感染性胃腸炎発症時における施設等の消毒方法

ウィルス性感染性胃腸炎発症時における
入所施設等の消毒方法
◎ 消毒用エタノールや逆性石鹸は効きません。
次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂白剤)を使用すること!!
◎ ウィルスは症状が良くなってからも1週間程度は排出しています
ので、この間は消毒と換気が必要です。
◎ 基本は石鹸と流水での手洗いです。
1作業後1手洗いを徹底すること!!
☆手洗いの基本
(職員、入所・入院者全て)☆
① 爪は短く切って、指輪等ははずす。
② 石鹸を十分に泡立て、ブラシなどを使用して手指や手首を洗い、流水で十分にすすぐ。
③ 蛇口を洗い流してから、手を使い捨てタオルで拭き、そのタオルで蛇口も閉める。
(布タオルの再利用や、他の人との共有は絶対にしないこと。)
④トイレ使用後や食事前後、清拭等の一つの作業が終わるごとに手洗いすることを徹底する。
有症状者(症状消失後1週間程度を含む)の留意事項
(1)トイレ使用後
*事前にマスク、使い捨て手袋、エプロンを着用する。
*有症者の使用するトイレは特定することが望ましい。
①トイレ使用後に便器内が便で汚れた場合、専用ブラシで洗い、便器内を 0.1%の次亜塩素酸ナ
トリウム(市販の家庭用漂白剤)液で消毒し水を流す。専用ブラシは 0.1%次亜塩素酸ナトリ
ウム(市販の家庭用漂白剤)液に 10 分間浸し消毒する。便座やレバー、ドアノブは 0.02%次
亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂白剤)で浸した布で拭き、10 分後水ぶきする。
②①で使用した布や使い捨てタオル、手袋をトイレ内に置いたビニール袋に入れて縛る。
③手指を石鹸と流水でしっかりと洗い使い捨てタオルで拭き、タオルで蛇口を閉める。
④ビニール袋を入れたペダル式ごみ箱に②③とエプロン、マスクを捨てる。
⑤トイレから出た後に再度、石鹸と流水で十分手洗いをする。
(2)食事前
①石鹸と流水で十分手洗いする。
②使い捨てタオルで拭く。
便・吐物の処理について
①使い捨ての手袋・マスク・袖付きエプロンを着用し、ウィルスが飛散しないように静かにペー
パーで拭き取る。
②①で使ったペーパーはすぐにビニール袋に入れ、0.1%次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂
白剤)液を染み込む程度に入れ密閉する。
③0.1%次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂白剤)液を浸した布などで、汚れた床とその周辺
を 10 分間覆うか浸すように拭く。次亜塩素酸ナトリウムは鉄などの金属を腐食するので、拭
き取って 10 分程度たったら水拭きする。
④③の布を②のビニール袋に入れて密封する。
⑤手袋を無菌的操作で脱ぎ②に入れて密封する。その後、石鹸・流水で手洗いする。
⑥便、吐物の処理時は必ず窓を開け換気をする。(風が流れるように対角線上の窓を 15cm~半
分開けて 10 分間風を通す)
無菌的操作・・まず片方の手でもう片方の手袋の表面をつかみ、ひっくり返すように脱ぐ。
素手になった手で、もう片方の手袋の裏面を持ってひっくり返しながら脱ぐ。
清掃時の注意について
(1)トイレ
*トイレの換気扇は常時廻しておくこと!
<常備物品>
・使い捨てゴム手袋 ・個別に入れるビニール袋 ・ビニール袋を入れたペダル式ごみ箱
・0.1%次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂白剤)液を浸した布
・各トイレごとにモップ、バケツ、次亜塩素酸ナトリウム
①0.1%の次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂白剤)液を使用し、必ず使い捨て手袋・マスク
袖付きエプロンを着用する。
②患者発生時及び最後の患者が症状消失後1週間までは1日2回以上清掃し消毒する。
③ドアノブや蛇口など皆が手で触れる場所は 0.02%、便で汚れた便器と床は 0.1%の次亜塩素酸ナ
トリウム(市販の家庭用漂白剤)で清掃し消毒する。10 分後水拭きする。
④使用した布、ペーパー、着用した手袋・エプロンはビニール袋に入れ、0.1%次亜塩素酸ナトリ
ウム(市販の家庭用漂白剤)液を染み込む程度に入れ密閉する。
⑤終了後、石鹸と流水でしっかりと手洗いをする。
(2)食堂
①テーブルは 0.02%の次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂白剤)液を浸した布で拭き、10
分後水拭きする。
(3)浴室
*必ず換気をしながら実施すること。
①浴槽のお湯は毎日、交換すること。
②清掃は使い捨て手袋・マスク・エプロンを着用し、通常の清掃後に 0.1 の次亜塩素酸ナトリ
ウム(市販の家庭用漂白剤)液を床・浴槽内に散布し、5分以上経過後にシャワーをかけて洗
い流す。
③ 清掃従事者は最後にシャワーを浴びて浴室から出る。
洗濯時の注意について
*消毒せずに洗濯機を使用すると、汚染が広がるので注意すること。
①必ず使い捨て手袋・マスク・エプロンを着用して行う。
②嘔吐物や下痢便で汚れたものは、バケツ等で水洗い後に 0.02%の次亜塩素酸ナトリウム(市販
の家庭用漂白剤)液に 10 分つけてから洗濯する。
③水洗いした場所を 0.02%の次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂白剤)液で消毒する。
④保育園などでは、嘔吐物で汚れた衣類等は洗わずにビニール袋に入れて密封し保護者に渡す。
有症者介助時の注意について
*職員は、症状(嘔気・嘔吐・下痢・腹痛・発熱など)が出た場合は休むこと。
*職員は、症状が消失後も1週間以上はウィルスが出ることを十分理解して業務に就くこと。
<排泄介助>
①排泄の介助は使い捨て手袋・マスク・袖付きエプロンを着用し実施する。終了後、必ず石鹸と
流水で手洗いする。
② オムツ交換は、床にオムツを置かずに丸めて 0.1%の次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂
白剤)液を入れたビニール袋に入れ密封する。交換した場所が便で汚染された場合シーツ等
はずし消毒後洗う(洗濯時~参照)。それができない場合はスチームアイロンで消毒するのが
望ましい。
<食事介助>
①食事介助の場合はマスクと専用の袖付きエプロンを着用する。食事の盛り付けも同様とする。
②使用した食器類は厨房に出す前に、残った食物は 0.1%の次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭
用漂白剤)を入れたビニール袋に入れ、食器類は 0.02%の次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭
用漂白剤)液に5分以上漬けて消毒したものを厨房に戻すことが望ましい。食事を運ぶカート
も同様に扱うのが望ましい。
なお、食器に吐いた場合は、そのまま戻さず 0.1%の次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用
漂白剤)を入れたビニール袋に入れ密閉すること。
<入浴介助>
① 有症状者の入浴は一番最後にする。
(シャワー浴も同様)入浴介助後に必ずシャワーを浴びて
から出ること。有症状者職員による入浴介助は症状消失から1週間以上たってからとする。
<患者への対応>
①ケア終了後、部屋から退出したあとは必ず石鹸と流水で手洗いをすること。汚物・汚染物を扱
う時は、使い捨て手袋・マスク・エプロンを着用し入室すること。
<希釈液の作り方>
次亜塩素酸ナトリウム 5%(市販の家庭用漂白剤)の場合
● 0.02%液⇒家庭用漂白剤のキャップ 1/2(約 10cc)に 2.5ℓの水を入れる。
● 0.1%液⇒家庭用漂白剤のキャップ 1/2(約 10cc)に 500mℓの水を入れる。
施設管理について
① 1 日 2 回、施設全体の換気(午前・午後各 1 回)をする。風が流れるように対角線上の窓を
15cm~半分開けて 10 分間風を通す。
② 不特定多数の人の手がふれる場所、手すり・ドアノブ等を 0.02%次亜塩素酸ナトリウムで 1
日 2 回消毒する(10 分後水拭きする)。
③ 施設内をゾーニング(区域分け)し、清潔区域に入る時は石鹸と流水で十分手洗いする。汚染
区域での作業後、必ず石鹸と流水で十分手洗いを実施すること。
④ 患者発生時は原則として外来者の出入りを制限する。やむを得ず入る場合は、石鹸と流水で
十分手洗いをしてから入る。
<次亜塩素酸の濃度>
濃度
1%
商品名(例)
ミルトン、ミルクポン、ビュアファリン
5~6%
6%
10%
12%
ジアノック、ハイター、ブリーチ
ピューラックス、次亜塩6%「ヨシダ」、アサヒラック、テキサント
ピューラックス-10、ハイポライト10、アサヒラック、アルボースキレーネ
ジアエース、アサヒラック、バイヤラックス
*次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂白剤)希釈液は毎日、新しくすること!
作り置きは絶対しないこと!!原液の保管は冷所、遮光が原則。
*ウィルスは乾燥すると空気中に漂い、口腔内から感染することがあるので、便や吐物
は完全に拭き取りし、使用したペーパータオルは放置して乾燥させないこと!
*次亜塩素酸ナトリウム(市販の家庭用漂白剤)は、使用方法によっては塩素ガスが発
生するので、必ず換気をすること。
<参考文献>
下記を参考にして下さい
①厚生労働省HP「ノロウィルスに関するQ&A」
http://www.mhlw.go.jp/topics/syokuchu/kanren/yobou/040204-1.html
②国立感染症研究所感染症情報センター「ノロウィルス感染症とその対応・予防」
http://idsc.nih.go.jp/disease/norovirus/taio-b.html
③岩見沢保健所ホームページ
http://www.sorachi.pref.hokkaido.lg.jp/hk/hfc/kenkou/kannsennshou.htm
不明な点は、お問い合わせ下さい。
☆北海道岩見沢保健所(北海道空知総合振興局保健環境部保健福祉室)
子ども・健康推進課保健予防係
℡
0126-20-0115(直通)
Fax 0126-22-2514