国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 5.1 関係法令及び制度の概要 【関係法令】 ・ 労働法 No.06/NA 2006 年 12 月 27 日付 [第 3 項:海外派遣労働の原則] 就労のために国外に派遣される労働者は、労働管理機関より許可を取得する ことが必要である。 ・ ラオス労働者の海外派遣に関する法令 No.68/PM 2002 年 [第 1 項] この法令は雇用機会の促進、労働者の技能向上、新しい知識、技術、技能開 発に役立つ経験を得るために労働者派遣サービス機関の管理制度及び機能 を規定している。 [第 2 項] ラオス政府はこの法令に基づき、ラオスの労働者を国外に派遣することが認 められた個人及び企業の法的利益を保護し、派遣された労働者を保護する。 [第 3 項:海外で就業可能な労働者の要件] ・ラオス市民であること。 ・18 歳以上であること。 ・少なくとも初等教育修了者であること。 ・健康であること。 ・善良な市民であること。 [第 4 項:海外就業労働者の権利] ・雇用契約で決められた賃金及びその他手当を受け取る権利。 ・雇用契約及び法律に規定された自らの利益を享受する権利。 ・雇用サービス会社及び関係機関との契約締結の権利。 [第 5 項:海外就業者の機能] ・就労国での規則に従うこと。 ・雇用者と労働者間で調印された雇用契約に従うこと。 ・ラオス及び就労国の制度、法律、習慣を尊重すること。 ・ 禁止される職業及び派遣国 No.3824/MoLSW, 2002 年 12 月 19 日付 就業の安全、保健、労働者の利益を保護するため禁止条項を規定している。 [第 2 項:禁止される職業] (a) 技能及び技術知識を拡大させる目標に合致しない職業及び労働 ・レストラン、浴場、道路、駐車場、デパート、病院、ホテルの清掃等 の家内労働 ・トラック、船、移動店舗等からの荷役等の重量物運搬及び肉体労働 ・運河、排水溝作業 1 国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 (b) 伝統、文化、法律に反する職業 ・売春 ・売春斡旋 ・テロ、破壊工作、国家機密の漏えい、武器の密売に関連する職業 ・売春マッサージ及び性的サービス ・麻薬取扱い ・ポルノ製品のサービス (c) 危険作業 ・化学品、放射線、爆薬等にさらされる労働(就業が必要な場合政府許 可取得) ・標準を超える騒音をもたらす機械作業 ・漁業の為小型ボートの使用 ・疾病を生じる可能性のある労働(就業が必要な場合政府許可取得) ・トラ、ライオン等野生動物の捕獲作業 (d) 禁止地域 ・戦争の可能性が宣言された地域若しくは安全が確保できない国。 ・戦争若しくは化学エネルギー事故により脅威にさらされる地域。 ・雇用に関する二国間協定若しくは派遣国との訓練協力が未締結な国。 ・ ビジネスに関する法 No.005/NA 1994 年 7 月 18 日付 [第 20 項] ラオス政府は諸外国と多国間ベース、労働者派遣国、受入国間の主権の尊重、 公平、相互利益を基に、種々の方法で諸外国と経済協力を行う開放政策を実 施している。 ・ 市民の手続きに関する法令 No.02/NA 2008 年 5 月 17 日付 個人、組織、企業は、他人による侵害、紛争により自らの権利及び利益を保護 する法律に基づいて裁判所に訴えることができる権利を有している。 派遣された労働者が雇用者、労働者間の紛争、対立によらない原因で死亡、若 しくは行方不明となり、その原因を両者が特定できない場合は裁判所に起訴す ることができる。 ・ 家族法 No.07/90/SPA 1990 年 11 月 29 日付 [第 33 項:親は子供の権利、利益を保護する義務を有する] 親は子供たちの権利、利益を守る平等な権利及び義務を有する。親は児童の 法的代理人であり、裁判所、就業場所、学校等における児童の利益を守る義 務がある。親の同意なしで児童が契約を行った場合、親は裁判所に対し無効 な契約を破棄するよう求めることができる。さらに親は、彼らの子供が訴訟 において被告人となった場合、代表となり、あらゆる社会的責任を負う。当 2 国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 条項は、国内外を問わず児童が就労のために雇用契約を締結する以前にその 児童が雇用及び就労可能であることを精査し、それを証明する家庭の両親の 承認した契約に調印しなければならない。 ・ 女性の保護及び人材開発に関する法令 No.08/NA 2004 年 10 月 22 日付 ・ 契約に関する法令 No.02/90/NA 1990 年 7 月 10 日付 [第 1 項:契約の目的及び機能] 契約は企業間、企業と個人、個人間で発生、変更、終了される権利及び義務 を取り決めたものである。 ・ 児童の権利及び利益保護に関する法令 No.05/NA 2006 年 12 月 27 日付 ラオス政府は 2005 年に“児童”とは 18 歳以下を意味し、14~18 歳の児童は 1 日当たり 8 時間以下の就労を許可されることを規定した「ILO 第 182 号条約」 を批准しており、労働条件及び児童の雇用禁止について労働法 No.02/NA 2006 年 12 月 27 日付に規定している。 したがって、労働斡旋会社は児童の海外就労申請を考慮する際、児童の年齢等 の条件を精査し、児童の雇用は申請書を MoLSW(Ministry of Labour and Social Welfare:労働社会福祉省)、技能開発及び雇用局 (Department of Skills Development and Employment) に送付し、検討する。さもなければ「判決強 制執行に関する法令 No.03/NA 2005 年 5 月 15 日付」が適用される。 [第 87 項:児童労働の使用] 危険な部門に児童労働を使用し、当局の警告がなされたにも関わらず違反を 繰り返す者は、3~6 カ月の投獄及び 100 万~200 万キープ* 1 の罰金が科せ られる。また、児童労働者を使用し、児童に身体障害をもたらすか又は死亡 した場合、使用者に対し 3~7 年間の投獄及び 300 万~700 万キープの罰金 が科せられる。 [第 88 項:児童の養育放棄] 故意に児童の養育を放棄した者は、6 カ月~2 年間の投獄及び 60 万~200 万 キープの罰金が科せられる。また、放棄の結果、児童に身体障害をもたらす か又は死亡した場合、放棄した者に対し 3~7 年間の投獄及び 300 万~700 万キープの罰金が科せられる。 [第 89 項:児童との性的関係] 金銭の支払いあるいは利益供与を前提で 15~18 歳の少年、少女と性的関係 をもったものは、3 カ月~1 年間の投獄、自由の剥奪なしの再教育及び 100 ~200 万キープの罰金が科せられる。12~15 歳の少年、少女と金銭の支払い 若しくは利益供与を前提に性的関係をもった者は、1~5 年間の投獄及び 200 万~500 万キープの罰金が科せられる。12 歳以下の少年、少女と性的関係を *1 1LAK(ラオス・キープ)=0.01210 円(2008 年 9 月 10 日現在) 3 国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 もったものは、強姦を行ったものと見なされ 7~15 年間の投獄及び 700~ 1,500 万キープの罰金が科せられる。18 歳以下の子供に売春婦となることを 要求し、金銭を受け取り、斡旋若しくは提供を行うものは違反者と見なされ、 刑法第 134 項の規定により罰せられる。 [第 90 項:児童の売買] 児童の売買を行った者は、5~15 年間の投獄、1,000 万~1 億キープの罰金及 び刑法第 134 項に従い、資産が没収される。 [第 91 項:民事措置] 第 85~90 項の規定の罰金に加え違反者は、治療、モラル障害、疾病休業、 旅行代金、食糧、住居等の損失の賠償金を支払わなければならない。 【制度概要】 [労働移民の背景] ラオス人労働者の移住先は主として国境を接するタイであるが、不法なルートで行 われることが大半である。こうした移動は、伝統的、文化的な慣習として長い間行 われてきた。タイ向けの出稼ぎ労働者数は家事使用人、建設部門等あらゆる部門で の雇用機会を求め、増大してきた。タイに向かうラオス人労働者は、不法なルート で許可証を持たないものが大半を占めると報告されている。これは、就職斡旋料、 許可取得にかかる費用が約 18,000 バーツ* 2 で、職を求める労働者にとって高すぎる ことから起因している。さらに、許可手続きには通常 4~5 カ月かかる。このような 結果、中間業者、ブローカーと称される違法なチャンネルを通じて行う方法が好ま れ、不法な出稼ぎ労働者が合法な出稼ぎ労働者よりも高い収入を得、このような出 稼ぎ労働者は搾取され、人身売買の危険性にさらされる。 労働・社会福祉地域局が 924 の村(人口 603,880 人、104,857 世帯)を対象に行っ た 2006 年の調査によると、37,244 人がタイで不法に働いており、これは調査人口 の 6%を占め、このうち 48%が女性であった。 東南アジア全域にわたる経済発展により、タイではタイ人労働者が海外で就労する 機会が増大し、この結果、タイでは労働力不足を埋めるためにラオスの若い労働者 がタイ及び近隣諸国で就労する機会が増大している。昨今タイでは漁業、食品加工、 農業、家事使用人部門で不足する労働力を埋めるため出稼ぎ労働者に対する要求が 増大しており、特にラオスは文化、伝統、言葉が似通っており、800km の長い国境 に接しているため、出稼ぎ労働者に対する必要性が高い。 *出典:Socio- Economic Development Plan,2006-2010 (1) タイへの労働派遣 上述のような労働事情の背景、雇用増大の必要性及び主要目的地としてタイへ 2 1 タイバーツ=3.1037 円(2008 年 9 月 10 日現在) 4 国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 の不法出稼ぎ労働者の移動を軽減するため、ラオス人労働力の海外派遣につい て MoLSW は 2002 年に政令 No.68/PM で、タイに派遣するための LRA(Lab our Recruitment Agencies:雇用斡旋会社)を 9 社設立し、同年タイと雇用 協力に関する覚書に調印した。タイへの労働者の派遣手続きは図 5-1 のとおり である。この手続き完了には約 110 日(3~4 カ月)を要する。 タイの雇用者 がタイの労働 省に雇用希望 書を提案する。 雇用希望書を MoLSW が タ タイ政府がタ イ側の雇用者 イ大使館を通 が連絡をした じ、ラオス政府 LRA に通知す に提出する。 る。 LRA が就職斡 旋を開始 入国のための パスポート、ビ タイの雇用者と 合格者を選出 合格者が雇用契 合格者の健康 ザ書類を外務 約を締結し、合 診断を LRA が 省に申請。タイ 格者と LRA が協 支援する。 大使館が労働 許可証をラオ 定を締結する。 スに申請。 申請書類の承認後、 MoLSW がタイ大使館経 派遣労働者がタイ 派遣労働者リストの 由でタイ政府に許可取得 に入国後、タイの雇 承認のために MoLS のために派遣労働者のリ 用者が健康診断を W に提出される。 ストを提出する。 支援する。 図 5-1 タイへの労働者派遣手続き 表 5-1 タイへの労働者派遣の統計(単位:タイバーツ) 項 目 金額 1.ラオス(送出)側発生費用 570 健康診断 1,330 パスポート、ビザの許可 タイへの入国ビザ -シングルビザ 2,000 -マルチビザ 5,000 5 国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 項 目 金額 労働許可書 74 出発前研修 500 1,500 タイへの渡航費用 合 計 5,974 -シングルビザ +就職斡旋費用* 3 8,974 -マルチビザ +就職斡旋費用*3 2.タイ(受入)側発生費用 600 健康診断 社会保障(2 年間のラオス人労働者の月給の 5%)* 4 4,493 労働許可証 3,800 合計 8,893 総合計 14,867 -シングルビザ +就職斡旋費用*3 17,867 -マルチビザ +就職斡旋費用*3 *出典:MoLSW, Skills Development & Employment Asian Research Center Migration (2) 日本への労働派遣(日本の特定の職場でのトレーニングのための派遣) 日本の法律に基づき、農業、電気、製造業部門で 2 年間日本の職場においてラ オス人訓練生の受入、派遣に関する雇用協力に関する覚書が提携されている。 訓練候補生の派遣、受入に関する手続きは図 5-2 のとおりである。 日本に研修のために派遣されるメリットのひとつは、研修終了後、帰国した研 修受講者は研修で得た知識、技能を通じ自己のキャリアの積み上げが可能とな るだけでなく、ラオス社会に広く広めることができる点である。さらに MoLSW MoLSW は、労働斡旋代理店が海外派遣労働者が受け取る予定の給与の 5%以下の海外雇用サービス料 を徴収することができることを定める。この料金は労働斡旋代理店が独自で決めるため現時点では確定 数字ではない。 *4 社会保障費はラオス労働者の福祉、医療等に使用され、就業中の労働者が事故等に合わない場合は管理 資金として積み立て、使用される。 *3 6 国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 は、研修契約に基づきモニタリング料と呼ばれる費用を毎月 5,000 円、年間で 60,000 円受取る。この費用は研修生の実績と研修態度を監視し、日本側の雇用 者代表が二国間協力の向上に取り組むためにラオスを訪問する際の運営費、日 本で研修中の研修生の家族への訪問、新しい訓練希望者とのインタビューの運 営費、研修生が訓練契約、日本の制度等を守らなかった場合の日本側雇用者に 対する補償に利用される。 例えば、ある研修生が健康上訓練を達成できない場合、研修をさぼる場合、ま た、研修場所から姿を消す場合、両国間で事実関係を調査し、MoLSW は改善 策を検討し、失敗、不業績の解決策及び対応策を検討する。 日本の雇用者が指定された職種ごとに必要な研修生数を MoLSW 宛に手紙を提出する。 MoLSW が研修生を募集する。 MoLSW が申請書、健康診断証明書、無犯罪記録書により研修生を選別し、許可する。 許可を受けた申請者は、MoLSW と日本の受け入れ機関の間で合意された訓練契約書に 記載された条件を守ることを保証する資産証明書注 1 を保証として提出する。 研修生として日本に入国する資格を得るため日本政府の入国管理事務所に許可された研 修予定者の名前を送付する。 日本の受入機関は研修の準備が整った時点で MoLSW に対し、派遣される研修予定者に パスポートを発行し、日本へ入国のため在ラオス日本大使館にビザを申請するよう要請 する。 パスポート及びビザの発行後ラオスから日本への片道航空券が発券され、研修予定者は 出発のため待機する。 研修生出発 注 1:資産証明書は研修契約書の条件を守らない違反者の担保として使用され、違反者が日本の雇用者が 支払った研修前払い金を補てんできない場合、起訴するために MoLSW 又は裁判所で保管される。 資産は契約書に記載された民事法、あるいは雇用契約書に記載された法律に基づき処分される。 図 5-2 日本への労働者派遣手続き 7 国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 表 5-2 日本への派遣準備費用(単位:キープ) 項目 金額 2,000 申請書 パスポート取得費 172,000 日本への入国ビザの取得 300,000 出発前研修注 2 ラオス研修者の事実関係と日本の雇用者により異なる注 3 日本への渡航費用(片道) 旅行代理店により異なる 注 2:日本語、文化、法律、日常生活等の基本的知識。 注 3:訓練が必要とされ、訓練を行う費用は日本側雇用者の負担となる。 (3) 海外での雇用に関する情報源と雇用の相談 ・MoLSW ・労働・社会福祉省地域局 ・政府により許可されライセンスを持つ LSA9 社及びその支店 (4) 必要書類 ・2 通の身分証明書 ・2 通の家族証明書 ・パスポート用の写真 12 枚 ・資産証明書(日本の場合のみ) (5) 申請条件 ・ラオス市民であること。 ・18 歳以上であること。 ・義務教育修了者であること。 ・健康であること。 ・犯罪記録のない善良な市民であること。 (6) 出発前研修 タイへの労働派遣の場合、MoLSW は労働者がタイに関する知識の必要度に応 じ 1~7 日間の出発前オリエンテーションを実施する。訓練コースは MoLSW 技能開発・雇用庁の管轄下にある「ラオス・韓国職業訓練センター」が提供す る。オリエンテーションでは雇用契約の規則と規定、文化、すべきこと、して はならないことを含めた伝統、法律、禁止事項等について基礎的知識を教える。 「トラベル・スマート」 、「ワーク・スマート」等のガイドブックは、出稼ぎ労 働者に適切な情報を与える訓練用教材である。訓練費用は労働斡旋企業が負担 し、オリエンテーションの内容、期間により異なるが、トレーニング費用の一 部を企業負担に義務付けるべきであるか否かとの MoLSW の提案があり、適切 8 国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 な費用について明確化、正当化できていないと報告されている。モニター調査 では雇用者のサービス料から差し引かれていると報告されている。 参考 www.ilo.org/ilo-ipec-ticw/lao 5.2 送り出しの所轄機関 MoLSW、外務省、公安省がラオスの労働者の海外への派遣事項の管轄組織である。 ・ MoLSW(タイ及び日本向け) 2002 年に締結された二国間協定の内容に基づき、雇用促進庁、技能開発・雇用 局が政府を代表してタイの労働省と雇用について協力と連絡業務を実施して いる。この二国間協定は、ラオス人労働者のタイへの派遣を通じ、両国が相互 に利益を得ることを目的としており、この協定の実施により、タイの外国人労 働者管理局に登録されている不法労働者がラオス国民であるかを検証する手 段も備えている。検証はタイでラオス当局(MoLSW、外務省、公安省)によ り行われ、法律的にラオス国民であることが認められれば 1 年間有効の暫定身 分証明カード(タイに滞在許可)、暫定パスポートが与えられる。この期間中 にラオスに帰国し、永久パスポート及びタイに残りの滞在期間を延長するため の労働許可証の手続きをしなければならない。彼らは正式にタイに入国し、残 りの 2 年間の滞在の身分証明書を申請することができる。各自、3 年間中 2 年 間の就労後、帰国者は再延長、ほかの就職のためタイへの再入国は許可されな い。タイで働きたいほかの労働者にその機会を与え、帰国者はタイで得た経験、 技能をラオスでほかの人々に与える。 ・ 外務省及び公安省 両省はそれぞれ領事庁、移民局があり、ブラックリストに入っておらずラオス 領内からの出国で、民事及び刑事訴訟中でない就労希望者のパスポートを改定 する役割及び責任を負っており、これらに該当者はパスポートを入手でき、ラ オス領事庁、移民局はタイにおけるラオス人の市民検証手続きに参加する権限 を有している。海外への労働者派遣を統括するこれらの省に加え、計画・投資 省、商工業省、財務省が現在 9 社の LRA 及びそのビジネス活動を監督してい る。 5.3 送出労働力の属性 5.3.1 受入国 (1) タイ 9 国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 ラオスの労働者はタイでは特に家事使用人として需要が高く、これは文化、 言葉が似通っていることによる。東南アジア全般にわたり経済成長が拡大 しており、若いラオス人が近隣諸国で働く機会が増大している。近年タイ は安定的な経済成長が持続しており、漁業、食品加工、農業、家庭使用人 等国内の種々の産業分野における労働力の不足を埋めるため近隣諸国から の出稼ぎ労働者が必要となっている。2006 年、二国間協定で約 4 万人のラ オス人労働者が必要とされたが、複雑な手続きと高い費用のため公式なル ートではわずか 4,000 人の労働者がタイで雇用を見つけたのみである。 (2) 日本 労働規定と制度を順守することについて、ラオス人労働者の勤務態度が良 く、正直であることから日本では他国の労働者に比べ雇用の要求が高く、 ラオスは経済面で農業の占める位置が高く、農業技術力を持ったラオス人 が日本で訓練生として働く能力をもっている。日本との訓練協力について は MoLSW が岐阜服装ネットワーク共同組合、熊谷自動車整備共同組合、 三河知多コンクリート共同組合等と直接協定を締結している。 5.3.2 職種 (1) タイ ・水産物加工 ・衣料品 ・ビニール袋製造 ・靴仕立て ・漁業 ・ゴムの栽培 ・家具製造 ・建設 ・家事従事 (2) 日本 ・衣料品 ・建設 ・電気作業 ・農業 5.3.3 年齢 タイで働くラオス労働者の年齢は 18~35 歳で、日本では 18~30 歳である。 10 国名:ラオス (調査大項目 5:労働力の国外送出について) 作成年月日:2008 年 9 月 10 日 5.3.4 技能水準 現在までのところ就業地において評価、認証、証明制度がないため両国における 労働者、研修生の評価を行うことは困難である。また、就業希望者、研修生の多 くは手作業労働であり、ラオスにも評価、認定等のシステムが備わっておらず、 技能証明は職業研修センター等で実施されている。労働者、研修生の適正は、書 類及び LRA、日本の雇用者代表の独自の判断による。 5.4 送出労働力の技能水準の評価制度 就業希望者の経歴を基に書類審査、面接により評価が行われている。労働者、訓練 生は担当する業務を行うために短期間のオリエンテーションに参加することが求め られる場合もある。 5.5 労働力送出・受入に関する二国間・多国間協定 5.3.1 を参照 5.6 送出労働力の技能水準 二国間・多国間協定 調査中 【参考文献】 1. Asian Research Center Migration 2. MoLSW, Skills Development & Employment 3. Socio- Economic Development Plan,2006-2010 11
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