ASEAN の素材発掘プロジェクト 「ラオス サワンナケートを訪ねて」

ASEAN の素材発掘プロジェクト
「ラオス
サワンナケートを訪ねて」
2014年7月30日(水)から8月8日(金)まで、カンボジアとラオスに服飾素材を求めて
出張しました。これは、本年11月2日から東京の文化服装学院で開催される文化祭ファッショ
ンショーで披露されるドレス用布地を調達するためです。
ラオスを訪問するのは7年振りで、記憶に残っていた様子とあまりにも違い驚きました。
当時はインフラが未整備で、ビエンチャン市内でも信号機が1台あるだけ。車はまばら、街行く
人々はゆったりと思い思いに其々の時間を楽しんでいるようでした。現在はというと、日本車、
韓国車、欧米車、さらにバス、トラック、コンテナ車が街中を走り回っている。また、ツーリス
ト向けのレストランやカフェ、クラブが道路沿いに並びどこも活気に満ちています。こうした背
景には、開発途上国のラオスが大きな発展を遂げ、年率7~8%に及ぶ経済成長を実現してきた
ことと関係しています。今回は首都だけでなく地方都市サワンナケートに行くことになりました。
サワンナケート概要
サワンナケート
人人口: 約91万人 (ラオス第 3 の都会)
面面積: 2 万 1774k ㎡ (滋賀、京都、大阪、奈良、
兵庫の 5 県とほぼ同じ)
ア位置: ラオス中南部に位置し、東西回廊が通過
す
する運輸の要路。
ビエンチャンより 700km 離れている。
サワンナケートはその位置からして、ベトナム、ラオス、タイを結ぶ中継ハブ都市として重要な
役割を担っています。名前の由来は、農業に適した肥沃な土地という意味だそうです。
ビエンチャンから車で移動すること6時間、やっと目的地に到着。一般道を100km でドライ
ブするのはかなりスリリングな体験でした。途中、休憩をとったお店では味付け卵が串にさされ
て販売されており、日本とは違いコショー味。歯ごたえのある卵でした。
サワンナケートにあるラハーナムトン村では、自然染色を基本とした伝統的な技法でコットンや
シルクの織物が作られています。この村にたどり着くまでが一苦労で、道は舗装されておらずし
かも雨の降った後でぬかるみがあり、でこぼこだらけでした。しかし、迎えてくれた村人達は皆
さん親切で、遠く日本から来た私達を歓迎してくれました。この村では、女性達が綿花を栽培し、
植物を植え、そこから染料を採り、手染めした糸を紡ぎ手機で織っています。製作の工程を聞き
終えた後、完成した布地を直に手にして質感や手触りを確かめることができました。
織物とは別に、ここには恐竜博物館があり、サワンナケートで採取された恐竜の化石、足跡、ま
た哺乳類の化石や地上に落下した隕石のかけらなどが展示されていました。
今回、サワンナケートで宿泊したホテルはメコン河のほとりにあり、テラスから岸の反対側のタ
イがよく見えます。四方を海に囲まれた日本に住んでいると、河の反対側が他の国という感覚が
いまひとつ実感できません。メコン河が日本国内の県境にある河のように思えますが、ラオスに
とっては生活を支える要となっているようです。サワンナケートもこの河を通してタイとの交易
が盛んで、さらにはタイのムックダーハーンに至る第2友好橋の開通により入国者数は増加を続
けているようです。
しかし街を見る限り、ゆったりとした時間の流れが感じられ、自然と調和した生活がいたるとこ
ろで見られました。都市部と地方との地域間の経済格差は実際ラオスが直面している問題ですが、
地方にしかない豊かな自然や穏やかな時間、温かい村人のこころは発展しても残っていてほしい
と願います。
(K.H.)