チャレンジクラブ(地域版) 研究報告 はじめに チャレンジクラブ(なんでもスポーツクラブ)の参加者(小学3~6年生)を対象に平成26年5月の事業開始時と平 成27年3月の事業終了時にアンケート調査および体力テストを実施いたしました。記録データを統計解析し、事業効 果として体力を高めることができたか。または食生活やスポーツに対する意識に変化があったか。などの項目について検証 いたしましたので報告します。これらの研究データから得た結果をもとに今後の実施内容を工夫し、効果的な事業展開を 図ります。 報告事項 ① 測定した体力要素 ② チャレンジクラブ(なんでもスポーツクラブ)の体力向上効果 ③ アンケートによる相関項目(生活習慣と運動習慣の関係) ④ 専門家による解析と結果考察 測定した体力要素 新体力テストの種目をベースにした測定 文部科学省「新体力テスト」から測定種目を抜粋し、下記の項目について測定いたしました。 ●握力 【 筋力:筋肉が力を出す能力 】 ●上体起こし 【 筋持久力:筋肉が力を出し続ける能力】 ●長座体前屈 【 柔軟性: 体を伸ばす能力 】 ●反復横とび 【 俊敏性:体をすばやく 動かす能力 】 ●20mシャトルラン 【全身持久力:全身で 運動を続ける能力 】 ●立ち幅跳び 【 瞬発力:瞬時に筋力を発揮する能力 】 ※スコップショベリングテスト(試験的測定) ・スコップに砂袋を載せ、前方に投擲した距離を測定し、積雪寒冷地の日常活動である「雪かき」に関連した測定を試 験的に行いました。今回の結果では特に顕著な傾向は得られませんでしたが、今後も測定の実用化に取り組んでいく予 定です。 チャレンジクラブ(なんでもスポーツクラブ) の体力向上効果 チャレンジクラブ(なんでもスポーツクラブ)に参加することで効果の得られる項目を掲載しています。ご覧のとおりすべて の運動能力が有意に向上した結果が得られました。 筋力を向上させる ◆右手の握力の記録が有意に上昇した。 ◆左手の握力の記録が有意に上昇した。 ◆左右の握力平均が有意に上昇した。 筋持久力を向上させる ◆上体起こしの記録が有意に上昇した。 体の柔軟性を向上させる ◆長座体前屈の記録が有意に上昇した。 敏捷性を向上させる ◆反復横跳びの記録が有意に上昇した。 全身持久力を向上させる ◆20m シャトルランの記録が有意に上昇した。 瞬発力を向上させる ◆立ち幅跳びの記録が有意に上昇した。 アンケートによる相関項目 相関係数検定(生活習慣と運動習慣の関係) 因果関係が成立する項目について検定した結果、下記の結果が得られました。 「学年」と「早起き」に正相関 高学年ほど 6 時前起床の者が多い。 「運動好き」と「週の運動回数」に正相関 運動が好きと回答した者ほど運動習慣がある。 「週の運動回数」と「毎日朝食」に正相関 運動習慣がある者ほど毎日朝食を食べている。 「少年団加入」と「TV・ゲーム」に逆相関 少年団に加入している者ほど、テレビやゲームの時間が一日 1 時間以内の者が多い。 「週に4回以上の運動習慣」と「全身持久力」に正相関 週に 4 回以上運動している者ほど 20M シャトルランが良い結果になっている。 「早寝」と「朝食ごはん(米食)」に正相関 22 時前に就寝している者ほど、朝食に米飯を食べている。 専門家による解析と結果考察 専門家による解析協力 これらの調査解析は専門家の協力を得て実施しています。個人的な見解を含まず統計学で用いる検定を根拠とす る、断定的な結果について掲載をしていますことを報告いたします。 協力者 : ウェルネスプランニング札幌代表取締役/コンサドーレ札幌専属管理栄養士 小松 信隆 氏 結果考察(小松信隆氏) 相関係数検定の結果からわかるように運動習慣のある子供ほど体力の向上が著しく、朝食をしっかり食べている傾向な どからも、運動が好きになり運動を実践する子どもほど健全な発育発達が得られることは言うまでもありません。 また、全ての体力項目においても有意な向上が見られたとおり、チャレンジクラブ(なんでもスポーツクラブ)がもたらす良 い影響が非常に大きいことが再確認できる結果となりました。 チャレンジクラブ(なんでもスポーツクラブ)が正しい生活習慣の確立や運動能力の向上に寄与していることは何より嬉 しい成果となりました。運動を好きになれば、運動を実践でき、運動を実践すれば、生活習慣が改善する、生活が改善 すれば健全な結果が得られるというように、いかに運動好きのこどもを作り出すかということが一番大切であることも結果か ら伺えます。 今後は食生活を含む習慣が運動能力の向上にどの程度関与しているかという研究が求められそうです。
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