問題 次の文章を読んであなたが考えたことを、800字以上1000字以内

問題
次の文章を読んであなたが考えたことを、800字以上1000字以内で述べなさい。
◆長期的に専門治療 出所後の態勢課題
実刑と執行猶予の中間にあたる「刑の一部執行猶予制度」が6月1日にスタートし、同
日から各地の裁判所で同制度に基づく判決が言い渡される可能性がある。薬物常習者ら
を早期に社会復帰させるかわりに、長期にわたって再犯防止プログラムや専門治療を受
けさせるのが狙いだが、受け入れ先の確保や量刑の在り方など課題は多い。
(社会部)
■高い再犯率
「罪に見合った責任を取らせながら、犯罪者の更生と再犯防止を図る制度だ」。法務省
は、一部執行猶予の導入を決めた国会審議で制度の趣旨をそう説明した。
従来は、例えば被告の罪に見合う刑が「懲役3年」の実刑だった場合、仮釈放後の保護
観察期間を入れても最長で3年間しか改善指導ができなかった。一方、新制度では「懲役
3年、うち1年を2年間の執行猶予」という判決を言い渡すことが可能。このケースで実
刑と執行猶予を合わせると、4年間にわたり立ち直りを支援できる。
制度の対象は、刑法で執行猶予を付けられる「3年以下の懲役か禁錮」の判決だが、主
に想定されているのは薬物犯罪だ。2015年の犯罪白書によると、覚醒剤事件で刑務所
に再入所する割合は、出所後1年間は全体平均より低い3・4%なのに対し、5年間だと
平均より約10ポイントも高い48・8%に上昇する。
このため薬物治療の専門家の間では「刑務所で強制的に誘惑を断ち切っても再犯防止
には不十分」との意見が強く、社会内で長期間、薬物離脱に取り組ませる新制度につなが
った。フランスに同様の制度があるほか、米国の一部の州でも一部を実刑にし、残りを保
護観察にする「分割刑」がある。
■施設も人も不足
新制度に向けた準備は既に始まっている。
「家族に会えず孤独を感じた時」
「仕事で失敗した時かな」。今月17日、長野県須坂市
の長野刑務所では、覚醒剤事件で服役する6人がどんな状況で覚醒剤を使いたくなるか
を互いに打ち明けた。
同刑務所では4月からこの再犯防止プログラムを導入。性犯罪者を対象にしたプログ
ラムでは再犯率が5分の1に下がったという追跡調査結果もあり、同省は6月以降、約8
0か所の全刑務所で薬物のプログラムを順次導入することで、社会復帰後のプログラム
にスムーズにつなげられるようにしたいという。
ところが、肝心の出所後の態勢は十分とはいえない。薬物事件での保護観察対象者は毎
年約4000人に上り、一部執行猶予で観察期間が延びるとさらに増える。保護観察中は
各地の保護観察所でプログラムの受講が義務付けられるが、960人の保護観察官のう
ち薬物関係の指導ができるのは一部に過ぎず、今でも1人で数十人を担当するケースが
あるなど人手不足は深刻だ。
一方、同省は13年度以降、民間が運営する約100か所の更生保護施設の中で、薬物
依存者に宿泊場所を提供しながら任意のプログラムを実施する施設を「重点施設」に指
定。精神保健福祉士や臨床心理士らを配置しているが、まだ25か所しかない。東京都内
の重点施設の男性施設長は「施設内での薬物使用や近隣への迷惑を懸念し、指定をためら
う施設も多い」と嘆く。
〈再犯防止プログラム〉
専門家との面談や参加者同士の対話を通じ、考え方や行動の癖を修正する「認知行動療
法」などで犯罪傾向の改善を図る。性犯罪やアルコール依存症による犯罪を対象にしたプ
ログラムもある。
(読売新聞 2016年5月29日 朝刊)