秋田県立稲川支援学校 コラボ 支援部い-な通信 №1 collaboration 平成28年5月25日 「ご あ い さ つ」 校長 小林 吉則 コラボレーション=共同、この通信では子どもたちや保護者の方を各学校や関係機関等が 協力しながら支援していけるよう情報発信していきたいと考えております。 “障がい”は、その人の個性の一部です。人とコミュニケーションをとるとき相手の性格 等に合わせて話し方などを工夫するように、“障がい”への対応の仕方を身につけていける ことにより、みんなの生活をより豊かにしていくことができます。そのための一助となるよ うこの通信をお役立てください。 このコーナーでは,書籍から日々の指導・支援に役立つようなちょっとした技やポイン ト,情報等を紹介したいと考えています。 「もっと詳しく知りたい」 「この本を読みたい」 という方は、高田まで一声かけてくださるとうれしいです。 子どもたちと私たちの笑顔あふれる学校づくりの一助となれば幸いです。 「気になる子たち」理解教育のきほん クラスみんなで学ぶ障害理解授業の進め方 曽山和彦 編 教育開発研究所 より抜粋 【気になる子たちの周りの子の心情 名城大学教授 曽山和彦】 1.「気になる子たち」と同じように、周りの子は愛されているか 「愛の反対は無関心」という言葉を念頭に置くならば、学級に在籍する「気になる子たち」は、教師か らたっぷり愛されている子どもと言えるだろう。 「気になる子たち」に対し、 教師は小さな変化を見逃さず、 認めたり、ほめたりすることを日常的に心がける。また、学習・行動・対人関係面で「気になる子たち」 ゆえに、 「気になる」言動の改善に向け、注意・叱責等の働きかけも多くなる。一方で、周りの子に対し、 教師の目や手はどれくらいかかっているだろうか。各地の学校を訪問し、学級を参観すると、教師の指示 をしっかり聴き、授業に静かに参加している「手のかからない A 子(以下、A 子) 」を多く見かける。元 気で活発な子であれば、教師の目にとまりやすいが、このような A 子は、活発な子とは異なり、教師の目 や手が素通りしてしまう可能性が高くなる。 「無関心」という極端な言葉はそぐわないとしても、周りの子 のなかには、教師の関心がどうしても薄くなる A 子がいるのは確かである。 2.「ボール」を受け取る「グローブ」はすべての子どもがもっている 学級に在籍するすべての子どもが、教師からの働きかけという「ボール」を受け取る「グローブ」をも っている。教師は、この「グローブ」を常にイメージしておく必要があるだろう。「気になる子たち」、活 発な子たちの「グローブ」にばかり、 「ボール」を投げているのではないか。 「グローブ」を机の下や背中 に隠すようにもっている子も、本当は教師からの「ボール」がほしいと思っているのではないか。隠すよ うにもっている「グローブ」に、どのようにすれば「ボール」を渡せるのかを考えることが、教師の腕の 見せどころなのではないか。このような問いを常に自分自身に発し続ける教師でありたいものである。 もし、教師が、隠すようにもっている「グローブ」に気づかず、 「ボール」を渡さない日々が続くとした ら・・・。おそらく A 子は「どうせ、私にはボールは来ない」とつぶやき、もっている「グローブ」を外す。 そして、 「気になる子たち」に対する「シブリング・ライバリティー=嫉妬心」から、 「なんで、あいつば っかり」という欲求不満の思いも高まってくるだろう。A 子の「先生~、私にもボールちょうだい」とい う声はささやき声である。そのささやきを聴きとる耳の感度を日ごろから上げておきたい。 3.「グローブ」に「ボール」を投げる A 子の「グローブ」にどのように「ボール」を投げたらよいのか。各地の先生方の実践を参考に、具体 策として次の2点を提言したい。 (1)机間巡視しながら、近くで「ボール」を投げる 机間巡視の際に、頭をなでる、顔を見てほほえむ、 「それでいいよ」と言葉をかける・・・等が、 「ボール」 の投げ方・渡し方である。 (2)他の先生から「ボール」を投げてもらう 他の先生方にあらかじめお願いしておき、A 子を認めたり、ほめたりしてもらう。なかでも校長先生 から投げられる「ボール」は、学年が低ければ低いほど、特別なものとなるだろう。その際に、 「担任の 〇〇先生が、A 子ちゃんのこと、ほめていたよ」と言ってもらうようにすると、さらによい。 「〇〇先生 は私のことをちゃんと見ていてくれた」という嬉しい「ボール」となるだろう。 * 「子どもは大人から愛されれば愛されるほど非行から遠ざかる」と講演のなかで話されたのは水谷修先生。 愛することは、相手に関心をもち、働きかけること・・・。私たち教師は、子どもを愛する大人の「筆頭」 になりたいものである。 本書は「障害理解教育」に関連する内容が大変充実しています。秋田大学准教授の藤井慶博先生 はじめ、多くの秋田県の先生方の実践も紹介されています。 「共生社会の形成」 「インクルーシブ 教育」 「合理的配慮の提供」等、多様性を尊重する社会づくりが進められてきている現在、子ど もたちへの障害理解教育は欠かせないものになります。 ぜひ手にとっていただきたい一冊です。 (髙田)
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