熱力学Ⅱ 1.(3-22) 11 月 16 日 対流熱伝達の計算 80℃の熱い空気が 30℃の 3m×4m の平らな面上を吹いている.対流熱伝達率を 55W/m2℃として,空気からこの平板への熱流量を kW の単位で求めよ. (1秒間当たりに何 J の熱 が平板に伝えられるか. ) Q conv hA(Ts T f ) 55 3 4 (30 80) 33kW 計算は Q conv hA(T f Ts ) 55 3 4 (80 30) 33kW 答 2.(3-25) でもよい. 33kW 外径 5cm,長さ 10m のパイプ中に 80℃の熱い水が入っている.そのパイプからは, 5℃の周囲の空気に熱伝達率が 25W/m2℃の自然対流によって熱が失われている.この自然対流によ る単位時間当たりの熱損失を kW の単位で求めよ. A dL 0.05 10 1.57 m 2 Q conv hA(Ts T f ) 25 1.57 (80 5) 2950 W 2.95 kW 答 2.95kW 3.80℃のゆで卵が 20℃の空気中に置かれている.卵の温度が 40℃になるまでの時間を求めよ. ただし,熱伝達率 h 5W / m ℃ ,卵の密度 1200kg / m ,比熱 C p 4kJ / kgK とする.また 2 3 卵は直径 50 mm の球形とする. 最初の温度 T1 から最終温度 T2 まで変化した間に,卵が失った熱量は mC (T1 T2 ) 卵の表面温度と空気の温度を T s , T f とすると, t 秒間に空気に伝わった熱量は hA(Ts T f ) t 卵の失った熱=空気に伝わった熱から mC (T1 T2 ) hA(Ts T f ) t これから冷却に要した時間は t mCT1 T2 ) hA(Ts T f ) … (a) で求まる. しかし卵の表面温度 T s は変化するため,このままでは計算できない.そこで近似として Ts (T1 T2 ) / 2 のように最初の温度と最終温度の平均値で表面温度を代表する. Ts (80 40) / 2 60 ℃ 卵の表面積 A は直径を d とすると, A 4 ( d / 2) 4 (0.05 / 2) 0.00785 m 2 2 2 体積 V は V 4 4 (d / 2) 2 (0.05 / 2) 3 6.54 10 5 m 3 3 3 質量 m は m V 1200 6.54 10 5 0.0785 kg これらを(a)式に代入して t mCT1 T2 ) 0.0785 4 10 3 (80 40) 8000 sec 5 0.00785 (60 20) hA(Ts T f ) と求まる.8000 秒はいかにも長すぎるように思われるので,卵の物性値を探した結果,殻,白 身,黄身で異なるが,平均的な密度は 1038kg / m ,比熱は c p 3.2 kJ / kgK 3 これを用いて計算すると, m V 1038 6.54 10 5 とした. 6.54 10 2 kg 65.4 g 熱伝達率については,球周りの自然対流熱伝達と考え,伝熱計算式に従って算出すると, h 7.8 W / m 2 ℃ であった mCT1 T2 ) 0.0654 3.2 10 3 (80 40) これを入れると t 3418 sec hA(Ts T f ) 7.8 0.00785 (60 20) と求まる. これが妥当かどうかを確認するため,卵の冷却実験を行った.使用した卵の重さは 60g であっ た.上の計算結果を実験値と直接比較した結果が下図である.計算結果は実験結果を非常によく 予測できていることがわかる. (こんなにうまく合うことは珍しいことです) 温度 ℃ 9.00E+01 8.00E+01 7.00E+01 6.00E+01 5.00E+01 殻の表面 系列1 殻の内面 系列2 4.00E+01 3.00E+01 2.00E+01 1.00E+01 0.00E+00 0 1000 2000 3000 ゆで卵の冷却実験 4000 5000 秒
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