ウェスト・エドモントン・モール(カナダ)の事例 大まかな特徴を言えば・・・ 場所イメージの消費/コラージュの空間 イメージ → シミュラークル(模造品) 時間/空間的に多種多様な文脈から引用 • アメリカ大陸最北かつ最大のショッピング・ モール(1981年当時) • カナディアン・ロッキーの東、カナディアン・プ レーリー(内陸の大平原)に位置する • 厳寒の地 • そういう場所だからこそ、「そこにはない風景」 が召喚される • 「そこにある風景」 → スケートリンク 石油採掘 地理のコラージュ 歴史のコラージュ 消費の場所 • • • • • サンタモニカ(カリフォルニア)の海岸 造波プール+人工的なビーチ 水族館+深海底+ドルフィン・ショー ヨーロッパの都市の商店街 ニューオーリンズのバーボンストリート ジャズ+娼婦+警官 • ホテルのスイートルーム アラビアン・ナイト、カナダのありふれた寝室、アウト ドアでのカー・キャンピング、ヴィクトリア朝イギリスの 寝室など ・東洋の梵鐘 • • • • • 世界中から特異な断片を集める一方で・・・ 世界中どこにでもあるものも揃える • 娯楽施設+集合店舗 → 世界中どこでも目にするもの 落下系遊具、メリーゴーラウンド、ジェット コースター ファッション・ブランド • コロンブスのサンタ・マリア号(アメリカ発見の記 憶) • 石油採掘の記憶(近過去) • ヨーロッパ風の都市景観(歴史ある街) • ニューオーリンズのジャズや娼婦(1920・30年 代) • しかしながら、こうした消費の空間(場所)は、そ れ自体特異なものではない • 規模は小さいが・・・たとえばハーバーランドのモ ザイク • あるいはフード・テーマパークは? • 日本各地のラーメン、麺類、カレー、餃子・・・ → 地理的蒐集 • 逆に時間的蒐集(タイムトラベル)も • 大正・レトロ・モダンな町並みの再現 • 最近は大正だけでなく、昭和30年代ごろも • 「横浜ラーメン博物館」は地理的・歴史的双方の 要素を再現 1 エスニックなものの消費 • 日常の食生活にも、エスニックな味が浸透してき ている • コンビニのおにぎり • タイ、インドネシア、ヴェトナム、トルコ・・・そして 韓国 • あるいは沖縄も? • 食べ物以外でも、服飾や宝飾、家具・インテリア • これらも広い意味では場所の消費といえるだろう • この場合の「場所」とは、固有の地理・歴史的文 脈のなかに固有の文化を持つもの • これまでの講義の流れ:場所の意味の理解 → 場所の意味の変化 → 場所をめぐるヘゲモニー 争い → 場所の消費 • 場所の「意味」は、当該社会ないしは共同体の構 成員の間主観性によって解される、特有のもの • 「他者」には理解できないこともある • 場所の消費とは、場所の「意味」を「他者」が解釈 してその固有の文脈から引き剥がし、別な場所へ と移植すること 2
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