34
31.73
31.15
32.80
31.63
35.97
36.05
34.87
33.30
34.78
34.85
29.71
27.80
33.20
30.05
30.53
30.05
27.25
出所:ネットバックはOil Market Intelligence, スポットはPlatt's Oilgram Price Report月央値, OPECバスケット価格はOPEC通信。
注:*OPECバスケットはサウジ産Arab Light, UAE産Dubai, ナイジェリア産Bonny Light, アルジェリア産Saharan Blend,
ベネズエラ産T.J. Light, インドネシア産Minas, メキシコ産Isthmusの7油種平均。
**米国湾岸市場、他はロッテルダム市場の価格。
表I - 2 製品価格動向(スポット、シンガポール市場)
(単位:$/b, 重油のみ$/Metric Ton)
2000年
2001年
3月
4月
5月
6月
7月
8月
9月
10月
11月
12月
1月
2月
ガソリン(プレミアム)
33.03
27.98
32.11
32.94
35.96
38.31
35.00
33.08
32.88
29.54
29.90
31.33
ジェット燃料
32.91
27.84
29.09
30.99
33.15
38.04
42.14
43.31
39.81
32.54
29.72
30.48
軽油
33.14
26.81
28.07
30.48
31.77
36.97
40.17
38.98
34.90
29.22
28.29
27.57
重油(硫黄3.5%)
171.85 155.08 164.33 174.60 151.92 148.83 170.98 182.62 168.27 134.88 126.54 137.58
出所:Oil Market Intelligence, EIG
注:いずれもf.o.b.価格
11
-情勢分析20010413II 需要、供給、在庫
1. 需要動向(4 月 13 日更新)
(1) 2 月の米国の石油需要 1997.4 万 b/d
DOE, Monthly Energy Review, 2001 年 3 月号によると、2001 年 2 月の米国の石油需要は前年
同月比 3.5% 増の 1997.4 万 b/d となった。
製品別ではガソリンが 1.0% の減少、中間留分が 7.3% 、重油が 33.4% の増加となった。
(2) 1 月の日本の石油需要 489.8 万 b/d
石油連盟『石油資料月報』2001 年 3 月号によると、2001 年 1 月の日本の石油需要は前年同
月比 8.6% 増の 489.8 万 b/d となった。
製品別ではガソリンが 3.5%、中間留分が 12.9% 、重油が 10.5% の増加となった。
表II- 1
主要7カ国の石油需要動向
(単位:1000b/d, %)
2000年
9月
2001年
1月
10月
11月
12月
2月
米国
ガソリン
8,416
(0.8)
8,364
(-1.9)
8,297
(0.6)
8,573
(-3.2)
8,064
(7.5)
8,143
中間留分
3,775 (11.0)
3,736
(-0.9)
3,742
(4.7)
4,282 (10.0)
4,281 (14.2)
4,026
重油
852
(6.5)
1,029 (45.8)
836
(9.6)
1,099 (29.0)
1,151 (55.8)
1,034
その他
6,698
(-4.1)
6,572
(-4.1)
6,189
(-3.9)
6,685
(-3.0)
6,404
(-3.0)
6,771
合計
19,741
(1.0) 19,701
(-0.8) 19,064
(0.2) 20,639
(0.7) 19,900
(7.0) 19,974
日本
ガソリン
1,036
(3.6)
954
(-1.2)
985
(1.5)
1,063
(0.4)
893
(3.5)
中間留分
1,048
(2.5)
1,033
(-5.7)
1,295
(-2.2)
1,696
(-6.4)
1,614 (12.9)
重油
1,078
(-0.8)
943
(-4.0)
1,034
(-6.0)
1,126 (-15.5)
1,197 (10.5)
その他
1,241
(0.4)
1,130
(1.1)
1,154
(-13.6)
1,206 (-11.8)
1,195
(5.2)
合計
4,403
(1.3)
4,060
(-2.4)
4,467
(-5.5)
5,091
(-8.6)
4,898
(8.6)
ドイツ
ガソリン
690
(-2.8)
650
(-8.5)
660
(-4.3)
650
(-8.5)
520
(-5.5)
中間留分
1,550 (11.5)
1,370
(-4.9)
1,380
(-8.6)
1,400
(-2.8)
1,380 (24.3)
重油
160 (23.1)
170 (13.3)
170
(13.3)
170 (21.4)
190
(5.6)
その他
600
(-9.1)
600
(-6.3)
640
(1.6)
560 (-13.8)
590
(3.5)
合計
3,000
(3.8)
2,790
(-5.1)
2,850
(-4.4)
2,780
(-5.4)
2,680 (11.2)
フランス
ガソリン
310
(-8.8)
310
(-3.1)
290
(-9.4)
300 (-11.8)
280
(-3.4)
中間留分
920 (-14.0)
1,340 (20.7)
1,120
(-5.1)
1,100
(-9.1)
1,290
(8.4)
重油
120
(-7.7)
140
(-6.7)
150
(-16.7)
120 (-33.3)
140 (-26.3)
その他
420
(-4.5)
430
(0.0)
450
(-2.2)
420
(-8.7)
430
(-6.5)
合計
1,770 (-10.6)
2,220 (10.4)
2,010
(-6.1)
1,940 (-11.4)
2,140
(0.5)
イギリス
ガソリン
490
(-2.0)
500
(2.0)
540
(1.9)
490
(-2.0)
500
(6.4)
中間留分
850 (10.4)
840
(7.7)
830
(3.8)
730
(-6.4)
810
(5.2)
重油
80 (-11.1)
70 (-22.2)
90
(0.0)
70 (-22.2)
90
(0.0)
その他
350
(-7.9)
360
(-2.7)
350
(-12.5)
330 (-13.2)
310 (-13.9)
合計
1,770
(1.7)
1,770
(2.3)
1,810
(-0.5)
1,620
(-7.4)
1,710
(1.2)
イタリア
ガソリン
420
(-6.7)
410
(-4.7)
400
(-7.0)
410
(0.0)
400
(5.3)
中間留分
670
(4.7)
680
(3.0)
700
(0.0)
710
(-5.3)
650
(3.2)
重油
460
(-2.1)
350 (-14.6)
380
(-17.4)
390 (-11.4)
360 (-20.0)
その他
340
(-8.1)
380
(8.6)
360
(2.9)
430 (13.2)
310
(-3.1)
合計
1,890
(-2.1)
1,820
(-1.6)
1,840
(-5.2)
1,940
(-2.0)
1,720
(-3.4)
カナダ
ガソリン
660
(-2.9)
650
(0.0)
650
(0.0)
660
(-1.5)
620
(5.1)
中間留分
640
(0.0)
630
(5.0)
650
(-1.5)
650
(3.2)
670
(4.7)
重油
190 (35.7)
180 (63.6)
210
(50.0)
200 (11.1)
180 (50.0)
その他
720
(7.5)
730
(9.0)
750
(11.9)
730 (14.1)
720
(9.1)
合計
2,210
(3.8)
2,190
(7.9)
2,260
(6.6)
2,240
(5.7)
2,190
(9.0)
主要7カ国計
ガソリン
12,022
(-0.1) 11,838
(-2.1) 11,822
(-0.1) 12,146
(-3.2) 11,277
(6.0)
中間留分
9,453
(5.8)
9,629
(1.8)
9,717
(-0.3) 10,568
(0.5) 10,695 (12.3)
重油
2,940
(3.3)
2,882 (10.9)
2,870
(-0.4)
3,175
(-1.2)
3,308 (16.0)
その他
10,369
(-3.5) 10,202
(-2.2)
9,893
(-3.8) 10,361
(-3.8)
9,959
(-1.5)
合計
34,784
(0.7) 34,551
(-0.1) 34,301
(-1.3) 36,250
(-2.2) 35,238
(6.4)
出所:米国:Monthly Energy Review, DOE
日本:石油連盟『石油資料月報』
ドイツ, イギリス, フランス, イタリア, カナダ:Oil Market Report, IEA
注:( )内は前年同月比。
日本はキロリットルからバーレルに換算している。中間留分は軽油と灯油の和とする。
ドイツ, イギリス, フランス, イタリア, カナダの中間留分はJet/Kerosene, Diesel, Other Gasoilの和とする。
12
(-1.0)
(7.3)
(33.4)
(3.4)
(3.5)
-情勢分析200104132. 生産動向(4 月 13 日更新)
(1) 2 月の OPEC 原油生産量は 2766.7 万 b/d
EIG, Oil Market Intelligence, 2001 年 3 月号によると、2001 年 2 月の OPEC 原油生産量は 1 月
の減産合意に基づき、UAE が 12.5 万 b/d 減、クウェートが 9 万 b/d 減など減産が相次いだが、
イラクが前月比 45.9 万 b/d 増産したため、全体では前月より 2.4 万 b/d 減の 2766.7 万 b/d に留
まった。
(2) 非 OPEC 生産は 4013 万 b/d
同誌によると、2001 年 2 月の非 OPEC 原油生産量は、ノルウェーが 26.1 万 b/d 減産した他は
特に大きな変動はなく、全体では 37.3 万 b/d 減の 4013 万 b/d となった。
表II - 2 原油生産動向*
2000年
5月
6月
7月
サウジアラビア
8,080
8,100
8,350
イラン
3,650
3,700
3,715
イラク
3,080
2,590
2,560
クウェート
1,780
1,850
1,875
UAE
2,300
2,335
2,370
カタル
700
700
725
中立地帯
620
640
645
ナイジェリア
2,000
2,030
2,010
リビア
1,400
1,400
1,350
アルジェリア
810
820
800
ベネズエラ
2,850
2,900
2,920
インドネシア
1,300
1,300
1,305
OPEC計
28,570 28,365 28,625
米国
5,485
5,409
5,420
うちアラスカ
966
925
913
メキシコ
3,040
3,056
2,876
イギリス(北海のみ)
2,510
2,511
2,488
ノルウェー(北海のみ) 3,041
3,024
3,410
中国
3,251
3,294
3,228
旧ソ連
7,341
7,421
7,506
その他
15,007 15,115 15,077
非OPEC計
39,675 39,830 40,005
世界計
68,245 68,195 68,630
出所:Oil Market Intelligence, EIG.
アラスカのみMonthly Energy Review, DOE.
注:* NGLとコンデンセートは含まない。
**2000年2月1日からの合意産油量。
8月
8,500
3,565
2,990
1,850
2,325
725
645
2,050
1,360
810
2,930
1,280
29,030
5,922
914
3,162
2,296
3,039
3,191
7,712
14,752
40,074
69,104
9月
8,550
3,720
2,865
1,865
2,325
725
645
1,980
1,380
830
2,950
1,300
29,135
5,514
892
3,174
2,222
3,020
3,252
7,474
14,645
39,301
68,436
13
10月
8,490
3,750
3,010
1,875
2,310
725
660
2,195
1,400
830
3,000
1,270
29,515
5,701
966
2,861
2,262
3,253
3,211
7,751
14,351
39,390
68,905
11月
8,558
3,780
2,800
1,838
2,350
730
665
2,175
1,400
810
2,980
1,250
29,335
5,848
986
2,965
2,317
3,373
3,206
7,782
14,646
40,137
69,472
12月
8,365
3,780
1,276
1,840
2,350
730
680
2,178
1,400
820
3,000
1,280
27,699
5,726
1,010
3,043
2,409
3,387
3,230
7,875
14,730
40,400
68,099
(単位:1,000b/d)
2001年
01年1月
1月
2月 合意**
8,000
7,950
8,189
3,750
3,709
3,698
1,731
2,190
1,840
1,750
2,021
2,350
2,225
2,201
730
690
653
680
640
2,150
2,143
2,075
1,400
1,400
1,350
820
805
805
3,000
2,950
2,902
1,240
1,215
1,307
27,691 27,667 25,200
5,619
5,587
980
966
3,087
3,110
2,681
2,663
3,442
3,181
3,220
3,215
7,861
7,856
14,593 14,518
40,503 40,130
68,194 67,797
-情勢分析200104133. 在庫動向(4 月 13 日更新)
(1) OECD 諸国の在庫動向
IEA, Oil Market Report, 2001 年 4 月号によると、2001 年 2 月の OECD 諸国の民間原油在庫は、
8 億 9400 万バーレルとなり、前月の 8 億 8600 万バーレルより 800 万バーレル増加した。
製品別ではガソリンが 3 億 9000 万バーレル、中間留分が 4 億 8700 万バーレル、重油が 1 億
5700 万バーレルとなった。
(2) 米国の在庫動向
API (米国石油協会), Weekly Statistical Bulletin 最新号によると、2001 年 4 月第 1 週(3/31 - 4/
6)の米国の民間原油在庫は、3 億 789.3 万バーレルとなり、前週の 3 億 320.3 万バーレルより
469 万バーレル増加した。
製品別ではガソリンが 1 億 9250.1 万バーレル、軽油が 1 億 470.8 万バーレルとなった。
表II - 3 OECD諸国の民間在庫
(単位:100万バーレル)
2001年
11月 12月
1月
2月
1998年 1999年 2000年
2月
2月
2月
9月 10月
北米
原油
407
428
387
389
380
395
393
397
389
ガソリン
256
264
234
225
218
229
228
235
234
中間留分
210
224
179
188
190
197
196
196
195
重油
48
52
43
46
45
48
45
46
48
製品計*
662
704
585
639
624
638
618
616
612
北米計
1,215 1,276 1,105 1,179 1,158 1,180 1,149 1,150 1,141
在庫変動(対前月比)
12月
1月
2月
-2
-1
-1
-3
-20
-31
4
7
0
1
-2
1
-8
-1
-1
2
-4
-9
欧州
原油
ガソリン
中間留分
重油
製品計*
欧州計
353
143
244
83
556
972
352
152
254
84
581
994
326
134
233
80
540
929
336
121
226
78
528
929
322
127
226
85
540
929
322
121
231
83
541
932
330
122
235
86
551
948
325
129
228
86
548
936
330
131
225
85
545
939
8
1
4
3
10
16
-5
7
-7
0
-3
-12
5
2
-3
-1
-3
3
太平洋
原油
ガソリン
中間留分
重油
製品計*
太平洋計
193
25
75
25
190
474
171
28
73
24
186
442
171
26
62
22
172
425
168
26
82
24
203
453
171
27
92
26
219
471
180
25
92
25
218
481
172
24
83
23
202
455
164
25
72
24
190
437
175
25
68
24
178
434
-8
-1
-9
-2
-16
-26
-8
1
-11
1
-12
-18
11
0
-4
0
-12
-3
OECD**
原油
952
952
884
893
874
897
895
886
894
ガソリン
424
443
393
372
371
376
374
389
390
中間留分
529
551
475
496
507
520
514
496
487
重油
155
160
145
148
155
156
154
156
157
製品計* 1,408 1,470 1,297 1,370 1,383 1,396 1,371 1,353 1,334
OECD合計 2,661 2,712 2,458 2,561 2,559 2,594 2,552 2,524 2,514
-2
-2
-6
-2
-25
-42
-9
15
-18
2
-18
-28
8
1
-9
1
-19
-10
出所: Oil Market Report, IEA
*製品計はガソリン、中間留分、重油その他の石油製品の合計を示す。
**OECDには全加盟国(29カ国)を含む。
注:いずれも月末値
14
-情勢分析20010413-
OECD諸国の民間原油在庫(1996 - 2000年)
(100万バーレル)
1,020
1,000
980
1997
1998
1999
2000
2001
960
940
920
900
880
860
Jan
Feb
Mar
Apr
May
Jun
Jul
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
OECD諸国の民間ガソリン在庫(1996 - 2000年)
(100万バーレル)
460
440
420
1997
1998
1999
2000
2001
400
380
360
340
Jan
Feb
Mar
(100万バーレル)
Apr
May
Jun
Jul
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
OECD諸国の民間中間留分在庫(1996 - 2000年)
650
600
1997
1998
1999
2000
2001
550
500
450
400
Jan
Feb
Mar
Apr
May
Jun
Jul
出所:Oil Market Report, IEA
15
Aug
Sep
Oct
Nov
Dec
-情勢分析20010413米国の原油在庫(1997∼2001年)
(100万バーレル)
360
350
340
330
1997
1998
1999
2000
2001
320
310
300
290
280
270
J
F
M
A
M
(100万バーレル)
J
J
A
S
O
N
D
米国のガソリン在庫(1997∼2001年)
235
230
225
1997
1998
1999
2000
2001
220
215
210
205
200
195
190
185
J
F
M
A
M
(100万バーレル)
J
J
A
S
O
N
D
米国の中間留分在庫(1997∼2001年)
160
150
140
1997
1998
1999
2000
2001
130
120
110
100
90
J
F
M
A
M
J
J
A
出所:API, Weekly Statistical Bulletin
注:月ラベルは2001年各月第1週の位置に表記。
2001年は4月6日までの数値(週末値)。
16
S
O
N
D
-情勢分析20010413III 需給実績と短期需給見通し
1. IEA, Oil Market Report, 2001 年 3 月号(3 月 30 日更新)
・2000 年第 IV 四半期初めの OECD 在庫は、徐々に減少すると予測されていたが、4500 万 bbl
上方修正された。2001 年 1 月の OECD 在庫暫定値は 1000 万 bbl (32 万 b/d)減少し、これまで
のところ冬季の在庫減少幅は平年よりも少ない。
・高油価と世界経済の減速が石油需要の伸び率を鈍化させ、2000 年の製品需要は 10 万 b/d 下
方修正された。 2001 年も 11 万 b/d 下方修正され、需要量は 141 万 b/d となっている。2001 年
1月のOECD需要の反転は、米国における短期的な、天然ガスから石油への乗り換えを反映
している。
・2 月の世界の石油生産量は OPEC の減産により、約 70 万 b/d 減少して 7725 万 b/d となった。
イラクを除く OPEC 10 の生産量は 102 万 b/d 減少して 2575 万 b/d となっていたが、イラク
生産量が 32 万 b/d 増加した。
・2 月第 1 週の後、原油価格は下落を続け、3 月初旬に OPEC の減産観測によって下げ止まっ
た。弱気ムードは石油需要の悲観的な見通しに基づくものである。
・同時期に米国・欧州で通油量が減少したにもかかわらず、製品需要の減退が価格を下落さ
せている。米国湾岸の精製マージンは急激に落ち込んだが、場所によっては原油価格の低
下の方が急であるため、精製マージンは確保されている。
表III - 1 石油需給見通し(IEA, 3月14日予測)
(単位:100万b/d, %)
1997年 1998年 1999年
<需要>
北米
欧州
太平洋
OECD計*
旧ソ連
中国
欧州
中南米
アジア
中東
アフリカ
非OECD計
需要合計
<供給>
OECD諸国*
旧ソ連
中国
その他非OPEC
プロセスゲイン**
非OPEC計
2000年
2001年
平均
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
22.7
15.0
9.0
23.1
15.3
8.4
23.6
15.8
9.4
23.5
14.4
7.9
24.1
14.7
8.2
24.3
15.6
9.1
23.9
15.1
8.6
23.6
15.1
9.3
23.7
14.5
8.0
24.3
15.0
8.3
24.4
15.3
8.8
24.0
15.0
8.6
24.3
15.3
9.5
23.9
14.6
8.1
24.5
15.1
8.4
24.7
15.6
9.0
24.3
15.2
8.7
46.7
46.8
48.7
45.7
47.0
49.0
47.6
47.9
46.3
47.7
48.4
47.6
49.1
46.6
48.0
49.3
48.2
(1.7)
(0.2)
(3.2)
(0.7)
(0.9)
(1.9)
(1.7)
(-1.6)
(1.3)
(1.5)
(-1.2)
(0.0)
(2.5)
(0.6)
(0.6)
(1.9)
(1.3)
3.8
4.2
0.8
4.7
6.7
4.0
2.3
3.7
4.2
0.8
4.8
6.7
4.2
2.3
3.6
4.4
0.8
4.6
7.0
4.3
2.3
3.3
4.6
0.7
4.8
7.1
4.4
2.3
3.4
4.3
0.7
4.9
7.1
4.4
2.3
3.7
4.6
0.7
4.8
7.1
4.2
2.4
3.5
4.5
0.7
4.8
7.1
4.3
2.3
3.6
4.7
0.8
4.7
7.1
4.3
2.4
3.4
4.5
0.7
4.8
7.3
4.4
2.3
3.5
5.1
0.7
4.9
7.3
4.5
2.3
3.7
4.8
0.8
4.8
7.2
4.3
2.4
3.5
4.8
0.8
4.8
7.2
4.4
2.3
3.6
4.9
0.8
4.8
7.3
4.4
2.4
3.4
5.0
0.8
4.9
7.4
4.6
2.4
3.3
5.0
0.7
5.0
7.5
4.7
2.4
3.5
5.3
0.8
5.0
7.5
4.5
2.4
3.5
5.0
0.8
4.9
7.4
4.6
2.4
26.5
26.7
27.0
27.2
27.1
27.5
27.2
27.5
27.6
28.2
27.9
27.8
28.2
28.5
28.7
28.9
28.6
(3.1)
(0.8)
(-1.5)
(0.0)
(1.1)
(2.2)
(1.9)
(1.9)
(1.5)
(4.1)
(1.5)
(2.2)
(2.5)
(3.3)
(1.8)
(3.6)
(2.9)
73.1
(2.1)
73.5
(0.5)
75.8
(1.7)
72.9
(0.4)
74.1
(1.0)
76.5
(2.1)
74.8
(1.8)
75.5
(-0.4)
73.9
(1.4)
75.9
(2.4)
76.4
(-0.1)
75.4
(0.8)
77.3
(2.4)
75.0
(1.5)
76.7
(1.1)
78.2
(2.4)
76.8
(1.9)
22.1
7.2
3.2
10.4
1.6
21.9
7.3
3.2
10.7
1.6
21.5
7.4
3.2
10.9
1.7
20.9
7.4
3.2
10.8
1.6
21.3
7.5
3.2
10.9
1.6
22.0
7.6
3.2
11.1
1.7
21.4
7.5
3.2
10.9
1.7
22.3
7.7
3.3
10.9
1.7
21.8
7.8
3.2
11.1
1.7
21.7
8.0
3.2
11.1
1.7
22.0
8.2
3.2
11.2
1.7
21.9
7.9
3.2
11.1
1.7
22.1
8.2
3.2
11.3
1.8
21.9
8.2
3.2
11.3
1.7
21.9
8.3
3.2
11.3
1.7
22.5
8.4
3.2
11.3
1.8
22.1
8.3
3.2
11.3
1.8
44.5
44.7
44.6
44.0
44.6
45.5
44.7
45.9
45.5
45.7
46.4
45.9
46.6
46.4
46.5
47.1
46.6
(2.1)
(0.4)
(-1.5)
(-1.6)
(1.4)
(1.8)
(0.0)
(2.9)
(3.4)
(2.5)
(2.0)
(2.7)
(1.5)
(2.0)
(1.8)
(1.5)
(1.5)
OPEC 原油
OPEC・NGL
27.2
2.7
28.0
2.8
27.8
2.8
26.3
2.8
26.2
2.8
26.1
2.8
26.6
2.8
26.5
2.8
27.8
2.9
28.4
2.9
29.0
2.9
27.9
2.9
27.7
3.0
25.6
3.0
27.2
3.0
28.1
3.0
27.2
3.0
OPEC合計
29.9
(5.3)
30.8
(3.0)
30.6
(-2.2)
29.1
(-6.7)
29.1
(-4.0)
29.0
(-4.9)
29.4
(-4.5)
29.3
(-4.2)
30.7
(5.5)
31.3
(7.6)
31.9
(10.0)
30.8
(4.8)
30.7
(4.8)
28.6
(-6.8)
30.2
(-3.5)
31.1
(-2.5)
30.2
(-1.9)
供給合計
74.4
(3.3)
75.5
(1.5)
75.3
(-1.8)
73.1
(-3.6)
73.6
(-1.1)
74.5
(-0.9)
74.1
(-1.9)
75.2
(-0.1)
76.2
(4.2)
77.0
(4.6)
78.3
(5.1)
76.7
(3.5)
77.3
(2.8)
75.0
(-1.6)
76.7
(-0.4)
78.2
(-0.1)
76.8
(0.1)
在庫変動
1.3
2.0
-0.5
0.2
-0.4
-2.0
-0.7
-0.2
2.3
1.2
1.9
1.3
-
-
-
-
-
出所:Oil Market Report 2000年3月号, IEA
注:( )内は対前年伸び率。
2000年第IV 四半期以降(囲み部分)は当研究所にて在庫変動0で試算。
*OECDには全加盟国(29カ国)を含む。
**プロセスゲインは精製過程(ただし旧ソ連、中国、非OECDヨーロッパは含まない)、海上輸送損失におけるネット量。
17
-情勢分析200104132. 米エネルギー省(DOE/EIA), Short-Term Energy Outlook, 2001 年 4 月号(4 月 13 日更新)
・今冬にガソリン生産量が比較的少なかったこと、リフォーミュレイテド・ガソリンのブレ
ンド材料が高コストであること、ガソリン在庫が標準時より少ないことなどから、短期的
な供給懸念があり、地域によっては今夏(4 月 1 日 - 9 月 30 日)にガソリン価格が急騰する危
険がある。
・低在庫及び需要増加によって、ガソリン市場はタイトであり、生産者のマージンが確保さ
れる。そのため、いずれにせよ、小売価格は割高になろう。
・OPECバスケット価格を(プライス・バンド圏内に)維持するのにこれ以上の減産は必要ない。
新生産枠に対しても協定破りは出てくると考えられ、夏の半ばには OPEC 生産量は生産枠
+100 万 b/d 程度となり、今回の減産分は相殺されているだろう。
・通常、需要が減少する第 II 四半期は在庫積み増しの時期である。しかし EIA は、特に米国
の在庫レベルが今後も引き続きタイトであることから、価格が大きく下落することはない
と予想している。
・イラクは 2000 年 12 月以来、国連制裁に揺さぶりをかけようと生産量・輸出量を減少させ
ていたが、3 月にはようやく昨秋の 200 万 b/d レベルに回復した。 ただし 2001 年のイラク生
産量は 300 万 b/d を越えないであろう。
・世界需要は先進国の経済減速懸念にもかかわらず、依然として増加すると予測されている。
しかし EIA は、2001 年の世界の需要増加量を前月からさらに 10 万 b/d 下方修正し、2001 年
140 万 b/d、2002 年 150 万 b/d と予測している。
表III - 2 石油需給見通し(DOE, 4月6日予測) (単位:100万b/d, %)
1998年 1999年 2000年
<需要>
北米
欧州
太平洋
OECD計*
旧ソ連
欧州
中国
その他アジア
その他非OECD
非OECD計
需要合計
<供給>**
OECD諸国*
旧ソ連
中国
メキシコ
その他
非OPEC計
OPEC
供給合計
在庫変動
2001年
2002年
平均
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
21.1
14.7
6.4
21.7
14.5
6.6
21.5
14.6
7.0
21.6
14.0
6.0
22.1
14.4
6.4
22.2
15.2
6.8
21.8
14.5
6.5
22.2
15.0
7.2
21.8
14.0
6.1
22.3
14.6
6.3
22.5
15.2
6.8
22.1
14.7
6.6
22.0
15.1
7.3
22.2
14.2
6.2
22.8
14.7
6.3
22.7
15.4
6.9
22.5
14.9
6.7
42.2
42.9
43.0
41.5
42.9
44.2
42.9
44.4
41.8
43.1
44.5
43.4
44.5
42.5
43.8
45.0
44.0
(1.0)
(1.7)
(-1.8)
(0.7)
(1.2)
(0.2)
(0.0)
(3.3)
(0.7)
(0.5)
(0.7)
(1.2)
(0.2)
(1.7)
(1.6)
(1.1)
(1.4)
4.2
3.6
3.9
3.7
3.7
3.7
3.7
3.8
3.7
3.7
3.7
3.7
3.9
3.7
3.7
3.7
3.8
1.5
3.9
8.7
13.2
1.6
4.3
8.8
13.6
1.5
4.6
9.0
13.7
1.5
4.6
9.1
13.9
1.5
4.6
8.8
14.0
1.5
4.6
9.2
14.0
1.5
4.6
9.0
13.9
1.6
4.8
9.4
14.0
1.6
4.8
9.4
14.3
1.6
4.7
9.1
14.4
1.6
4.8
9.5
14.3
1.6
4.8
9.3
14.2
1.6
5.0
9.7
14.3
1.6
5.0
9.7
14.6
1.6
4.9
9.4
14.7
1.6
5.0
9.8
14.6
1.6
5.0
9.7
14.6
31.5
31.9
32.7
32.9
32.7
33.0
32.8
33.6
33.7
33.4
33.9
33.7
34.6
34.6
34.3
34.8
34.6
(0.3)
(1.3)
(2.5)
(3.5)
(3.2)
(2.2)
(2.8)
(2.8)
(2.4)
(2.1)
(2.7)
(2.7)
(3.0)
(2.7)
(2.7)
(2.7)
(2.7)
73.8
74.8
75.7
74.3
75.6
77.2
75.7
78.0
75.5
76.6
78.3
77.1
79.0
77.1
78.2
79.8
78.6
(0.8)
(1.4)
(0.0)
(1.6)
(2.0)
(1.2)
(1.2)
(3.0)
(1.6)
(1.3)
(1.4)
(1.8)
(1.3)
(2.1)
(2.1)
(1.9)
(1.9)
19.7
19.4
20.2
19.6
19.6
19.8
19.8
19.8
19.7
19.8
20.4
19.9
19.9
19.7
19.9
20.5
20.0
7.2
3.2
3.5
10.9
44.5
7.4
3.2
3.4
11.2
44.6
7.6
3.3
3.5
11.2
45.7
7.7
3.3
3.5
11.2
45.3
7.9
3.2
3.5
11.4
45.7
8.2
3.2
3.4
11.5
46.2
7.9
3.2
3.5
11.3
45.7
8.1
3.2
3.8
11.1
46.0
8.2
3.2
3.8
11.2
46.1
8.3
3.2
3.8
11.4
46.6
8.3
3.2
3.7
11.5
47.2
8.2
3.2
3.8
11.3
46.5
8.4
3.1
4.0
11.4
46.7
8.5
3.1
4.0
11.5
46.8
8.6
3.1
4.0
11.7
47.4
8.7
3.1
3.9
11.8
47.9
8.6
3.1
4.0
11.6
47.1
(0.9)
(0.2)
(2.7)
(3.0)
(2.5)
(1.5)
(2.5)
(0.7)
(1.8)
(2.0)
(2.2)
(1.8)
(1.5)
(1.5)
(1.7)
(1.5)
(1.3)
30.4
29.3
29.3
30.8
31.6
31.7
30.9
30.9
30.4
30.8
31.4
30.9
31.6
31.6
31.7
31.7
31.7
(1.7)
(-3.6)
(-3.6)
(6.6)
(8.2)
(10.5)
(5.5)
(5.5)
(-1.3)
(-2.5)
(-0.9)
(0.0)
(2.3)
(3.9)
(2.9)
(1.0)
(2.6)
74.9
73.9
75.0
76.1
77.3
77.9
76.6
76.9
76.5
77.4
78.6
77.4
78.3
78.4
79.1
79.6
78.8
(1.2)
(-1.3)
(0.1)
(4.4)
(4.7)
(5.0)
(3.7)
(2.5)
(0.5)
(0.1)
(0.9)
(1.0)
(1.8)
(2.5)
(2.2)
(1.3)
(1.8)
1.2
-0.9
-0.7
1.8
1.8
0.7
0.9
-1.1
1.0
0.8
0.3
0.3
-0.8
1.3
0.9
-0.1
0.3
出所:Short-Term Energy Outlook, 2001年4月号, DOE/EIA
注:( )内は対前年伸び率。
*OECDにはチェコ、ハンガリー、メキシコ、ポーランド、韓国は含まない。
**供給にはNGL、コンデンセート等も含む。
18
-情勢分析200104133. その他 (4 月 13 日更新)
Petroleum Argus 社 , Petroleum Argus Weekly Global Markets, 2001 年 3 月 26 日号
・OPEC の 100 万 b/d 減産は第 II 四半期の世界在庫積み増し量を半減させる。今年後半に増産
に転じなければ、冬の需要期を前にして第 III 四半期に在庫が減少することになる。これに
よって生じた価格高騰は即座に需要に影響するであろうし、高油価によって世界経済が悪
化した場合はなおさらである。
・米国経済は後退期に近付きつつあり、V字型回復論にも疑問の声が出ている。高油価は米国
経済失速の原因そのものではないが、要因の一つである。供給を抑えることは事態の悪化
を長引かせるだけである。
・Argus は 2001 年の世界需要増加量を 120 万 b/d と見積もっているが、OPEC が増産しなけれ
ばもっと少なくなるだろう。在庫が少ない時に供給を制限することによって、OPECは需要
が伸びる可能性を排除している。米国経済の回復が遅れ、経済の減速がアジア、ヨーロッ
パへ広がれば、それも需要の伸び率が鈍化する要因となる。
・商業在庫は歴史的水準からは依然として低く、カバー日数はOPECが増産を始めた昨年のこ
の時期と比べて増えていない。特に米国ガソリン在庫が低レベルであり、夏季の供給逼迫
につながる可能性がある。
表III - 3 石油需給見通し(Argus, 3月26日予測) (単位:100万b/d, %)
1998年 1999年
<需要>
OECD諸国
非OECD
需要合計
<供給>
OECD諸国
その他非OPEC
非OPEC計*
OPEC原油***
OPEC NGLs
OPEC計
供給合計
2000年
2001年
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
IQ
IIQ
IIIQ
IVQ
平均
47.6
48.6
45.7
46.9
49.1
47.6
47.8
46.3
47.7
48.7
47.6
49.2
46.4
48.3
49.3
48.3
27.4
27.3
27.2
27.6
27.7
27.5
28.3
28.0
28.6
29.2
28.6
28.5
28.8
29.1
29.8
29.1
75.0
75.9
72.9
74.5
76.8
75.1
76.1
74.3
76.3
77.9
76.2
77.7
75.2
77.4
79.1
77.4
(1.6)
(1.7)
(0.0)
(0.9)
(2.3)
(0.1)
(0.3)
(1.9)
(2.4)
(1.4)
(1.5)
(2.1)
(1.2)
(1.4)
(1.5)
(1.6)
21.4
21.5
20.9
21.2
22.1
21.4
22.2
21.9
21.7
22.2
22.0
22.1
21.8
21.9
22.3
22.0
23.1
23.0
23.0
23.2
23.4
23.2
23.6
23.6
23.8
24.3
23.8
24.3
24.4
24.5
24.7
24.5
44.5
44.5
43.9
44.4
45.5
44.6
45.8
45.5
45.5
46.5
45.8
46.4
46.2
46.4
47.0
46.5
(0.2)
(-1.8)
(-1.8)
(0.9)
(2.0)
(0.2)
(2.9)
(3.6)
(2.5)
(2.2)
(2.7)
(1.3)
(1.5)
(2.0)
(1.1)
(1.5)
26.5
27.6
26.1
26.3
26.0
26.5
26.3
27.9
28.6
28.8
27.90
27.8
27.2
28.2
28.2
27.80
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
2.9
29.4
30.5
29.0
29.2
28.9
29.4
29.2
30.8
31.5
31.7
30.8
30.7
30.1
31.1
31.1
30.7
(-2.0)
(-2.9)
(-6.5)
(-2.7)
(-3.7)
(0.0)
(-4.3)
(6.2)
(7.9)
(9.7)
(4.8)
(5.1)
(-2.3)
(-1.3)
(-1.9)
(-0.3)
73.9
75.0
72.9
73.6
74.4
74.0
75.0
76.3
77.0
78.2
76.6
77.1
76.3
77.5
78.1
77.2
(-0.7)
(-2.2)
(-3.7)
(-0.5)
(-0.3)
(0.1)
(0.0)
(4.7)
(4.6)
(5.1)
(3.5)
(2.8)
(0.0)
(0.6)
(-0.1)
(0.8)
-2.4
-1.2
-1.1
2.0
0.7
0.3
0.5
-0.5
1.1
0.1
-1.1
-0.1
-1.1
-1.0
-0.1
-1.0
供給-需要
大西洋市場(南北米、欧州、旧ソ、アフリカ)
需要
供給
50.5
44.0
51.0
44.1
49.0
43.3
50.5
43.7
52.0
44.8
50.6
44.0
50.2
44.9
49.7
44.8
50.9
45.0
52.2
46.0
50.7
45.2
51.6
45.8
50.1
45.2
51.6
45.7
52.8
46.3
51.5
45.8
供給-需要**
-6.6
-6.8
-5.7
-6.8
-7.2
-6.6
-5.2
-4.9
-5.9
-6.2
-5.5
-5.8
-4.9
-5.9
-6.5
-5.8
需要
20.1
20.7
19.5
19.7
20.6
20.1
21.7
20.1
20.8
21.4
21.0
21.7
20.6
21.1
21.9
21.3
供給
8.1
8.1
8.0
8.1
8.1
8.1
8.3
8.4
8.3
8.4
8.4
8.5
8.4
8.5
8.5
8.5
-12.0
-12.6
-11.5
-11.6
-12.5
-12.1
-13.3
-11.8
-12.5
-13.0
-12.7
-13.2
-12.1
-12.7
-13.4
-12.8
アジア太平洋市場
供給-需要**
中東市場
需要
4.3
4.2
4.3
4.4
4.2
4.3
4.3
4.4
4.5
4.4
4.4
4.4
4.6
4.7
4.5
4.5
供給
21.8
22.7
21.5
21.8
21.4
21.8
21.7
23.1
23.7
23.8
23.1
22.9
22.6
23.3
23.3
23.0
供給-需要**
17.6
18.5
17.1
17.4
17.2
17.5
17.4
18.7
19.1
19.4
18.7
18.5
18.1
18.6
18.8
18.5
出所:Petroleum Argus Weekly Global Markets, Petroleum Argus社
注:( )内は対前年伸び率。
*非OPEC供給はプロセス・ゲイン(160万b/d)、米国のSPR放出を含む。
**大西洋市場、アジア太平洋市場、中東市場の需給バランスは在庫変動0とする。
***2001年7月からの増産を前提とする。
19
-情勢分析200104134. 原油価格見通し
予測者(機関)
CS First Boston
DB Alex Brown
Puvin & Gertz
Societe Generale
CGES
ESAI
RIE
平均
価格見通し
Brent ($/b)
3Q
4Q
2001
20.00 19.00 22.00
20.00 22.00 23.06
24.27 24.60 25.09
25.50 27.00 25.70
25.30 28.70 26.05
28.00 28.30 26.75
27.70 29.00 27.20
24.40 25.51 25.12
DOE/EIA
・WTIスポット平均価格
(Energy Information Administration)
2000 2001
1Q 28.82
28.82
2Q 28.78
27.67
29.04
3Q 31.61
4Q
31.96 30.01
Avg. 30.29 28.88
(斜体は実績)
理由・根拠
2002
30.00
2002
29.34
29.00
29.50
29.83
29.42
20
出所
・ 大半のアナリスト達は第II四半期の
Brent価格は25ドルを下回るくらいと
見ているが、2001年後半の予測は大
きく分かれている。
・ アナリスト達は皆、石油需要を大き
な不確定要素としており、多くはIEA
の140万b/dを楽観的すぎると考えてい
る。
・ 石油価格の安定はOPECの市場管理能
力にかかっており、需要をよく観察
して冬の在庫積み増し期の前に行動
しなけれなければ、2001年末に価格
が高騰するだろう。
・ 需要に見合うだけの生産の増加分
は、OPEC総会による正式な増産では
なく、イラク生産か、OPEC諸国の減
産協定破りによって賄われると見る
アナリストもいる。
Petroleum Argus
Global Market
2001.4.2
・ 3月の平均価格は2月よりも$1.50/b下
がった。
・ 2000年末の商業在庫の増加や米国経
済の減速という弱気要因が価格予測
を下落の方向へ向かわせるが、こう
した要因はOPECの2度にわたる減産
によって相殺される。
Short-Term Energy
Outlook
Apr. 01