仕入割戻しで節税する方法

超節税倶楽部通信
第3号
(2005.3.7)
仕入割戻しで節税する方法
PRESENTED BY JAPAN CENTRAL ACCOUNTING (日本中央税理士法人)
1. 仕入割戻しとは?
売上、経費、バックされた仕入割戻しの額等は同じ
仕入割戻しとは、一定以上の数量を仕入れた場合
なのに利益額が変わってきます。そのため、雑収入に
に、仕入先からバックされるお金のことです。これは、
計上すると法人税が増えてしまいます。
「雑収入」という収益に計上します。ただし、雑収入に
4. 消費税も変わってきます
計上しない方法もあり、その方が節税になります。し
前々期の消費税がかかる売上(以下、「課税売上」
かし、それを知らずに雑収入に計上している会社があ
といいます)が 5,000 万円以下の会社は「簡易課税」と
ります。それはどんな方法でしょうか。
いう簡便的な消費税の申告方法を適用できます。た
2. 仕入割戻しの処理方法
だし、届け出をしている場合に限ります。
それは仕入割戻しを「仕入額」と「期末の棚卸額」か
ら控除する方法です。具体的に考えてみます。
○1 個 100 円の商品を 100 個仕入
(100 円×100 個=1 万円)
○期末に残っているのは 10 個
(100 円×10 個=1,000 円)
○仕入割戻しは商品 1 個に対して 5%
↓ ↓ ↓ ↓ ↓
前期
この期の課
税売上が
5,000 万円
以下
今期
簡易課税
を選択でき
る
簡易課税を選択している場合、売上と雑収入に消
仕入 1 個につき 5%の割戻しなので、純額は 1 個 95
円になります。そのため、下記のようになります。
仕入額
95 円×100 個=9,500 円
期末棚卸 95 円×10 個=950 円
つまり、仕入額と期末の棚卸額が減る方法です。逆
に、雑収入に計上する方法は、1 万円×5%=500 円
が雑収入になり、仕入額と期末の棚卸額はそのまま
で 1 万円、1,000 円となります。
費税がかかります。先程の例で計算してみましょう。
雑収入に計上
仕入と棚卸から控除
(13,500 円+500 円)
(13,500 円+0 円)
×5%=700 円
×5%=675 円
仕入割戻しの処理方法の違いだけで消費税の額に
25 円も差が出るのです。つまり、簡易課税を選択して
いる場合は、雑収入に計上すると消費税も増えてしま
うのです。
3. 実際に計算してみましょう。
この商品を 1 個 150 円で売ります。100 個仕入れて、
期末の残りが 10 個なので 90 個が売れています。そう
すると、下記のようになります。
雑収入に計上
売上
13,500 円
仕入額
10,000 円
期末棚卸 1,000 円
粗利益
4,500 円
雑収入
500 円
仕入と棚卸から控除
売上
13,500 円
仕入額
9,500 円
期末棚卸
950 円
粗利益
4,950 円
雑収入
0円
利益
利益 4,950 円
5,000 円
前々期
簡易課税を選択している場合で、前々期の課税売
上高が 5,000 万円以下ならば、当期の仕入割戻しを仕
入額と期末の棚卸額から控除すべきです。
5. 節税額を事業投資しましょう
事業のキャッシュフローが同じでも、無駄な税金を
支払っていては、効率的な事業投資はできません。経
理処理の違いだけで節税できるので、必ず実行しまし
ょう。ただし、この経理処理は毎期、同じ方法を続けな
ければ税務署から否認されてしまうのでご注意を。
今月のまとめ
・ 仕入割戻しをもらっているなら、仕入、期末棚卸高から控除しましょう。法人税
の節税になります。
・ 消費税も簡易課税を選択している場合には得になります。