豆類基金 コーナー アメリカ豆類事情調査団の派遣について (財)日本豆類基金協会 企画調査部長 滝 沢 明 夫 海外豆類事情調査団の派遣の目的は、豆 はピント、ネイビーの全米一位の生産州、 類の生産・流通・消費状況等に関する諸外 ミシガンはブラックビーンズ、ネイビーの 国の事情調査を行うことにより、我が国へ 主要な生産地であるほか、クランベリー、 の輸入の円滑化、需給の安定、消費の拡大 キドニー、スモールレッド、大手亡、小豆 のための計画立案等の参考としようとする 等多くのビーンを生産、ネブラスカはグ ものです。 レートノザン、ピントの主要な生産地、ミ アメリカは、昭和59年(1984年)に雑豆 ネソタはネイビー、ダークレッドキドニー 輸入基金協会において雑豆市場調査を実施 の主要な生産地です。なお、全米第7位の しています。 カリフォルニアはその気候から多様な豆の 世界の豆類生産に占めるアメリカの豆類 生産に適しており、主要な品種として、ブ 生産は、作付面積では1.2%、生産量では ラックアイ、ライマ(ベビー、ラージ)、チッ 2.7%(FAO 統計02~04平均)であり、単 クピース(ひよこ豆)です。 位収量は各国に比べ高くなっています。米 アメリカの農業生産の規模は2002セン 国農務省(USDA)統計によると、2005年 サスによると、農場数2,129千戸 、 農地面 の豆類の作付面積は1,184千 ha、うちビー 積376百万 ha、1農場当たり176ha。また、 ン(いんげん豆)664千 ha、ピース(えん 豆類については農場数8,947戸 、 農地面積 どう)323千 ha、レンティル(レンズ豆) 70万 ha、1農場当たり78ha と我が国の1 180千 ha であり、ビーンが豆類作付面積 戸当たり平均作付面積(北海道19.8ha、都 の56%を占めています。豆類の主要産地は 府県1.3ha)を大きく上回る大規模生産が 北部平原、五大湖地方に集中し、ビーンの 行われています。農業経営に占める豆類の 主な栽培地域は、ノースダコタ(栽培面積 位置付けをミシガン、カリフォルニア両州 のシェア37%)、ミシガン(14%)、ネブラ についてみると、他作物との輪作の上に行 スカ(11%)、ミネソタ(9%)の4州で、 われており、特にミシガンの輪作は北海道 米国全体の7割強を占めています。 の畑作農業に近い姿です。 この4州の生産の特徴は、ノースダコタ - 63 - ・ミシガン:90年代まで全米第一位の生 産 州、 農 場 数1,587、 大 半 の は対日市場向けに契約栽培されています。 農場は40ha 未満の栽培面積、 最近のアメリカ穀物生産を巡っては、燃 とうもろこし、大豆、ビート 料向け需要の増大がトウモロコシの作付け との輪作 増、大豆の作付け減を招くなど、各作物の ・カリフォルニア:多様な豆類生産に好 作付け選択に大きな影響を生じており、今 適な気候、農場数385、綿花、 後の雑豆生産にも及ぼす影響が懸念されて 野菜、小麦との輪作 います。また、昨年、収穫時の降雨等から なお、豆類の作付けから収穫までの一連 の作業は、ミシガンの場合、 「霜のない季節」 壊滅的であった大手亡の本年産の作付け、 生育状況も大きな関心事です。 とされる5月初めに始まり10月初めまでに 2004年 FAO 統計によるアメリカの豆類 完了します。作付けは6月1日から15日ま 消費量は、1人1日当たりイギリス(10g での間に大半は終了、収穫は9月7日から 強)と同程度の10g 弱、我が国はフラン 30日までの間に大半が終了するとのことで ス(5g)と同程度の6g 弱となっています。 あり、北海道の豆の栽培体系と類似してい アメリカの豆別消費量はいんげん豆57%、 ます。 えんどう32%、ひら豆9%であり、毎日、 アメリカの豆類輸出は、2002年から2004 国民の14%が消費しています。特にアメリ 年の3ヵ年は56万トン前後で安定して推移 カ南部、西部で多く消費されています。乾 していますが、豆別に2004年をみると、い 豆の3/4は、小売店で家庭用に販売されて んげん豆は前年比84%、えんどうは前年比 います。 151%と大きく変動し、生産量を反映した 消費の形態はサラダ、スープ、煮込み、 輸出実績となっています。豆別輸出シェア ベイクドビーン、米料理、メキシコ料理等 はいんげん豆48%、えんどう32%、ひら豆 多用な豆料理に利用されています。アメリ 16%、ひよこ豆2%となっています。輸出 カでも若者の豆離れ、豆料理の利便性から 先国は第一位メキシコ、次いでイギリス、 来る実需低下が見られており、豆の消費促 カナダ、ハイチ、ドミニカ共和国の順となっ 進策として、消費者の健康意識に訴えてい ています。 くことの必要性が課題となっています。 (政 アメリカから我が国に輸入されるライマ 府協賛で「豆を週に3カップ食べよう」と ビーン、グレートノザン、大手亡、小豆な いうキャンペーンが展開されていると聞き どの豆類は、我が国で古くから主に餡、煮 ます) 豆等に利用され、需要の一角を占めるなど このようなことから、アメリカについて、 主要な輸入先国(輸入総量に対するアメリ 安定供給の面から最近の生産事情や先進的 カのシェアは1995年の20%、2005年13%) な大規模畑作農業における栽培技術を調査 となり、輸入豆の中で、特に小豆、大手亡 し、また消費拡大の面から多用な豆類利用 - 64 - の実態や消費拡大のための方策等の調査を 豆の産地であるミシガン州と、ベビーライ 実施することは、我が国の豆類の生産、流 マ、ひよこ豆など多様な豆の生産地である 通、消費対策を検討する上で参考となるこ カリフォルニア州におけるほ場と調製選別 とが多いと考えます。 工場の視察、市場調査、関係団体との意見 これらのことから、調査先としては、豆 交換等を計画しています。 類の主要産地であり、大手亡を含む多くの 調査団員には、全国豆類振興会の推薦により、次の方々が選ばれました。 団 長 矢 野 征 男 ㈶日本豆類基金協会 理事長 ホクレン農業協同組合連合会 代表理事会長 副団長 今 村 雄 紀 雑穀輸入協議会 理事長 株式会社カーギルジャパン東食ビジネス・ユニット 執行役員 団 員 福 田 秀 勝 雑穀輸入協議会 関西支部 理事 豊田通商株式会社大阪食料グループ 部長補 団 員 平 田 大三郎 全国穀物商協同組合連合会 常務理事 株式会社森光商店 相談役 団 員 川 西 文 男 日本製餡協同組合連合会 常務理事 株式会社まるぶん 代表取締役 団 員 小 林 信 樹 ホクレン農業協同組合連合会 雑穀課長 団 員 松 村 征 仁 ㈳北海道豆類価格安定基金協会 専務理事 団 員 伊 藤 洋 ㈶日本豆類基金協会 常務理事 - 65 - また、調査団の日程(案)は、次表のとおりです。 ᐕᣣ ⊒⌕߮ṛ 㧔ᦐᣣ㧕 ㅢᯏ㑐 ⊒⌕ ⸰ వ ኋᴱ ᚑ↰ⓨ᷼ 㧺㨃㧜㧞㧢 㓸วޔᚑ↰߆ࠄ 㧔ᣣ㧕 ࠺࠻ࡠࠗ࠻ⓨ᷼ ࠺࠻ࡠࠗ࠻⚻↱ 㧺㨃㧝㧣㧣㧥 ࡦࠪࡦࠣ߳ ⌕ᓟࡎ࠹࡞߳ ࠗࠬ࠻ࡦࠪࡦࠣ ࠺࠻ࡠࠗ࠻ⓨ᷼ ࡦࠪࡦࠣⓨ᷼ ࡒࠪࠟࡦᎺ┙ᄢቇ ࠨࠡ࠽࠙ หᄢቇ⢒⒳⎇ⓥᚲ ࡃࠗࠝࠛ࠲ࡁ࡞Ꮏ႐ ⼺㘃ㆬടᎿ႐ Ꮢ႐⺞ᩏ ࠗࠬ࠻ࡦࠪࡦࠣ 㧔㧕 ኾ↪ࡃࠬ ࠗࠬ࠻ࡦࠪࡦࠣ ࠗࠬ࠻ࡦࠪࡦࠣ ࠗࠬ࠻ࡦࠪࡦࠣ 㧔Ἣ㧕 ኾ↪ࡃࠬ ࡒࠪࠟࡦ㔀⼺ャᬺ⠪࿅ ࡦ࠻࡚ࠫࡦ ࡒࠪࠟࡦ㔀⼺↢↥⠪࿅ ⼺㘃ㆬടᎿ႐߶ޔ႐ⷞኤ ࠗࠬ࠻ࡦࠪࡦࠣ ࠗࠬ࠻ࡦࠪࡦࠣ ࡦࠪࡦࠣⓨ᷼ 㧺㨃㧟㧜㧟㧠 ⓨ〝⒖േ 㧔᳓㧕 ࠺࠻ࡠࠗ࠻ⓨ᷼ ࠺࠻ࡠࠗ࠻ⓨ᷼ 㧺㨃㧟㧠㧡 ࠨࡦࡈࡦࠪࠬࠦⓨ᷼ ࠨࡦࡈࡦࠪࠬࠦ ኾ↪ࡃࠬ 㧔ᧁ㧕 ࠻ࠪ ࠻ࠪ ኾ↪ࡃࠬ 㧔㊄㧕 ࠨࠢࡔࡦ࠻ ࠨࡦࡈࡦࠪࠬࠦ ࠨࡦࡈࡦࠪࠬࠦⓨ᷼ 㧺㨃㧜㧞㧣 ⼺㘃ㆬടᎿ႐ ߶႐ⷞኤ ࠻ࠪ ⼺㘃ㆬടᎿ႐ ߶႐ⷞኤ Ꮢ႐⺞ᩏ ࠨࡦࡈࡦࠪࠬࠦ 㧔㧕 ࠨࡦࡈࡦࠪࠬࠦ ᯏਛᴱ ᚑ↰ⓨ᷼ ⌕ᓟ⸃ᢔ 㧔ᣣ㧕 ߥ߅⚦ޔㇱߩᣣ⒟╬ߦߟ߈߹ߒߡߪޔ⺞ᢛߒߡࠆߣߎࠈߢߔޕ 4 - 66 -
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