中 国 アラブ インド

文化・教養
アジア・アフリカ文化財団、亜細亜大学共同企画講座
C065
地域文化研究
1600
~6 つの国と地域を訪ねて~
講座趣旨
この講座はアジア・アフリカ文化財団と
亜細亜大学による共同企画講座です。全
体における統一テーマはあえて設定せず
に、国・地域ごとにさまざまなテーマを用
意し、文化や社会の仕組みの違いについ
て考えます。
対象となる国・地域は、中国、アラブ、イ
ンド、ロシア、モンゴル、バリの6カ国・地
域。各国・地域について2回の完結講座
です。
*地域ごとのお申し込みになります。ご注
意ください。
日
程
時
定
回
間
員
数
受講料
教 材
難易度
会 場
申し込み
講座開催概要
10月6日~1月12日 毎週金曜日
(11月3日 12月29日 1月5日を除く)
19:00~20:30
30人 ※定員を超えた場合は抽選
6地域・12回(ご希望の地域を選んで受講できます)
一般
市民
市民学生
会員
1地域
2,600 円
2,000 円
1,500 円 1,300 円
2地域
4,800 円
3,700 円
2,800 円 2,400 円
3地域
7,000 円
5,400 円
4,200 円 3,500 円
4地域
9,200 円
7,100 円
5,500 円 4,600 円
5地域
11,400 円
8,800 円
6,800 円 5,700 円
6地域
13,000 円 10,000 円
7,500 円 6,500 円
レジュメ資料 ほか
★
教室 A
ネット申込×不可
第1次締切9月6日
10月 6日
講 師 麻生 輝彦 アジア・アフリカ語学院中国語学科講師
中国 ―とくに中国の“民主化”に視点を置いて(1)
中
国
第1回
第2回
〔C0651601〕
政治的安定の中で“市場経済”を取り込み大いに発展し続ける中国であるが、“民主化”については幾多の
曲折が見られる。主として共和国成立後の経済発展との関連において、いくつかの事例を参照しながら中国
の民主化の現状と将来について考えたい。
10月13日
講 師 麻生 輝彦 アジア・アフリカ語学院中国語学科講師
中国 ―とくに中国の“民主化”に視点を置いて(2)
「政治は冷えているが経済は熱い」などと言われている現在の日中関係であるが、9月の日本の首相交代で
変わるのだろうか?10月には中国でもその後の方針を決定する党大会が開かれることになっており注目され
る。国交回復以前のまさに政治が冷えていた時代の事例をも参考に、日中関係の現状と将来を考えたい。
10月20日
アラブ事情(1)
講
師
阿久津
正幸 アジア・アフリカ語学院アラビア語学科講師
「アラブ地域」と聞いて、中東やイスラーム(教)、絶え間ない紛争、近年ではテロや自爆攻撃といった言葉が
連想されると思う。遠く離れた、日本とは馴染みのあまりない国々といった印象なのかもしれない。第1回で
は、現代の政治的領域におけるアラブという定義を振り返り、それらのまとまりをなす背景となるアラブ民族や
言語など、地域的な多様性を帯びる文化的側面を扱う。第2回では、アラブと密接なかかわりでとらえられるイ
第3回
スラームの問題とともに、過去の歴史的特徴にまでさかのぼり、現代政治において問題視されている諸課題
第4回
〔C0651602〕 の理解を目指したい。日本にとっては、主要な石油依存地域といった経済面だけでなく、いまや政治的に直
接的なかかわりをもつようになったこの地域の重要性を、2回の講義によって強く実感してもらいたい。
アラブ
10月27日
講 師 阿久津 正幸 アジア・アフリカ語学院アラビア語学科講師
アラブ事情(2) 第3回(10 月 20 日)の講座内容を参照
11月10日
講 師 中村 平治 アジア・アフリカ語学院インド語学科講師
近現代日本とインド
インド
第5回
第6回
このテーマを植民地段階のインド人政治家たちに焦点を絞って考察する。ここでは(1)ネルーの反ファシズム
的な思想と行動の特徴の検討を通じて、インド・ナショナリズムと国際主義との関連性を検討する、(2)ついで
ネルーと対照的な政治家B・S・ムンジェー(ヒンドゥー原理主義)の親ファシズムと親帝国主義の思想と行動
を分析する、(3)この両者の比較を通じて「ポスト・コロニアリズム論」に反論する。
11月17日
講 師 中村
現代インドの持つ魅力は何か
平治 アジア・アフリカ語学院インド語学科講師
〔C0651603〕 現代インドの持つ魅力は何か―これを世界現代史研究の立場、または観点から分析することが課題である。
まず、(1)1947年、インドが独立してから既に半世紀が経つが、その歴史過程を3段階に区分して考察す
る、(2)特にこの歴史過程から導きだされた民主主義対ファシズムの構図、つまり対抗関係を明らかにする、
(3)結びとして、インド連邦制の構造と特質を論じ、インド型民主主義の今後の姿を日印関係との対比で検討
する。
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11月24日 講 師 松本 賢信 亜細亜大学法学部教授
チェスを愛したロシアの作家たち -プーシキン、ツルゲーネフ、トルストイ-
ロシア
第7回
第8回
〔C0651604〕
チェスは科学であると同時に頭脳のスポーツであり、何にもまして芸術である。囲碁や将棋が日本古来の伝
統芸能であるのと同様、チェスはヨーロッパ文化に深く根ざしている。現在チェスが最も盛んな国はロシアで
あり、歴代の世界チャンピオンも、半数以上をロシア人が占めている。ロシアにはチェスの伝統があり、プーシ
キン、ツルゲーネフ、トルストイといった19世紀の大作家たちも自らチェスをたしなみ、作品中でしばしばチェ
スに言及している。本講義ではロシアの文豪たちが書いたチェスの描写を鑑賞することによって「文学とチェ
ス」の関わり合いについて考察をめぐらす。併せて彼らの実力がどの程度のものだったのか、コンピュータ・ソ
フトを用いて検証してみたい。
12月 1日 講 師 松本 賢信 亜細亜大学法学部教授
ロシア亡命文学概観 -ブーニン、ナボコフ、ソルジェニーツィン-
一口に亡命文学といっても、個々の作家がそれぞれの亡命地で個性的な文学活動を展開したのであって、
その態様はさまざまである。ソビエト体制に真っ向から挑戦し、イデオロギー的な作品を書き続けたソルジェニ
ーツィンのような作家もいれば、その対極には、作品から政治色を排除し、独自の美的世界を築き上げたブ
ーニンのような作家も存在する。一方、バイリンガル作家として、英語とロシア語で作品を書いたウラジーミル・
ナボコフも注目に値する。ナボコフはチェスのプロブレム作家としても有名であるが、とりわけ初期の傑作『デ
ィフェンス』において、作家のチェスに対する興味と文学技法とが密接に結びついている点が、極めてユニー
クである。
12月 8日 講 師 鯉渕 信一 亜細亜大学国際関係学部教授
遊牧という生業 ~モンゴル遊牧民の生活誌
モンゴル
第9回
第10回
〔C0651605〕
モンゴルは世界有数の遊牧社会です。遊牧という生活様式は日本人にはおよそ馴染みのない世界、歴史過
程でも遊牧はおろか牧畜民と触れ合う機会さえありませんでした。そのため日本人の対遊牧観には、遊牧は
粗野で非文明的という誤解や偏見さえあるかに見えます。しかし日本とは異質であるが、そこには遊牧の文
化伝統に根ざした深い営みがあります。そうした視点で遊牧の暮らしを考えます。
12月15日 講 師 鯉渕 信一 亜細亜大学国際関係学部教授
シンプル・ライフの極致 ~モンゴル社会の価値観
遊牧は「移動」が基本の暮らし。移動が前提ですから、生活のあらゆる部分から徹底して無駄を省くことが求
められます。その徹底した簡素化は合理主義と同時に物心両面からの束縛を嫌う自由を尊ぶ精神をも育み
ました。先祖伝来の土地に縛られてきた日本とは対極にある「移動」の暮らしから生み出される価値観を考え
てみます。そこには物質文化を謳歌する現代日本を見直す何かがあるように思えます。
12月22日 講 師 間苧谷 榮 亜細亜大学国際関係学部教授
バリの文化と観光(1) ~観光の発展と社会・文化の変化
バリ
第11回
第12回
〔C0651606〕
楽園バリのイメージはオランダ植民地時代にすでに形成されていたが、観光開発が本格化するのは 1970 年
代初め以降のことであった。バリの観光開発では「伝統文化」を観光の呼び物とする「文化観光政策」が採用
されたため、観光業の発展にともない、文化は微妙な影響を受けた。この変化をどう捉え、いかに評価する
か。バリの観光業発展の時期は、同時に、学問・研究の世界で「伝統」や「文化」についての考え方が根本的
に変化する時代でもあった。最近の観光社会文化論研究の視点を紹介しながら、バリの観光と文化について
考える。
1月12日 講 師 間苧谷 榮 亜細亜大学国際関係学部教授
バリの文化と観光(2) ~社会・文化の「受容能力」
観光によるバリの社会と文化の変化は社会、文化、環境などの「受容能力」の範囲内に収まっているのであろ
うか。バリ社会の構造を考え、その核心的な位置を占めるバリの寺院の生じている変化を指標にしてこの問題
を考える手がかりを探ってみたい。
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講師紹介(敬称略)
麻生 輝彦(あそう てるひこ)
阿久津 正幸(あくつ まさゆき)
アジア・アフリカ語学院中国語学科講師
アジア・アフリカ語学院アラビア語学科講師
元北陸大学教授。1938 年生まれ。東京外国語大学外国 昭和薬科大学講師。1968 年生まれ。早稲田大学教育学部
語学部卒業後、第一通商株式会社に勤務。その後三井 卒業。慶應義塾大学大学院修士課程修了、同大学院博士
物産株式会社に移籍、日中貿易業務に携わる。同社定 課程単位取得退学。おもな研究テーマは「マドラサの社会
年退職後、北陸大学外国語学部において、実務中国語、 史」「中世イスラム世界の教育施設の政治・社会的文脈にお
ける歴史学的再考察」。訳著に『アラブの人々の歴史』(第三
華僑論、中国事情などを教授する。
書簡)など。
中村 平治(なかむら へいじ)
アジア・アフリカ語学院インド語学科主任講師
松本 賢信(まつもと けんしん)
亜細亜大学法学部教授
東京外国語大学名誉教授。1931 年生まれ。東京外国語大
学外国語学部卒業。東京大学大学院社会科学研究科国際
関係論修士課程修了。58 年から 60 年までインド政府留学生
としてデリー大学に留学。東京外国語大学アジア・アフリカ言
語文化研究所教授、専修大学文学部教授を歴任。主著は
『ネルー・人と思想』(清水書院)、『南アジア現代史Ⅰインド』
(山川出版社)、『現代インド政治史研究』(東京大学出版会)
など。
1959 年東京生まれ。東京大学文学部卒業後、同大大学院
修士課程修了、博士課程単位修得(ロシア語・ロシア文学専
攻)。89 年から 91 年までレニングラード国立大学に留学。00
年から 01 年までパリ・ソルボンヌで海外研究。88 年よりロシア
語通訳者としても活躍。95 年より JCA(日本チェス協会)会
員。05 年には国内マスターの称号を取得。
鯉渕 信一(こいぶち しんいち)
亜細亜大学国際関係学部教授
間苧谷 榮(まおたに さかえ)
亜細亜大学国際関係学部教授
1945 年、茨城県生まれ。亜細亜大学卒業。在モンゴル日本
大使館勤務、モンゴル国立大学交換教授、亜細亜大学学長
などを経て現職。専門はモンゴル語学だがモンゴルの社会、
文化に関する著作多数。主著に『騎馬民族の心』(NHK 出
版)、『モンゴルの社会と文化』(青々会)、『モンゴルという
国』(読売新聞社、共著)、訳著に『星の草原に帰らん』(NHK
出版)、『賢妃マンドハイ』(読売新聞社)など。
一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了 (経済学博
士)。東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所、亜細
亜大学経済学部国際関係学科を経て、現職(大学院経済学
研究科教授兼担)。専門は学際的な総合研究としてのインド
ネシア研究。主著は『現代インドネシア研究~ナショナリズム
と文化』(勁草書房、83 年)、『現代インドネシアの開発と政治・
社会変動』(勁草書房、00 年)。バリ研究の延長線上で、現
在、勃興の萌し著しい新分野である「観光社会文化論」に対
する関心を強めつつある。
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