ブロードバンド ISP 市場の競争性に関する分析 How

ブ ロ ー ド バ ン ド ISP 市 場 の 競 争 性 に 関 す る 分 析
日本型ネット中立性対策の前提条件の再検討
九州大学大学院経済学研究院
実積寿也
How competitive is the broadband ISP market in Japan?
A review of Japan’s network neutrality solutions
Toshiya Jitsuzumi, Dr.
Professor, Kyushu University
要旨
コンテンツの大容量化によりネットワークが処理すべきトラヒック量は急速に増大し、
トラヒック管理を行う必要性はこれまで以上に高まっている。ネットワーク中立性の
問 題 は 、 わ が 国 に お い て は ISP 市 場 の 競 争 に そ の 解 決 を 委 ね る 方 向 で 一 旦 決 着 を み て
い る 。 し か し な が ら 、 報 告 者 が 行 っ た 予 備 的 実 証 分 析 に よ れ ば ブ ロ ー ド バ ン ド ISP 市
場における競争は形骸化しており、総務省研究会において期待されていた「ネットワ
ーク中立性を確保するセーフガード」としての役割を果たすことが期待できない状況
に あ る 。 本 報 告 で は 、 現 在 実 施 中 の ア ン ケ ー ト 調 査 を 用 い て ブ ロ ー ド バ ン ド ISP 市 場
におけるスイッチングコストについて分析するとともに、非価格競争の導入による競
争性回復の可能性について議論する。
キーワード:
ネ ッ ト ワ ー ク 中 立 性 、 競 争 、 ス イ ッ チ ン グ コ ス ト 、 コ ン ジ ョ イ ン ト 分 析 、 RPL モ デ ル
ブ ロ ー ド バ ン ド ISP 市 場 の 競 争 性 に 関 す る 分 析
日本型ネット中立性対策の前提条件の再検討
九州大学大学院経済学研究院
1.
実積寿也
はじめに
総務省のネットワーク中立性に対する対処方針は、インターネット接続サービス市場に
十 分 な 競 争 が 機 能 し て い る こ と が 前 提 と な っ て い る ( Jitsuzumi 2011)。 市 場 支 配 力 を 持 っ
た イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 サ ー ビ ス 事 業 者( ISP、プ ロ バ イ ダ )に よ る 反 競 争 的 行 為 へ の 懸 念 に
つ い て は 、指 定 電 気 通 信 設 備 制 度( 電 気 通 信 事 業 法 )や NTT 法 に よ る 業 務 規 制 に よ り ボ ト
ル ネ ッ ク を 保 有 す る 電 気 通 信 事 業 者 の 行 動 に 一 定 の 制 約 を 課 す こ と を 通 じ て ISP 市 場 の 競
争性を維持することで対処できていることが前提である。さらに、過度なトラヒック管理
に 対 す る 懸 念 に つ い て も 、 ISP 間 の 競 争 に そ の 解 決 を 委 ね る と い う 態 度 が 繰 り 返 し 示 さ れ
て い る ( 総 務 省 2007)。
実 際 、総 務 省( 2011)に よ れ ば 、「 ISP 市 場 に お け る 、契 約 数 の 上 位 3 社 シ ェ ア( NEC ビ
ッ グ ロ ー ブ 、 NTT コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン ズ 、 ソ フ ト バ ン ク BB( 50 音 順 )) に つ い て み る と 、
11 年 3 月 末 時 点 で 49.3% ( 対 前 年 比 5.5 ポ イ ン ト 減 ) で あ り 、 こ の 1 年 間 で 大 き く 減 少 し
て い る 」( 第 Ⅲ 部 p.66) と 評 価 さ れ て い る 。 さ ら に 、 競 争 性 の 尺 度 で あ る ハ ー フ ィ ン ダ ー
ル 指 数 ( HHI) に つ い て も 、 2009 年 3 月 末 時 点 で 1,289 で あ り 、 公 正 取 引 委 員 会 の ガ イ ド
ラ イ ン ( 2011) に よ れ ば 、 競 争 を 実 質 的 に 制 限 す る よ う な 要 素 が 観 察 さ れ な い 水 準 に あ る
と解釈される。
し か し な が ら 、 ISP 市 場 に お け る 競 争 を 通 じ て ネ ッ ト ワ ー ク 中 立 性 を 確 保 す る と い う 観
点から重要なのは、新規にインターネットの利用を開始しようとする際に問題となる競争
状 況 で は な く 、 利 用 ISP を 切 り 替 え よ う と す る 既 存 利 用 者 の 行 動 に 影 響 を 与 え る よ う な 競
争 状 況 で あ る 。 本 章 で は 、 Shy( 2002) モ デ ル お よ び 2012 年 3 月 に 実 施 し た ウ ェ ブ ア ン ケ
ー ト 調 査 に よ っ て 得 ら れ た 表 明 選 好( Stated Preference [SP])デ ー タ を 用 い て 、わ が 国 の ISP
市場におけるスイッチングコストについて焦点を当てる。
2.
Shy( 2002) モ デ ル に よ る 計 測
他の供給者に対しては転用不可能な投資を実施した場合、今期の消費と以前の消費を関
連 付 け る こ と で 、そ う で な い 場 合 と 比 較 し て 、一 定 の 追 加 的 便 益 が 得 ら れ る ケ ー ス が あ る 。
こ れ ら は 、「 同 一 の 企 業 か ら 購 入 す る こ と か ら 生 ま れ る 範 囲 の 経 済 」( Farrell and Klemperer
2007) が 生 じ て い る 状 況 で あ り 、 同 じ 品 質 の 財 を 同 じ 価 格 で 提 供 し て い る 事 業 者 が 複 数 以
上存在する場合、過去に関連する財を購入した経験のある事業者から購入することが合理
的選択となる。これを顧客の観点から評価すれば、特定供給者にロックインされている状
況に他ならない。この場合、財の購入先を変更することは、利用者に様々な負担をもたら
す が 、 そ う い っ た 負 担 は 、「 ス イ ッ チ ン グ コ ス ト 」( switching cost) と 呼 ば れ て い る 。
Shy は 、 企 業 の 行 動 原 理 を 「 相 手 企 業 が 価 格 を 変 更 し て 当 方 の 市 場 に 触 手 を 伸 ば し て く
ることがない限度内で最高水準の価格付けを行う」と仮定することで、企業 i の観点から
見た、企業 jの保有しているスイッチングコスト
Sij を 式 1 に よ っ て 導 く ( な お 、 N は 、 各
企 業 の サ ー ビ ス を 利 用 し て い る 消 費 者 の 数 を 、 p は 提 供 価 格 を 意 味 す る )。
Sij  p j 
N i pi
for i  j
Ni  N j
( 式 1)
本 モ デ ル を 用 い て わ が 国 の ISP 市 場 に お け る ス イ ッ チ ン グ コ ス ト の 水 準 を 推 定 す る 。 推
計に必要な契約者数データについては、総務省が実施した競争評価において収集された
2011 年 3 月 時 点 の デ ー タ を 利 用 す る 。サ ー ビ ス 提 供 料 金 に つ い て は 、各 プ ロ バ イ ダ の ホ ー
ム ペ ー ジ か ら デ ー タ を 得 た 1。 算 出 結 果 を ま と め た の が 表 1 で あ る 。
表 1
推計されたスイッチングコスト
全般的にみた場合、既存利用者を奪うためには、かなり高い水準の料金ディスカウント
を要求され、プロバイダ間の競争が十分に働かない状況が明らかとなっている。
アクセス回線の料金を除いたインターネット接続サービスの料金に基づく推計結果にお
い て は 、 NTT 系 プ ロ バ イ ダ の 直 面 す る ス イ ッ チ ン グ コ ス ト の 水 準 が 最 も 低 く 、 非 NTT 系
およびベンダー系プロバイダについてはほぼ同水準となっている。全てのプロバイダの視
点 か ら み て 、 も っ と も ス イ ッ チ ン グ コ ス ト が 高 い の は NTT 系 で あ り 非 NTT 系 は そ れ に 続
くが、ベンダー系は大きくそれらを下回っている。
一方、アクセス回線の利用料金を含む推計結果においては、全てのプロバイダの視点か
ら み て 、 も っ と も ス イ ッ チ ン グ コ ス ト が 高 い の は NTT 系 で あ り 、 ベ ン ダ ー 系 、 非 NTT 系
の順でそれに続き、ケーブルテレビ系は最低の水準である。ただし、推計値の解釈にあた
ってはケーブルテレビ系プロバイダのインターネット接続サービスが、通常はテレビチャ
ンネルとバンドルされて提供されていることに注意する必要がある。
イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 サ ー ビ ス と ア ク セ ス 回 線 を 同 時 に 提 供 す る こ と に よ り 、NTT 系 プ ロ
バ イ ダ と ベ ン ダ ー 系 プ ロ バ イ ダ が 非 NTT 系 プ ロ バ イ ダ の 既 存 利 用 者 を 奪 う た め に 設 定 し
な け れ ば な ら な い 割 引 率 の 水 準 が 大 き く 下 落 し て い る 一 方 、 非 NTT 系 が NTT 系 お よ び ベ
ン ダ ー 系 の 既 存 利 用 者 を 奪 う た め の 割 引 率 が 大 き く 上 昇 し て い る 。こ の こ と は 、非 NTT 系
プロバイダの提供するアクセス回線サービスの魅力が十分ではないため、ブランドとして
の競争力が損なわれている可能性を示唆する。
1
ア ク セ ス 回 線 の 契 約 と は 別 に イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 契 約 を 締 結 す る タ イ プ に つ い て は 、NTT 東 西 の 提 供 す る フ レ ッ
ツ 光 サ ー ビ ス ( 下 り 10 0 Mb ps) に 対 応 す る サ ー ビ ス を 選 択 し 、 ア ク セ ス 回 線 と 一 体 的 に 提 供 す る タ イ プ に つ い て
は 、 下 り 方 向 の ベ ス ト エ フ ォ ー ト 速 度 が 10 0 Mbp s 以 上 で か つ 最 も 10 0 Mbp s に 近 接 し て い る ア ク セ ス 回 線 を 含 む も
のを選択している。
3.
コンジョイントモデルによる分析
本節では、ブロードバンドサービスの既存利用者を対象にし、かつサービスの品質をコ
ントロールしたデータを用いて、前節のモデルを用いた分析を補完する。データ収集作業
は 、 goo リ サ ー チ の モ ニ タ ー を 対 象 に 2012 年 3~ 4 月 に か け て 実 施 さ れ 、 プ ロ バ イ ダ 選 択
に 関 す る 仮 想 的 な 設 問 か ら SP( 表 明 選 好 ) デ ー タ を 得 た 。
3 回の予備調査を経て設定されたコンジョイント設問内の具体的な属性および水準は、
表 2 の と お り で あ る 。 こ こ か ら 、 直 交 計 画 法 を 用 い て 32 プ ロ フ ァ イ ル に 絞 り 込 ん だ 。
表 2
属性および水準
データ分析においては、シフトパラメータを組み込んで確率効用関数(消費者 i が選択
肢 j を 選 ん だ 場 合 )を 式 2 の よ う に 特 定 化 し 2 、Random Parameter Logit Model( RPL モ デ ル )
により表 3 に示す推計結果を得た。

 
 
 
 

 D
NTT
NTT
NTT
NTT
U ij   inc
 inci   net
 netEX i   isp
 ispEX i   male
 Dmale  β NTT , i  DNTT
non
inc
non
non
non
 inci   net
 netEX i   isp
 ispEX i   male
 Dmale  β nonNTT , i
ven
inc
 inci  
sam
inc
sam
sam
sam
 inci   net
 netEX i   isp
 ispEX i   male
 Dmale  β same, i
spd
inc
 inci  
ven
net
spd
net
 netEX i  
ven
isp
 netEX i  
spd
isp
 ispEX i  
ven
male
 ispEX i  
spd
male
nonNTT

 D
 speed
( 式 2)
 Dmale  βvender, i  Dvender
 Dmale  β speed , i
same
j
 β price, i  price j   ij
表 3
推計結果
分 析 の 結 果 、 DNTT , DnonNTT, Dvender に 対 す る 支 払 意 思 額 と し て 算 出 さ れ る ス イ ッ チ ン グ コ ス
トはかなりの水準に達することが確認されるとともに、①「世帯所得が高くなれば、実効
速 度 改 善 へ の 評 価 が 増 大 」、②「 イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 経 験 を 積 め ば 、プ ロ バ イ ダ 変 更 に 対 す
る 評 価 が 減 少 」、お よ び ③「 同 プ ロ バ イ ダ を 利 用 し て い る 期 間 が 長 く な れ ば 、プ ロ バ イ ダ 変
更に対する評価が減少」という結果が得られた。
4.
結論
計 測 さ れ た ス イ ッ チ ン グ コ ス ト が 高 水 準 で あ る こ と は 、 ISP が 各 種 キ ャ ン ペ ー ン を 行 っ
て新規加入者獲得を行っていることと整合的である。実際に提供されている割引額の水準
2
DNTT , DnonNTT, Dvender は 、そ れ ぞ れ 、変 更 後 の プ ロ バ イ ダ が N TT 系 、非 NT T 系 、あ る い は ベ ン ダ ー 系 で あ る 場 合 に 1 、
そ れ 以 外 の 場 合 に は 0 を と る ダ ミ ー 変 数 。 Dsame は 、 現 在 利 用 し て い る プ ロ バ イ ダ と 同 じ 系 列 の プ ロ バ イ ダ を 対 象
と す る 選 択 肢 お よ び 現 状 維 持 を 意 味 す る 選 択 肢 に お い て 1 、そ れ 以 外 の 場 合 に 0 を と る ダ ミ ー 変 数 。speed j と price j
は 、各 選 択 肢 に よ る 実 効 速 度 の 改 善 度 合 い( Mb p s)お よ び 月 額 支 払 料 金 へ の 影 響 を 示 す 。属 性 変 数
inci , netEX i , ispEX i
は 、そ れ ぞ れ 、世 帯 年 収( 万 円 )、イ ン タ ー ネ ッ ト 利 用 経 験 年 数 、現 在 の プ ロ バ イ ダ と の 契 約 月 数 を 意 味 し 、 Dmale は
サンプルが男性である場合に 1 をとるダミー変数である。
は月額利用料金からみれば一見無謀にも見える水準となっているが、それらは既存利用者
が直面する高額のスイッチングコストを立て替えるためには必要な水準であり、スイッチ
ングコストを考慮に入れた合理的な経営戦略の結果である可能性がある。
ア ク セ ス 回 線 料 金 を 除 い た プ ロ バ イ ダ サ ー ビ ス の 料 金 は 月 額 500 円 ~ 1,500 円 程 度 で あ
り 、 ま た 、 サ ン プ ル 世 帯 が イ ン タ ー ネ ッ ト 接 続 に 対 し て 支 払 う 月 額 料 金 の 平 均 が 5,285 円
で あ る こ と を 考 え れ ば 、 ISP 市 場 に お い て 既 存 利 用 者 を め ぐ る 競 争 に 参 加 で き る の は 、 ア
クセス回線と垂直統合されたプロバイダに限られる。アクセス回線を保有しないプロバイ
ダにとってスイッチングコストを克服するだけの料金設定を行うことは、マイナスの料金
でサービスを提供することになるため、競争参加は不可能である。このことは、総務省が
ネットワーク中立性侵害に対するセーフガードとして依存できる競争的プロバイダの数が、
都市部においても、電気通信事業者系 1 社、電力会社系 1 社、およびケーブルテレビ会社
系 1 社の計 3 社に事実上限定されることを意味する。都市周辺地域および山間地において
は 、 そ の 数 は さ ら に 少 な く な る 。 す な わ ち 、 ISP 市 場 の 競 争 性 に 大 き く 依 存 し て い る 現 状
のネットワーク中立性規制フレームワークには問題が多い可能性がある。
表 1
推計されたスイッチングコスト
インターネット接続サービスのみの価格による計算
評価の起点
対象プロバイダ N
月額利用料金
NTT 系
1,197.6 円
4
非 NTT 系
1,345.6 円
7
ベンダー系
1,246.9 円
8
平均
1,247.3 円
19
非 NTT 系
NTT 系
1,197.6 円
4
非 NTT 系
1,345.6 円
7
ベンダー系
1,246.9 円
8
平均
1,247.3 円
19
ベンダー系
NTT 系
1,197.6 円
4
非 NTT 系
1,345.6 円
7
ベンダー系
1,246.9 円
8
平均
1,247.3 円
19
インターネット接続サービス+アクセス回線の価格による計算
NTT 系
評価の起点
スイッチングコスト
553.6 円
531.7 円
421.7 円
485.4 円
781.5 円
765.0 円
610.1 円
710.4 円
参入可能価格
644.0 円
820.5 円
825.1 円
763.5 円
416.2 円
587.2 円
636.8 円
538.5 円
参入に必要な割引率
51.6%
46.0%
36.8%
43.1%
796.6 円
713.5 円
616.1 円
724.6 円
401.0 円
638.7 円
630.8 円
524.3 円
64.8%
58.3%
51.0%
59.3%
スイッチングコスト
3,192.7 円
1,752.3 円
2,088.4 円
1,314.1 円
2,050.0 円
参入可能価格
3,421.0 円
4,636.2 円
4,533.4 円
4,975.9 円
4,461.6 円
参入に必要な割引率
52.6%
28.2%
33.3%
21.5%
33.2%
1,986.1 円
3,291.6 円
3,086.0 円
3,700.6 円
2,828.6 円
2,144.2 円
3,514.2 円
3,376.6 円
3,978.2 円
3,083.9 円
75.6%
53.2%
58.7%
43.7%
61.2%
1,604.1 円
2,721.4 円
2,570.9 円
3,222.7 円
2,325.1 円
80.8%
59.6%
65.7%
51.6%
67.9%
対象プロバイダ
NTT 系
非 NTT 系
ベンダー系
ケーブルテレビ系
平均
N
月額利用料金
5
11
9
11
36
6,613.7 円
6,388.5 円
6,621.7 円
6,302.0 円
6,513.3 円
非 NTT 系
NTT 系
非 NTT 系
ベンダー系
ケーブルテレビ系
平均
5
11
9
11
36
6,613.7 円
6,388.5 円
6,621.7 円
6,302.0 円
6,513.3 円
ベンダー系
NTT 系
非 NTT 系
ベンダー系
ケーブルテレビ系
平均
NTT 系
非 NTT 系
ベンダー系
ケーブルテレビ系
平均
5
11
9
11
36
5
11
9
11
36
6,613.7 円
6,388.5 円
6,621.7 円
6,302.0 円
6,513.3 円
4,627.6 円
3,096.9 円
3,535.8 円
2,589.4 円
3,683.0 円
4,469.5 円
2,874.2 円
3,245.1 円
2,311.8 円
3,427.7 円
6,613.7 円
6,388.5 円
6,621.7 円
6,302.0 円
6,513.3 円
5,009.6 円
3,667.1 円
4,050.9 円
3,067.3 円
4,186.5 円
NTT 系
ケーブルテレビ系
58.2%
54.3%
45.1%
52.5%
注:表に掲載された数値は 2011 年 3 月末時点の契約者数をウェイトとした加重平均値
表 2
NTT 系
プロバイダの属性
実効速度の改善
月額利用料金の水準
属性および水準
NTT グループ、関連会社が運営するプロバイダ
KDDI、ソフトバンク、電力子会社、ケーブルテレビ会
非 NTT 系
社、あるいはそれらの関連会社が運営するプロバイダ
ニフティやビッグローブなど情報通信機器製造業者や
ベンダー系
その関連会社が運営するプロバイダ
現状と同じ実効速度
現状の 2 倍の実効速度
現状の 3 倍の実効速度
現状の 4 倍の実行速度
割引なし(現状と同じ)
現状より 500 円引き
現状より 1000 円引き
現状より 2000 円引き
69.8%
45.8%
52.6%
37.3%
54.4%
表 3
モデル
N
Log likelihood
Restricted log likelihood
モデル1(シフトパラメータなし)
2372
-2654.482
-3288.290
WTP
係数
標準誤差
p値
β NTT , i
D_NTT
シフトパラメータ
netEx

NTT
 net
ispEx
NTT
 isp
D_male

income
0.0973
0.000
-575.13
NTT
male
βnonNTT , i
D_nonNTT
-0.7603
NTT
inc
標準偏差
シフトパラメータ
推計結果
0.1606
0.4393
0.715
-1.6098
0.1152
0.000
-1217.79
8.62.E-04
2.15.E-04
0.000
-0.0537
0.0242
0.027
-0.0064
0.0017
0.000
-0.2686
0.1917
0.161
0.0038
0.3195
0.991
-0.7399
0.3496
0.034
4.14.E-04
2.14.E-04
0.053
-0.0533
0.0239
0.026
non
 isp
-0.0048
0.0017
0.004
D_male

-0.1475
0.1877
0.432
0.0545
0.3875
0.888
-0.7936
0.3709
0.032
-0.0003
0.0002
0.202
non
male
netEx
ven
 inc
ven
 net
ispEx
ven
 isp
D_male
ven
 male
income
標準偏差
βsame , i
D_same
0.0091
0.3679
0.980
-1.3410
0.1074
0.000
0.1633
0.3225
0.613
0.8670
0.0831
0.000
-1014.43
655.89
0.0184
0.0249
0.460
-0.0099
0.0017
0.000
-0.0117
0.1984
0.953
0.0385
0.3232
0.905
0.9124
0.2885
0.002
4.40.E-04
1.77.E-04
0.013
0.945
netEx
sam
 inc
sam
 net
0.0014
0.0196
ispEx
sam
 isp
-5.37.E-04
0.0014
0.701
D_male
sam
 male
-0.3714
0.1603
0.021
0.8453
0.2913
0.004
0.0126
0.0066
0.059
7.61.E-06
3.49.E-06
0.029
income
標準偏差
β speed , i
speed
netEx
spd
 inc
spd
 net
income
0.5841
0.3694
0.114
0.0090
0.0016
0.000
6.83
-1.83.E-04
4.37.E-04
0.675
ispEx

spd
isp
7.85.E-07
2.71.E-05
0.977
D_male
spd
 male
-0.0073
0.0037
0.046
標準偏差
β price , i
price
注
0.815
ispEx
non
inc
βvender , i
シフトパラメータ
0.3489

non
 net
D_vender
シフトパラメータ
0.0819
netEx
income
標準偏差
シフトパラメータ
モデル2(シフトパラメータあり)
2372
-2594.070
-3288.290
係数
標準誤差
p値
WTP 注
0.0260
0.0040
0.000
0.0251
0.0039
0.000
-0.0013
6.78.E-05
0.000
-0.0014
0.0001
0.000
-580.11
-1229.02
-1037.70
647.04
6.74
サンプル平均において算出
参考文献
Farrell, J. and Klemperer, P.( 2007)c Coordinatiopn and Lock-In: Competition with SwitchingCosts
and Network Effects.” In Armstrong, M. and Porter, R.H. (eds.) Handbook of Industrial
Organization, Vol.3, Elsevier, 1967-2072..
Jitsuzumi, T.( 2011) ”Japan's co-regulatory approach to net neutrality and its flaw: Insufficient
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