第3回 需要曲線 ~消費者の行動と需要曲線~ 今日おぼえること 1. 需要曲線が右下がりである理由 – 効用 – 個人の需要曲線と、市場全体の需要曲線 2. 余剰 ~消費者の利益~ 3. 需要の価格弾力性 ~需要曲線の傾き~ 2 需要のおさらい • 需要(Demand) – 「買い手が買いたいと思い、かつ、買うことの出来る 財の量」 • 需要曲線(Demand Curve) – 「価格と需要の関係を図で示したもの」 – 1杯1000円のコーヒーを飲みたいと思うだろうか? 3 1. 需要曲線が右下がりである理由 • 効用(Utility) – 需要が存在するのは、消費者がその商品を消費 することで幸福感を感じるから。 – 「消費活動から生まれる喜びを表した指標」を、効 用と呼ぶ。 – 経済学では、効用を金銭単位で表す。 • コーヒーを飲んで、200円分の効用を得た。 • それは、その人がそのコーヒーについて、200円分の価 値を見出し、200円分の評価をしたことになる。 4 1. 需要曲線が右下がりである理由 • 効用のルール – ① 消費をすればするほど、効用は高まる。 • 消費がその人の幸福を失わせることはない。 – ② 消費する財を追加するごとに、追加した財から得 られる効用は、小さいものになって行く(限界効用逓 減の法則)。 • 1杯目のコーヒーを飲むと、おいしい → 200円の評価 • 2杯目のコーヒーを飲む。ちょっと飽きた → 180円の評価 • 3杯目のコーヒーを飲む。飽きている → 170円の評価 評価額は小さくなっても0以下にはならない。何故か? 5 1. 需要曲線が右下がりである理由 • 需要と効用(おまんじゅう) 評価額 • おまんじゅうが1個増えるごと に追加される評価額は、徐々に 低くなっていく(棒グラフ1本ごと の変化)。 • おまんじゅう全体の評価額は 消費すると増えていく( の面 積) • 財を1単位追加した時に追加さ れる効用(評価額)を限界効用と いう。 1000 800 600 400 200 100 個数 1 2 3 4 5 6 6 1. 需要曲線が右下がりである理由 • 需要と効用(おまんじゅう) 評価額 価格 1000 • もしも、おまんじゅうの価格が 150円だったら、彼はおまんじゅ うを5個消費する。 800 600 400 150円 200 100 個数 1 2 3 4 5 6 7 1. 需要曲線が右下がりである理由 • 需要と効用(おまんじゅう) 評価額 価格 1000 • もしも、おまんじゅうの価格が 300円だったら、彼はおまんじゅ うを4個消費する。 800 600 300円 400 200 100 個数 1 2 3 4 5 6 8 1. 需要曲線が右下がりである理由 • 需要と効用(おまんじゅう) 評価額 価格 1000 • もしも、おまんじゅうの価格が 500円だったら、彼はおまんじゅ うを3個消費する。 800 500円 600 400 200 100 個数 1 2 3 4 5 6 9 1. 需要曲線が右下がりである理由 • 需要と効用(おまんじゅう) 評価額 価格 1000 • もしも、おまんじゅうの価格が 700円だったら、彼はおまんじゅ うを4個消費する。 700円 800 600 400 200 100 個数 1 2 3 4 5 6 10 1. 需要曲線が右下がりである理由 • 需要と効用(おまんじゅう) 評価額 価格 1000 • 価格が上がれば上がるほど、 おまんじゅうを消費する個数は 少なくなっていく。 900円 800 600 • 価格↑ ⇒ 消費↓ 価格↓ ⇒ 消費↑ • 需要曲線 400 200 100 個数 1 2 3 4 5 6 11 1. 需要曲線が右下がりである理由 • 1人1人の需要曲線と市場全体の需要曲線 価格 P1 P2 消費量 XA1 XA2 X1B X2B X1A+X1B X2A+X2B 12 2. 余剰 • 4個のまんじゅうの価値は? 評価額 価格 1000 – まんじゅう4個の評価額 1000+800+600+400=2800円 – まんじゅう4個の支払額 300×4=1200円 800 600 300円 400 200 100 個数 1 2 3 4 5 6 13 2. 余剰 • 4個のまんじゅうの価値は? – 評価額から支払額を引く 評価額 価格 1000 2800円-1200円=1600円 消費者は、本来支払ってもいい額(評価額)よりも低い 金額(支払額)でまんじゅうを消費できたので、その分を 得したことになる。 800 – 消費者余剰(Consumer Surplus) 「消費者がその財を購入したことで、どれだけ得を したと感じているか金銭価値であらわしたもの」 600 400 200 100 個数 1 2 3 4 5 6 14 2. 余剰 • 1人1人の消費者余剰と市場全体の消費者余剰 価格 P1 P2 消費量 XA1 XA2 X1B X2B X1A+X1B X2A+X2B 15 3. 需要の価格弾力性 • 需要の価格弾力性(Price Elasticity of Demand) – 「価格の変化に対して、需要がどのように反応するか を、変化率によってあらわしたもの」 – 変化率を使うのは、測定する単位を統一するため • おにぎりの価格が100円上がったときのおにぎりの需要の 低下は、個数。 • ガソリンの価格が100円上がったときのおにぎりの需要の低 下は、リットル。 – 変化率の定義(P1からP2に変化したときの変化率) P2 P1 P1 16 3. 需要の価格弾力性 • 需要の価格弾力性 価格 ① 価格が(P2-P1)/P1低下すると、 ② 需要量が(X2-X1)/X1だけ増える。 ③ P2-P1=ΔP, P1=P, X2-X1=ΔX, X1=Xと すると、需要の価格弾力性ηは、 ① ② 需要量 X X P X P P X P 17 3. 需要の価格弾力性 • 需要の価格弾力性 が大きい(弾力的)と は? 価格 – 価格が下がった時に、 需要が大きく増える (=価格が上がった 時に、需要が大きく 減る) – 奢侈品にその傾向が 強い。 需要量 弾力的な需要曲線 18 3. 需要の価格弾力性 • 需要の価格弾力性 が小さい(非弾力的) とは? – 価格が下がった時に、 需要が少ししか増え ない。 (=価格が上がった 時に、需要が少しし か減らない) – 必需品にその傾向が 強い。 価格 需要量 非弾力的な需要曲線 19 3. 需要の価格弾力性 • 支出の計算 – 価格×量=支出額 P×X=支出額 – グラフで見ると、 の面積が支出額に なっている。 価格 P – 支出額=収入額 • 供給側から見れば、 その財への支出額は 収入額となる。 需要量 X 20 練習問題 問1 ある消費者の需要曲線がX=100-4Pであ る。Xは需要量、Pは価格である。この時、価格 が10であった時、次の値が幾らになるか? ① 需要量 ② 支出額 ③ 余剰 21
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