2011年度事業報告 3 月 11 日の大震災は、死者・行方不明者が 2 万人を超える未曾有の大災害となりました。被害は、 東北の太平洋岸から関東まで広範囲に及び、30 万超の家屋の損壊、インフラの寸断、行政機能の麻痺 など、私たちの生活は壊滅的な打撃を受けました。さらに津波による福島原発の事故は、放射能汚染 を拡大し、私たちがかつて経験したことのない複合的な災害となりました。岩手県内でも、36 名の小 中学生や教職員の尊い命が奪われました。また、教育会館の共済部資金の給付は、実に 8,760 件、1 億 9 千万円にならんとする状況でした。 震災は、景気回復に向かっていた日本経済をも直撃しました。特に製造業の落ち込みはひどく、1 万円台だった日経平均株価を一気に 8 千円台まで押し下げてしまいました。また、アメリカのデフォ ルト問題やギリシャに端を発する欧州金融危機の再燃も日本経済に大きな打撃を与えました。政府・ 民主党は、こうした状況に有効な対策を打ち出せないばかりか、政局がらみの論争に終始しました。 その結果、日経平均株価は 8 千~9 千円台に落ち込み、長期金利も戦後 4 度目となる 1%割れが 9 月 以降現在まで続くことになりました。しかしながら、投機筋からは円は他よりも安全な資産と見られ、 円買いが加速しました。そのため、対ドル 76 円~75 円台の超円高が進行することになり、たまりか ねた輸出産業が海外に主力工場をシフトするなど、産業の空洞化を招くことになりました。長期金利 の低迷や円高は資産運用にマイナスに働きます。しかし、この状況は 2012 年に入って徐々に改善さ れてきました。アメリカの景気が上向いてきたことに加え、昨年末に欧州中央銀行ECBが 3 年間 1% の金融支援を決定したことが契機になりました。また、日銀のインフレ目標 1%の金融政策が功を奏 し、為替も円安の方向に動いてきました。こうした景気回復の動きは未だ弱含みですが、復興需要の 本格化や欧州金融問題の不透明感が払拭されれば、加速していくものと思われます。 震災は県内経済にも大きな打撃を与えました。個人消費の落ち込みや離職者の増加を招き、デフレ 経済下での停滞感を増幅しました。また、被災企業による就職内定取消しや雇用の場の消失など、被 災地は人口流出が続いています。また、震災による失業者の失業保険が切れる時期を迎えていますが、 雇用情勢は依然厳しいままで、解決の糸口が見えていません。また、県内全般を見渡しても住宅や製 造業など一部に回復の兆しはあるものの、賃金は抑制傾向にあり、消費は依然低迷しています。 また、被災地を中心に学校の統合計画が進んでいます。このままいくと、教職員定数が減少になり、 ひいては会員の減少につながることになり、会館運営の厳しさが増してきます。 法人移行に関わっては、2013 年 11 月末の申請締め切りまで 1 年余を残すばかりとなりました。岩 手教育会館は、事業形態のバランスの点から公益法人移行を断念し、移行先を一般法人に変更しまし た。すでに最初の評議員を選出し、2012 年 6 月 30 日移行認可申請、2013 年 4 月 1 日登記予定で具体 的な作業に入りました。また、3 月には貸金業法の適用除外についても勝ち取ることができ、移行し てもこれまで通りの業務ができることになりました。 この状況下、教育会館の正味財産の増減額は、一般会計が 18,843 万円の減、特別会計(もしもし 教育相談)が 296 円の増となりました。
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