第 72 号 2011年1月31日発行 安 全 管 理 室 医療の質を変える自己制御システムと遺伝子的進化とは 安全管理室 室長 中村隆志 私たちの身体は環境に合わせて神経や体液を介して血圧調節など生命維持のための自己制御(オートレギュレ ーション)を絶えず行っています。日々の報告・連絡・相談活動は病院組織内での自己制御にあたるものであり、チ ーム医療の促進や訴訟の未然防止につながる最も速効性のある活動です。インシデント報告、オカレンス報告が定 着してきましたが、このような医療安全の活動だけでは「失敗から多くを学ぶ」ことができますが、エラー露呈を待つ という受け身ゆえの限界があります。 一方、生命体は長い年月をかけて環境により良く適応するために遺伝子的進化を繰り返してきました。ICT や NST といった多職種のチーム活動、災害対策や臓器提供、そして医療の質を測定しベストプラクティスを目指す TQM の 取り組みは、積極的な自己監査を継続して改革を進める活動であり、失敗にフォーカスするのではなく未知の事態 を予想して周到に準備を行います。これらの取り組みの定着は新たな遺伝子の獲得に匹敵する進化です。 農耕民族で外敵の侵入が少なかった日本民族は、保守的で変革を嫌う性質を保持していると、脳科学で裏付けら れています。昨年の病院機能評価受審を「遺伝子的淘汰」の圧力ととらえる職員がいましたが、外圧がなくとも気慨 をもって DNA を書き換え進化しないと病院は淘汰される時代です。日々の報告・連絡・相談(自己制御システム)の 充実と新たな改革(遺伝子的進化)によって医療の質向上を指向しましょう。 インシデント報告 (平成22年8月∼12月) 治療処置 医療用具 ドレーン 指示出し 薬剤 輸血 3 2 0 16 1 1 2 22 213 1 44 18 52 助産師 0 10 0 1 0 薬剤師 0 39 0 0 放射線技師 4 1 0 検査技師 0 0 PT 0 OT 検査 療養上の その他 合 計 0 1 26 83 166 15 614 1 1 1 1 15 0 0 3 0 0 42 0 1 0 15 0 0 21 1 0 0 0 57 1 3 62 0 0 4 0 2 0 2 2 10 0 0 0 1 0 0 0 0 0 1 管理栄養士 1 0 0 0 0 0 0 27 0 28 視能訓練士 0 0 0 0 0 0 1 0 1 2 ME 0 7 0 5 6 0 1 0 1 20 事務職員 6 0 0 1 0 1 6 0 2 16 合 計 36 272 2 72 26 57 169 197 26 857 医師 看護師・ 准看護師 チューブ 世話 ※医師からのオカレンス報告含む 防犯・安全管理に関するアンケート調査結果 ∼夜間危険個所の改善・効果∼ 昨年度の防犯・安全管理に関するアンケートで多かった「夜間帰宅時に暗い」「警備員は巡回して いるのか」というご意見に対し次の対策をいたしました。 【改善されたもの】 ・巡回回数を3回増やし、10時・15時・18時・21時・22時・1時・3時・5時・7時に行っており、巡回時間 以外(特に夜中)に帰られる方は、防災センター警備員に声をかけていただければ車まで行っても らえます。 ・日没時ライトの点灯および、8個所ライトの新設いたしました。 提出率 未記入 未提出 年数比 性別比 24% 5% 未記入 2% 22% 男 20% 1∼2 29% 11∼ 24% 76% 提出 3∼5 73% 25% 女 1.対策後危険を感じたことはありますか? 6∼10 2.変わらない、どちらでもないと答えた方 14% 27% 33% 未記入 感じなくなった 37% どちらでもない 設置個所が少ない 40% その他 40% 9% 意味がない 変わらない 【ご意見】 ・川沿いや駐車場の奥の方が暗くて危険を感じる。 ・ライトが切れている所があり、意味がない。 ・巡回してもらっていることで、危険はかなり減少し不審者をほとんど見なくなった。 ・最近巡回の警備員に出会うことが多く安心します。回数を増やしてもらってありがとうございます。 ・事件が発生しないよう今後も意見を吸い上げていただきたい。 【今後の対応】 ・暗いところが多々あるというご意見が多かったため、ライトの増設を検討いたします。 ・電球が切れている個所があるというご意見があったため、定期的な点検を行います。 編集後記 皆様には日頃より安全管理の運営にご理解、ご協力いただきありがとうございます。 また今回のアンケートにつきましては、多数ご回答いただきありがとうございました。皆様からいた だいたご意見を基に、今後検討し更なる安全管理に努めていきたいと思っておりますので、本年も よろしくお願いします。
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