賃貸管理ニュース2013.10 - ファーストホーム|名古屋市不動産

税の調査で『親が負担するのなら理解でき
るが、祖父が出すのは問題でしょう』との
指摘を受けたことがあったそうです(つま
り、祖父から親への立替金・・・祖父が被
相続人で親が相続人だから、相続税の対象
となります)。税理士は、『結婚式は当事者
(婿と嫁)のためだけではなく、○○家と
△△家を結ぶ大切な行事であり、一家の長
であった被相続人が負担することは当然と
考える』と主張して課税されなかったとの
ことです(ご参考までに)。
「収益計画」のすすめ
賃貸経営には、オーナーごとにそれぞれ
の目的があります。あるオーナーは「節税
対策」で賃貸経営を始めます。固定資産税
や相続税などがその対象です。特に相続税
対策で賃貸住宅を建てるオーナーは多いで
すね。相続税は平成27年からの増税が控
えていますので、対策の見直しを迫られる
オーナーも多いのではないでしょうか。
また「土地を維持するため」という目的
のオーナーもいらっしゃいます。親から受
け継いだ土地を易々と手放すわけにはいき
ませんが、土地は「何も活用しないまま」
所有することを許してくれません。固定資
産税の負担が重いからです。計算上は60
年以上払い続けると、その支払い累積額が
土地の価格を超えてしまうこともあるほど
です。仕方なく(?)賃貸経営を始めるオ
ーナーもいらっしゃるでしょう。
一方で「資産を増やす」ことが目的で賃
貸経営を始めるオーナーもいます。不動産
投資家と呼ばれる方たちです。
そして、どんな目的
で賃貸経営を始めたと
しても、「収益をより多
く稼ぐ」ことは共通の
目的であるはずです。
相続対策の場合は、貸
家を建てた時点で「評
価減」という目的の多くを達成したかもし
れませんが、その後の経営が赤字で良いワ
ケはありませんね。もし「空室だらけでメ
ンテナンス費用負担の重い不良資産」にな
ってしまったら、相続する子供たちが可哀
そうです。目的が「土地の維持」でも「資
産を増やすこと」でも同じです。
一般的に、目的をもって何かを始めたと
きは、その目的を達成するために「目標」
を掲げます。そしてその目標を実現するた
めに「手段」を講じます。このように最初
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に「目的」があり、そのために「目標」が
あり、そのために「手段」があるのです。
だからその手段は目的によって異なるので
す。たとえば「空室を埋める」ことを考え
る場合も、オーナーの目的によって「家賃
を下げる」か「リフォームする」か、その
手段は同じではないのです。
収益を稼ぐために
さて今回は「収益
をより多く稼ぐ」こ
とが目的のときの
「目標と手段」につ
いて考えてみたいと
思います。
まず掲げるべき目
標は「来期の収益計画」という予算です。
今期と比べて来期は「どれだけ稼ぐか」を、
しっかりと計画しましょう。仮に前期の年
間の収益が350万円だったとします。そ
の内訳は、
賃料収入
運営費
収益
負債返済額
500万円
△ 150万円
350万円
△ 200万円
キャッシュフロー 150万円
そして来期は「収益を400万円に増や
したい」という予算(目標)を立てるとし
ます。このような目標を立てたとき、講じ
ることのできる手段は3つあります。
実は今期は100%の稼働率だったワケ
ではありません。つまり年間を通して満室
ではありませんでした。もし満室だったら
賃料収入は600万円だったとすると、空
室などによるロスが100万円あったこと
になります。
満室の賃料収入
空室などのロス
差引き賃料収入
600万円
△ 100万円
500万円
ひとつめは「空室ロス」を抑える
収益を上げる1番目の手段は「100万
円のロスをいかに抑えるか」です。具体的
には、借主の退去を防ぐことです。そのた
めに借主に快適に暮らしてもらうことが最
も重要な課題になります。もし借主から何
らかの苦情があったとしたら、それは借主
の「ここで永く暮らしたいための要望」か
もしれません。地道な努力ですが、それら
を叶(かな)えていくことも大事です。
もし退去されてしまったときは、出来る
だけ「空室期間を短縮させる」手段を考え
ます。空室を早く決めるために「家賃を下
げる」という手段がありますが、下げ過ぎ
ると賃料収入が減るので収益を減らしてし
まいます。家賃を下げるより入居条件を緩
和したり入居時の初期費用をサービスする
方が良い、という意見もあるでしょう。費
用をかけて設備を設置することを選択する
方が良いとか・・・いくつかの手段があり、
その中から最も収益増に結び付く手段を選
ぶことになります。
物件力を引き上げる
収益を上げるため
の2番目の手段は「満
室時の賃料収入を増
やすことができない
か」です。でもこれ
は簡単なことではありませんね。建物や設
備は年数と共に劣化していますし、賃料相
場も下がっている状況です。何も手を加え
ないで募集賃料が上がることはありません
(アベノミクスでインフレ効果があったと
しても難しい)。
しかし、設備の追加や間取の変更や大規
模なリニューアルによって物件力が上がれ
ば、募集家賃を引き上げることは可能です。
30年~40年の賃貸物件の一生の中では、
このようなリニューアルの適齢期が一度は
あるはずです。そのタイミングなら思い切
って投資するのも効果的な手段のひとつで
す。ただし、この手段によって運営費や(新
たな借入れによる)負債返済額が増えます
ので、収益とキャッシュフローを圧迫する
ことになります。目的は「収益をより多く
稼ぐ」ことなので、どの手段が一番よいか
バランスを考える必要があります。
運営費をコントロールする
収益を上げるための3番目の手段は「運
営費の150万円を下げることができない
か」です。運営費とは
賃貸経営に必要な費用
で、・固定資産税・火災
保険・管理料・メンテ
ナンス費用・共用部分
の水道光熱費・事務費
・人件費・その他の費
用 などの項目をいい
ます。特にメンテナンスにかかる費用が大
きいので上手にコントロールすることが出
来れば、不要なコストをカットすることが
できます。人間の体と同じで、定期的なメ
ンテナンスをすることによって、故障やト
ラブルを防ぐことができるのです。結果的
に建物と設備を長持ちさせて無駄な出費を
防ぐことが可能となります。このような手
段を講じることによって来期の予算を以下
のように計画したとします。
満室の賃料収入
空室などのロス
賃料収入
運営費
収益
負債返済額
キャッシュフロー
600万円
△70万円
530万円
△ 130万円
400万円
△ 200万円
200万円
「そんなにコトは上手く運ばない」という
かもしれません。でも目的に沿った目標は
100%の達成率でなくとも、それによっ
て目的に近付くことは間違いありません。
賃貸経営で「収益を稼ぐ」という目的は
当然のことです。その目的を実現するため
には、目の前の「空室をどうする」「修理を
どうする」という問題に対処することも必
要ですが、次の年の予算(目標)を立てて、
そのための具体的な手段を講じることが大
切なのではないでしょうか。
Q.木造で築38年のアパートを所有しています。立地はよ
いと思います。20戸中10戸が入居しています。老朽化が
激しく修理もままならないですし、このまま子供に相続させ
ては大変なので、自分の代での建て替えを考えています。
立ち退き交渉をするときの注意点などをお教えください。
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A.立地が良いということは、路線価の評
価も高いので相続税の心配もありますね。
相続税が課せられたとき、相続人は「売る
こと」もままならないでしょうから、納税
やその後の賃貸経営の苦労を背負い込むこ
とになってお気の毒です。仰る通り、何と
かご自分の代で整理するべきですね。
立ち退き交渉のポイント
はいくつかあります。ひと
つめは「立退き料」の問題
です。立退き料に相場はあ
りませんが、①次に借りる
のに必要な費用(礼金・敷金・仲介手数料
・前家賃など) ②引越し費用 ③賃料の
差額(同程度の住宅と家賃の差がある場合)
④迷惑料として+アルファ(家主の都合
で移ってもらうので) 以上の合計となり
ます。礼金・敷金の相場によって地域で異
なりますが、およそ家賃の8ヶ月~10ヶ
月くらいではないでしょうか。
Q.そんなにかかりますか?
A.これは平均的な数
字です。相手(借主)
によって大きな違いが
あります。①と②の実
費で承諾してくれる(中
には立退き料を要求し
ない「聖人」のような)
人がいますし、家賃の5年や10年分を要
求する「強欲借主」もいます。これらは交
渉してみないと分かりません。定期借家契
約でなければ家主都合の解約は簡単に認め
てもらえません。ある程度の立退き料の覚
悟は必要です。
Q.家主都合の解約が認められないとは?
A.ポイントの2つ目が「家主の立場を理
解すること」です。普通借家契約において
は、家主の都合による解約には「正当事由」
が必要とされています。今回の理由は「築
38年による老朽化のため借主に身の危険
が及ぶ」ということだと思いますが、本来
は家主にその修繕義務があるのです。その
ための修繕費用が莫大で、費用対効果が得
られないなどの事情が証明されない限り、
なかなか正当事由は認められないようで
す。つまり「家主都合の解約は認められに
くい」のです。この正当事由は立退料を積
むことによって補完することができます。
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Q.契約書には「6ヶ月前通知で解約でき
る」と書いてありますが無意味ですか?
A.無意味ではありません。借主さんとの
交渉は「6ヶ月前通知」の条項を元に行い
ます。つまり「契約書に基づきまして、本
日から6ヶ月で契約は解除となりますの
で、よろしくお願いします」というように
お話します。あくまでも双方が合意した契
約内容に基づいて交渉をします。ただし、
合意が得られずに争いとなったときは「正
当事由」という壁が立ちはだかることを承
知しておく必要があるのです。争ったら家
主側が不利になるからです。だから「ある
程度」の立退き料を覚悟していただきたい
のと、交渉も慎重に進めていただきたいの
です。いきなり内容証明郵便を送りつける
ような行為は相手を身構えさせてしまうの
で、必ず顔を合わせて説明してください。
Q.交渉するときに気を付けるべきことは
他にありますか?
A.ポイントの3つ目
は「交渉の進め方」で
す。10世帯のうち、
交渉が楽に進められそ
うな借主から先に合意
書を取り付けるように
します。スピードが大事です。交渉開始か
ら時間をかけると知人に相談されてしまい
ます。借主さん同志をできるだけ切り離す
ようにするのです。難題を突き付けてきそ
うな借主との交渉は後回しにした方がいい
でしょう。最初に立退き料を6ヶ月分を提
示して、早く応じてくれたら「もっと多く
支払う」という条件とするのも効果があり
ます。争ったら家主が不利になることを踏
まえて、あくまでも「理解して承諾しても
らう」ための交渉に徹するべきです。
なお、募集や管理を依頼している不動産
会社に交渉を委任するという選択肢も当然
にあります。その場合、募集や管理業務の
中に「立ち退き交渉」は含まれていないの
が通常ですので、別途の報酬条件が必要と
なる場合もあります。立退き完了のあとの
建築プロデュースを依頼するとか、土地の
売却を任せるとかの成功報酬を提示するな
どです。いずれにしても、建物の取壊しの
ゴールを見定めて、そこに向かって具体的
な行動を開始されることをお勧めします。
■ 発 行 日 ; 2013.10.1
第 2 巻 4 号 ( 通 算 16 号 )
■ 発 行 所 ;株 式 会 社 フ ァ ー ス ト ホ ー ム
名 古 屋 市 南 区 内 田 橋 1 丁 目 6 番 2 号 フ ァ ー ス ト ビ ル 1F
■ 発 行 人 ;山 内
義洋
TEL.052-698-2224 http://www.first-hm.com/
10月の花
バラ科サクラ属。
十月桜(じゅうがつざくら)
花ことば:優れた美人、独立、精神美、淡泊
桜は「春に咲く」のが常識ですが、この十月桜は秋と春の2回にわたって綺
麗な花を咲かせます。不思議な桜です。全体のつぼみの3分の1が10月頃か
ら咲き、残りの3分の2は春に咲くので、「1年に2回楽しめる」のだとか。
春の花のほうが少し大きいようです。秋や冬に「季節はずれの桜」と思ったと
きは十月桜であることが多いのです。花は5~18枚で花弁の縁が薄く紅色に
なります。また萼筒(がくとう)が紅色でつぼ型で樹高は5m程あります。秋に咲くので紅葉する
樹木と共に植えられることもあり、桜と紅葉を一緒に楽しむこともできます。
祖父や曾祖父からの教育費の贈与
いま世間では、教育資金(1,500万
円)の非課税贈与の話が注目されています。
これは、銀行等に信託する等の条件や、お
金に余裕のある人の話でもあり、なんとな
く他人事のような気がしますね。では、お
じいさんやひいじいさんが孫やひ孫の教育
費を直接負担したらどうなるでしょうか。
相続税法には、「扶養義務者相互間にお
ける生活費や教育費の贈与で、通常必要と
認められるものについては非課税とする。」
というものがあります。
<通常の生活費>
日常生活を営むのに必要
な費用をいい、日常の衣
食住に必要な費用のみで
なく、治療費、養育費そ
の他これに準ずるものが
含まれる。
<通常の教育費> 教育上、通常認められ
る学費、教材費、文具等をいい、義務教育
費に限らないとされている。
したがって、小学校、中学校に限らず、
幼稚園、高校、大学、各種学校等も含まれ
ることになります。塾や習い事もOKと考
えてよいでしょう。ここでいう扶養義務者
とは、所得税でいう「いわゆる扶養親族」
とは違い、配偶者、直系血族、兄弟姉妹お
よび三親等内の親族で生計を一つにしてい
る人などです。その人らの相互間ですから、
親から子はもちろん、祖父母から孫、兄か
ら弟など、またに子から親、孫から祖父母
などに該当します。したがって、おじいさ
んが孫の大学の入学金や授業料を負担した
としても贈与税は課税されません。この場
合、親の所得に関係はありません(親に支
払い能力があってもよいのです)。医大な
どの入学金・授業料は相当多額になります
が、おじいさんが出しても問題はないので
す。ただし、あくまでもその教育費の同額
以下を負担する必要があり、123万円か
かるのに150万円を渡すようなことはし
てはいけません(もちろん、100万円だ
け負担するような場合はOKです)。
また、お祝いと称して渡したお金が、孫の
預金となった場合などには立派に贈与税の
対象となってしまいます。
知り合いの税理士さんの経験談ですが、
20年前に顧問先のおじいさんが亡くなる
少し前に孫の結婚式があり、その費用をお
じいさんが全額負担していたところ、相続
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