ビタミンA過剰摂取(錠剤2錠分)死亡率16%アップ 今や、サプリメントは

ビタミンA過剰摂取(錠剤2錠分)死亡率16%アップ
今や、サプリメントは薬局ばかりか、コンビニでも安価で手軽に買うことができる。
ある調査では、2人に 1 人が何らかのサプリを摂っているという結果が出たほどだ。健
康補助だの、栄養補助食品だのと呼ばれてはいるが、過剰摂取は命を落としかねないの
である。
数多のサプリの中でも、特に女性から支持されているのがビタミンA剤。その理由は
血流を促進し、美肌効果を期待できるといわれているからだ。が、浜松医科大学の高田
明和名誉教授はこう警鐘を鳴らす。
「5年前、コペンハーゲン大学病院は31の研究グループが別々に行なった研究結果を
再分析しました。それでビタミンA剤を飲み続けた人は何も飲まなかった人に比べ死亡
率が16%もアップしたという結果を導き出したのです。つまり、ビタミンA剤は寿命
を延ばす効果がないばかりか、病気を誘発する危険性を孕んでいることがわかったので
すよ」杉山武敏・神戸大学名誉教授も、その危険を指摘する1人だ。
「ビタミンA剤は他のビタミンと違って、体内から排出されにくい。主に、肝臓に蓄積
されますが、それが増加すると肝細胞が線維化されて、肝線維症になる。それでも摂取
し続けると、肝硬変になる最悪のケースもあります」
さらに、様々なビタミンを含むマルチビタミンの過剰摂取にも注意を喚起する。
「マルチビタミンのサプリメントにも、ビタミンAを多量に含んでいる物があります。
サプリには医薬品のような厳しい規制もなく、誰でも気軽に買えるので、過剰摂取の危
険性を知らないまま、常用している可能性がありますからね」
確かに、妊娠12週までの妊婦のビタミンA過剰摂取による、水頭症や口唇口蓋裂など
の奇形児出産の危険も報告されているようだ。
含有量に注意
では、専門家が警告するビタミンA剤の過剰摂取とは、錠剤で言えば何錠か。
厚生労働省がまとめた「日本人の食事摂取基準(2010 年版)」では、1日の推奨量を 18
歳から69歳まで
の男性で 800∼850 マイクログラム、女性は 650∼700 マイクログラムと定めている。
これを若者のみならず、幅広い年齢層から人気のマルチビタミン剤で見てみると、1錠
0・96 グラムにビタミンAの含有量は 600 マイクログラム。
つまり、2錠飲めば過剰摂取になってしまうのだ。今後は、マルチビタミンを飲む際に
は1錠当たりの含有量を注意深く読む必要がある。さらに、先の杉山名誉教授も、「ビ
タミンAはレバーや鰻マーガリンなど様々な食品に豊富に含まれています。
ですから、ビタミンA剤を1錠だけ飲んでも、知らぬ間に過剰摂取に陥っている可能性
が高い。サプリは誰にでも、簡単に買えるのだから、メーカーも、その点をきちんと明
記すべきでしょう」
マルチと名乗っても、万能薬ではない。メーカーの責任のみならず、消費者の知識と注
意力も求められる。