米国・カナダ

米国・カナダ
米国からは 93 社が展示をした。全体の 13%程度で勢いはアジア勢とは比較にならない。大
企業以外の出展はアメリカ・パビリオンに集中していた。シスコー、マイクロソフト、モ
トローラ等の大手企業は大きな展示スペースを確保していたが、米国系企業はそのほとん
どが、グローバルに展開しており、展示担当者は世界中から、特にアジア地域から、参加
している例が多かった。一方、カナダはパビリオンを中心に 57 の企業と政府組織、地方自
治体が出展していた。出展者数は多いが、大きな展示スペースをとっていたものはいない。
カナダの有力機器メーカーである Nortel も簡単なパネルのみの出展であった。
写真1 米国パビリオン入り口
写真 2 カナダパビリオン
キーワードでみたテレコム動向
以下のキーワードで展示各社を紹介する。
1総合化
2NGN
3IPTV
4WiMAX
5Media-FLO
6公共安全
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統合化 or 総合化(端末、ネットワーク機器、ソリューション、サービス)
大手企業においては、特定の技術を展示するのではなく、今回のテーマである「デジタ
ルワールドを生きる」に沿って、近未来のユビキタスネット社会の姿を示すことに主眼が
置かれていた。そこで示されている形は、日本ではすでに身近にあるものも多い。大手企
業で特徴的な動きは、それぞれが得意な分野を中心にしながらも、端末から、ネットワー
クインフラ、そしてサービスにいたるまでの総合的なソリューションを提供するというア
プローチであった。近年、その PC 部門を売却してハードウェアベンダーから離れつつある
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IBM は、他の企業と積極的に連携することによって、総合的なソリューションの提供を進
めている。今回の展示ではあまり見られなかった Web2.0 をキーワードに掲げて、テレコム
の世界でもインターネットでの動きが大事であると主張している。
一方、ハードウェアベンダーの印象が強いモトローラ社でも、自社の携帯端末、無線ブ
ロードバンド接続等のハードウェアから、これらを使ったサービスへのソリューションま
でを総合的に提供していることをアピールしていた。
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図 1
IBM は提案する NGN をサポートするソフトウェア群。他社との協調によって、総合的
なサービスを提供できることを協調
図 2 モトローラは電車内をブースに再現。携帯端末で実現するサービスをアピール。右はワイ
ヤレスソリューション戦略を語るモトローラ・シンガポールの Wong Kah Seng 氏。
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NGN
NGN の言葉は各社の展示で、大きな扱いではないが、随所でみられた。しかし、特に米
国系企業ではその定義については多様であった。共通点としては、今後 IP 網の一層の高速・
大容量化が進展する方向での展示が行われていた。今後のキラーコンテンツが動画である
ことも共通の認識であり、IP 網で動画まで扱うネットワーク機器が大小の企業をとわず多
数展示された。関連して、ネットワーク機器の試験機材を提供する企業が多数展示ブース
を持っていた。米国における今後の NGN 展開について、展示担当者との議論の中で、現在
のネットワークの基盤となっている古い電話網を、誰がどうやって、光ファイバー化して
いくのかについて疑問を持つ人が数多くいた。民間企業の力の強い米国においては、利益
を出すビジネスモデルがなければファイバー展開は難しく、日本のように一挙に進むこと
はないであろうという意見が大半であった。その中で注目されるのは地方自治体の動きで、
ユタ州やカリフォルニア州パロアルト市において、光ファイバ網を各家庭まで敷設するな
どの動きが広がっている。
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図 3 米国の NGN 事情を語る SPIRENT 社の Peter Murray 氏。同社はネットワーク試験機器
メーカー。今回の展示では試験機器の展示も多数見られた。
3 IPTV
IPTV に関連する展示も多い。中でもマイクロソフトが IPTV サービスのプラットフォー
ムとして同社の Microsoft TV をアピールしていた。IPTV で問題となっているチャンネル
切り替え速度の向上などを訴えていた。
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図 4 マイクロソフトの IPTV プラットフォーム Microsoft TV のデモ
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WiMAX
今回の展示の中でも WiMAX は大きなテーマで、WiMAX フォーラムが大きな展示スペー
ス確保するとともに、大小の企業で多数の展示があった。すでに商業ベースでネットワー
クインフラの整備が遅れているアジア地域への展開を進めている点が印象的であった。
WiMAX フォーラムのメンバーでもある SR Telecom のブースは本社がカナダ・ケベック州
なのでカナダパビリオンにあったが、展示担当者はタイとフィリピンの支社の人間であり、
東南アジアで積極的な販売活動を展開していることを強調していた。
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図 5 WiMAX フォーラムのブース(左)。カナダ SR Telecom 社のブースはフィリッピンとタイ
の現地駐在員が展示を担当。WiMAX の開発途上国での展開を印象付けた。
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図 6 モトローラは WiMAX を中心として、総合的な Connectivity を提供する MotoWi4 をプ
ロモート。その中には電力線通信(PLC)も含まれていた。
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Media-FLO
携帯端末へのビデオ伝送手段としてクオルコムが積極的に展開している Media-FLO は
ブースでの試作端末(サムスン製)を展示するとともに、その普及のために組織された FLO
フォーラムの活動を紹介していた。Media-FLO は米国で来年 7 月からの Verizon によるサ
ービス提供が予定されている。ブー
ス担当者も日本のワンセグを引き
合いに出しながら、Media-FLO の
優位性をアピールしていた。端末に
ついても、近々日本製のものが出る
とのことであった。また、CDMA
方式の IPR を保持するクオルコム
社は、自社がチップセット開発の先
端を行っていること強くアピール
しており、各社のチップセットをま
とめて展示していたのは印象的だ
った。担当者によれば、IPR ビジネ
図 6 Media-FLO の団体 FLO Forum はクアルコム社
のブースに
スはクオルコムの商売の半分程度
としていた。
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図 7
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クアルコム社が各社に提供している 3G 用チップセットの展示
公共安全
政府関係者も多数出席する ITU テレコムという性格もあってか、大手企業では自社の公共
安全分野への取り組みをアピールしているところも目立った。 AT&T は米国の 9/11 で実際
に使われたというトレーラー形
の緊急用通信基地設備の展示を
行っていた。又、CISCO 社は
IEEE802.11s のメッシュネット
ワーク機能を持った WiFi 機器を
使って、各種の公共安全通信の相
互運用性を確保する製品群の展
示を行っていた。
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図 7 AT&T のトレーラー形の緊急用通信基地設備
-以上
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