人権が大黒柱の町づくり推進決議(案) 21 世紀は「人権の世紀」と言われ、国連では 1995 年から 2004 年までの 10 年間を「国 連人権教育のための 10 年」と位置付けることを決議しました。2004 年(平成 16 年)には 「人権教育のための世界計画」を決議し、10 年間の計画期間終了後も人権教育のさらなる 推進が確認されています。こうした国際的な人権尊重の潮流の中で、我が国においても 2000 年(平成 12 年)に、 「人権教育及び人権啓発の推進に関する法律」が制定され、鳥取県でも 2004 年(平成 16 年)に、「鳥取県人権施策基本方針―第 1 次改定―」が策定されました。 本町では町発足と同時に「南部町における部落差別をはじめあらゆる差別をなくす条例」 を制定し、人権尊重の町づくりに積極的に取り組んでいくことを表明しました。2006 年(平 成 18 年)には、このことを具体的に推進するために「南部町における部落差別をはじめあ らゆる差別をなくす総合計画」を策定するとともに、昨年度は「総合計画」の具体的な推進 を図るための「基本(実施)計画」を策定したところであります。こうした本町の取組みは、 差別のない、一人ひとりが大切にされる町づくりへの町民の皆さんの強い願いに支えられて 実現されたものであります。 一方、部落差別をはじめとする様々な差別の現実は依然として厳しいものがあります。本 県においても悪質な落書きは後を絶たず、インターネットへの差別書き込みはその内容、量 ともに悪化の傾向にあります。また、2005 年(平成 17 年)の意識調査結果から本町の状況 を見てみますと、「人権についてのイメージが『重要』」と考えている人の割合は 82%で、 県平均に比べ 6%以上も低くなっています。また、「人権が自分に関係が深い」と感じてい る人は 37%に留まっており、県平均を下回るとともに最も高い数値を示した自治体に比べ 16%低くなっています。こうしたことから、町民の人権に対する意識は必ずしも高いとは言 い切れず、引き続き人権教育や啓発活動を積極的に推進していかなければなりません。 本町がめざす「人権文化が定着した町」とは、一人ひとりの町民が大切にされ、すべての 差別や偏見がなくなり、町民の誰もが心豊かに、いきいきと生活できる町をみんなで創り上 げていくことであります。そのためには、差別や人権侵害の現実を自らの問題としてとらえ、 解決していく強い意識と意欲を全町民が持たなければなりません。差別落書きは消せばよい というものではなく、差別事象にその都度対応していけばいいというものでもありません。 暮らしの中に差別や偏見のない町を創り上げるための、日常的な営みや学びこそが大切にさ れなければなりません。不幸にして、様々な人権侵害や差別落書きなどの差別事象が発生し た場合には、その現実に深く学びながらその原因や背景を深く追求し、そこから次の施策を 構築していくことが重要であります。人権尊重の町づくりは本町の重要な政策課題でありま す。南部町人権会議は町行政と連携・融合しながら、これまでの同和教育の成果を踏まえ、 部落差別をはじめあらゆる差別を許さない「人権が大黒柱の町づくり」を一層推進していく ことを改めて表明するとともに、人権尊重の町づくり実現に向けその中核的な役割を果たす ことを本総会の名を持って決議いたします。 平成 22 年 6 月 11 日 平成 22 年度南部町人権会議総会
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