発汗マネキンによるカーシートの快適性評価法を開発

本
社
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2008年11月27日
発汗マネキンによるカーシートの快適性評価法を開発
このたび当社は、発汗マネキンによるカーシートの快適性評価法を開発しました。夏季のカ
ーシート着座時の自動車室内環境および人の状態を再現して評価を行い、
「むれ感」を発汗マネ
キンの衣服内温湿度で評価できる評価法を確立しました。
なお、自動車使用実態調査に関しては、追手門学院大学経営学部・辻幸恵教授にご協力いた
だきました。
1.本開発にいたる経緯
当社は1982年に、
「むれ感」というあいまいな感覚を
機器計測により評価する技術を駆使して「衣服内気候®」素
材(糸・生地)を開発しました。
その後も、さまざまな皮膚感覚を評価する「感覚計測技
術」を構築し、商品開発に活用・展開してきました。感覚
を機器により評価するため、発汗マネキンTOM®Ⅲ、発汗
マネキンSAM®など、独自の計測装置も開発し、利用して
きました。
発汗マネキンSAM®
2.本評価法の概要
夏季における屋外駐車の自動車室内は、建築物と比較してガラスの占有面積が大きく、かつ、
狭く密閉された空間であるため、非常に高温になります。そのため、乗車直後にエアコンを稼
動させても、しばらくは汗をかいて、むれ感などの不快感が生じます。
乗車時の快適性を追及したカーシートを効率的・効果的に開発するためには、カーシート着
座時の自動車室内環境および人の状態を再現し、感覚を機器により数値化する計測・評価法が
必要となります。そこで、発汗マネキンを用い、夏季の自動車使用実態に則した、カーシート
の快適性評価法の構築に取り組みました。なお、発汗マネキンとしては、発汗マネキンSAM®
を用いました。
3.本評価法の特長
(1)自動車使用実態調査、夏季の自動車室内の温湿度とカーシート表面温度測定を行い、実
態にあった評価条件を確立しました。
(2)夏季の自動車外を想定した部屋と、夏季の自動車内を想定した部屋の2つの部屋の間を
発汗マネキンが移動できるようにしました。
4.本評価法の詳細
(1)評価法
夏季の自動車使用状況を把握するために、自動車使用実態調査を行いました。また、自動車
室内環境を把握するために、夏季の自動車室内の温湿度、カーシート表面温度測定を行いまし
た。さらに、急激な環境変化時の評価をするため、2つの恒温恒湿室間を発汗マネキンが移動
できるようにしました。
自動車使用実態調査を基に設定した条件下で、人による試験および発汗マネキンによる試験
を3水準のシートについて実施しました。32℃70%RH*の部屋から50℃20%RHの
部屋に移動した後、18℃50%RHに温湿度を変更しました。これは、夏季、自動車外から
自動車内に移動し、冷房を使用する状況を想定しています。
*%RH:相対湿度
(2)結果
人の背部衣服内湿度評価結果、発汗マネキンの背部衣服内湿度評価結果、人のむれ感主観評
価結果を示します。着座直後に背部衣服内湿度が急上昇し、約10分後に下降し始めるパター
ンは、3つの結果で同じ傾向を示しました。さらに、シートの評価結果も同じ傾向を示すこと
を確認しました(シート1とシート3は有意差無し)。このように、人の試験結果を発汗マネキ
ンで精度良く再現でき、むれ感を発汗マネキンの衣服内湿度で評価することができました。さ
まざまな素材、さまざまな構造のカーシートでも評価できることを確認しています。
シート1
シート2
シート3
32℃70%RH
踏み台昇降
3
25
50℃20%RH⇒18℃50%RH
着座
35
25
20
時間(分)
0
30
50℃20%RH⇒18℃50%RH
着座
2
1
0
-1
-2
-3
15
10
背部むれ感主観評価得点
35
10
20
時間(分)
30
0
発汗マネキンSAMの背部衣服内湿度
人の背部衣服内湿度
シート1
シート2
シート3
32℃70%RH
踏み台昇降
45
50℃20%RH⇒18℃50%RH
着座
背部衣服内湿度(mmHg)
背部衣服内湿度(mmHg)
45
15
0
シート1
シート2
シート3
32℃70%RH
立位
10
20
時間(分)
30
人のむれ感評価
5.今後の展開
今後はカーシートに限定せず、広く「車室内空間の快適性評価」として展開していきます。
以
<本件に関するお問い合わせ先>
東洋紡績株式会社
広報室
松下・山田
TEL 06-6348-4210
上