講義資料

Local Public Finance.Lec05
Reitaku-University
地方財政学:第 5 回 地方自治体の予算 3:地方経費の性格
清水千弘(Chihiro SHIMIZU)
本日の学習目標
・ 地方経費の性格を理解する
・ 地方経費の構造を理解する
・ 千葉県または柏市の予算について理解する
講義 1.地方経費の性格
(1)地方経費と地方政府の活動
・歳出予算→拘束力を持っている(きわめて重要)
・歳入予算→単なる見積もり
・地方政府の経費は,地方政府がどのような政府活動を行うのかによって決まる
→地方政府:地域社会の公共需要を充足する
→中央政府:国民社会の公共需要を充足する
But:市場が人々の生活に浸透していき,政府活動の領域が家族・地域社会の機能の低下に
よって拡大してくると,地方政府・中央政府の線引きが困難。
(2)地方と中央の事務配分
・中央政府と地方政府の役割を分割する原理
シャウプ勧告
(a) 行政責任明確化の原則
(b) 能率の原則
(c) 地方団体優先の原則
神戸勧告
(a) 中央政府の役割:外交,国土総合開発計画,度量衡などの全角角位置のサービス。
29 種類の業務に限定。
(b) 29 種類の業務以外は地方政府の仕事であり,市町村を優先して配分する。
→これらの勧告は実現しなかった。
今まで,いろいろな答申が出てきているが,
「事務配分の明確化」ではなく,
「中央政
府と地方政府が行政責任を分担し,相互協力関係を形成するということが重視された」
Key Word:シャウプ勧告/戦後,日本の戦災復興期に,コロンビア大学教授
C.S.Shoup 博
士を団長とする使節団が出した勧告である。日本の現在の税制と地方財政制度の骨格を作
った。昭和 24 年 9 月に第一次勧告を出した。
(3)経費負担のインターフュージョン
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日本の事務配分の特徴
・ 中央政府と地方政府が重複して同じ業務を遂行する
・ 中央政府が決定した事務を地方政府が執行する
→中央政府から地方政府への大規模な財源の移転
(現在,三位一体改革として改革が進められようとしている)
中央政府が地方政府の経費の一部,または全部の負担をする経費
(a) 地方自治体が法令に基づいて実施しなければならない事務で,国と地方自治体が相互に
利害関係があり,国が進んで負担する必要がある経費/保護費,保健所費,老人保険費,
児童手当,農業委員会費
(b) 国民経済に適合するように総合的な計画に基づいて実施しなければならない法令で定
める道路事業,林道事業,都市計画事業などの公共事業
(c) 法令で定める災害にかかわる事務で,地方税や地方交付税では財源を調達することが難
しい災害復旧事業
・ 中央政府の費用負担は,全部というよりも一部の場合が多い。しかし,地方政府の経
済力が弱い場合には,負担が出来ない。→地方交付税による財源調整
地方政府は,中央政府と経費負担をめぐっては,相互浸透(interfusion)の関係を結びながら,
きわめて多くの事業を執行している。
講義 2.地方経費の構造
(1)目的別経費構造
「どのような政府活動のために支出されるのかを示す」
(2)性質別経費構造
「どのような財やサービスを市場から購入するのかを示す」
・ 「普通建設事業費」+「災害復旧事業費」+「失業対策事業費」=「投資的経費」
・ 「人件費」+「扶助費」+「交際費」=「義務的経費」
・ 「義務的経費」+「物件費」+「維持補修費」+「補助費等」=「経常的経費」
講義 3.千葉県・柏市の経費構造を理解する
→柏市・千葉県のそれぞれの経費構造を見てみよう!
*千葉県(http://www.pref.chiba.jp/syozoku/a_zaisei/yosan/)
*柏
市(http://www.city.kashiwa.chiba.jp/datakw/datakw.htm#zaisei)
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目的別歳出
特徴 1.都道府県の教育費のウェイトが高い
・ 義務教育の教職員の給料を負担している
・ 公立高等学校の 9 割までが都道府県立であること
→義務教育については,一定レベルを維持するために,大正 7 年(1918 年)から国庫負担が実
施されている。
*小中学校の教職員の給与の半額と,義務教育教科用図書の全額が国庫負担
*都道府県:義務教育国庫負担金の交付を受け,承知夕学校教職員の給与の半額を負担
*市町村は,学校施設の建設
→現在,改革の対象
特徴 2.老人福祉費の上昇
性質別歳出
特徴 1.人件費が市よりも県の方が高い
・ 小中学校の給与の半額と高等学校の教職員の給与。警察職員の給与。
公債費を取り巻く問題
・ 起債制限の対象としていく
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