ネット社会の変化 政治意識をめぐって 2009.2.19 ユビキタス社会におけるネット利用の国際比較 ワールドインターネットプロジェクトの10年 学習院大学法学部政治学科 遠藤 薫 Contents aメディアと米大統領選挙 a「ネットルーツ」と「間メディア性」 aWIPから見る世界の中の日本 aWIPJから見る日本の今後 a終わりに 2008年米大統領選ではメディア の力に注目が集まった マケイン候補公式サイトより オバマ候補公式サイトより 各候補者のメディア露出 遠藤薫「ネット映像メディアと米大統領予備選2008」『朝日総研』2008年6月号より メディア露出 オバマvs.マケイン データ出所:Journalism.org オバマ候補のベルリン演説 Barack Obama in Berlin http://jp.youtube.com/watch?v= OAhb06Z8N1c 投稿者: BarackObamadotcom 動画: 1,184 追加日: 2008年07月24日 再生回数: 189,700 08.7.27 08:10 再生回数: 459,588 09.2.16 アメリカにおけるメディア・ポリ ティクスの展開 1960 ケネディ 1952 アイゼンハワー クリントン政権とネット (1993∼2000年) a 情報スーパーハイウェイ構 想を掲げたクリントン−ゴア 政権whitehouseのサイト: ホワイトハウスのバーチャ ル・ツアーや、大統領・大 統領夫人・副大統領の個 人的な語りかけのページ a ネット空間におけるアメリカ の象徴的身体は、「会った ことはないけれどよく知っ ている人」 1995 2000年アメリカ大統領選挙 a共和、民主両党の全国大会がインターネット中継 さ れ、10月には大統領候補のテレビ討論会もネット中 継された。 aTVにならぶメディアとして、インターネットの利用が 本格化 a3月アリゾナ州で の 民主党予備選挙でオンライン投 票実施 。 投票総数の 4 5 %がネット経由で投票され た。 a1 1 月には国防総省が不在者投票をオンラインで行 う実験を開始 ブッシュとゴア 2000.11.9 無名候補の善戦 a 1 9 9 8 年 1 0 月のミネソタ州知 事選挙で、泡沫候補とみなさ れていたジェシ・ベンチュラ が当選 a ニューハンプシャー州の予 備選に挑んだブラッドリー候 補とマケイン候補が善戦 a 大学生や無党派層 a ワン・クリックで、キャラクタ ーグッズを買い、小額の献 金をし、ボランティア要員に 応募 ジェシ・ベンチュラ 2001 候補者だけでなく、さまざまな主 体が、ネットを介して政治活動を 展開 Rock The Vote 2004 SpeakOut.com 2000 2008年大統領選挙における ネットルーツ とは? a ネット による グラスルーツ(草の根) 運動 aオバマ氏の選挙活動の形態から話題に aネット(YouTubeやMySpaceなど、携帯による 動員…)と対面コミュニケーションによる組織 化との結合 aTVなどとも連携→強い「間メディア性」 候補者たちの選挙サイト(08.4.2) 新しいネットメディアの利用 aYouTube `2005年12月からサービスを開始した動画共有サ イト `キャッチコピーは "Broadcast Yourself." amySpace `2003年3月に創立されたSNS `2008年5月10日現在で2億320万人分のアカウン ト が存在 YouTubeで大統領選 http://www.youtube.com/hillaryclinton YouChoose ‘08 とCitizenTube http://youtube.com/members?s=po&t=w&g=-1 http://youtube.com/citizentube 大統領選の情報源 80 100 90 70 80 60 テレビ 70 新聞 テレビ 50 新聞 インターネット 60 ラジオ インターネット 40 ラジオ 雑誌 50 その他 雑誌 その他 30 わからない 40 わからない 30 20 20 10 10 0 0 1992 1996 2000 2004 最も重要な情報源 1992 1996 2000 2004 1番目または2番目に重要な情報源 データ:http://people-press.org/reports/display.php3?ReportID=384 2008.1.11 青年層の大統領選の情報源 18∼29歳の青年層にとって1番目または2番目に重要な情報源 データ:http://people-press.org/reports/display.php3?ReportID=384 2008.1.11 大統領選の情報をどのサイトで 見るか? データ:http://people-press.org/reports/display.php3?ReportID=384 2008.1.11 既存メディアと インターネットの 相互浸透的で緊密な 「間メディア性」 SNSの活用 集会での演説 自身の公式サイト MySpace 討論会 Flickr 雑誌・新聞記事 YouTube 雑誌・新聞広告 TV番組 ラジオ番組 支援者のサイト群 TVCM ラジオ CM ネット広告 表 登録友人数 SNS クリントン オバマ マケイン MySpace 68,248 360,458 49,648 YouTube 13,592 48,061 4,555 Facebook 153,168 804,353 120,521 EONS 361 270 3 2008.5 2008年大統領予備選における 各主体間の関係 候補者の 間メディア 戦略 既存 マスメディアの 報道・キャ ンペーン ネット上の 独立グルー SNSなどの プ・支援者 選挙コミュニティ の活動 一般有権者 一般有権者 オバマ政権発足後も ホワイトハウスはYouTubeなどにチャネルを開設 2009.2.18 日本でも(内閣府「青少年調査2007」) 日本でも 官邸が、YouTubeなどにチャネルを開設するが・・ 2009.2.18 WIPから見る 日本と世界の政治意識 The World Internet Project 2009 各メディアの情報源としての重要性 インターネット テレビ 新聞 100 88 86 90 81 81 80 6766 70 6866 60 69 73 70 72 62 55 71 68 61 57 71 55 70 73 69 72 67 66 63 68 56 54 5353 47 50 5556 53 5051 45 37 40 32 30 24 20 10 ウ ェ ー デ ン ス ギ リ ス イ ナ ダ カ オ カ ラ エ ス マ ル ア リ イ トラ ス ー 日 本 オ ー ド ラ ン コ ェ チ ー ジ ニ ュ メリ カ ン ガ ポ ー ル ハ ン ガ リ ー ア 中 国 シ コ ロ ン ビ ア 0 (18歳以上のインターネット利用者を集計:「ある程度重要」「非常に重要」を合わせた%) The World Internet Project 2009 インターネット利用によって 同じような政治的関心を持つ人と接触することが増 えたか? 25.0 21.1 WIPJ2003報告書 WIPReport2009 20.0 17 14 15.0 10.0 8.1 8.6 7.8 7 5 5.0 5.1 6 5 1.4 0.0 アメリカ イギリス シンガポール スウェーデン 中国 日本 「増えた」+「少し増えた」 The World Internet Project International Report 2009 インターネット利用が政治に与える 影響についての意見 80 76 インターネットの利用によって、一 般の市民が政治に対して、より大き な力をもつようになる 「そう思う」+「まあそう思う」 70 60 インターネットの利用によって、一 般の市民が政治をよりよく理解でき るようになる 56 50 45 40 30 29 31 33 30 28 28 23 23 20 11 10 0 中国 アメリカ シンガポール イギリス 日本 スウェーデン (18歳以上のインターネット利用者) The World Internet Project International Report 2009 インターネットの信頼度 「全部信頼できる」+「大部分信頼できる」の割合 60.0 55.0 WIP2003報告書 50.0 47.6 48 WIP report 2009 40.0 36 31 27.9 30.0 24.3 18.7 20.0 10.0 0.0 アメリカ スウェーデン 中国 日本 (18歳以上のインターネット利用者) WIPから見た日本の相対的状況 a情報源としてのメディアでは、TVの重要性が 極めて大きい aインターネットが政治的コミュニケーションを 強化する傾向は弱い aインターネットの政治的な影響力に対する期 待も弱い aインターネットに対する信頼性も低い WIPJから見る 日本のトレンド 情報源としての重要度(WIPJ) 100 90 89.1 86.4 80 70 73.9 84.7 80.1 74.1 86 82.2 78.5 91.7 86.1 88.4 75.6 69.1 60 52.3 50 40 30 38.7 27.4 32.5 20 10 39.5 インターネット テレビ 新聞 家族・友人 0 2000 2002 2003 2005 2008 「非常に重要」+「重要」の% 娯楽源としての重要度(WIPJ) 100 90.4 90 80 83.5 80.4 85.5 83.7 82.8 70 62 60 50 53.9 55.6 52.5 41.2 40 30 20 53.7 24.4 28 インターネット テレビ 新聞 家族・友人 10 0 2000 2003 2005 2008 「非常に重要」+「重要」の% インターネットの信頼性(WIPJ) 2008 0.4 19.8 43.6 2005 1 16.3 47.6 2003 0.3 17.9 53.1 2001 0.4 16.7 50.4 2000 0.4 15.5 48.8 20% 40% 13.4 4.1 26.6 50.7 2002 0.110.5 0% 18.8 17.8 8.2 5.1 26.9 6 3.3 22.1 8.71.7 23.4 60% 6 2.5 80% 0.7 2.1 100% 全部 大部分 半々 一部 全くない 無回答 日本では、インターネットは 娯楽的なマイナー・メディアに留 まるのか? 30 10 29.8 20 31.8 24 16.1 15 インターネットの利用によって、政府や 自治体の役人が、一般の市民にもっと サービスをしてくれるようになるだろう 35 インターネットの利用によって、一般の 市民が政治をよりよく理解できるように なる 40 インターネットの利用によって、一般の 市民が行政にたいしてもっと発言する ようになる 25 インターネットの利用によって、一般の 市民が政治に対して、より大きな力を もつようになる インターネット利用による 政治の変化期待(WIP日本) 45 40.7 36.1 30.1 23.7 25 19.7 13.6 2000 2002 2008 8.9 5 0 「そう思う」+「まあ そう思う」の% インターネット利用による変化 (内閣府「青少年調査」2007) 政治的関心(WIPJ) 8.3 2005 17.2 47.4 21.6 5.30.2 非常に関心 かなり関心 多少は関心 あまり関心がない 全く関心がない 無回答 2002 5.5 0% 11.5 49.9 20% 40% 25.8 60% 80% 7.20.2 100% 政治意識の変化(WIPJ) 60 55.7 51.1 50 43 40 35.4 37.4 36.5 28.9 30 20.1 20 22.3 17.2 10 6.1 2.8 3.1 3.2 き べ に 従 統 伝 権 威 や 慣 習 に し わ て ぎ し す と は 難 こ の 政 治 う う た が ら か ら 良 くな は 治 も 政 い で 騒 が れ わ わ れ べ い な い な 活 の 生 分 り自 と よ こ の 治 政 き 0 8.4 2002 2005 2008 つまり・・・ a(インターネット利用を媒介として)政治的関 心の高まりは見られるが、 a政治的有効性感覚との関係は微妙であり、 a全体として保守化の傾向も・・・ a今後の動向に注目したい
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