close

Enter

Log in using OpenID

在日華人企業によるオフショア・アウトソーシングビジネスモデル

embedDownload
在日華人企業による
オフショア・アウトソーシング
ビジネスモデル
2006年1月7日
中央大学大学院総合政策研究科
博士後期課程
潘 若衛
これまでの研究
• 2005年8月東アジア経済経営学会で「オフショア・アウトソ
ーシングを巡る調整①:顧客と生産性の視点から」をテー
マに発表した.その内容は:
– アウトソ-シングを受託した企業は、標準化を行い、規模の利益
と専門性をたかめることにより、内注より高い効率を実現する。こ
れは生産性の視点である。さらに、オフショア・アウトソ-シング
企業は加えて、海外生産のコスト構造を競争力の源泉にする。
– しかし,コストのリーダ-シップを取ることがアウトソ-シングの
戦略のすべてではない.当然,価格による競争ではなく,差別化
による競争を試みる企業もある.これらは,高い専門能力、ある
いは顧客の要求に速やかに答えることを強調し、競争に打ち勝
つ。これが顧客の視点である。
– この顧客と生産性との間のギャップを解消するために組織間の
調整が必要になる。
1
本発表の目的
• オフショア・アウトソ-シングには、文化的に距離の難問
がある。
• コスト上のメリットがあったとしても、 文化的に距離の問
題が、様々な摩擦をもたらす。それは主として企業間調
整をめぐる問題である。
• 本発表は、顧客と生産性からの視点に加えて,異文化へ
理解との視点から,調整をめぐる問題を中心に纏めてみ
たい。
• 顧客と生産性からの視点に加えて,異文化へ理解との視
点から,「企業間の共通の価値観や行動規範」といった
非常に「ソフト」なものを重視すべきと主張する.
• 株式会社 ビッグハンズ を事例に中国と日本のオフショ
ア・アウトソ-シングを巡る調整について考える。
発表の構成
1. オフショア・アウトソ-シングの現状・メリ
ット・問題点
2. 異文化への理解の視点~理論的考察
3. 株式会社ビッグハンズの事例
2
オフショア・アウトソ-シングの現状・
メリット・問題点
•
•
•
日本のオフショア・アウソソ-シング市場には余地が大いにある。通商白書
2004は、アメリカにおけるオフショア・アウトソ-シングの比重が増す傾向に
あると指摘しているが、それに対して、日本のオフショア・アウソソ-シング
の隆盛が現れているとはいえない。しかし、あ近年の統計を見ると、この3年
間で4倍もの成長で、大きく増している。日本はアメリカ市場の半分になる予
測されているが、20分の1しかないのが現状。
中国は、人材とコストの面では、日本にとって魅力的なアウトソーシング先。
オフショア開発の最大のメリットは、安価な労働力を大量に得られることだと
言われる。日本での高い人件費を嫌ってオフショア開発を推進する企業が
増えている。日本と中国のソフトウエア開発費用を比較した場合、その格差
は4倍から5倍とも言われている。
しかし、オフショア・アウトソ-シングの展開に当たって,従来の「コスト削減」ビジ
ネスモデルではなく,「中間型」や「異文化融合型」と言った創造的対話の構
造とプロセスの重要性は非常に高く、それは、コア人材のトレーニング、共通
の価値観の醸成、コミュニケーションなど、多岐の分野に渡り統一したコンセ
プトのもとに組織間の調整の役割が必要とされ、それを実現する能力が非
常に重要なものとなっている。
•大学でIT専門教育を受け
た優秀な技術者を持つ.
1 顧客と生産性におけるギャップ
•開発コスト(人件費)が安い.
(日本の1/3~1/2)
生産性における
オフショア開発
メリット
顧客のオフショア
開発メリット
人材
•入札制による受注競争
激化
ギャップ
不足かつ高価
豊富かつ廉価
•仕様を理解した後の製造
が早い.
•品質管理プロセスが未成
熟.
•現地リーダクラスは日本に
おける長年の生活体験と開
発経験を持つ.
•日中双方の商習慣を理解
している.
•顧客からのコスト削減
要求
•日本語可能要員が比較的
多い.
•日本国内でのリソース
(協力会社)確保が困難
•会社組織は発展途上であ
る.
•中国IT市場の拡大によ
る中国IT企業・技術者の
発展
•大学でIT専門教育を受け
た優秀な人材が多い.
日本
•現在ではIT技術者は
65万人
中国
•特にオープン系、Web系の
技術に強い.
•勤勉(新規技術の習得に
積極的).
•品質意識は弱い.
開発案件
豊富
不足、但し高成長
•個人志向が強い(人材の
流動性が高い)
中国には優秀で低コストの開発スタッフ、日本語ベースの開発が可能(漢字の共有)
日本にとって魅力的なアウトソーシング先
注:図表-筆者作成
3
日本のシステム開発の特徴
■膨大な企業固有のアプリケーション開発
*
■ERP、CRM、SCM関連のパッケージ利用は増加するも
パッケージの活用は全体としては26%以下の状況
※パッケージはほとんどが外国製(ドイツ、アメリカ発)
⇒ 独自業務ノウハウを重視する日本は、
自社ビジネスプロセスの変更より、
パッケージのカスタマイズを好む
出典:IDC Japan
☆市場特性(日本 vs 米国)
ビジネスプロセス
リスクと成果のバランス
アプリケーション
日本
米国
独自性を志向
汎用性を志向
長期リス ク管理中心
短期成果中心
個別開発が多い
PKG利用が多い
特点:
1、手造りがメインなので、技術要員がインフラ。
2、人と人のコミュニケーションが重要
*SCM:Supply Chain Management
市場環境
情報サービス産業の売上高前年同月比
%
6.3
6.3
6
3.9
4.3
4.0
3.4 3.0
2.9
2.12.1
4
2
0.7
-2
-1.9 -1.7
-4
-6
1.40.4
-0.3
-1.0
-0.3 -0.7
-2.2
2.6
前年同月比減
0
3.3
2.0 2.8
0.8
-1.6 -1.5
-1.3
-4.4
-8
-10
-12
H15/1
-7.9
前年同月比増
8
回復基調!
-10.1
4
7
10
H16/1
4
7
10
H17/1
4
7
経済産業省:特定サービス産業動態統計調査 2005年9月9日(確報値)
4
オフショア開発で引起す問題点とその原因(1)
日本企業が感じるオフショア開発の問題点
順位
問題点
1
コミュニケーション
2
仕様伝達・変更
3
海外発注のオーバーヘッド
4
品質
5
開発プロセスの差異
6
発注先の技術力
7
海外発注の仕組み
8
異文化理解
9
発注先の経営安定性
10
発注先のエンジニアの離職率
11
発注先のインフラ
12
機密漏洩
13
日本行政の仕組み
14
その他
出所:オフショアリング完全ガイド、p.43 により.
比率(%)
18%
13%
13%
10%
9%
7%
7%
6%
4%
4%
3%
1%
1%
4%
5
オフショア開発で引起す問題点とその原因(3)
中日オフショア開発の問題を引き起こす原因
• 日本側の原因
– まず、発注元である日本企業は開発プロセス定義
の必要性・重要性に気付いていない、あるいはそ
の認識が不足していることがある。
– 日本の独特の商慣習。例えば、日本企業は契約の
詳細を気にしないで、細かなことは、その時、状
況に合わせて、収めるのが腕の見せ所である。
– 閉鎖的日本型開発。
– 最後は、コミュニケーションのツールが再考され
るべき。
オフショア開発で引起す問題点とその原因(4)
中日オフショア開発の問題を引き起こす原因
• 中国側の原因
– まず、チーム要員の技術力の差が大きい。
– 社員に対する教育が不足。
– 転職と機密漏洩。中国人は会社への帰属意識が極
端に弱い。
– 慣習の違い。発注案件に対して、できるかできな
いかの判断はしない。そのため、結果的にできな
いということが発生させたりする。信頼関係の悪
化を招く。
– 最後に、インフラ・法整備の未完備が指摘できる
だろう。
6
異文化への理解における
経済学的意義
• 文化と制度との補完性(institutional complementarity)
(文化=ハードウェア、制度=OS、お互い依存しながら変化し
ている。)
• オフショア・アウトソ-シングに注目が集まる一方、主に言葉
や習慣の違いから来るコミュニケーション不足などが原因で
発生する納期や品質に関するトラブルも発生する可能性があ
る。
• 同じ文化圏(或いは異文化へ理解できる人たち)での相手は
信頼感を得やすい.そのゆえん不確実性を縮減する.摩擦・
交渉をしないままで取引コストを削減することができる.
• したがって,信頼感・共通価値観の醸成→不確実性を低減→
取引費用を削減.
異文化を巡るオフショア開発の問題点の調整
1、コミュニケーション地理的な距離の問題、仕様理解の問題。
対策:・通信手段の改善Eメール+テレビ会議(+Web)
・発注側・受注側の窓口の強化(日本弊社のスタッフがメイン)
・日本側担当者(中国人SE)を一定期間現地に派遣して仕様説明を行う。
・ 設計工程から中国人SE(中国側のSEも含む)を参画させ仕様を理解させる。
2、開発プロセスの差異
対策:・開発環境に合う仕事の発注(windows系等)
・インターネット上でセキュリティが確保された共同利用環境を設置することで、セキュリティ問題を回避。
3、海外発注の仕組み
・顧客との窓口は全て日本側本社にいるスタッフが担当することによって中国を意識することなく、プロ
ジェクトの進行が可能になる。
4、組織としての対応
・日本に、本社を持ち、リーダークラスには、日中双方の商習慣を理解できて、日本語ができる要
員を多めに獲得。中国に現地法人を置くという組織形態を作る。
5、日本独特の要求・商習慣
・プロジェクトのマネージメントは日本の方式で行い、日本側スタッフが対応する。従って、これまで問
題となっていた習慣の違いによるトラブルを解消する。
7
オフショア・アウトソ-シングに
求められる能力・要件
• 。
• コミュニケーション能力。オフショア・アウトソ-シング業務を円滑に
遂行する上でのコミュニケーションスキルとして、語学能力と人間関
係を良好に保つための連絡・情報交換・会話能力は、必須条件とい
える。
• 異文化適応力・環境変化への順応性の高さ。自国と他国の文化の
相違点や生活習慣、宗教上の禁忌事項など、各々の国の背景を把
握し、想像力と洞察力によって障害を克服するための「心のあり方」、
「考え方」が要求される。
• BC(経営リスクマネジメント)への対応力。海外においては、文化・習慣の
違いから不測の事態が発生することも多い。対応の姿勢についても
国内での予測を超えることもある。こうした中で、適切にリスクに対応
する能力が求められる。
従来からの「コスト削減」タイプ:
1,日本で不足しているITスキル(人材)とは?
1
ITコンサルタント
(一人月当り)
200万円/月
以上
2
システム・エンジニア(SE)
120万円/月
以上
3
Webアプリケーション開発者
100万円/月
以上
100万円/月
以上
4
オープン・システム構築エンジニア
5
Javaプログラマ
100万円/月
以上
6
C++プログラマ
80万円/月
以上
2、中国でのソフトウェア開発コスト
(一人月当り)
1
上海
25万円/月
以上
2
北京
20万円/月
以上
3
南京
15万円/月
以上
何れもプログラマー・レベル
日本との格差は、4倍~5倍
8
オフショア・アウトソ-シングにおける目的調査
本業の充実・強化
新規事情展開
研究開発部門の強化
販売・営業部門の強化
企業ぐるみの事業転換
進出・国際部門の強化
生産財などの輸入拡大
人事処遇制度の改革
人材の育成
財務体質の強化
事業の効率化
事業の合理化
子会社の整理統合
その他
無回答
0
20
40
60
80
目的別グラフ (単位:%)
出典元:アウトソーシング協議会
アウトソーシングの発展段階
顧客の経営改革を実現するための
コンサルティングを前提とした戦略型の
ビジネスプロセスアウトソーシング
お客様のビジネスプロセス(ex.IT関連業務・
人事・総務など)を提供し、業務のコストダウ
ンを実現するアウトソーシング
ベンダーとのJV設立に
よるIT資産・要員の受入
れを行う経営戦略視点
からのアウトソーシング
BTO
システム診断/設計からシステム運用、
さらにアプリケーションの保守まで含め
たトータルアウトソーシング
BPO
インフラ提供、システム運
用、オフショア・アウトソ-
シングなど、業務運用が中
心の従来型のアウトソーシ
ング
戦略OS
フルOS
+AMO
セレクティブOS
1990年代
2002年
2004年
現状
2006年
システム運用からAP運用まで
提供範囲が拡大
9
テレマーケティング
BPOの種類
問い合わせ対応
(ヘルプデスク)
債権・代金回収/
支払い業務
給与、福利厚生
物流、集配業務
購買業務
在庫・倉庫管理
製造委託
Source: Gartner, Note Number ITOUWW-FR-0116, 7 July 2003
Copyright © 2003
オフショア・アウトソ-シングの新潮流とは
~新付加価値創造〔Value-added〕~
• オフショア・アウトソ-シングへの期待は従来の環境変化への対応力と
コスト削減またはコア業務集中に加えて・・・
• 最新のITへの継続的なキャッチアップ
• 新たな企業価値の創出に向けた創造的対話の構造とプロセス(コミュ
ニケーションの強化やグローバル人材の育成、キャリアパス提供)がテ
ーマに!
新潮流
①新
新事
事業
業展
展開
開
①
②コ
コ
ミュ
ュ
ニ
ケー
ーシ
ショ
ョ
②
ミ
ニ
ケ
ンの
の強
強化
化
ン
③研
研究
究部
部門
門・
・
営業
業
③
営
の強化
の
強
化
④グ
グロ
ロー
ーバ
バル
ルの
の人
人
④
材育
育成
成
材
①コア業務へ
の集
集
①
コ
ア
業
務
へ
の
中・
・
ノン
ンコ
コ
ア業
業務
務
中
ノ
ア
の効率化
の
効
率
化
②コ
コ
スト
ト削
削減
減・
・
財
②
ス
財
務体
体質
質強
強化
化
務
従来からの目的
10
在日華人企業によるITビジネスモデル
• 華人企業:中国人が海外で起業したりし、何らかの
形で対中ビジネスに携わっていることが多く、経済
交流に貢献している。
• 華人企業の強み:
– 当然なことだが、中国文化・風習を熟知している。
– それとともに,海外進出経験を持ち、国際的視点や経営
ノウハウなどを持っている。
– 以上2点の強みによって,従来の「コスト削減」ビジネス
モデルに対して競争優位を持ち,差別化戦略を構築す
る.
ケース・スターティ:(株)ビッグハンズ
• 会社プロファイル
– 会社名: 株式会社 ビッグハンズ (在日中国系によって
設立)
– 設立年月日:1998年12月11日
– 資本金: 40,000,000円
– 従業員数: 80名
– 事業内容:ソフトウェア開発、システム開発支援、製品販
売、コンサルティング、貿易関連事業
– 関連会社:北京大手計算機技術有限公司
– 主な取引先:
• 日本電気株式会社
• NRIデータサービス株式会社
NRIデータサービス株式会社
• 住友商事株式会社
• HOYA株式会社
HOYA株式会社 等
出典元:(株)ビッグハンズのホームページhttp://www.bighandz.co.jp/ により.
11
(株)ビッグハンズのアウトソーシングビジネスモデル:事業形態
B
事業展開
技術サポート
SI、販売促進、
現地化サポート
北
京
大
手
計
算
機
技
術
者
有
限
公
司
オンサイト技術者提供
プロジェクト発注
PM派遣
納品、テスト担当者派遣
市場調査依頼
株
式
会
社
ビ
ッ
グ
ハ
ン
ズ
日本顧客パートナー企業
教育センター、開発センター、日本との合弁企業
中
国
市
場
人材選定
要員派遣
プロジェクト
発注
日本市場向けパッケージ
提案
注:E-Solution Service(SI・ソリューション事業ー中国国内)
中国進出の日系企業を中心に、ソリューションの提供を強化
SI・ソリューション事業の売上強化
―
中国におけるISBグループの認知度向上
ISBグループ特定業界向けのソリューションのデファクトスタンダー
ド化推進
A
注:図表ー筆者作成
12
異文化をめぐる企業間調整
•
ビッグハンズは、異文化にある企業間問題を華僑企業が持っている調整能力によって解消できた。
•
ビッグハンズの二つの特点:
1、ビッグハンズのリーダークラスには、日中双方の商習慣を理解できて、日本語ができる要員が多い。
2、日本に、本社を持ち、中国に現地法人を置くという組織形態を持っている。
異文化にある企業間取引が成功したのには、二つの要因がある。
外部要因:
・北京の会社には優秀かつ安価な人的資源がある。東京サイドの指示下で動く
・日本が本社のため、顧客は日本法人との契約になるため中国の法律、商習慣に影響されない。
顧客にとっては、日本企業との取引と同様に行うことにより、取引費用が少なくすむ
・確実な通信手段の確保
・お客様からのサポート
内部要因:
・オンサイトSEによるコミュニケーション問題の解消
・北京における効率的な開発体制
・問題解決のルール化
・成果物管理の徹底
・北京開発環境を全て日本語環境化
開発体制図
<日本 ビッグハンズ>
プロジェクトリーダ
プロジェクサポート
営業サポート:営業部
品質保証:システム開発部
システムエンジニア
・概要設計
・詳細設計
・テスト仕様作成
・日程管理
・要員管理
・工程管理
・品質管理(レビューワ)
・お客様との窓口
BSE
連絡/問合せ
デレビ会議
VCON
北京出張
・概要設計の理解
・詳細設計
・北京ビッグハンズへ説明/指導
・テスト仕様作成
・受入検査
プログラマー
・製造
・単体テスト
納品
・・・・・
<北京 ビッグハンズ>
プロジェクトリーダ
・製造開発系のリーダ
・開発基準管理
・工程管理(プログラマー指導)
プログラマー
・製造
・単体テスト
品質管理担当
・成果物のチェック
・バグ管理
オフショア開発形態に応じて、ビッグハンズ社の開発体制も最初のプロジェクトベースの管理体制から、全社の開発体制を整えつつある(図を参照)
この体制の大きな特徴として①
③
ブリッジSEの役割が開発に専念すること。②
全社による営業、品質管理のプロジェクトサポート体制。
オフショア開発現地にも品質管理担当を設置すること。なお、中日文化の相違、中日企業の段差を吸収し、統一されたコミュニケーション手段を確
立
注: 図表ー筆者作成
13
BSEの機能 ー 異文化の調整
オフショア開発が失敗する原因は、前述のように伝統的な日本的開発アプローチに因るところが小さくな
い。曖昧な仕様、丸投げ体質・通常は、日本企業の「いい加減さ」、異文化の溝を埋めるにブリッジS
Eを使って仕様書の行間を埋めたり、コミュニケーションの円滑化を促進する。 このように、両国のPM
やPLの橋渡しをする役割が、私が考える「ブリッジSE」の定義である。
BSE定義:ITのスキルだけでなく言語や文化など両国間のビジネス習慣を熟知し、間に立って円滑にオフショア業務を進
められるSE。プロジェクトの異文化隙間を埋める調整役
BSE主な機能:具体的に、ブリッジSEというのは、中国現地の開発チームと日本の顧客との
間に挟まれる役割であり、ブリッジ+SEのことです。中国ソフトウェア開発プロジェクトで、日本企業と中
国企業との間に入ってコミュニケーションの橋渡し、契約内容の把握、見積やチームのスケジュール、
要員とリスク及び相互のフィードバッグによる結果などの全体を管理する。(プロゼェクトの勘所の重要
なカギとなっているため、簡単には育成できない。)具体的には、3つの役割があると思います。
1 顧客からの指示、連絡を正しくかつ漏れなく中国に伝達すること(同様に、オフショア側の意見も日本に
うまく伝える)
2 顧客の暗黙のニーズを把握して、臨機応変に改善提案できること
3 日本側のプロジェクトマネージャーを補佐すること
華僑の得意分野です。
BSE形態:(コーディネータ・オンサイト型)プロジェクト・リーダー・クラスのエンジニアがオンサイト型で発注元に滞在し、開
発自体は主に、オフサイトで行う方法。
BSEの形態 ー オンサイト
地方工場の長期
出向作業
日本B.H.C
要員募集、
日本B.H.C
要員派遣、
教育、管理
B.H.C、中国
の要員募集、
教育、管理
特殊スキル要員の
長期確保
優秀なオンサイト
要員の補充
詳細設計、保守
要員の手配
Global Engineering Service(グローバル展開)
注:図表ー筆者作成
14
(株)ビッグハンズ、今後の事業戦略と展開
組織間関係の調整役を目指す
組織間関係の調整役を目指す
中国大学
中国S/H
BH
インド
中国青島大学
会社2
日本
会社1
注:グループ経営
会社2
インド大学
・日本、中国両地域でのホールディング会社設立によるグループ統治の強化
・中国ホールディング会社の株式上場
・グループ内各社重複機能の統治による効率化と収益性向上
・引き続き補完関係にある会社との資本提携の模索
BH今後の展開は自社自体の拡大だけにとどまらず、種々の得意分野をもつ会社、大学と提携に
よりグールの輪を広げ連携することによりお得意様の要望に広く答えられる会社をめざしています。
注:図表ー筆者作成
(株)ビッグハンズ、今後の事業戦略と展開
• 戦略的なコア事業構築
日本向け開発案件のアウトソーシング
• 開発期間の短縮化と低コストでの開発
中国における日系企業向けソリューション事業
強化、物流業界向けソリューション並びに製造
業向けCRM
• 上流工程から下流工程までのOne Stopサービス提供強化
• 中国市場の橋頭堡構築(アライアンスによる時間を買う戦
略)
• 中国市場と日本市場において蓄積した人材、技術、業務知識、ソリューショ
ン、サービスノウハウなどの資産を体系し、市場チャンネル、 ビジネスパー
トナーを通じて、世界へ事業展開。
15
結論と今後の課題
これまでオフショア・アウトソ-シングはコスト削減の観点から進展して
きた.
しかし,グローバル化の進化につれ,現段階の単純なコスト削減の
ビジネスモデルの限界が見られるだろう。その際,国際分業による生
産ネットワークの確立が急務となるだろう。日中両国間の文化や制
度(人間行動の習慣)疲労による取引コストをいかに節約するかはポ
イントになる。
そこで,本研究は顧客と生産性からの視点に加えて,異文化へ理解
との視点から,「企業間の共通の価値観や行動規範」といった非常
に「ソフト」なものを重視すべきと主張してきた.
今後,在日華人企業は日中両国の文化や商慣習を熟知しており,オ
フショア・アウトソ-シングの事業展開にあたって,組織間関係の調整
役を果たすべき,より大きいな貢献を期待できろう.
参考文献
•
朱慧玲 [2003]「日本華僑華僑社会の変遷」
•
Ansoff, H. I. [1965] Corporate Strategy
•
Chandler, A. D. [1962] Strategy and Structure
•
高橋・丹沢・坂野 [2002]「現代経営・入門」
•
Porter, M. E. [1985] Competitive Advantage
•
Moschela, D. [1997] Waves of Power
•
デイビッド・ベサンコ, デイビッド・ドラノブ, マーク・シャンリー[2002] 戦略の経済学
•
ジョー・ティッド, ジョン・ベサント, キース・パビット[2004] イノベーションの経営学
•
夏目啓二[1999] 「アメリカIT多国籍企業の経営戦略」
•
T. Burns and G. M. Stalker, [1965] the Management of Innovation
•
日中関係企業データ(2004-2005年版)
•
「在日中国人大全」-出所:早稲田大学中央図書館
•
中華信商会の会員のデータ
16
参考文献
•
Crainer.S,(1999),”THE 75 GREATEST MANAGEMENT DECISIONS EVER MADE and 21 of the
Worst”,(邦訳:有賀裕子訳,『マネジメントの英断』,東洋経済新報社,2003年,
•
沼上幹,(2004),『組織デザイン』,日本経済新聞社
•
Hagel Ⅲ,John and Marc Singer,"Unbundling the Corporation",Harvard Business Review MarchApril 1999,(邦訳:中島由利訳,「アンバンドリング 大企業が解体されるとき」,ダイヤモンドハーバ
ードビジネスレビュー,2000年,April-May.)
•
Langolois.Richard N and Paul L.Robertson,(1995),"FIRMS,MARKETS AND ECONOMIC
CHANGE Adynamic Theory of Business Institutions",(邦訳:谷口和弘訳.『企業制度の理論 ケイ
パビリティ・取引費用・組織境界』.NTT出版.2004年
•
Milgrom.P and J.Roberts,(1992)"ORGANIZATION and MANAGEMENT"(邦訳:奥野正寛他訳.
『組織の経済学』.NTT出版.1997年
•
Picot Arnord and Dietl .Helme and Franck .Egon ,(1997),"ORGANISATION",(邦訳:丹沢安治,榊
原研互,田川克生,小山明宏,渡辺敏雄,宮城徹共訳『新制度派経済学による組織入門』白桃書
房,1999年)
•
Porter.Michal E,(1980),"COMPETITIVE STRATEGY",(邦訳:土岐坤 他,『競争の戦略』,ダイヤ
モンド社,1982年
•
青木昌彦・安藤晴彦 編,(2002),『モジュール化』,東洋経済新報社
•
国領 二郎,(1995) 『オープン・ネットワーク経営―企業戦略の新潮流 Strategy & Management』,
日本経済新聞社
野中郁次郎,竹内弘高,(1996),著『知識創造企業』.東洋経済新報社
•
•
沼上幹,(2003),『組織戦略の考え方 企業経営の健全性のために』,筑摩書房
•
武石彰 (2003),『分業と競争 競争優位のアウトソーシング・マネジメント』,有斐閣
•
丹沢 安治,(2000),『新制度派経済学による組織研究の基礎 制度の発生とコントロールへのアプ
ローチ』,白桃書房
1.日本企業は発注先の国の文化を理解しようという努力が足
りない.
2.仕様伝達に関しては,日本側の設計がしっかりしていない
という不満がある.そして,日本側は技術的な提案を聞き入れ
てくれないという不満がある.
3.日本の開発スタイルは,徐々に仕様が決まっていく手法で
生産性が低い.これは,商習慣の違いが主な原因である.
17
Author
Document
Category
Uncategorized
Views
208
File Size
497 KB
Tags
1/--pages
Report inappropriate content