号外(乳幼児期の子育て①

家庭教育情報紙
号外:「乳幼児期の子育て①」
発行日:平成27年 7 月24日
日南町教育委員会 家庭教育推進員
スマホと子育て
先日、「鳥取県ケータイ・インターネット教育推進員」として、青少年育成江府町民会議の学習
会の講師として、お話しをしてきました。
スマートフォンなどの情報端末機器は、情報化社会の便利なツールである反面、「ネット依存」
や「ネットいじめ」などの弊害や危険なサイトに触れることもあります。また、子どもの遊び道具
ではありません。したがって、子どもたちが弊害や危険から身を守ることを知らない間は、親が子
どもを守る必要があることを伝えました。
子育てアプリって?
赤ちゃんをあやしたり、子どものしつけや知育に役立つアプリケーションがあります。夜泣きや
なだめたい時に興味をひき付けてあやすような、アニメーション・音・音楽が出るアプリ、親子で
楽しく遊べるゲームアプリ、遊びながら学習できる教育アプリや、歯磨きなどの生活習慣のしつけ
に使えるアプリ、育児や成長の記録に使える子ども専用の記録ツール・カメラ・アルバムなど、い
ろいろありますが・・・。
こんな子育てアプリ・育児アプリ
「鬼から電話」というアプリをご存知ですか? 平成 24 年 12 月に公開さ
れ流行している「子どものしつけアプリ」です。
言うことを聞かなくて困った時に使うアプリだそうです。鬼や怖い大人から
電話がかかってきているように見せかけ、鬼からの着信画像(左図のようなも
の)を表示します。電話に応答すると、動画アニメーションが再生され、
「お母
さんの言うことを聞かないから鬼から電話が来たぞ~」「お薬のまないからお
医者さんから電話が来たぞ~」と子どもをビックリさせ(脅しだと言う人も)、
親の言うことをきかせるアプリです。抜群の効き目だそうです。
このアプリを使用することには、賛否両論あります。しかし、それが子どもに合った方法だと
思われればよいでしょうが、頻繁にこれに頼るのは親としての役目を放棄し、親の意味がないと
思うのでどうかとは思います。きちんと子どもに向き合って、話して聞かせることが大事だと思
います。
また、その他たくさんの「子育てアプリ」がありますが、親の都合や便利ばかりを追求し、親
の役目を放棄するようなアプリや使い方は、子育てに逆効果を与えるかもしれません。
【裏面あり】
メディアに子守をさせないで!!
子育ての最終ゴールは「子どもの自立」だと言われています。『自立』とは、ひとりで何でもや
ることではなく、他をモデルにしたり、他に依存したりすることが大切なのです。小さいうちか
ら、にっこり笑ってあいさつをするなど相手を意識した言動を親がモデルとなってしつけること
が大事です。
寄り道やまわり道をしたり、障害物を乗り越えたりしながら、自立のゴールにたどり着くので
す。早い、遅いは関係ありません。子どもによって違っていいのです。
精神分析学者エリクソンは人間の発達を 8 段階に分けています。そのうち小学校までの 3 段階
の発達課題をまとめたものが、下記の表です。
【乳児期(0歳~1.5 歳)
】
信頼感
○獲得するもの:『基本的信頼』 ⇒ 「希望」
○必要な出会い:母親もしくは母親的な存在
○「不安を感じているから泣く」、「不快だから泣く」、「愛情が欲しいから泣く」、その行為
は様々にあると思いますが、母親の愛情を感じることによってその不安や不快さは、
「安
心できる心」、「信頼できる心」に変わります。
○不安や不快さを取り除いてくれるような愛情を感じられる出来事がたくさんあればある
ほど、乳児期の子ども達は、安心できる気持ちが芽生え、その心は“信頼できる心”とな
ります。
【幼児期前期(1.5 歳~4歳】
自律性
○獲得するもの:『自律性』 ⇒ 「意志」
○必要な出会い:母親もしくは、母親的存在
○この時期の「自律」とは、
「排泄のコントロール」、
「衣食住のコントロール」、
「感情のコ
ントロール」をしながら育まれていきます。
○排泄という体験は、
「自律の心」を育む大切な段階です。うまく排泄できた事などを親が
ほめたりすると、
「自律」の心が育ちます。失敗してしまって恥ずかしく感じる体験も心
の育みにつながります。そして、自分自身の欲求がコントロールできるようになります。
【幼児期後期(4歳~6歳)】
積極性
○獲得するもの:『積極性』 『自主性』⇒ 「目的」
自主性
○必要な出会い:『家族、両親との出会い』
○いろいろな事をチャレンジさせてあげる時期です。好奇心旺盛な子どもの中には、やんち
ゃをしたり、いたずらをしたり、おてんばをしたりする子ども達も出てきます。自分で考
えて行動しようとする「自主性」の獲得の時期なのです。
○親をモデルとしながら、その試しの場を友達の中で見出しながら、ごっこ遊びを通じて外
の社会に積極的に出ていこうとします。
「目的」の為に欲しいものや、チャレンジしたい
旺盛な心などを育んで行くのです。
中学生程度までは、メディアより人や自然など本物とかかわることや五感を育むことが何より
も大切な時期です。