[普及事項] 新技術名:ハタハタ卵(ブリコ)加工品の開発(平成15~19年) 研究機関名 担 当 者 総合食品研究所、水産振興センター 塚本研一・戸枝一喜・他2名 [要約] これまで魚卵加工品として製造技術が確立していなかったハタハタ卵(ブリコ)加工品の製 造技術を開発した。この技術開発により、これまで存在しなかった新しい食感で、食べやすい ハタハタ卵加工品の商品化が可能となった。 [ねらい] 産卵期に多く漁獲される雌ハタハタから日本人に好まれている魚卵加工品を新しく開発するこ とを目的とした 。既存の魚卵加工品としてはタラコ 、イクラ 、スジコ 、カズノコ等種類も多いが 、 ハタハタ卵加工品は製造されていない。ハタハタ漁獲量が多かった昭和40年代には産卵後、海岸 に打ち上げられたブリコを加熱調理した非常に硬い加工品が存在した。しかし、現在は資源保護 の観点から海岸に打ち上げられたブリコの収集が禁止されているためこの加工品は製造されてい ない。また、ブリコ自体の酵素作用により、極度に硬くなりやすいこともハタハタ卵加工品が存 在しない大きな原因であった。したがって、ブリコの接着および硬化の酵素作用を抑制すること で、これまで存在しなかった新しい食感で、食べやすいハタハタ卵加工品の開発が可能であると 考えられる。また、実際の魚卵加工品製造では凍結保存卵塊を使用することも考えられることか ら、解凍方法の検討も行った。 [技術の内容・特徴] 1.生ブリコを加熱撹拌処理し,卵粒をバラして加工,調味を容易にした(図1 )。ごの技術に よりイクラ風 ,キャビア風あるいは新タイプ ,どのような加工もでき 、用途が拡がるため市販 , 業務用,弁当・惣菜,外食産業などで幅広く利用する可能性が大きくなった。 2.凍結保存卵塊の処理法の違いによるブリコの品質の比較(表1)では②の70℃蒸留水中の撹 拌・加熱水解凍と③の流水解凍は 、測定した卵粒の硬さは①と大きな違いは見られなかったが 、 ②は攪拌中に中心部が接着し、③も解凍中に中心部が接着する部分が多かった。①の撹拌・水 解凍が生卵塊の加熱分離に近い状態で卵粒が分離されることがわかった。 3.表1④の自然解凍は卵は硬いが卵同士の接着が見られず、①と異なる新しい食感の卵加工品 の調製も可能であることがわかった。 4.これらの技術開発により凍結保存卵塊から写真1のようなブリコ加工品を製造することがで き、写真2のような利用例の他、多くの用途が考えられる。 [普及対象範囲] 秋田県内食品加工業者、その他 [普及・参考上の留意事項] 特許出願中のため県の特許使用許諾が必要となる。 - 1 - [具体的なデータ等] 図1 表1 写真1 新ブリコ加工品の調製方法 凍結保存卵塊の処理法の違いによるブリコの品質の比較 ブリコ加工品 写真2 ブリコ加工品利用例 [発表文献等] 特許出願「ハタハタ卵巣由来の粘質物,その取得方法および用途 」(特開2005-82525) - 2 -
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