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23.FMI(Fullbore Formation MicroImager)検層を用いた 地質構成および

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平成15年度日本応用地質学会研究発表会,2003.10
23.FMI(Fullbore Formation MicroImager)検層を用いた
地質構成および塩淡境界面の調査
Investigation of Saltwater-Freshwater Interface and the Geologic Structures using the FMI
○ 佐々木勝司(サンコーコンサルタント㈱)
丸井敦尚(産業技術総合研究所)
木山保(三井住友建設㈱)
新沼 岩保・吉岡正光・松尾秀人(サンコーコンサルタント㈱)
Katsuji SASAKI,Atsunao MARUI,Tamotsu KIYAMA,Iwao NIINUMA,Masamitsu YOSHIOKA,Hideto MATSUO
図を図―1に示す。
1.はじめに
地盤調査では,岩相,挟在薄層,地質境界面等の地
調査地周辺の一般的な
質構成やフラクチャ面構造を的確に把握することが重
地質構成 2) は,上位より完
要であり,一般には採取したボーリングコア観察によ
新世の砂丘砂・砂堤堆積物
りこれらの情報を得ている。しかし,ボーリングコア
および前∼中期更新世の
は掘削時の工法による擾乱,コア取り扱い時の人為的
上総層群国本層と言われ
損傷,応力解放による新規フラクチャ面形成や乾湿繰
ている。一般に砂丘砂は古
り返しによるコア採取後の経時変化もあり,地下深部
期,中期および新期に区分
での地質情報を原位置で観察することが重要である。
され,古期および中期の砂
そこで地質情報を原位置で観察するために,ボーリン
丘砂の表層には 0.5∼1mの黒色腐食層が通常形成され
グ孔壁の観察が行われている。観察手法は,a)可視光
るが,本調査では確認されないので調査地の砂丘砂は
線によるボアホールスキャナー,b)超音波によるボア
新期相当と考えられる。砂堤堆積物は浅海性で斜交葉
ホールテレビューアおよび c)比抵抗を用いたFMI
理のある均質な中∼細粒砂で構成され,この砂層が 30
(Fullbore Formation MicroImager)検層の3手法
1)
が
近年用いられている。
図−1調査位置図
m以上の厚さで堆積していると言われている。本調査
地では砂丘砂と砂堤堆積物の区別ができず,両者で 22
本調査では,対象地盤がほぼ均質な泥質岩であるが
mを確認している。上総層群国本層は,一般に砂岩・
砂岩・テフラ等の薄層の挟在が予想されたこと,トリ
泥岩の互層と塊状の砂質泥岩から成り,層厚は約 320
コン掘削によるノンコアボーリングであり孔内水の透
mで二枚貝と巻貝を含むと言われている。本調査地で
明度が低くかつ孔壁の凹凸が懸念されたこと,また,
は砂岩,凝灰岩の薄層を挟在する均質な泥岩あるいは
本調査目的が,塩淡境界面の動向調査であり,塩水が
砂質泥岩からなる。この国本層の下位に水溶性天然ガ
進入している場合に比抵抗値に顕著な差異が検出され
スを含む梅が瀬層が存在するが,本調査の対象外であ
る可能性があることから,調査井内の地質情報を的確
るために,深度 110m迄の掘削に止め,国本層を約 90
に把握することと塩淡境界面の性状を把握するために
m確認した。
実施したFMI検層を報告する。
3.観測井の概要
2.地形・地質
2)
観測井は,千葉
FMI検層を実施した調査孔は房総半島北部の九十
県山武郡蓮沼村蓮
九里低地に位置し,本低地は海岸沿いに総延長約 60km,
沼海浜公園内に設
幅約 10km で南西から北東に広がる。また,南部の標高
置した。
200m以下の上総丘陵,西部から北部にかけての標高 40
観測井の掘削状
∼100mの下総台地に囲まれている。九十九里低地には
況および観測井仕
10 列以上の砂堤列と堤間湿地とが交互に海岸線に平行
上げ状況を図−2
し,1つの砂堤の幅は数十∼数百m,比高1から2m
に示しているが,
である。これらの砂堤列は内陸側から第Ⅰ・第Ⅱ・第
FMI検層の実施
Ⅲ砂堤群 に区 分されて いる 。それぞ れ 約 6,000 年∼
は,7-7/8in トリコ
4,000 年前,4,000 年∼2,000 年前,1,500 年前以降に
ン ビ ッ ド に よ る 深 度 110m 迄 の 掘 削 終 了 後 で , か つ
形成された。ボーリング実施箇所は第Ⅲ砂堤群より海
VP150 の塩ビ管設置前である。検層実施時は,深度 30
側に位置し,現汀線より 100m内陸側である。調査位置
m迄孔壁崩壊防止の為に保孔管を設置しているのでF
図−2 観測井仕上げ状況
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MI検層は G.L.-35mからデータを取得した。
検層機の外径は5in であるため,掘削孔経6in 以上の
孔井に適用可能であり,孔経が大きくなるほど孔壁の
測定範囲は減少する。孔経6in では,孔壁の 95%を,
4.FMI検層
4.1
FMI検層の原理
3)
孔経 21in では孔経の 30%を測定する。
FMI検層は 1991 年に開発・実用化された孔壁イメ
測定値は,深度補正・泥水比抵抗値補正を行うとと
ージング検層機の一つであり,孔壁の多点で計測した
もに,傾斜計のデータから電極位置の物理的ずれによ
比抵抗変化を用いて孔壁のイメージングを行う。従来
る補正,各電極での電流直流成分の除去と感度補正を
のディップメーター(SHDT)検層機の測定原理を
行う。補正後の比抵抗値を用いてヒストグラムの作成
応用している。SHDTでは,4本のアームのキャリ
を行い,ヒストグラムに基づいた色調変化による孔壁
パーによって孔壁にパッドを圧着させ,パッドに組み
のイメージを作成する。色調変化は地層の比抵抗値変
込まれた電極から交流電流を流し,Microlog の応用で
化に対応し,高比抵抗ほど白色を示し,コアでは観察
地層境界(比抵抗値が変化)を 90 度の方位間隔で地層
できない原位置での孔壁の地質状況を把握できる。
の比抵抗を検出している。各パッドに比抵抗を計るセ
ンサーが一つの場合に,ボーリング孔軸と斜交する比
4.2
FMI検層結果
抵抗値の変化点(地層境界,亀裂面)はセンサーそれ
検層解析結果を図−4に示す。本図には孔壁の展開
ぞれの深度毎に検出される。これらの点を結ぶサイン
画像を示すとともに,孔壁全周に渡り同一比抵抗値が
カーブを描くことにより地層の見かけの走向傾斜を求
連続する面の傾斜方位と傾斜角度を読みとって併記し
めることが出来る。同時にツールに内蔵された傾斜計
が孔井の方位・傾斜およびツールの向きを測定してい
るので,補正することにより面構造の真の走向・傾斜
を求めることができる。しかし,計測点が少ないため
解像度が劣り微細な堆積構造の解析には限界があった。
FMI検層
では,測定電極
数を増やして
解像度の向上
を図り,孔壁の
微細構造を取
得することが
可能になって
いる。16kHz の
交流電流が機
器上部の電極か
図―3
電極の配置図
ら下部の電極に向かって地層中を通過する。
電極は約5mm の円形で,4本のアームそれぞれに取り
付けられたパッドおよびフラップのそれぞれに 24 個ず
つ取り付けられ,合計 192 個である。図―3に電極の
方位角9度毎にその頻度分布を求めローズダイアグラ
測定部のアームの展
ムに示す。FMI検層の結果から判断できることは以
開状況を示す。アー
下のとおりであった。
ム部分は等電位に保
a) 同一比抵抗が連続する面構造は,大部分 10 度以下
持され,パッドおよ
を示し,特に5度以下が多く,傾斜方位は全方位
びフラップ部分では
にばらつくが北∼西南西がやや多い。この面構造
孔壁面面に平行な等
は泥岩中の挟在薄層と考えられ,堆積構造はフラ
電位面が形成される。
ットまたは若干の北∼西南西傾斜と考えられる。
よって,電流は孔壁
孔壁深部の比抵抗を
検層解析結果
ている。また,読みとった傾斜方位を 10m毎に集約し,
配置図,写真―1に
に垂直な方向に流れ,
図−4
写真−1
測定部のアームの
展開状況
測定することができる。SHDTと同様に地層の比抵
抗を測定し孔壁と交差する面構造を把握する。FMI
既往文献による堆積構造と調和的な結果であった。
b) G.L.-39m,-53m,-55mで 70 度および 60 度の高
傾斜面が認められた。前者の傾斜方位は西落ちで
あり,後2者は北北東および北北西であった。堆
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これらのH1孔およびH3孔の砂岩,凝灰岩の出現
積構造と比較し
て高角度であり,
パターンとH2孔で実施したFMI検層の高比抵抗部
また比抵抗値が
とを比較すると,その出現深度および出現パターンが
異なることから
一致し,FMI検層で得られる高比抵抗部は砂岩ある
堆積物の相違が
いは凝灰岩に相当することが判明した。本検層結果の
考えられ堆積時
みから砂岩あるいは凝灰岩の区別はできなかった。
の小規模かつ局
3孔のボーリングで連続性が確実であろうと考えら
部的な海底地す
れる4層の凝灰岩と砂岩薄層の出現深度から地層の走
べりの痕跡とも
向傾斜を求めれば,N10゜∼45゜E,0.4゜∼2.4゜W
考えられる。拡
であり,若干西落ちであるがほぼフラットな傾斜であ
大図を図―5に
った。連続性を確認した薄層の一覧表を表―1に示す。
G.L.-60mを境にして上位では走向が約N40°Eで
示す。
c)
測定区間の比抵
図−5
あるのに対し,以深ではN10∼20°Eを示し,若干の
高角度傾斜面
抗値はほぼ 2∼ 3ohm・m であったが,局部的に3
堆積環境の相違があったとも考えられる。図−7に3
ohm・m 以上を示す高比抵抗部が観察された。
孔の対比柱状図を示す。
5.FMI検層結果と隣接孔調査結果との対比
5.1
地質構成
FMI検層実施孔(H2孔)はノンコアボーリング
であるので,高比抵抗部が何に起因するかは不明であ
るが,FMI検層結果と既往文献から地層の傾斜は少
ないことが判明している。そこで,三角形配置で約 40
m離れてオールコアボーリングを行ったH1孔および
H3孔での調査結果を用いて地層の対比を行った。ボ
ーリング配置図を図―6に示す。
H
2
図−7
H
1
H
対比柱状図
泥質岩ではわずかな粒度構成の相違により比抵抗値
3
が異なり,肉眼のコア観察では判別できない相違をF
MI検層で比抵抗値の変化として認識すると考えられ
る。FMI検層のみで地質判定をできないが,地域の
地質構成を判断するインデックスを取得できる。
図―6
5.2
ボーリング配置図
塩淡境界は,海岸部の流動する地下水と海水とによ
H1孔とH3孔とは約 40m離れているが,その地質
り形成される動的な塩淡境界と,地層中に取り残され
構成を比較すれば,泥岩中に挟在する砂岩,凝灰岩の
た化石塩水と周囲の淡水地下水により形成される地質
出現パターンがほぼ同様であること,各層厚が数 cm∼
に依存した塩淡境界がある。本研究は,前者の動的な
数十 cm であっても連続性が確認できること,特に細粒
塩淡境界部を対象としている。海岸部での塩淡境界は
砂岩薄層を互層状に挟在する深度はほぼ同様であるこ
ガイベン・ヘルツベルグの法則に代表されるように古
とから,連続性は非常に良好といえる。
表−1
塩淡境界面
くから論じられ,均質な地層中では塩淡境界が地表付
連続性が確認できた挟在薄層
近の地下水面形状に左右されると言
H1(H10)
H2(H14)
H3(H10)
上端標高
上端標高
上端標高
No.1
-54.23
-54.90
-54.11
N40°E
1.6°W
凝灰岩
No.2
-58.93
-59.95
-58.76
N45°E
0.4°W
砂岩
動している場合に,塩淡境界が海岸
No.3
-65.23
-65.40
-64.76
N10°E
1°W
砂岩
部では下方に押し込まれ,塩淡境界
No.4
-86.73
-87.35
-85.86
N20°E
2.4°W
凝灰岩
面は沖合の海底に位置していると論
走
向
傾
斜
岩
種
われている。また,塩淡境界の地表
の先端部は,地下水が後背地の高い
水理ポテンシャルの影響を受けて流
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地層水の導電率変化とFMI検層の比抵抗変化とは
じられている。
観測井の掘削時に循環水を用いるために,地層の間
非常に調和的な傾向を示し,地層水の導電率分布形状
隙に内包している地下水が置換あるいは混合する可能
が塩淡境界面形状を示すので,FMI検層から得られ
性が高く,また,孔壁からの湧水するは孔内循環水と
る比抵抗分布から塩淡境界面形状を検出することがで
混合して観測井内の広い範囲に拡散する。よって,掘
きる。
削直後の採水分析や孔壁面の物理検層では塩淡境界面
を把握することが困難である。これらの問題を回避す
4),5)
6.まとめ
はH1孔において,静水掘削で
本稿では,九十九里浜に位置する蓮沼海浜公園内で
コアを1m毎に採取し,表層部を削剥してコア芯部を
掘削した孔径φ7-7/8in(200mm),深度 110m迄の鉛直ボ
試験サンプルとした。その後,サンプルを一定割合の
ーリング孔内で実施したFMI検層結果を報告した。
純水で溶解して導電率を測定した。間隙率と飽和度を
泥質岩地域でのトリコン掘削によるノンコアボーリン
仮定して補正を行い,原位置の地層水の導電率を推定
グ孔内での地質構成を把握し,また塩淡境界面の性状
した。この導電率とFMI検層から得られた比抵抗値
を把握することがFMI検層の目的であった。本調査
の深度変化図を併記して,図−8に示す。
地内には,オールコアボーリングを行った深度 200m迄
るために,筆者ら
の2孔のボーリング孔が既に存在し,これら3孔の地
質調査結果を用いて,FMI検層の調査手法としての
有効性を検討した。
本調査地点の地質構成は,ほぼフラットであるため
に既往ボーリング結果とFMI検層結果との対比が容
易であり,FMI検層から得られる高比抵抗部は,泥
質岩中の細粒砂岩および凝灰岩薄層を反映していた。
比抵抗値からのみで岩種の判定は困難であったが,非
常に有効な地質情報を得ることができた。また,オー
ルコアボーリング近傍のノンコアボーリングでの地質
構成の推定,地層対比に有効と考えられる。
FMI検層は,孔壁面に直交する孔壁深部の比抵抗
値を測定しているので,比較的透水性の低い地盤の真
の比抵抗を測定していると考えられる。泥質岩分布地
域の塩淡境界面の調査手法としての有効性を確認した。
孔壁展開画像を得るには,大別して光学式,超音波
図−8
導電率(HI)と比抵抗(H2)
式および比抵抗式の3種類があるが,それぞれ一長一
地 層 水 の 導 電 率 は , 地 表 か ら 深 度 -17 m 迄 は
短があり,対象とする地盤と目的に応じて選択する必
1,000mS/m 以下の値を示し,淡水主体であると判断でき
要がある。FMI検層は,孔内水が泥水であり,また
る。深度が増すにつれて導電率は増加し,砂丘堆積物
孔壁面に多少凹凸があっても地質特性の差を比抵抗の
の下位に分布する国本層中の上部(深度-31m)で極大
差として検出するので,泥質岩地帯の調査手法として
値 5,100mS/m を示す。その後,深度が増すにつれて導
有効であると考えられる。
電率は低下し,深度-46mで極小値 1,670mS/m を示すと
参考文献
ともに深度-56m∼-62m間で 2,000mS/m 以下を示すこ
1) 堀川・長・佐々木・萩原・吉岡:ボーリング孔壁画像の
とが多くなる。この深度の地質は,単層厚 5∼10mm の
比較と適用性,平成 14 年度応用地質学会研究発表会,
細粒砂層を多数挟在し,-56m付近には層厚 50mm の凝
2002.10
灰岩,-60.4mには層厚 50mm の中粒砂層を挟在する泥
2)日本の地質「関東地方」,共立出版社,pp199∼200
岩である。その後深度の増加に伴い,再度導電率は増
3) 物理探査学会編,「物理探査ハンドブック」,第 13
加し-110m付近では 4,000mS/m 前後の値を示す。よっ
章物理検層
て,-110m以浅において,淡水は地表付近および-60m
4) 木山・佐々木・松崎・丸井:上総層群国本層泥岩の室
付近で供給されていると考えられる。
内試験による透水特性,平成 14 年度資源・素材関係学
FMI検層から得られる比抵抗値の深度変化は,
協会合同秋季大会,2002.9
G.L.-32mから深度-60m付近まで比抵抗値が増加し,
5) 木山・塩崎・佐々木・丸井:堆積岩地域における地下
その後,深度-110m迄は比抵抗値が減少する傾向を示
水の塩水・淡水境界の調査について,原子力学会第 18
している。また深度-56.2m∼-61.6m間で比抵抗値が
回バックエンドセミナーポスターセッション
3.0ohm・m 以上の高比抵抗を示す箇所が多い。
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