平成 25年度 学 校 だ よ り 葛飾区立渋江小学校 平成 25年8月26日 LINE、チャット、バーチャル空間… 校 長 伊藤 敬之 「今年の夏は暑い日が続きました。最高気温が 35 度を超える猛暑日が何日もありました。」これ は 22 年度の学校便りの書き出しです。今年はそれを上回り、高知県四万十市で最高気温 41 度を 観測し「史上最暑」という文字が新聞に載りました。同日東京の都心では最低気温が 30 度を下回 らない史上初めての「超熱帯夜」となりました。一方、秋田、岩手など東北地方では滝のような雨 が降り、土石流や土砂崩れなどの災害にみまわれ自然の猛威になす術もない人間の力の小ささを思 い知らされました。 このような夏、7 月 29 日から 5 年生は岩井の海に行きました。PTA広報誌にも載せましたが、 子供たちは 3 日間の生活を通して自然や他者とかかわり、楽しさや痛みを共有するなど素晴らしい 体験ができました。お子さん一人一人、成長が見られ、たのもしさを感じました。 子供たちにはもっともっと「現実」に触れ、自然の美しさや厳しさ、他者の思いや苦労、社会の 一員としての自分…などを感じ取ることができるようになってほしいと願います。しかし、残念な がら他者の痛みを受け止められない悲しい事件がありました。スマートフォンのLINE(ライン) への悪口の書き込みがきっかけで殺人まで起こしてしまった事件です。他人事のように思われる事 件ですが、ネットに絡むトラブルはすでに本校の子供たちにも起こっています。 厚生労働省は「インターネットのゲームやチャットに依存している中高生は全国で推計 51 万人 に上る」という調査結果を出しました。ネットをやめたくてもコントロールできない状態を「ネッ ト依存」とみて、約 10 万人の回答者の 8.1%が「依存」に相当したそうです。これを全国の中高 生数にあてはめると 51 万 8 千人が「依存」と見られるそうです。男女別でみると、女子が 10% で男子の 6%より高く、スマートフォンのLINEでチャットやメールをよく使うためと分析して います。また男子はバーチャル空間のオンラインゲームをやめられないケースが多いと見ています。 寝食を削り、画面を長時間見ているので、眠ろうとしても眠れず睡眠時間が短くなり調子を崩す者 が多いようです。なかには、昼夜逆転し学校に行けず、うつ病や栄養失調になる子もいるようです。 皆さんのお子様は大丈夫でしょうか。家族や友人との関係を断ち、自分の世界、本音を話せる世界 をネットに求めた若者が大きな事件を起こしてしまったという例があります。また、LINEに絡 みグループ内での悪口がいじめに発展することも容易に想像できます。成長期の子供たちの心や体 への影響が心配です。「ネット依存」による問題はますます深刻化しています。 このような社会状況をみると、未来を担う子供たちには、人や自然・社会との触れ合いがますま す重要になってきます。一緒に遊ぶ、動植物とかかわる、家事を手伝う、仲間と協力して活動する、 人に喜ばれる、ルールを守る…などの実体験を通して、他者の呼吸を肌で感じる、仲間の気持ちが 自然にわかる、苦痛を自分のことのように感じる、集団の一員としての自覚をもつなど豊かな心を 育てていきたいものです。また、保護者や地域の方々など世代の違う人とも交流し、人間関係を築 く力を育てることも必要です。 9 月 4 日、5 日はそれぞれ 6 年生、5 年生が他校の同学年の子と共に泳ぐ水泳記録会を行います。 緊張しながらも隣で泳ぐ子を意識し自己ベストを目指す。集中し手足をおもいっきり動かす。仲間 を一生懸命励ますなど、夢中になって行動することで、大きな感動や涙を流すほどの悔しさを味わ います。こういう実体験を大事にしていきたいものです。
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